新車試乗レポート[2020.05.08 UP]

HONDA「S660モデューロX」魅力再検証

「上質でしなやかな走り」を目指して開発されているコンプリートモデルのModulo X。 今回は2020年1月のマイナーモデルチェンジでブラッシュアップしたS660 Modulo Xをワインディングに持ち込んで、その深化を確かめてみた。
●文/工藤貴宏 ●写真/奥隅圭之

この記事の目次

ホンダアクセスの走りのスピリットが込められた
後輪が大地を蹴りながら、加速していく絶妙なバランス

ホンダアクセスの走りのスピリットが込められた

●S660 Modulo X 車両本体価格:304万2600円(6MT / CVT+パドルシフト)

●S660 Modulo X(6MT)主要諸元
全長×全幅×全高:3395×1475×1180mm、ホイールベース:2285mm、トレッド前/後:1300/1275mm、最低地上高:125mm、乗車定員:2名、車両重量:830kg、パワートレーン:658cc直3DOHCターボ(最高出力64PS/6000rpm・最大トルク10.6kg・m/2600rpm、最小回転半径:4.8m、サスペンション前/後:マクファーソン式、ブレーキ前/後:ディスク、タイヤサイズ前・後:165/55R15・195/45R16
●S660 Modulo X(6MT)主要装備
運転席用&助手席用i-SRSエアバッグシステム、i-サイドエアバッグシステム、シティーブレーキアクティブシステム(低速域衝突軽減ブレーキ+誤発進抑制機能)、クルーズコントロール、ミッドモード付フルオート・エアコンディショナー、運転席&助手席シートヒーター、専用スポーツレザーシート(本革×ラックス スェード/ボルドーレッド×ブラック/Modulo Xロゴ入り)、専用アルカンターラ×本革巻ステアリングホイール(ボルドーレッド×ブラック)、専用Modulo Xロゴ入りメーター 、専用Modulo Xロゴ入りアルミ製コンソールプレート、チタン製シフトノブ×アルカンターラシフトブーツ〈グレーステッチ〉、専用アルカンターラ×本革製サイドブレーキカバー(ボルドーレッド×ブラック)、専用インパネソフトパッド(ボルドーレッド)、専用フロアカーペットマット(デザインタイプ/ボルドーレッド×ブラック/Modulo Xアルミ製エンブレム付)、グリル一体型専用フロントバンパー 、専用LEDフォグライト、専用カラードドアミラー(ブラック)、ロールトップ(ボルドーレッド)、専用アクティブスポイラー(ガーニーフラップ付)、リアロアバンパー、専用リアエンブレム、15インチ アルミホイール(フロント)〈ブラックスパッタリング仕上げ〉、16インチ アルミホイール(リア)〈ブラックスパッタリング仕上げ〉、専用サスペンション(5段階減衰力調整機構付)、ディスクローター ドリルドタイプ 、スポーツブレーキパッド


 いつまでも走り続けたい。曲がっていたい。ハンドルを切りたい。ワインディングを走って、あまりの気持ちよさに、クルマを降りたくなくなった。試乗が終わっても、いつまでも乗り続けたいと思わせるほどの走りの気持ちよさ。「S660モデューロX」はそんな魅力を秘めているスポーツカーだ。
 ホンダS660をベースに開発され、S660の組み立てラインで製造時に専用のカスタマイズパーツを装着し、ディーラーで販売するコンプリートカーである。
 興味深いのは、装着されているアイテムがホンダではなく、ホンダアクセスが開発を担当していることだ。同社は、ホンダの関連企業ながらホンダとは別会社。ホンダ車用純正アクセサリーの開発、販売を担当する組織である。
 ホンダアクセスはフロアマットやカーナビなど一般的なカーアイテムと並び、エアロパーツ、ブレーキパッドやブレーキローター、そしてサスペンションキットなど走行性能を高めるスポーツアイテムも手掛けている。しかも、「スーパーGT」参戦チームのタイトルスポンサーとしてサポートも実施。社内にはスポーツパーツやコンプリートカーの開発において、車種ごとに結成されたチームがテストコースに集結して実走テストを繰り返しながら商品化する体制が整っているのだ。
 「モデューロX」は、そんなホンダアクセスの走りのスピリットが込められたコンプリートカーである。熟練のエンジニアよって、ノーマルよりも深い次元の走りを追求した仕様といっていい。そしてぜひ覚えておいてほしいのは、単にコーナリングスピードのアップとか俊敏性を高めるといったシンプルな性能アップで走行性能を高めるだけでなく、ドライバビリティや爽快感、そしてしなやかな乗り心地といったトータルバランスを重視した上質でしなやかな走りを求めていることである。
 標準のS660に対する変更点は、フロントバンパーをはじめボルドーレッドのルーフ、アルミホイールといったエクステリアアイテムに始まり、専用スポーツシートやステアリングをはじめ、シフトノブやサイドブレーキなど内装の質感向上、そしてサスペンションやブレーキといった機能パーツまで多岐にわたる。その数はパーツリストとして並べるだけでも20点以上だ。実に手が込んでいる。
 もちろん、ホンダが製造しディーラーで購入できるクルマなので、新車保証やメンテナンスなども通常のカタログモデルと同様。購入後の不安が一切なく、安心して乗れるのも大きな魅力なのだ。

