輸入車
更新日:2021.02.04 / 掲載日:2021.02.04

輸入車特集/新車? 中古車? 絶版車? 賢く輸入車に乗ろう!

VISUAL MODEL : PEUGEOT 208

写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2021年3月号の内容です)
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。

輸入車に乗るのは賢い選択だ。新車か、中古車か、絶版車は問わず、いずれにせよ正解だ。その理由を端的に説明するのなら、人生が豊かになるから。これは間違いない。新型コロナに限らず、我々の人生は思わぬ要素によって否応なしに左右される。だからこそ、自分のライフスタイルにまつわるもの、特にクルマのように数年一緒に生活を共にする存在については、好きなものを選ぶことが唯一の正解なのだ。もちろん、選ぶクルマ、買い方によって多少の損得はあるかもしれない。でも、好きなクルマに乗らなかった人生から比べれば、そんなの計算にもならない。だからこそ、いま輸入車に乗るべきなのだ。

[注目の新車シリーズ その1]もはやエントリーモデルとは言えない、言わせない!/積極的に選びたい仏蘭西製コンパクトハッチ

文●石井昌道 写真●ユニット・コンパス
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。


高価なイメージのある輸入車において、お値段以上に存在感のある小型車は絶好の選択肢。小粋な小型車を作らせたら右に出る者がいないフランスから、新型モデルをご紹介しよう。

2020年は小型車の当たり年だった

 2020年を振り返ると、2月にトヨタ・ヤリスとホンダ・フィットが相次いで発売され、今年はBセグメントイヤーだなということを印象付けた。「安くて便利」ということに重きがおかれるBセグだが、この2台はそれ以外の付加価値があって従来よりも魅力を大いに高めている。その理由を探るべく開発陣に取材してわかったことがある。フィットは歴代で初めてフランス車のシトロエンC3をベンチマークにしたと明言、ヤリスもプジョーやルノーを大いに参考にしたと語っていたことだ。
 日本の自動車メーカーがベンチマークとするのはドイツ車が大半だが、Bセグメントを最も得意とするのはフランス車であり、日本の道路事情・速度域はドイツよりもフランスに近い。そして、日本やドイツのように機械工学至上主義ではなく、もっと人間寄りのカルチャー&アート的なものを大切にするフランスには見習うべきところが多く、だからこそヤリスとフィットの新型がこれまでになく輝いたのだろう。
 前置きが長くなったが、そんなお手本の代表格であるプジョー208とルノー・ルーテシアの新型が、2020年に相次いで日本上陸。まさにBセグイヤーとなったわけだが、両車とも新規プラットフォームで仕立てられたため、さらに高みにのぼっていることを思い知らされた。
 高価なドイツ車は、贅沢にコストをかけているから優れているのは当たり前だという感覚があるが、フレンチBセグカーは、日本車と同程度のコストで飛び道具などを使えるはずもないのに高度。特にシャシー性能では圧倒的な優位性がある。フランスの都市部は今でも石畳が多く、農業国でもあるからラフロードも多い。長いバカンスを楽しむ文化ゆえ、高速ロングドライブも重要。おのずとロバストネスが求められるわけで、サスペンションやタイヤ、シートなどが磨き上げられる。
 両車ともそういった美点を持ち、しかも新世代プラットフォームならではの高度な走りだが、208は軽快でスポーティなのが持ち味。市販車ではミニマムと思われる小径ステアリングをわずかに動かしただけで、機敏にノーズがインを向くのが痛快だ。これは先代から引き継がれているが、時と場合によっては、ノーズが動きすぎてしまうような違和感がほぼ払拭されたところに、新型なりの進化を感じる。高速道路での直進性も良好で、コーナーではあれほど機敏だったのに、どっしりと落ち着いていて安心感があるのだ。エンジンは直列3気筒だが気になる振動はほとんど感じられず、1.2Lのわりには実用域のトルクが充実していて驚くほど乗りやすい。
 ルーテシアは直列4気筒の1.4Lゆえにトルキー。比較的に余裕があるため、セグメントを超えた落ち着いた走りが味わえる。シャシーも十分にスポーティだが、軽快というよりは重厚・上質といった雰囲気があり、大いに質感を高めたインテリアも含めダウンサイザー需要に対しても満足度が高い仕上がりとなっている。
 フレンチBセグカーの実力は侮れない。輸入車にしては手頃な価格だけが魅力ではなく、高度なシャシー性能に酔いしれることができるのだ。

