新車試乗レポート
更新日:2020.09.25 / 掲載日:2020.09.25

TOYOTA ヤリスクロス大解剖【1】プロフィール&試乗

今大注目のコンパクトSUV、ヤリスクロスが発売を迎えた。試乗インプレッションにライバル比較、購入必勝法などなど、出し惜しみなしの総力特集をお届けする!

※本記事内のヤリスクロスの写真はすべてプロトタイプ車両です。

8月31日発売、ヤリスと同じグレード構成で179万円台スタート!!

ハイブリッドZ(4WD)<プロトタイプ>  ●ボディカラー:グレイッシュブルー

リーズナブルな価格で 2BOXとも戦える

 ひとつの視点は実用車としての出来。こういった側面はコンパクトSUVの特徴のひとつでもあるが、高全高のセミハイト系プロポーションによるキャビン拡大、ファミリー&レジャーの新たなベーシックカーとなるに相応しい資質を備えている。SUVを苗床にした“bB復活”と考えてもいい。

 とはいえSUVの流行に乗せて嗜好的付加価値モデルとして高値付け、ではヤリスの名に相応しいとも言い難い。実用性と価格はヤリスクロスの最も気になる部分だ。

 で、その価格はハイブリッドGのFF車が約239万円。装備が簡略化されていなければヤリスの約26万円高だ。他のグレードで比較しても装備揃えで25万円くらいの価格差。圧倒的に買い得とは言い難いがカローラスポーツよりも25万円くらい安い。ヤリスでは後席や荷室が狭すぎるが、カローラスポーツでは予算的に厳しいと悩んでいるユーザーには渡りに船。アウトドア趣味を試すにもよく、コンパクトカーの柱に成長しそうだ。

icon TOYOTA ヤリスクロス

タフネスと新装備を加えたヤリスベースの都市型SUV

 4月の世界初公開から約4か月、まず日本から発売される都市型コンパクトSUVだ。

 その名の通り、ヤリスと同様のコンパクトカー向けTNGAプラットフォーム(GA-B)や1.5L直3ダイナミックフォースエンジン+ダイレクトシフトCVT、一新したハイブリッドシステムなどを採用。ハイブリッド車の4WDもヤリスと同じE-Four(電気式4輪駆動)だ。

 なお、欧州向けはフランスで生産されるが、日本向けは国内生産となる。

走行性能/ドライブフィール

プロタイプ試乗インプレッション
クローズドコースで開催されたプロトタイプ試乗会では、ガソリン/ハイブリッド、FF/E-Fourを走らせ、その素性を探ることができた。

大人っぽい落ち着きがあり、長距離ドライブにも向く

ハイブリッドZ(4WD)<プロトタイプ> ●ボディカラー:ブラスゴールドメタリック

千葉県の袖ヶ浦フォレストレースウェイでの試乗となったが、あくまでも一般公道を念頭にインプレッション。ガソリン4WD以外の3タイプをチェックした。

重量増はあるものの、基本的にヤリスと同様

 路面環境が一様なサーキットでの試乗となったため、乗り心地については少々あまいチェックとなるが、ざっくりながらも走りの汎用性を試すことはできた。

 パワースペックはガソリン車、ハイブリッド車ともにヤリスと共通しているが、重くなった車重の影響か、加速時のエンジン回転上昇は高めである。と言ってもそれを意識するのは実用走行では急加速の範疇。巡航や緩加速でのドライブフィールはヤリスを多少マイルドにした程度。とくにハイブリッド車は穏やかにコントロールした時はヤリスと大きな違いは感じられなかった。電動の応答性のよさと自然なトルクの増減がスペック以上の余力感をもたらしていた。

 なお、ハイブリッド車のEFour仕様にも試乗したが、後輪電動駆動系は発進補助のみの稼働となるので、この試乗環境では何の足しにもならない。ただ、4WDの重量ハンデをあまり意識させないのは好感が持てた。

 ガソリン車もダウンシフトのタイミングが早まっているものの、全開近い急加速でもなければ比較的抑制の利いた変速制御を行い、無闇に高回転を維持したりはしない。基本的に他のダイナミックフォースエンジン搭載車と同様に中庸域のトルクとレスポンスに優れ、緩やかかつ連続的に制御されるダウンシフトと相まって、悠々としたドライブフィールを示した。高負荷域では排気量なりの加速性能になるが、高速走行も含めて使用頻度の高い領域で扱いやすさやゆとりを感じさせてくれる。

