輸入車
更新日:2020.06.23 / 掲載日:2020.05.05

輸入車特集/我々が輸入車を選ぶこれだけの理由[輸入車ならではの魅力とは?]

VISUAL MODEL : DS 3 CROSSBACK

写真●内藤敬仁
(掲載されている内容はグーワールド本誌2020年6月号の内容です)
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。

自動車大国日本にいながら、なぜ輸入車を選ぶのか。その理由を具体例でお答えするのが今月のテーマ。最新モデル、今だからこそ乗りたい絶版中古車、そして賢く輸入車を楽しめる認定中古車まで。道具でありながら人生のパートナーにもなる、そんなクルマ選びのお手伝いをさせていただきます。

日本車ではお目にかかれないデザイン![新車ゾーン]

文●九島辰也 写真●内藤敬仁、澤田和久、ユニット・コンパス

第一印象が大切なのは人もクルマも同じ。まず、パッと見たときに「乗りたい!」、「欲しい!」と思わせてくれるのが、個性豊かな輸入車の力なのです。

個性的なデザインは輸入車の大きな魅力

 輸入車の魅力をわかりやすいところで言うと、“デザイン”がまずはあげられる。日本車とはどこか異なるその雰囲気は、まさにここからきている。ただ、一時期ユニバーサルデザインというワードが流行ったのもたしか。数年前、グローバルマーケットに受け入れられる画一的なデザイントレンドがあった。
 だが今日では違う。各ブランドがそれぞれの個性を発揮。たとえばこのDS3クロスバックはそのひとつ。5ドアハッチバックという王道的なカテゴリーにいながら独自路線を上手にアピールしている。デザインの起源になったのは1955年にリリースされ、当時ヨーロッパで凄く話題となったシトロエンDSだ。見た者に「宇宙船?」と言わせた前衛的なデザインを纏ったモデルが、このブランドのアイデンティティになる。そのまんまの名前なのだからおわかりいただけるだろう。
 もちろん、50年代のデザインを直接的に取り入れているわけではない。デザインの考え方を受け継ぐというものだ。具体的に言うならばアバンギャルド、つまり、前衛的ということ。今の時代のトレンドを追いかけるのではなく、革新的な試みをデザインで表現する。たとえばそれは抑揚のあるボンネットやヘッドライトユニット、グリルの形状だったりする。その姿はどこか妖艶で、このカテゴリーのデザインとしては目立っている。彼ら自身「モダンアートのような」とか、「メタリックな彫刻のような風貌」とか言っているものだ。クラスが2つくらい上の雰囲気がある。そしてインテリアに目を移すと、ダイヤモンド(菱形)をモチーフにしたデザインが散りばめられる。ダッシュボードセンターのスイッチやエアコン吹き出し口は印象的だし、センターコンソールのスイッチもキラキラしている。シートもそう。大胆にあしらわれた菱形のステッチはどこか妖艶だ。もはやDSのデザインモチーフはどこも真似できない世界である。
 そして、プジョーは異なる個性で彼ららしさを貫いている。スポーティが売りのプジョーはワゴンをスポーティワゴンと称し、“シューティングブレークスタイル”というキャッチコピーを生み出している。角度によってはスポーツクーペのように見えるルーフラインはかなり大胆なラインといえるだろう。ちなみに、セダンも“ファストバックスタイル”としてデザインしている。こちらもスポーティさ満載だ。
 そしてインテリアは戦闘機の操縦室といった趣。きれいにデジタル化しながら操作感にこだわっている。個人的に好きなのはドライビングポジションで、レーシーな気持ちを奮い立たせてくれる。今どきでは小さめの径のステアリングがいいし、若干見下ろす感じのメーターもいい。それに何より太いセンターコンソールで包まれるコックピット感がたまらない。これで本当にワゴン?て言葉が聞こえてきそうだ。
 ここでは2台のフランス車をサンプリングしたが、海の向こうにはまだまだ個性的なデザインのクルマが多数ある。この国で日本車はマジョリティだから希少性は感じないけど、個性的なデザインはやはり魅力的である。