Profile
自動車ジャーナリスト

石井昌道
内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)自動運転にも参加する自動車ジャーナリスト。幅広い視野と知見で自動車業界の今を的確にレポートする。

プジョー 208

2020年 プジョー 208 GTライン(8速AT) ●全長×全幅×全高:4095×1745×1465mm ●ホイールベース:2540mm ●車両重量:1170kg ●エンジン:直3DOHCターボ ●排気量:1199cc ●最高出力:100ps/5500rpm ●最大トルク:20.9kgm/1750rpm ●新車価格帯:239万9000円~423万円(208全グレード)

小径ステアリングをメーター下に配置する独創的なコックピットを先代から受け継ぎつつ、さらに進化させた。先進的なデザインも魅力がある。

  • 「GTライン」のシート表皮にはアルカンターラを採用。細部にまでこだわった造形と色使いは魅力的だ。

  • 最新のエミッションに適合する1.2L直列3気筒ターボ。トランスミッションは8速ATを採用する。

ルノー ルーテシア

2020年 ルノー ルーテシア インテンス(7速AT・EDC) ●全長×全幅×全高:4075×1725×1470mm ●ホイールベース:2585mm ●車両重量:1200kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●排気量:1333cc ●最高出力:131ps/5000rpm ●最大トルク:24.5kgm/1600rpm ●新車価格帯:236万9000円~276万9000円(ルーテシア全グレード)

  • タッチ操作対応のカラー液晶を備えるインフォテインメントシステムは、スマホとも連携。インテリア全体の質感は先代から大きく改善された。

  • ダッシュボードなどの形状を最適化することで、車両を小型化しながらも室内には十分な空間を確保。

  • ACC、衝突被害軽減ブレーキ、バックカメラを標準装備と、装備についてもドイツ勢に負けない充実度。

  • 1.3L直4ターボは最高出力131馬力を発揮。スポーティな走りにも応えられる能力を備えている。また、静粛性も高く、上質さがある。

[注目の新車シリーズ その2]しっかりした作り込みで国産勢も真っ青!/コンパクトSUVも輸入車でキマリ!

