輸入車
更新日:2021.03.04 / 掲載日:2020.09.04

アウディ A4/気になる中古車【試乗判定】

2019年モデル アウディ A4 35 TFSIスポーツ

文●竹岡圭、九島辰也、ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2020年10月号の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2020年8月調べ。
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。


一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション! 果たしてその結果やいかに!?

Member Profile

  • 自動車ジャーナリスト【竹岡 圭】
    人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2020-2021 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

  • 自動車ジャーナリスト【九島辰也】
    長年にわたり男性ファッション誌や一般誌などでも活躍し続ける自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも各国のクルマを乗り継ぐ。

洗練されたデザインに高性能を秘めたミッドサイズセダン

独自のキャラクターを確立させた高級中型セダン

編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回は、アウディのアッパーミドルセダン、A4が登場です。お借りした車両は2019年モデルで、グレードは「35TFSIスポーツ」、走行距離は9000kmです。
九島●アウディはこういうベイサイドのニュータウンが似合うね。
竹岡●実際、このあたりにあるタワーマンションの人たちによく売れてるらしいよ。
編集部●そういえば最近マンションのパースなんかにアウディ風のクルマが描かれることが多いなと思ってたんですよ。
九島●それはメルセデス・ベンツやBMWのキャラが“濃い”からだよ。
竹岡●アウディはいい意味で色がついてなくて、先進的でアーバンテイスト。VWほど庶民的ではないから、どこに出かけても恥ずかしくないし。それでいてちゃらちゃらしてない。
九島●アンダーステートメント(控えめ)なんですよ。そこがアウディの魅力でしょう。
編集部●さて、A4は初代モデルが1994年に登場したDセグメントのセダンで、派生モデルとしてステーションワゴンも存在します。本日試乗していただくのは2016年から日本で販売されている現行型で、5代目にあたります。
九島●先代モデルはワルター・ダ・シルバによるデザインで一気に色気が出て、日本でも人気があったね。彼が採用したシングルフレームグリルのおかげでブランドとしての価値が上がり、その後VWグループ全体を統括する立場まで出世したんだ。
竹岡●前輪の位置が前に出てFRみたいなプロポーションになって、LEDを使ったヘッドライトのポジションランプも印象的だった。そういう意味では、現行モデルはコンサバというか、正常進化であまり新しくなったように感じないよね。
編集部●じつはプラットフォームは新世代の「MLB Evo」に進化していて、パワートレインもガソリン、ディーゼルに加えてプラグインHVや電気自動車にも対応する設計になっています。
九島●B、C、DセグメントとQモデル(SUV)をカバーする設計だ。
竹岡●A4ってDセグメントのなかでもちょっと立派に見えるというかボディが大きいよね。
九島●実際大きいからね。A4はBMWでいう3と5の間で、A6は5と7の間に収まるサイズなんだ。
編集部●パワートレインですが、A4は1.4LターボのFF(150馬力)、2LターボのFF(190馬力)と4WDのクワトロ(252馬力)という3本柱。上級モデルのS4は3LV6ターボ(354馬力)でクワトロのみというラインアップです。
九島●付け加えると、2019年に電動化モデルの本格導入を見据えてグレード名を排気量ではなく、「35」や「40」、「45」といった2桁の数字に変更した。パワートレインの種類や排気量を知らなくても、直感的に車格がわかるようにしたんだ。
竹岡●今日の試乗車は1.4Lターボだから、その命名ルールに従うと「35」になるんだ。なるほど。
編集部●それでは、そろそろ試乗のほうをよろしくお願いします。


九島「1.4Lターボは十分な性能でハンドリングもスポーティ」

竹岡「上質でいて嫌みがない。それって凄いことですよね」

DETAIL CHECK

ベーシックグレードでも性能は十分コストパフォーマンスは高い

編集部●試乗から戻ってきましたので、お二人から感想を伺います。
九島●悪くないよね。今の時代にちょうどいい感じ。プレミアムセダンとしての中庸。それでいてボディには軽快さがあって、ハンドリングもよかった。
竹岡●そうだね。エンジンはパワーを感じるし、1.4Lターボでも十分に速かった。でも、乗り心地が硬い! いつもの試乗コースだったんだけど、あれっと思うところでダンパーが底突きしたり、そこがちょっと意外というか、残念だったな。
九島●後ろはどうだった?
編集部●身長180cm級の九島さんが前に座っていても、広さ的には足もとにも余裕がありました。静粛性も高いし。ただ、たしかに段差などでの突き上げは大きめに感じました。
竹岡●乗り心地に文句はあったけど、総合的な満足感は高いと思うよ。誰もが認める高級車ブランドなんだけどこれ見よがしではなくて上品。室内も十分な広さだし、バーチャルコックピットみたいな先進装備もいち早く導入しているし、安全装備も充実。人間にたとえたら、結婚相手としてぴったりのタイプ(笑)
九島●ポロシャツが似合う真面目で爽やかな理系男子って感じ。それで中古車市場はどんな感じ?
編集部●現行型にもかかわらず、初期モデルは200万円を切ってます。認定中古車でも250万円くらいで十分状態のいいものが探せます。
竹岡●そんな安いんだ。その値段だったらアリだね。周囲はもっと高いクルマだと思うはず。
九島●初期モデルであっても性能面は現行モデルと変わらないし、A4はコストパフォーマンス高いね。