Profile
自動車ジャーナリスト

九島辰也
クルマはもちろんのこと、ファッションやライフスタイルにも造詣が深い自動車ジャーナリスト。プライベートでは、各国のクルマを乗り継ぐ。

icon DS 3 クロスバック

フレンチブランドならではの洒脱なラグジュアリー感
 エッジの効いたキャラクターラインを描くことなく、抑揚のあるボディパネルで世界観をアピールするDS3クロスバック。ルーフを別の色で塗りクラシカルな雰囲気を出すことでお洒落心がくすぐられる。もちろん、走りも軽快である。

DS 3 Grand Chic(8速AT) ●全長×全幅×全高:4120×1790×1550mm ●車両重量:1280kg ●エンジン:直3DOHCターボ ●排気量:1199cc ●最高出力:130ps/5500rpm ●最大トルク:23.5kgm/1750rpm ●新車価格帯:363万6000円~416万円(全グレード)

インテリアもこのクルマの醍醐味。ほかには独特の世界には驚かされる。ラゲッジルームはご覧の広さ。開口部が大きいので実用性もある。

icon プジョー 508 SW

斬新なスタイルが視線を奪う
 プジョー508にはこのページのSWと呼ばれるスポーティワゴンとファストバックスタイルを謳うセダンがある。どちらも流れるルーフラインが特徴でスポーティさを強調。凝っているのはLEDを多用するヘッドライト。夜間はもちろんデイタイムランニングライト機能も付く。

プジョー 508 SW Allure(8速AT) ●全長×全幅×全高:4790×1860×1420mm ●車両重量:1540kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●排気量:1598cc ●最高出力:180ps/5500rpm ●最大トルク:25.5kgm/1650rpm ●新車価格帯:450万2000円~526万6000円(SW全グレード)

プジョー全車に装備される“i-Cockpit”が目印。グラフィックのきれいな8インチタッチスクリーンやトグルスイッチが彼らの世界を表現している。ワゴンのラゲッジは後席をたたむとかなり広がる。

一度乗ったら病みつきになる異次元の走り![新車ゾーン]

電気自動車といえばエコカーの代名詞。しかし輸入車は、エコでありながら走りも諦めない。たとえばジャガー Iペイスがその代表例です。

icon ジャガー Iペイス

EVであっても実用性がなくてはダメということで、ハッチを開けると広大なラゲッジスペースが現れる。ダッシュボードが未来的なのも素晴らしい。

EVでも乗り味はしっかりジャガーらしい
 ジャガーが作るEVはこういうもの!という高い志で生まれたIペイス。彼らの得意とする走りを400馬力のパワーとともに提供する。また、印象的なエクステリアは美しさだけでなく機能面も充実。空気抵抗値0.29はエアロダイナミクスを重視した結果となった。

ジャガーIペイス HSE ●全長×全幅×全高:4695×1895×1565mm ●車両重量:2230kg ●モーター最高出力:400ps/4250-5000rpm ●モーター最大トルク:71.0kgm/1000-4000rpm ●新車価格帯:976万円~1183万円(全グレード)

誰もが振り向く圧倒的な存在感![新車ゾーン]

街を走れば多くの視線が集まる圧倒的な存在感。所有することがステイタスでありプライドになるのも輸入車の魅力。

icon メルセデスAMG G 63

インテリアは今どきのメルセデス。最新のデジタル装備は外のイメージとはかけ離れる。特徴は天井高の高さ。ゴルフバッグは立てたまま4セット積める。

圧倒的な存在感を放つGクラスのAMGモデル
 2018年にフルモデルチェンジしたGクラスをベースにAMGが手掛けたのがG63。4L V8ツインターボは585馬力の走りとともにレーシーなサウンドを楽しませてくれる。2000万円を超えるプライスタグもド級。そして価格以上の存在感をアピールする。

メルセデス AMG G 63(9速AT) ●全長×全幅×全高:4665×1985×1975mm ●車両重量:2530kg ●エンジン:V8DOHCツインターボ ●排気量:3982cc ●最高出力:585ps/6000rpm ●最大トルク:86.7kgm/2500-3500rpm ●新車価格帯:2114万円