文●石井昌道 写真●ユニット・コンパス
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。


ここ数年で実用車の本流となったコンパクトSUV。輸入車からも続々と魅力的なニューモデルが登場してきている。

ボディが小さいからこそ個性が色濃く感じられる

 SUVのいいところは、セダンやハッチバックでは厳然と存在していた、大きさや車格のヒエラルキーから脱することができることにもある。それがより個性的ならば、たとえ小さくたって輝きが大いに増す。そう考えると、輸入コンパクトSUVはリーズナブルで賢い選択肢なのだ。
 Volks(=国民)、Wagen(=クルマ)、つまり国民車という意味合いのフォルクスワーゲンは、数年前に大きな問題を起こしたとはいえ、基本はユーザーに寄り添う良心的なクルマづくりが身上。ドイツが得意なプレミアムブランドほど高価ではないが、それに近い上質感をリーズナブルに提供されるのが大いなる魅力だ。ただその分、キラキラとした豪華さはなく実直で、遊び心的なものはいまひとつというのがこれまでの相場だったが、Tクロスはちょっと様子が違う。フォルムこそスクエアだが、ドアミラー、ホイール、ダッシュボード、シートに3つのカラーコンビネーションを用意。差し色のコスメティックで気分をアゲてくれる。ラテン系ほどデザインコンシャスではないものの、真面目だけれど遊び心もあるというほどよさは、多くの人に受け入れられそうだ。
 ポロやゴルフと同様のMQBプラットフォームを採用しているということは、走りの実力に太鼓判を押されたようなもの。実際にステアリングを握ってみれば、その期待に応えてくれる。がっちりとしたボディの剛性感とタフなサスペンションは、速度を高めていくほどに頼もしい。その反面、乗り心地はやや硬めだが、速度無制限区間がいまだに存在するドイツ生まれ特有の味わいでもある。エンジンは1Lターボと排気量は小さめだが、低回転域のトルクは充実していて街乗りでは2000回転前後でほぼ事足りてしまう。絶対的なパワーはそれなりだが、日常で不満を抱くことはほとんどないだろう。
 ジープといえばラングラーの人気は日本でも高く、宣伝なんかしなくたって指名買いで輸入した分は端から売れていくほど。だが、本物のオフローダーゆえにオンロードでの乗り心地はそれなり。カタチや雰囲気に強く惹かれたなら、そこを飲み込んでも余りある魅力はあるが、もっとカジュアルにジープと付き合いたいという人にオススメなのがレネゲードだ。丸目2灯のヘッドランプと7スロットのグリルで構成される、ジープならではのフロントマスクなどのデザインテイストをコンパクトなクロスオーバーSUVで表現。そのデフォルメ的な味わいがなんとも可愛らしい。ラングラーと違ってモノコック構造だから、街中や高速道路などでは快適で扱いやすく、気軽に付き合えるのが魅力だ。
 エンジンは1.3Lターボで151馬力と179馬力のパワー違いが用意され、プラグイン・ハイブリッドも日本導入となった。こちらは191馬力と239馬力の2種類で、約500万円というのは輸入プラグイン・ハイブリッドとしては安価。ジープの伝統をカジュアルに取り入れ、それを未来的パワートレインと組み合わせるというのが興味深い。
 Tクロスとラングラー。なりは小さくてもワクワクが止まらないという意味では大物の2台なのだ。

フォルクスワーゲン Tクロス

2020年 フォルクスワーゲン Tクロス TSI 1st(7速AT・DSG) ●全長×全幅×全高:4115×1760×1580mm ●ホイールベース:2550mm ●車両重量:1270kg ●エンジン:直3DOHCターボ ●排気量:999cc ●最高出力:116ps/5000-5500rpm ●最大トルク:20.4kgm/2000-3500rpm ●新車価格帯:301万9000円~337万9000円(Tクロス全グレード)

スクエアなスタイルのおかげで、全長は短くとも威風堂々としたたたずまいを実現させた。グレード構成は、「TSI 1st」のほか、装備充実版の「TSI 1stプラス」を用意。

理路整然としたロジカルなドイツ的クルマづくりに、ちょっと遊び心を加えたのがTクロス。常時接続式インフォテインメントも採用している。

  • アップライトな着座姿勢によって、全長わずか4.1mにもかかわらず、大人4人が座れる室内空間を確保。リアシートは前後に140mmスライド可能となっている。

  • ラゲッジ容量は385L~455L(後席を前方までスライドさせた状態)。後席(4対6分割可倒式)を倒すことで、最大で1281Lまで拡大する。

ジープ レネゲード 4XE

2020年 ジープ レネゲード トレイルホーク 4XE(6速AT) ●全長×全幅×全高:4255×1805×1725mm ●ホイールベース:2570mm ●車両重量:1860kg ●エンジン:直4マルチエアターボ ●排気量:1331cc ●最高出力:179ps/5750rpm ●最大トルク:27.5kgm/1850rpm ●新車価格帯:498万円~503万円(レネゲード 4XEのみ)