●S660 Modulo X ボディカラーバリエーション
プレミアムスターホワイト・パール(有料色) ※有料色は3万3000円高。

アラバスターシルバー・メタリック

フレンチブルー・パール

カーニバルイエロー

後輪が大地を蹴りながら、加速していく絶妙なバランス

 最新のS660モデューロXは、今年1月末にベース車両の仕様変更に合わせてバージョンアップされていた。エクステリアでもっとも目立つ変更点は、フロントピラーがボディ同色になったこと。加えてヘッドライト/リヤコンビネーションランプの仕立てを変更している。装備面ではオープンカーには必需品ともいるシートヒーターが追加されたのが見逃せない。
 さらにモデューロX独自の仕様変更として、アルミホイールがブラックスパッタリング仕上げとなり、ドアミラーカバーの色をナイトホークブラック・パールにチェンジ。インテリアでは、シートのデザインが変更されたほか、サイドブレーキカバーやシフトブーツなどにアルカンターラ(R)採用部分を拡充。またハンドルが専用アルカンターラ×本革巻となった。
 それにしても、S660は本当に贅沢なクルマだと思う。車体設計は完全に専用。量産車としては世界最小の後輪駆動スポーツカーであり、レイアウトは王道といえるミッドシップ。軽自動車なのはサイズやエンジン排気量など規格に関することのみで、走りも、開発に注ぎ込まれた情熱も一流のスポーツカーそのものである。
 着座位置が低いシートに収まると車体の四隅に手が届くかのごとく車幅感覚がつかめ、狭い峠道をバイクのようにヒラヒラと走れる。この感覚は車体の大きなスポーツカーでは味わえない醍醐味だ。
 モデューロXの走りは、さらに磨きこまれている。たとえばサスペンションは「ここまでは楽しんでいい」「ここから先は危険領域」というサインが手に取るようにわかる味付けが巧み。路面とのコンタクトに優れてグリップ感がしっかりと伝わってくるのだ。
 そんな走りの、ワインディングロードにおけるハイライトはふたつだ。ひとつは旋回を始めるとき。スーッとフロントが素直に曲がり込んでいく感覚は爽快すぎる。もうひとつは、立ち上がりだ。コーナリングが収束し、後輪が大地を蹴りながら加速していく絶妙なバランスが心地いい。
 自慢のサスペンションの減衰力は5段階調整式で、たとえもっとも硬くしてみても、路面からの衝撃はしっかりといなされているし、不快な上下動は巧みに抑えられている。ストレートに言うと乗り心地に優れ、高い運動性能と上質な乗り味の両立が見事だ。
 価格は304万2600円と、「α」よりも高く設定されているが、これほどのカスタマイズを行うことを考えるとむしろお得ともとれる。また、この気持ちよさを知ればやはり納得せざるを得ない。

アグレッシブな造形の専用エクステリアパーツを装着するが、コンプリートモデルらしく高い完成度を誇る。エアロパーツは、風の入り口、出口を作り込み、あらゆる走行シーンで高い接地性を確保している。フロントにはグリル一体型の専用フロントバンパーを装着。リアも前から入った空気をきれいに流すロアバンパーを採用している。

車速約70km/h以上で自動で上がるアクティブスポイラーを標準装備。モデューロXの空力特性に合わせガー二ーフラップを追加。運転席スイッチから手動操作も可能。
マイナーモデルチェンジでブラックスパッタリング仕上げの新色アルミホイールを採用。足元が煌びやかな印象となった。

すべてのS660に搭載される専用設計のS07A型660cc直3DOHCターボエンジン。専用設計のターボチャージャーにより鋭いレスポンスを誇る。

マイナーモデルチェンジでModulo X専用アルカンターラ×本革ステアリングホイールを採用。インパネソフトパッドも専用品だ。

Modulo Xロゴ入りの専用スポーツレザーシート。本革とラックス スェードの組み合わせで、カラーはボルドーレッド×ブラック。

アルカンターラ採用部位がマイナーモデルチェンジで拡充されたサイドブレーキカバーとシフトブーツ。シフトノブはチタン製。

メーターの意匠はノーマルのS660と変わらないが、センターのデジタルスピードメーターの上部に「Modulo X」ロゴが常時点灯する。

スポーツドライビングに集中できる、手に馴染み、握りやすさを実現した専用アルカンターラ×本革巻ステアリングホイール。

助手席側のインパネパネルに装備されているボルドーレッドの専用インパネソフトパッド。

ステンレス製スポーツペダルはノーマルのαグレードと、このModulo Xのみに装備される。

アームレストコンソールの後方に専用Modulo Xロゴ入りアルミ製コンソールプレートを装備。ノーマルとの違いをアピール。

S660専用のカーナビゲーションシステムとしてスカイサウンドインターナビ「VXU-192SSi」が用意されている。7インチW-VGAモニターを採用し、渋滞を高い精度で予測するインターナビに対応。価格は21万7800円。

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