環境モデルであってもラグジュアリーさがある

 輸入車の最近のトレンドとしてあげられるのがEV(電気自動車)だろう。ジャガー Iペイス、メルセデス・ベンツEQC、それにこれからアウディeーtronやポルシェ・タイカンなどがそこに加わる。そうそう、ひと足早くテスラも上陸している。モデルSから始まったラインアップは、モデルX、モデル3と広がった。これらに共通していえるのは、プレミアムブランドのEVであること。日本にはそれより以前に、日産リーフや三菱アイミーブが登場しているが、それらはみな大衆車。機能性をメインで、ラグジュアリーさなどは取り入れていない。
 たとえば、ここでフィーチャリングするジャガーIペイスはまさにそれを両立している。フォーミュラEを走るレーシングカーと同じEV技術を用いながら、ジャガーならではの高級感を随所に散りばめている。かなりお金のかかっているシロモノだ。一見してわかるように、このクルマは専用ボディを有する。既存のプラットフォームを流用するのではなく、一から開発した。そして出来上がったのは、SUVともセダンともクーペともいえないスタイリングなのだが、そこに彼らのこだわりがある。EVであってもジャガーの走りへの追求がなされているのだ。
 具体的にはリチウムイオンバッテリーをフロアに敷き詰め低重心を実現、重心高を低くキープしたままその上に大人5名が乗れるキャビンを作った。また、タイヤを四隅に置くことで前後のオーバーハングを短くし、慣性モーメントを抑える努力もしている。これによりハンドリングがよくなるのは言わずもがな、ジャガーが誇る“ネコ脚”が再現される。
というように、EVであってもブランド特有の走りにこだわったのがこのクルマ。EVならではの加速と相まって異次元の走りを体感できる。
輸入車にはそんなトレンドとは真逆の存在もあるところがおもしろい。
 世紀をまたいでもそこにあり続けるクラシカルな装いのモデルも輸入車の魅力。たとえばGクラスと呼ばれる一連のファミリー。そもそもGクラスが生まれたのは1979年。オーストリアのグラーツにある四駆に長けたシュタイヤープフ社との協業で始まった。イメージしたのは本格的オフローダーで、オフロード走行では重要な3つのアングルを深く取れるパッケージングで設計した。なので、当初は3ドアしか存在しなかった。
 出来上がったタフネスなクルマはNATO軍に採用されるなど唯一無二のポジションを勝ち得た。軍事練習から僻地へのパトロールにまで使われた。が、堅牢だがクラシカルな構造は時代の流れに取り残されたのも事実。年々厳しくなる安全基準や環境問題に耐えられなくなり、幾度となく生産中止が囁かれていた。
 ここで取り上げているG63はその2世代目で、2018年にフルモデルチェンジしたもの。見かけはもちろん、ドアの閉まる音まで従来型をコピーしながらあらゆる基準を今日的に作り替えた。しかも最高出力はなんと585馬力というスーパーカーレベル。いやはやまさにクルマ好きのおもちゃ。こんなクルマがカタログに載るんだから、輸入車は楽しい!ね。

今もう一度乗りたい絶版輸入車 20世紀編[絶版中古車ゾーン]

文●ユニット・コンパス ※中古車参考価格はすべてグーネット2020年4月調べ。

映画で、ドラマで、街角で、いくつもの名シーンを紡いできた20世紀の名車たち。憧れの存在に、今こそチャレンジするときです!

今ならまだ間に合う!現実的セミクラのススメ

 20世紀が過ぎ去ってはや20年近くが経ちました。ローテクでも、それだからこそ個性的で味わい深かった当時の輸入車たちも、すっかりヤングクラシックの領域に。
 近年では、日本の良質な中古車を海外から買い付けにくるケースが増えています。質と価格のバランスを考えたら、日本の中古車市場は世界から見て天国のような状況なのです。
 「そのうちいつか……」なんて悠長に構えていると、いつしかクルマそのものが日本の中古車市場からなくなるか、残るは高額車両のみということだって十分考えられます。
 あなたのクルマ人生の1ページに、20世紀の名車を加えましょう。

icon ボルボ 240GLT

こんな時代だから乗りたい癒やし系
 1974年から93年まで作られたボルボの傑作ワゴン。全幅わずか1715mmというスリークなシルエットが特徴的で、乗ればそのコンパクトな感じに驚くはず。乗り味はゆったり癒やし系で、まるで薪ストーブのような心が暖まる感覚がクセになる。
中古車参考価格帯:80万円~280万円(75年~93年 全グレード)