抜群の悪路走破性をシリーズの伝統として受け継ぎながら、電動化によってEV走行まで可能としたレネゲード 4XE。新しいジープの誕生である。

バッテリーを車体下部の中央付近に配置することで、室内空間への影響はほとんど感じることがない。現時点では200V普通充電のみに対応している。

エンジン+モーターで前輪を駆動し、必要に応じてリアモーターが後輪にトラクションをかける電気4WD。最大48kmのEV走行も実現している。

単なるエントリーに終わらないハイバリューモデル「BMW 318i」

 489万円という500万円を切るプライスにもかかわらず、3眼カメラによる高速でのハンズ・オフ運転など、最新モデルならではの魅力をしっかりと受け継いでいる318iは、隠れた名グレード。パワーこそ320iよりもダウンされているが、軽快感のある走りには独自の魅力がある。

まだ間に合う!? 絶版名車は値上がり前に手に入れるべし

文と写真●ユニット・コンパス
コロナ禍で先行き不安な状況が続くが、こと絶版名車については、そんなことを言っていると二度と手に入らないケースも。値上がりを必須と考え、早めの行動が必要だ。

絶版名車は今後値上がり間違いなし

 かつて憧れていた輸入車を購入したいと中古車相場を見たら、価格の高騰ぶりに驚いてしまったという経験をしたことはないだろうか。
 本格的なクラシックカーはもちろんのこと、一時代を築いたスポーツカーや高級車が、ときに新車価格に迫るプライスタグをつけて販売されている状況がめずらしくない。
 その理由は、日本の中古車が世界に発見されてしまったから。もともと、海外の中古車市場価格は、日本のそれに比べて高かったが、それでも輸送費などが壁となって海外流出は免れていた。しかしここ10年でインフレ率の違いによる内外の通貨価値が大きく変動。結果として、世界の先進国から見て日本は「お得」な国になってしまった。コロナ禍前のインバウンド需要を思い出せば、肌感覚として納得できるだろう。
 海外のバイヤーから、高品質な中古車をお得に購入できる日本の中古車市場は宝の山。「もう少し価格が落ち着いてから」、「いつか余裕があるときに」という考えでいたら、絶版名車は海外のマニアたちに購入され、二度と手に入らない価格帯になってしまうだろう。
 まだ手の届く価格で販売されているうちが購入タイミング。もし今気になる絶版名車があるなら、真剣に購入を検討すべきだろう。

2019年秋のドイツ メルセデス・ベンツ博物館では、R129型SLクラスの誕生30周年を記念したミーティングが開催されていた。併設の販売店では、日本円換算で700万円超のプライスがついていた。

ここで挙げた車種は、まだプレミア価格手前で購入できる絶版名車だ。10年前には当たり前に買えた「普通の中古輸入車」が、気が付けば手の出ない価格となるのは本当だ。

初回支払い3ヶ月据え置きの「スキップローン」/ヒットの陰に買い方の提案あり

文●ユニット・コンパス 写真●ジープ、フィアット、アバルト、アルファロメオ
2020年は新型コロナの影響で、販売台数が伸び悩んだ輸入車マーケット。そんな状況において、FCAジャパンは積極的な施策を打ち出し、前年比プラスとなった。

先行き不安な状況を買い方の提案で払拭

 FCAジャパンが取り扱うジープ、フィアット、アバルト、アルファロメオの4ブランドすべてが、2020年10月、11月と2ヶ月連続で過去最高の販売台数を記録した。マーケット全体では対前年比でマイナス15%に止まるなかでのこの結果は驚きに値する。好調の要因としては、新グレードの投入に加えて購入サポートプランの「スキップローン」も大きく影響していると考えられる。
 「スキップローン」とは、3年~5年の据置型ローンを対象に支払いの開始時期を3ヶ月先送りできるというもの。その間の金利手数料は不要となっているため、ユーザーとしては手元に現金を残しておけるメリットがある。先行きが不透明な現代のユーザーニーズを捉えたプランだ。
 さらにジープブランドでは、3年間のメンテナンスプログラム「ジープウェイブ」も標準化。こうした努力が数字として表れたというわけだ。