 ハンドリングは高速域での安定性を重視したタイプ。サイズなりの軽快さは備えているが、ロールを上手に使いコーナリング限界に近づくほど操舵追従性を程よく鈍らせていく。高速コーナリング中のブレーキングでも姿勢を乱し難いので安心感が高く、御しやすい特性である。

 ヤリスに比べて重心は高くなっているが「硬さ」で押さえ込むのではなくストロークでいなすようなサスチューニング。1名乗車ならもう少しソフトな乗り心地でいいかなとも思えたが、4名乗車や荷物を積んだ時の高速走行を考えれば安定感としなやかさのウェルバランスといえる。

 走りの味わいの小気味よさあるいはスポーティさはヤリスより減少しているが、言い方を換えるなら大人っぽい落ち着きが増した。扱いやすさや安心感を基本にすれば当然だが、長距離のレジャードライブでは重要な要素でもある。運転支援機能もヤリスからグレードアップされ、車格以上にカバーレンジの広い走りである。

ズバリ!ガソリンかハイブリットか

ハイブリッドには上乗せがあるが、ガソリンでもクラス標準以上

●G(FF)

 高速追い越し加速などエンジンの地力が試される状況ではガソリン車は1.5Lなりの性能になってしまう。同クラスでは標準以上の動力性能だが、高速でも切れのいい加速を求めるならハイブリッド車に分がある。どの速度域でも加速性能はハイブリッド車が上回るのだが、一般的な運転パターンでは目立って劣る部分はない。エンジン回転数の変化の少なさなどで余力感ではガソリン車が勝る状況もあり、価格差を考えるなら無理をしてまでハイブリッド車を選ぶ必要はないだろう。

ズバリ!FFか4WDか

コンパクトカー用途ならFF、SUV的に使うならガソリン4WD

●ハイブリッドZ(4WD)

 パワートレーンで4WDの形式が異なり、ガソリン車は悪路対応型、ハイブリッド車は生活四駆の拡張型。SUVらしく山間のアウトドア趣味までカバーするならガソリンの4WD、冬期レジャーや降雪地域用途ならハイブリッド車の4WDでもOK、という棲み分け。FFと4WDの価格差がけっこう大きいので、キャビンの使い勝手に優れたコンパクトカーとして選ぶならFF車が買い得だが、SUVのエントリーカーとしてヤリスクロスを考えるなら4WDを選択するのが無難。

走行メカニズム&先進機能

基本部分はヤリスを踏襲

  • ■1.5Lガソリン

  • ■1.5Lハイブリッド

  • ※数値はすべて社内測定値または社内算定値。

     基本構成はヤリスと同様。ガソリン4WDはFF/4WDを自動制御する「ダイナミックトルクコントロール4WD」を採用している。

  • ※数値はすべて社内測定値または社内算定値。

icon 4WD(ガソリン)

少々のオフロードなら余裕を持って走ることができる。

  • ■マルチテレインセレクト
    路面状況に応じて3つのモードを用意。駆動力、4WD、ブレーキの制御を最適化する。

icon E-Four(ハイブリッド)

ハイブリッドの4WDは後輪をモーターで駆動する電気式だ。

■TRAILモード
空転するタイヤにブレーキを、接地するタイヤに駆動力を掛け、脱出をサポート。

icon 4WD機能

急坂や雪道などで4WD性能を高める機能を搭載している。

■ダウンヒルアシストコントロール
急坂を下りる際に車速を低くキープ。ほかに雪道用のSNOWモードも用意されている。

icon Toyota Safety Sense

トヨタの予防安全パッケージが“Bパッケージ”以外に標準搭載される。

■緊急時操舵支援機能
自車線内の歩行者との衝突回避操作をサポートすると同時に、逸脱抑制も提供する。

  • ■レーダークルーズコントロール

    <その他の主な機能>
    ■プリクラッシュセーフティ
    ■レーントレーシングアシスト
    ■ロードサインアシスト ほか

【トヨタSUV初】

■アドバンストパーク (パノラミックビューモニター付)
区画線がなくても、駐車位置を登録することでアシストが可能。

  • ■パノラミック ビューモニター

【トヨタ初】

■S-VSC(横風対応制御付)
高速走行時の強い横風を検知し、ブレーキ制御で逸脱を抑制。

  • ■アダプティブハイビーム
    ハイビームを部分遮光することで、よりクリアな夜間視界を保つ。

●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久

提供元:月刊自家用車

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