icon ミニ クーパー

これぞ20世紀を代表する小型車
 FF小型車の基礎を作り上げた偉大なるコンパクトカー。経済危機を乗り越えるための合理的な設計でありながら、王室からセレブにまで愛される存在に。見た目は小さくても走りの資質にも優れ、世界ラリー選手権での優勝経験も。21世紀を代表する1台。
中古車参考価格帯:40万円~340万円(59年~00年 全グレード)

icon ランドローバー レンジローバー

スローな感覚が最高に贅沢
 オフロード4WDに乗用車の快適性をもたらした記念碑的なモデルであり、「砂漠のロールス・ロイス」と称されたそのコンセプトは、最新モデルにも受け継がれている。この初代モデルは、機能美の極みともいうべきシンプルでタイムレスなデザインが魅力。
中古車参考価格帯:180万円~500万円(70年~96年 全グレード)

icon アルファ ロメオ スパイダー

気分はもう映画の登場人物
 1960年代から90年代まで長く愛されたイタリアの2シーターオープン。デザインおよび製造はカロッツェリアのピニンファリーナが担当した。90年以降の最終モデルはATも用意された。ヤングクラシックとしては比較的安価で手が出しやすい。
中古車参考価格帯:120万円~230万円(68年~93年 全グレード)

icon メルセデス・ベンツ SLクラス

セミクラシック入門としてもオススメ
 メルセデスを代表する高級オープンスポーツカーがSLクラス。このR129型は20世紀最後の世代で、「最善か無か」を社是としていた時代の質実剛健な作りを味わわせてくれる。誕生から30年が経ち、価格も高騰傾向にあるため、今がチャンス。
中古車参考価格帯:120万円~370万円(89年~01年 全グレード)

icon フィアット バルケッタ

いつもの街並みが水の都に見えてくる
 1995年フィアットの小型車であるプントをベースにしたオープン2シーター。まるでボートの喫水線のようなキャラクターラインがチャーミングだ。個体によっては100万円以下で購入することも可能で、気軽に付き合えるスポーツカーだ。
中古車参考価格帯:40万円~140万円(95年~02年 全グレード)

今だからこそ乗りたいクルマ絶版輸入車 21世紀編[絶版中古車ゾーン]

MINI ロードスター

文●ユニット・コンパス ※中古車参考価格はすべてグーネット2020年4月調べ。

ブランドごとの個性が強く感じられる21世紀の絶版輸入車。ここでは中古車としても買い時を迎えたイチ押しのモデルを紹介します。

デジタル化される前の個性派を、今ねらいたい

 輸入車を選ぶ醍醐味は、国産車にはない多様性。国産車ではほとんど絶滅に近いオープンカーやスポーツカーだって、輸入車ならば選り取りみどり。サーキットに行かなくても、スポーティなクルマは運転が楽しく、毎日を刺激的に変えてくれます。
 もちろんスポーツカー以外にも乗るべき21世紀の絶版車はまだまだあります。特に近年、合理化やデジタル化が急激に進んでいることもあり、ここで紹介している個性的な輸入車たちの輝きは、これまでよりも一層強くなっています。
 電動化へと急速に向かう今は、絶版車を楽しむ最高のタイミングかもしれません。

icon MINI ロードスター

これぞゴーカートフィーリング!
 MINIの走りには「ゴーカートフィーリング」という言葉がよく使われるが、ロードスターこそ、まさにその究極。カブリオレと違って2人乗りで、フロントスクリーンはより倒されていてルーフ開閉も手動式。現行ラインアップでは存在しないピリ辛モデル。
中古車参考価格帯:140万円~215万円(12年~15年 全グレード)

icon ランドローバー ディスカバリー4

道なくき道を行く冒険者の血筋
 ランドローバーが誇る本格オフローダーの第4世代。角張って背が高い伝統的なスタイルは、このディスカバリー4が最後となる。信頼性の高さがそのまま形になったかのようなこのデザインは大きな魅力だろう。乗り味も現代的で質感も十分に高い。
中古車参考価格帯:240万円~600万円(09年~16年 全グレード)

icon ルノー ウインド

12秒で展開する屋根は一見の価値あり
 ミッドシップスポーツのようなプロポーションだが、実際にはトゥインゴをベースにしたおしゃれなクーペカブリオレ。左ハンドル+5速MTのみのため日本ではマイナーだが、12秒で開閉可能な電動回転収納式ハードトップの気持ちよさは格別だ。
中古車参考価格帯:90万円~150万円(11年~13年 全グレード)