  • 2020年11月の販売台数は1272台と対前年比128%を記録したジープ。ラングラー、レネゲード、グランドチェロキーが売れ筋。

  • 2020年11月の対前年比が136%(495台)と大健闘したフィアット。パンダ4×4と500/500Cの限定車が好調を支える要因となった。

  • アバルトは、2020年1月から11月までの期間で対前年比98%と、新型コロナの影響を感じさせない売れ行きを記録し、底力を見せた。

  • アルファロメオは、ジュリアとステルヴィオに新たに導入した新グレード「スプリント」が好調で、対前年比145%(224台)を記録。

「輸入車が壊れる」は時代遅れ!? データで見る品質改善の現実

文と写真●ユニット・コンパス

日本車に比べて、価格と品質のバランスで劣ると言われてきた輸入車たち。だが、近年ではメーカーの努力によってその実態は大きく変わろうとしている。

世界的な調査会社が品質調査の結果を公開

 輸入車の個性や性能に憧れつつも、故障のリスクから購入に二の足を踏んでいるユーザーはいまだに多い。耐久性を重視し、日本で開発された日本車が壊れにくいというのは間違った知識ではないが、「輸入車が壊れやすい」というのは、現代の知識として正しいとは言い難い。
 たとえばこんなエピソードがある。トヨタが発売した新型スープラはBMWとの共同開発で、車両開発を主導したのはBMWだ。そこでトヨタは、品質テストを行ったが、結果としては自社基準と遜色ないデータが得られたという。
 現代の自動車開発はグローバル化が進み、使われる部品も国際的な企業が手掛けていることが多い。もはやクルマを「国」という単位で考えることに、あまり意味がなくなってきているのだ。
 それを裏付けるようなデータも出ている。顧客満足度を専門に扱う調査会社であるJ.D.パワーが発表した「2020年日本自動車初期品質調査」によると、総合不具合指摘件数は、業界平均60PP(100台あたり平均60件の不具合指摘)となり、2014年の調査に比べて24ポイント改善、2019年調査と比べても6ポイント改善しているという。これは、純粋な故障だけでなく、使いにくいさ、不快な臭いなども不具合に含まれるが、品質が年々高まっていることが見て取れる。
 調査対象となった輸入車ブランドのなかで、2014年のデータから大きく改善を見せているのが、MINI(69ポイント減)とボルボ(56ポイント減)。世界のマーケットで最もユーザーの目が厳しいと言われている日本においても、この2ブランドは評価が高く、その結果が販売台数ランキングに反映されているのも興味深いところだ。

特に大きく品質を改善したブランドはMINIとボルボ

  • 2001年のデビュー当初は、若々しくキャッチーなブランドイメージを訴求していたが、現行世代では価値観を修正し、大人が楽しめるコンパクトカーとなった。ユーザーからの評価も高い。

  • 2014年にSPAプラットフォームを採用したXC90を登場させてから、品質向上が著しいボルボ。写真は中核車種のXC60で、ブランドのベストセラーモデル。

タイヤ交換は維持費節約の重要タイミング

文と写真●ユニット・コンパス

タイヤ交換にかかる費用は、維持費のなかでも大きい。そこで見直してもらいたいのが、タイヤの買い方。ケースによっては従来の半額も決して夢ではない。

安心と簡単を選ぶかコスト削減を優先するか

 タイヤは、クルマの消耗品で最も高価なもののひとつ。特に最近のクルマは18インチ以上の大きなホイールを履かせていることが多く、それも交換費用が高くなる要因だ。
 では、どうすれば交換費用を節約できるのか。最も確実で大きく節約できるのが、タイヤを通信販売で購入し、持ち込みで交換作業を依頼すること。ケースにもよるが、半額程度にまで費用を節約することも決して難しい話ではない。
 とはいえ、誰にでも通信販売&持ち込み交換をオススメすることもできない。なぜならば、ユーザー側にもそれなりの知識が必要で、手間隙もかかるからだ。そこで、代表的なタイヤの買い方のメリット・デメリットをまとめてみたので、自分に合った購入方法を、いま一度検討してみてはいかがだろうか。
 タイヤ交換で重要なのは、サイズや荷重指数を揃えることに加えて、クルマの性能に見合った銘柄を選ぶこと。予想外にいい方向に転べばいいが、マッチングの悪いタイヤを選んでしまうと、数年にわたって嫌な気持ちを引きずってしまうからだ。数万円をケチってそれでは、輸入車に乗る意味がないというものだ。