デジタル化が進んだコックピット先進装備も標準装備

 8.3インチのMMIナビゲーションは標準装備。スマートフォンとの連携により車両がネットワークに接続され、ネットサービス「Audiコネクト」を通じてSOSコールやオンライン施設検索などのサービスを提供。メーターは液晶表示の「バーチャルコックピット」で、ナビ画面なども表示できる。

大柄な車体に空間効率に優れるパッケージングを採用

 前輪駆動を基本設計とし、さらに同クラスのライバルに比べて全高が大きいこともあり、室内空間はわずかながら広さを感じる。自動ブレーキなど先進安全装備「アウディプレセンス ベーシック」を全車標準装備。オプションとなるがさらなる高度な運転支援装備も選ぶことができる。

ガソリン直4ターボが主流 FFに加え4WDのクワトロも用意

 排気量を小さくする代わりにターボチャージャーによる過給効果でパフォーマンスと効率性を両立させるダウンサイジングコンセプトを採用したTFSIエンジンを搭載。1.4Lという小排気量を感じさせない伸びやかな加速と優れた静粛性は見事。トランスミッションは7速Sトロニック。

セダンであってもワゴンに近い床面積と使い勝手を提供

 ラゲッジルームの容量は、リアシートを起こした標準状態で480L、倒した状態で962L。トランクルーム内はフルトリムされており、左右の壁の凹みを利用して、ネットを使った小物入れも設置。フロアには、荷物を固定するための金具がセットされており、使い勝手にも配慮している。

試乗判定レビュー

※各項目に対して5点満点評価。 ※ナンバープレートは、はめ込み合成です。

竹岡 圭

  • 優等生ブランドのイメージが強いアウディ、しかも最量販車種となるA4は、何にでも立場を変えられるジョーカーみたいな存在。どこに乗っていっても恥ずかしくない、きちんとした人に見えるプレミアムカーなのにもかかわらず、いかにもガイシャ乗ってます的な嫌みがない。これって凄いことだと思います。いわゆる旦那さんにしたいタイプ。

  • このクラスのライバルたちが続々と世代交代するなかで、先代とあまり見た目での変化がなかったせいか、どことなく一世代前のクルマ感を覚えるのは私だけでしょうか? バーチャルコックピット等も用意されてるし、インテリアはいかにもアウディだし、質感も十分に保たれているしで、操作系が若干使いにくい以外は、不満はないんですけどね……。

  • パワートレインは文句ナシに元気いっぱい。Sトロニックの燃費のよさでロングドライブにも打ってつけ。なのですが、もしかすると個体差かもしれないのですが、今回の試乗車は足まわりのバタツキ感が気になりました。やはりアウディはクワトロモデルのほうが、個人的には好みだったりします。でも価格を考慮すると、このFFの選択肢も捨てがたい。

竹岡 圭の試乗判定(1件)
平均点 4.5
  • ポジショニング 5.0
  • 装備 4.5
  • 走り 4.0

九島辰也

  • VWグループのなかでプレミアムセグメントを担当するアウディ。その中核モデルがA4だ。つまりVWグループの技術を存分に注ぎ込んだモデルということ。スタイリングこそ控え目ではあるが、中身は時代の最先端を行く。ディーゼルゲート問題の影響でディーゼルエンジンが導入されなかったのは残念だが、ガソリンエンジンも十分な性能だ。

  • 先代モデルに対する最大の違いが装備、特に先進安全装備とインフォテインメント技術のアップデートにある。自動ブレーキを核とする先進安全装備システムである「アウディ プレセンス」はデビュー当時多くのライバルよりも充実した内容だった。中古車であっても、安全装備の内容が現行モデルと遜色ないというのはうれしいところ。

  • 試乗したのはベーシックな1.4LTFSIモデルであったが動力性能にはまったく不満なし。アクセルに対する反応もリニアだし、ハンドリングもシュア。それでいてBMWのようなスポーティさとはまた違った落ち着きのあるキャラクターがアウディらしい。排気量が小さいということは燃費性能にも期待でき、日本では毎年の自動車税も有利だ。

九島辰也の試乗判定(1件)
平均点 4.7
  • ポジショニング 5.0
  • 装備 4.5
  • 走り 4.5

グーワールド 編集部

  • ドイツ御三家という表現もされるメルセデス・ベンツ、BMW、アウディ。ライバルたちに比べてアウディは控えめで上品なデザインが特徴で、高級車を求めながらも目立つことをよしとしないユーザーからの評価を集めています。新車派のユーザーが多いため、中古車市場では値落ちが大きいのも特徴で、逆に言えばお買い得なブランドです。

  • プレミアムクラスに求められる装備や、MMIに代表される高度なインフォテインメント機能が標準で備わっているのが特徴。先進安全装備もそうで、グレードによらず高い安全性能を約束してくれるのはうれしいところ。ただ、ライバルたちがイルミネーションなど見た目品質を強化してきているため、上品さが地味に感じられることも。

  • いかにも精度の高い部品を使っているなと感じさせる滑らかな動きがアウディ車の魅力です。エンジンは1.4Lでも十分で、2Lならさらに余裕があります。今回、乗り心地面で若干気になる面があったのは、試乗車が「35TFSIスポーツ」で、スポーティサスペンションを装備していたため。乗り心地を重視するなら、試乗してたしかめたほうがよさそうです。

グーワールド 編集部の試乗判定(1件)
平均点 4.7
  • ポジショニング 5.0
  • 装備 4.5
  • 走り 4.5

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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