icon プジョー RCZ

美しくも獰猛なヤングライオン
 まるでコンセプトカーがそのまま路上に飛び出したかのような斬新なスタイルを持つスポーツクーペ。1.6L直4ターボの高出力版は200馬力となかなかの実力で、ATに加えて6速MTも選択できた。意外にも荷室空間は充実していて使い勝手もいい。
中古車参考価格帯:100万円~340万円(10年~16年 全グレード)

icon シトロエン C5ツアラー

ラスト・ハイドロシトロエン
 一般的なスプリングの代わりにガスが封入されたスフェアを用いる独自のサス構造により、まるで魔法の絨毯のような乗り味を提供するハイドロ・シトロエンの最終世代。このC5はクルマとしてのパッケージングも優秀で、クルマとしての完成度も高い。
中古車参考価格帯:50万円~180万円(08年~16年 ツアラーのみ)

icon フォード マスタング コンバーチブル

アメリカの大地に思いを馳せる駿馬
 アメリカを代表するスポーツカーであるマスタング。初代モデルをオマージュしたこの第6世代は日本でも人気を博した。こちらは2009年のマイナーチェンジによって外装をマッチョ化した後期モデル。おおらかさが今の時代に心地いい。
中古車参考価格帯:130万円~340万円(06年~14年 全グレード)

購入してからが絶版車は本番です

(写真はイメージです)

 絶版輸入車と暮らすうえで絶対に疎かにしてはいけないのがメンテナンスの問題。できれば購入店が整備のできるお店であることが望ましいが、そうでない場合は信頼できるショップを探したいところ。また、安く買って修理にお金をかけるよりも、最初から程度のいいクルマを購入することをオススメしたい。

認定中古車で探す安心の輸入車[認定中古車ゾーン]

BMW 3シリーズ(先代)

文●ユニット・コンパス ※中古車参考価格は、各メーカー認定中古車検索サイト2020年4月調べ。

中古車を選ぶ際、オススメしたいのが認定中古車。ほとんどのメーカーが独自の認定中古車制度を設定し、正規販売店で取り扱いされている。

約束された品質と充実の保証制度で安心のカーライフ

 中古車選びをする際、さまざまなメーカーのクルマを横並びで比較できる一般的な中古車ショップのほか、認定中古車という選択が存在する。これは正規販売店が取り扱う中古車で、各ブランドが独自に定めた基準を満たし、さらに長期保証やアフターサービスが充実するのが長所。
 そんな認定中古車で注目したいのが、先代BMW3シリーズ。現行型が登場したことで、相場も手頃になって買いやすく、認定中古車の在庫も充実する。2020年4月現在の流通量は、およそ400台ほど。特に「320i」は物件数が充実し、200万円台前半の予算でも探せる。また3気筒ターボ「318i」などのエントリーモデルも比較的手が出しやすいのでオススメ。一方、6気筒ターボを搭載する「340i」は420万円が相場で、物件も少ない。
 なかには認定中古車の相場は高い印象を抱くひとがいるかもしれないが、最長4年間の保証が付いたり、ロードサービスを受けられるなどの安心が多いので、結果的にお得なケースが多いのだ。

認定中古車って何?

保証
 認定中古車の多くは、走行距離無制限保証が付帯する。保証期間中であれば走行距離にかかわらず無償で修理を受けられる。保証期間は1年~2年のメーカーが多い。
品質
 認定中古車として店頭に並ぶには、一定の基準をクリアすることが条件。消耗部品などが交換され、さらに納車前にはおよそ100項目の点検が行われる。
アフターサービス
 多くのメーカーに共通するのが、24時間対応のロードサービス。万一トラブルが起きてもコールセンターのスタッフが対応。またローンのプランなども豊富に用意される。

