新車試乗レポート
更新日:2021.03.15 / 掲載日:2021.03.15

【試乗レポート 三菱 エクリプスクロス PHEV】SUVとPHEVの相性は抜群!

三菱 エクリプスクロス PHEV

三菱 エクリプスクロス PHEV

文●大音安弘 写真●ユニット・コンパス

 エンジン車からEVへのシフトが連日のようにニュースの話題となる今日この頃。ハイブリッドカーの普及と進化により、電動化技術が省エネに繋がることは多くの人が実感しているところだ。しかし、急激なEVシフトには、まだ課題が山積みと思えてならない。インフラの問題だけでなく、ユーザー自身が、EVとのマッチングの判断の難しさを抱えている現実があるからだ。それならば、まずはエンジン車とEVの良いとこ取りした電動車が最善の選択となるはず。そのひとつの答えが、新型エクリプスクロスPHEVだ。

PHEV追加と同時に行われた改良によってデザインも大きく変わった

三菱 エクリプスクロス PHEVのエクステリア

三菱 エクリプスクロス PHEVのエクステリア

 車種展開が限定的だったこともあるが、三菱自動車は、これまで電動化に積極的だったメーカーのひとつといえる。2009年発売の電気自動車「iMiEV」。そして、2013年発売のプラグインハイブリッド「アウトランダーPHEV」を投入し、独自の技術を磨いてきた。特にアウトランダーPHEVは、当初からツインモーターによる4WDを展開。さらにシステムのエンジンを2.0Lエンジンから2.4Lエンジンに換装するなど、独自の哲学に基づき、進化させてきた。そのアウトランダーPHEVの知見が、ビッグマイナーチェンジで誕生したエクリプスクロスPHEVに注がれている。つまり、ひとクラス上のクルマに適したパワートレインが、与えられた。しかも、よりスポーティなキャラクターに振ったという点は、電動車に注目するクルマ好きに刺さるポイントではないか。

 PHEVの話の前に、ビッグマイナーチェンジを図ったエクリプスクロスについても触れておこう。エクリプスクロスは、エクリプスの名が物語るように、新たなスペシャルティクーペSUVとして2018年に誕生。ダイナミックシールドデザインのスポーティなフロントマスクと特徴的な2分割リヤガラスによるファストバックスタイルが特徴的であった。メカニズムでは、軽快な1.5Lガソリンターボとトルクフルな2.2Lクリーンディーゼルターボの2種類のパワートレインを持ち、ランエボ譲りのAYCなどに代表されるハイテク4WDを備えたスタイリッシュオールラウンダーであった。

 ところが、今回のマイナーチェンジでは、その特徴的なスタイリングを大幅に改修。前後のオーバーハングを拡大し、全長を+140mmの4545mmに。その拡大の105mmがリヤオーバーハングとなる。そして、リヤゲートも通常の1枚ガラスのものに……。このイメチェンにより、リヤのビジュアル的な安定感こそ増したものの、定番的なSUVルックとなり、クーペ感は薄れてしまった。もちろん、デザインには全面的な手直しが加えられ、スポーティさは薄まっていない。ダイナミックシールドマスクもイメージこそ重なるものの、ヘッドライトやグリルなどを大幅変更し、よりシャープなものに仕上げられている。確かに、スタイルのバランスは良く、相変わらずスポーティだが、エクリプスクロスの個性は薄まったようにも思え、少しもったいない。

インテリアは改良により質感が上がっている

三菱 エクリプスクロス PHEVのインテリア

三菱 エクリプスクロス PHEVのインテリア

 マイチェンなので、インテリアデザインは従来型同様。しかし、カラーコーディネートを変更することで質感を向上。最上級モデルには、スエード調生地とフェイクレザーのコンビシートやナビゲーション機能付きのインフォテインメントシステムも標準化されている。大きく変化したのはリヤシートで、スライド機構を廃止。但し、ヘッドレストの大型化や9段階のリクライニング機構などの機能に現れるように、後席の快適性向上を狙ったようである。ラゲッジスペースは、ガソリン車が405L、PHEVが359Lを確保。リヤオーバーハングが伸びたので、従来型の標準時よりもサイズアップが図られているので、このクラスなら、不足はないはずだ。