  • 自動車メーカーが車種専用で開発した専用タイヤは、高額ではあるが、車両の持つポテンシャルを最も高く発揮してくれる。

  • スタッドレスタイヤから夏タイヤの履き替え時にタイヤを新調するケースは多い。事前に方針を決めておけば、無駄がない。

「タイヤの買い方」それぞれのメリット・デメリット

ディーラー[メリット]

 その車種に合わせて開発された専用タイヤを購入できる。ユーザーに特別な知識や経験は必要なく、安心してタイヤを交換できる。

ディーラー[デメリット]

 基本的に、ほかの買い方に比べると支払い金額は最も高くなる。商品のストックがない場合もあり、急な対応は難しいケースも。

カー用品店[メリット]

 複数のタイヤブランドから銘柄をユーザーが選択できる。ホイールとのセット販売による値引きなど、経済的なメリットも大きい。

カー用品店[デメリット]

 接客してくれるスタッフによって商品知識に違いがある。必ずしも自分のライフスタイルやクルマに合った提案があるとは限らない。

タイヤ専門店[メリット]

 メーカー直営のタイヤ専門店なら、正しい商品知識を持った販売店のサポートが受けられる。スタッドレス保管サービスなども実施。

タイヤ専門店[デメリット]

 メーカー直営店の場合、基本的にはそのメーカーの商品しか購入できない。カー用品店やネットに比べると商品価格は高い傾向にある。

通信販売&持ち込み交換[メリット]

 価格で比べると圧倒的に有利。タイヤにもよるが、ディーラー交換の半額で済むことも。複数の銘柄から自由に選べるのもメリット。

通信販売&持ち込み交換[デメリット]

 ユーザー側にある程度の知識と経験が求められる。間違えたサイズを購入しても指摘やサポートを受けられない。持ち込む手間もかかる。

150万円以下で買える輸入車定番モデル

文●ユニット・コンパス
※中古車参考価格、物件相場はグーネット2021年1月調べ。 ※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。


今回は150万円以下の予算で、外さない鉄板チョイスをご紹介。数あるクルマのなかでも、これを選べば安心だ。

輸入車選び定番中の定番チョイス[GOLF×MINI]

[フォルクスワーゲン ゴルフ]日本でも広い層に親しまれる世界的な国民車

 次世代のゴルフがすでに世界でお披露目され、日本デビューは待たれる状況。そのため現行型の相場は下がり、まさに今が旬のモデルといえよう。登場は2013年だが、2017年にマイナーチェンジを受けて「トラフィックアシスト」などの運転支援システムが導入された。150万円以下の予算で考えると、ターゲットは2017年式以前の前期型。グレードは、相場が高めの「TSIハイライン」または装備と価格のバランスがよい「TSIコンフォートライン」がねらい目となるだろう。
中古車参考価格帯:70万円~330万円(13年~20年 GTIとRを除く)

ハイラインはレザーシートを採用するなど、上級モデルは高級車顔負けの品質を誇る。使い勝手のよさも光る。

パワートレインは1.2Lターボ(トレンドライン&コンフォートライン)、1.4Lターボ(ハイライン)が基本。低排気量ターボながらも、出力およびトルクは十分で使いやすい。

[フォルクスワーゲン ゴルフ GTI]ちょっと背伸びして「GTI」という選択肢も

 150万円以内の予算でも、スポーツモデルの「GTI」がギリギリ購入できる。ただし、走行距離は5万km以上の物件となるが、背伸びして探すのもあり。2Lターボを搭載し、ダイレクトなドライブフィールは数多くのファンを沸かせた。
中古車参考価格帯:130万円~400万円(13年~20年 GTIのみ)