BMW Premium Selectionの場合

BMWには条件によって3つの認定中古車プログラムが存在する。なかでも、もっとも保証が充実するのがプレミアムセレクション。最長4年間の充実した保証が特徴。

保証[2年間走行距離無制限]
 プレミアムセレクションのすべてにおいて2年間の走行距離無制限保証が付帯する。さらに、2年間(1年間も可)の延長保証も有償にて可能。つまり、最大4年間の長期保証が付けられるので、長く乗り続けたい人にはぴったりの制度である。
品質[100項目に及ぶ車両チェック]
 BMW認定中古車は、品質面でもぬかりはない。エンジン、トランスミッションはもちろん、電気系統やコンピューターシステムなども詳細に点検され、その項目は100にも及ぶ。交換基準に達した部品は純正品に変えられ、ユーザーに渡る。
アフターサービス[24時間ロードサイドアシスタンス]
 万一、故障や事故などのトラブルが起きた際、24時間365日対応してくれるフリーダイヤルで相談可能。応急処理のアドバイス、出張修理、レッカーや宿泊施設の確保などを行ってくれる。保証期間中いつでもサービスを受けられるのは安心だ。

Selection-1|BMW 3シリーズ(先代)

3シリーズの室内は、グレードによって仕立てが異なる。写真はMスポーツで、スポーツシートなどスポーティな装備が充実。

2016年 BMW 340i Mスポーツ(8速AT) ●全長×全幅×全高:4645×1800×1430mm ●ホイールベース:2810mm ●トレッド前/後:1535/1550mm ●車両重量:1660kg ●エンジン:直6DOHCターボ ●排気量:2997cc ●最高出力:326ps/5500rpm ●最大トルク:45.9kgm/1380-5000rpm ●サスペンション前/後:ストラット/5リンク ●ブレーキ前後:Vディスク/Vディスク ●タイヤ前:225/45R18 後:255/40R18 ●中古車参考価格帯:280万円~400万円(15年~18年 ※セダンのみ)

  • ミドルクラスセダンにふさわしい荷室容量を誇る先代3シリーズ。シートアレンジをすることで使い方もさまざまで、利便性は高い。

  • 撮影車には19インチの専用ホイールが与えられる。フロントがダブルジョイント式ストラット、リアが5リンクサスペンションを採用。

  • 340iは、直6ターボエンジンを搭載。最高出力は326馬力に達するなど、ハイパフォーマンスモデル顔負けのスペックを誇る。

Other choice

  • BMW 1シリーズ(先代)

    リーズナブルに買うなら先代1シリーズ
     BMW認定中古車を手頃な予算で買うなら、まず検討したいのが先代1シリーズ。後輪駆動最後の世代で、コンパクトなボディと相まって走りが楽しいモデル。マイナーチェンジ前ならば100万円台の物件も存在し、もっとも買いやすい1台である。
    中古車参考価格帯:100万円~420万円(12年~19年 全グレード)

  • BMW 5シリーズ

    300万円台の物件も増えている
     2017年に登場した現行型5シリーズの認定中古車もここ最近在庫が増えている。しかも、3年落ちなら300万円台で購入可能なケースもあるので、これから注目したいモデル。3シリーズよりワンサイズ大きいボディは、極上の快適性をもたらす。
    中古車参考価格帯:340万円~700万円(17年~20年 セダンのみ)

Selection-2|メルセデス・ベンツ Cクラス ステーションワゴン

手頃なサイズのプレミアムステーションワゴン
 メルセデスの認定中古車「サーティファイドカー」は、1~2年間の走行距離無制限保証が付帯し、最大100項目にも及ぶ点検やアフターケアが充実したプログラム。そのなかでも今回注目するのが、現行型Cクラス ステーションワゴン。デビューは2014年10月で、すでに5年以上経過した。そのため認定中古車の物件も充実し、買いやすくなっている。認定中古車の相場はおよそ350万円~400万円。エンジンはガソリン、ディーゼルともに存在するが、後者は物件が少なく相場も高め。ガソリンのほうが探しやすく、特に「C 200」系のベーシックモデルがねらい目。まだまだ新しさが残る個体が多く、品質重視のひとは要注目だ。
2016年 メルセデス・ベンツ C 220 d ステーションワゴン スポーツ(9速AT) ●全長×全幅×全高:4730×1810×1450mm ●車両重量:1750kg ●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ ●排気量:2142cc ●最高出力:170ps/3000-4200rpm ●最大トルク:40.8kgm/1400-2800rpm ●中古車参考価格帯:270万円~520万円(15年~19年 ※AMGを除く)