  • 三菱 エクリプスクロス PHEVのフロントシート

    三菱 エクリプスクロス PHEVのフロントシート

  • 三菱 エクリプスクロス PHEVのリヤシート

    三菱 エクリプスクロス PHEVのリヤシート

  • 三菱 エクリプスクロス PHEVのラゲッジルーム

    三菱 エクリプスクロス PHEVのラゲッジルーム

静粛性の高さはとくに高速走行で大きな武器になる

エクリプスクロス PHEV パワートレイン

エクリプスクロス PHEV パワートレイン

 PHEVのパワートレインは、アウトランダーPHEV譲りで、基本スペックも全く同じ。ただボディサイズアップの拡大もあり、車重は同等レベル。このため、EVモードの航続距離も57.3km(WLTC)とこちらも同等だ。車重からの想像だと、ワンクラス上となるパワートレインの恩恵は薄く思えるが、それは早合点というもの。2.4L化などのこれまでの磨き上げが伊達ではないことは、アウトランダーPHEVを知る人ならば異論はないはず。

 両者の最大の違いは、キャラ付けにある。最も明確な差がでるのがドライブモードで、エクリプスクロス専用にチューンされている。エクリプスクロスPHEVには、効率重視の「エコ」、オールマイティな「ノーマル」、雪道などの滑りやすい路面用の「スノー」、悪路走破時の「グラベル」、そして、ワインディング用の「ターマック」の5つのモードを設定。もっともスポーティなモードを「ターマック」と呼ぶところは、スポーツ4WDとして名を馳せたランエボの血を彷彿させる。この「ターマック」モードでは、シリーズハイブリッド走行となり、エンジンは発電のみ。走りをモーターが担うことで、力強い加速と強いブレーキ回生を組み合わせた俊敏な走りとAYCによる旋回性の高さを活かした走りが楽しめる。実際、ワインディングでは、まさに水を得た魚のような滑らかさで駆け抜ける。ただアウトランダーPHEVよりも静粛性が高まったのか、音の迫力には、やや欠ける。それこそ、PHEVらしい贅沢な悩みである。しかし、高速走行となれば、その静粛性の高さが大きな魅力となる。音楽なしでも快適なドライブが楽しめるほど。しかも巡航速度を高めにしても、静かな車内が維持される。これならば、長距離ドライブでも疲れにくいだろう。

アウトドアだけでなく、非常用電源としても心強い100V1500Wの給電プラグ

100V1500Wの給電プラグ

100V1500Wの給電プラグ

 この他のPHEVの強みとしては、ラゲッジルームに備える100V1500Wの給電プラグがある。旅先での家電の利用はもちろんだが、災害時の非常用電源となるのは心強い。しかも、日常の通勤や買い物などの短距離なら、EV走行で賄える。充電は、200V/15Aの普通充電の場合、約4.5時間で満充電に。もちろん、急速充電器の利用も可能だ。まさにEV生活の入門にもPHEVは最適なのだ。

 EVの選択のタイミングは、これからの課題だ。効率と環境負荷低減のために、電動化は積極的に行われるだろう。しかし、BEVが常にベストなのか。特にSUVは、多目的に使えるのが魅力だけに、PHEVの多様性はその価値を守る武器となる。まずはPHEVで電動車生活に馴染んでみるのも有りではないだろうか。もちろん、アウトランダーPHEVよりも、少しお手頃だ。

三菱 エクリプスクロス PHEV G

三菱 エクリプスクロス PHEV

三菱 エクリプスクロス PHEV

■全長×全幅×全高:4545×1805×1685mm
■ホイールベース:2670mm
■トレッド前/後:1540/1540mm
■車両重量:1920kg
■エンジン最高出力:128ps/4500rpm
■エンジン最大トルク:20.3kgm/4500rpm
■モーター最高出力 前/後:82ps・95ps
■モーター最大トルク 前/後:14.0kgm・19.9kgm
■サスペンション 前/後:ストラット/マルチリンク
■ブレーキ 前後:Vディスク・ディスク
■タイヤ 前後:225/55R18

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