チェック柄のシートがGTIの伝統。サイドサポート性にも優れ、スポーツドライブも許容する。室内はブラックで統一され、カッチリとした走りでも疲れにくいのが◎。

[フォルクスワーゲン ゴルフ(先代)]先代ゴルフならさらに低予算でOK

 2009年に登場した先代ゴルフは、現在非常にリーズナブルな価格で販売されている。150万円の予算があれば、「GTI」を含めたほとんどのモデルが購入可能。高性能版「R」も、150万円で手が届く場合もある。予算重視ならこちらを選ぼう。
中古車参考価格帯:20万円~130万円(09年~13年 Rを除く)

質実剛健なつくりは、先代モデルでも変わらず。取り扱い説明書を熟読しなくても、直感的にわかるスイッチ類など、人間工学を研究したつくりがなされているのがわかる。

[MINI 3ドア]100万円以下の物件も増えた現行型MINI

 現行型のMINI3ドアは、デビュー当初から人気が高く、中古車相場がなかなか下がらなかった。しかし、150万円の予算があれば射程圏内。ガソリン、ディーゼルともにグレードは豊富にあるが、予算内だと「ワン」または「クーパー」が買いやすい。ディーゼルの「クーパーD」は、150万円だと物件選択の幅が限られてくる。BMW製のMINIは初代からスポーティな走りがウリだが、3代目もその方向性は変わらない。また3ペダルMTが選べるのも、スポーツハッチ好きの注目を集めている。
中古車参考価格帯:100万円~400万円(14年~20年 JCWを除く)

初代から共通の雰囲気のデザインを持つMINIのインテリア。3ドアだが、リアシートもそれなりの居住性を持つ。適度にタイトな室内はスポーティ。

ガソリン&ディーゼルともに1.5L~2Lのターボが横置き搭載される。車両重量が軽いため、低排気量でもパンチのある走りを堪能できる。MTが選べるのも美点。

[MINI 5ドア]150万円以内でも5ドアはギリギリねらえる

 現行型MINIの5ドアは、美しいルックスと高い実用性から中古車市場での人気株。しかし、相場は3ドアよりもやや高め。150万円以下の予算でも購入できるが、その数はそれほど多くない。5年落ち&走行距離5万kmが条件の目安だろう。
中古車参考価格帯:130万円~400万円(14年~20年 全グレード)

リアシートにすぐアクセスできるため、クロスオーバー同様に人気の高いボディタイプとなった。車高が低いため、走りは3ドアに匹敵。まさにいいとこどりの1台だ。

[MINI クロスオーバー(先代)]高い実用性が自慢の4ドアクロスオーバー

 4ドアボディにより、ファミリー層にもヒットしたMINIクロスオーバー。先代モデルは相場が下がり、100万円以下の物件も少なくない。ガソリン、ディーゼルともに選べるが、物件数が多いのは前者。特に「クーパー」は価格が安くねらい目だ。
中古車参考価格帯:80万円~260万円(11年~17年 JCWを除く)

広い室内ゆえ、ファミリーカーにぴったりなのがクロスオーバー。MINI独自に開発された4WDも選べるため、レジャーを含めあらゆるシーンで活躍できる。

プレミアムブランドでも150万円以下で乗れる!?

[BMW 3シリーズ(先代)]プレミアムブランドの鉄板チョイスも150万円以下

 プレミアムブランドのなかでも人気が高いのがBMW3シリーズ。2012年に登場した先代モデルも、150万円の予算があればターゲット圏内となる。ただし高年式の平均価格はまだまだ高価なので、ターゲットは2012年~2015年式までの前期型。100万円前後の物件が存在し、この価格帯の走行距離はおよそ5万km。グレードは「320i」が物件豊富で安いが、ここ最近はディーゼルエンジン搭載車「320d」も手頃な価格で販売されている。
中古車参考価格帯:90万円~400万円(12年~19年 セダンのみ)