すっきりとした内外装は現行型Cクラスの特徴で、上級のSクラスに通じるデザイン。上質なインテリアは大人4人が前後に座ってもゆとりがある。写真は2.2Lディーゼル搭載車。

Selection-3|フォルクスワーゲン ゴルフ

現行型ゴルフがそろそろ買い時
 2013年に登場した現行型ゴルフも、そろそろモデル末期。それゆえVWの認定中古車「DasWeltAuto.」でも豊富な在庫が揃う。なかには100万円以下の物件も存在するほどリーズナブルになった。買いやすいグレードは「TSIコンフォートライン」だが、相場が下がったこともあり、スポーツモデル「GTI」をねらうのも手だ。
2016年 フォルクスワーゲン ゴルフ GTI(6速AT・DSG) ●全長×全幅×全高:4275×1800×1450mm ●車両重量:1390kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●排気量:1984cc ●最高出力:220ps/4500-6200rpm ●最大トルク:35.7kgm/1500-4400rpm ●中古車参考価格帯:90万円~400万円(13年~19年 ※Rを除く)

チェック柄のシートはGTIの伝統。サイドサポート性のあるスポーツシートも、ワクワク感を高めてくれる。後席の居住性も十分で、実用的な1台だ。

Selection-4|アウディ A4

200万円台から探せるツーリングセダン
 アウディの認定中古車「アプルーブド・オートモービル・プレミアム・プラス」は初度登録から5年(新車保証含む)というロング保証が特徴。そのなかでも現行型アウディA4は物件数が充実するため、オススメしたい1台。A4の特徴はなんと言っても高品質な内外装。バーチャルコックピットをはじめ、新世代アウディに相応しい仕上がりとなっている。エンジンは1.4L直4ターボ、2L直4ターボが用意されるが、認定中古車として充実するのは後者。また、FFと4WD(クワトロ )が存在するが、物件が多いのはFFモデルで、相場も手頃。200万円~300万円の予算で手広く探せる。高年式が中心のため、低走行車が多いのも魅力である。
2016年 アウディ A4 2.0TFSIクワトロ (7速AT・Sトロニック) ●全長×全幅×全高:4735×1840×1430mm ●車両重量:1660kg ●エンジン:直4DOHCターボ●排気量:1984cc  ●最高出力:252ps/5000-6000rpm ●最大トルク:37.7kgm/1600-4500rpm ●中古車参考価格帯:220万円~590万円(16年~19年 ※セダンのみ)

ミドルクラスセダンゆえ、長距離ドライブや短期間の旅行にも応えてくれる実用性が魅力。積載量にこだわるならアバントという選択も。スポーティかつエレガンスな仕立ても注目だ。

Selection-5|ボルボ V40 クロスカントリー

運転が苦手でも楽々乗れる輸入車
 ボルボの認定中古車「ボルボセレクト」は、176項目の点検が行われ、保証も充実。なかでも注目したいモデルがV40クロスカントリーだ。全長およそ4.4mというコンパクトなサイズゆえ、運手が苦手なドライバーも安心。安全装備も充実するのも魅力である。物件数が豊富で、200万円前後の予算から探せる。
2013年 ボルボ V40 クロスカントリー T5 AWD(6速AT) ●全長×全幅×全高:4370×1800×1470mm ●車両重量:1580kg ●エンジン:直5DOHCターボ ●排気量:1983cc  ●最高出力:213ps/6000rpm ●最大トルク:30.6kgm/2700-5000rpm ●中古車参考価格帯:170万円~400万円(14年~19年 ※全グレード)

Selection-6|ジャガー Fペイス

スポーツカーのような走りが楽しめるSUV
 走行距離無制限の2年間保証が付帯する「ジャガー・アプルーブド」。納車前の点検は165項目にも及んでおり、品質は折り紙つき。とくにSUVのFペイスは人気モデルで物件数が多い。登場からそれほど時間が経っていないため相場が高めだが、400万円台の物件も存在するからじっくり探したい。
2016年 ジャガー Fペイス 20d プレステージ(8速AT) ●全長×全幅×全高:4740×1935×1665mm ●車両重量:1920kg ●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ ●排気量:1999cc ●最高出力:180ps/4000rpm ●最大トルク:43.9kgm/1750-2500rpm ●中古車参考価格帯:420万円~1120万円(17年~18年 ※全グレード)

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

グーネットマガジン編集部

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