ドライバーズ・ファーストなインテリア。ステアリングを握る楽しさが詰まった1台だ。後席も十分広く快適である。

[メルセデス・ベンツ Aクラス(先代)]軽快な走りを手に入れた先代Aクラス

 2012年に登場した先代Aクラスは、それ以前のAクラスから一転し、車高を下げた一般的なハッチバックとなった。そのおかげでスポーティな走りを手に入れ、若年層にも魅力をアピール。新車販売も好調で、中古車市場には数多くの物件が流通する。年々相場が下がり、現在の平均価格は200万円を下まわる。150万円以内の予算で買えるのは主に2015年式以前のモデル。グレードは装備充実の「A180スポーツ」がターゲット。
中古車参考価格帯:80万円~330万円(12年~18年 AMG除く)

ワクワクするようなスポーティなインテリアが見どころ。「スポーツ」には車速感応式パラメーターステアリングが付く。

[アウディ A1 スポーツバック(先代)]低価格で乗れるプレミアムコンパクト

 デビュー当初は高額なモデルだったが、フルモデルチェンジにより手頃な価格となった先代アウディA1。3ドアと5ドア(スポーツバック)が存在するが、物件数が多いのは後者。150万円以内の予算で探せるのは、2012年~2014年式。グレードは走りにゆとりがあり物件数も豊富な「1.4TFSI」がオススメしたい。
中古車参考価格帯:70万円~240万円(12年~19年 全グレード)

アウディらしい質実剛健なインパネまわり。スポーツバックなら後席へのアクセスも良好なので、ファミリーでも安心。プレミアムブランドらしい質感の高さにも注目。

[ボルボ V60(先代)]先代V60なら50万円台!? 買い時到来のスポーツワゴン

 2011年にデビューした先代ボルボV60。登場から約10年が経過しており、ミドルクラスのプレミアムワゴンながら100万円台以下の物件が非常に豊富である。2014年モデルではマイナーチェンジを受け、外観を大幅リニューアル。「インテリセーフ10」が標準装備となる2015年式以降がオススメ。グレードは価格重視なら「T4」がねらい目だ。
中古車参考価格帯:50万円~370万円(11年~19年 全グレード)

明るく、開放感のある室内。クセのないインパネまわりや座り心地のよいシートは、ロングドライブにぴったり。後席は大人が長時間乗っても耐えうる快適性を誇る。

150万円以下でも自分流のクルマ探しが可能

 150万円だと、クルマ選びの幅が狭くなるのでは? そんな風に考える人が多いかもしれないが、そんなことはない。150万円あれば、輸入車でも個性派モデルを豊富に選ぶことが可能だ。特に注目なのが、イタリア、フランス系のコンパクトモデル。低価格の物件が豊富に揃っている。

[フィアット 500C]イタリア製の小型オープンカー

 2009年に登場したフィアット500のオープンモデル。ピラー部を残し、ルーフからリアウインドウが折りたたまれる仕組み。気軽にオープンエアを楽しめるクルマである。現在は100万円以下の物件も多く、状態のよい個体も手に入りやすい。
中古車参考価格帯:60万円~270万円(09年~20年 全グレード)

インテリアはハッチバックの500と共通のデザイン。インパネには2ペダルMTのデュアロジックのシフトレバーが備わる。リアシートは狭く、エマージェンシー用だ。

[プジョー 208(先代)]コスパの高いコンパクト

 高剛性なボディと足まわりで、硬派な走りを持つのが先代プジョー208。新型が登場したことで、現在相場がグンと下がった。50万円前後の予算から探せることに加え、物件数も豊富。「GTi」は100万円台前半から購入できることも覚えておこう。
中古車参考価格帯:40万円~240万円(12年~20年 全グレード)

乗ったらすぐにわかる剛性感は、プジョーのクルマづくりの進化を感じさせる。室内デザインも硬派な印象で、前後には大人がしっかり座れるスペースが確保される。

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グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

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誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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