車種別・最新情報
更新日:2019.09.25 / 掲載日:2019.09.25

DAIHATSU 新型タント 全方位チェック!

販売ランキングで常に上位を占めているトール四兄弟。改めて新型タントと見比べてみると、極めて似ていることが分かると思う。軽自動車VSコンパクトカーとカテゴリーは異なれども、どちらがベストの選択なのか?掟破りの同門対決、ぜひご覧あれ。


DAIHATSUタントカスタムRS
価格帯:174万9600円
●全長×全幅×全高(mm):3395×1475×1755 ●ホイールベース(mm):2460 ●車両重量(kg):920 ●パワーユニット:658cc直3DOHCターボ(64 PS/10.2kg・m) ●トランスミッション:D- CVT ●WLTCモード総合燃費:20.0km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/リーディング・トレーリング(R) ●タイヤ:165/55R15


DAIHATSUトールカスタムGターボSA3(3はローマ数字)
価格:196万5600円
主要諸元●全長×全幅×全高(mm):3700×1670×1735 ●ホイールベース(mm):2490 ●車両重量(kg):1100 ●パワーユニット:996cc直3DOHCターボ(98 PS/14.3kg・m) ●トランスミッション:CVT ●JC08モード燃費:21.8km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/リーディング・トレーリング(R) ●タイヤ:175/55R15

共に背の高いスーパーハイト系 ターゲットユーザーは極めて近い

  • 新型タント

    インパネ&シート設計は最新仕様だが、キャビンスペースの余裕は見劣りする。特に1350mmの室内幅は数字以上に差を感じる。

  • 歩行者対応の衝突回避ブレーキなどは同等だが、ステアリング制御付の車線逸脱制御機能など、タントには次世代基準機能も追加されている。

  • 複数回点火(マルチスパーク)の採用や、燃料噴射方法の改良により燃焼効率が向上した新設計エンジンの採用も新型タントの強みの一つ。

  • トール

    登録車の恩恵はキャビン空間の余裕に表れる。室内長×室内幅は2180mm×1480mmと、数字的にもタントを一歩リード。

 登録車であるトールの方が車体寸法は大きいが、パッケージング形状はオーバーハングが長く、幅広のタントとも言えるだろう。キャビン空間もトールの方が余裕があるが、室内高はほぼ互角。フル乗車時はともかく、1名、もしくは2名乗車でタントが手狭と思えるシーンは意外と少ないはず。エンジンはともに3気筒でNAとターボが選べるが、CVTやシャシー、安全&運転支援機能はタントの方が最新設計だ。

価格帯もかなり近いなど、普段使いのアシとしてクルマを探しているユーザーにとっては、この2台はライバルになりうる存在だろう。

  • 昨年秋の改良で、安全装備は歩行者対応型のスマートアシスト3(ローマ数字)にアップデート済み。クラス平均以上の安全性能は確保している。

  • 低中速域での扱いやすさを考慮した1Lターボエンジンは、3気筒ながら1.5Lクラス相当のトルクを発揮。燃費性能もなかなか優秀。

神奈川~箱根エリア 180kmドライブで実力を徹底チェック

ターボ同士で比較すると クラスの差はさほど感じない

 下克上と言うべきか、設計年時の差と言うべきか、直接乗り比べてみると、トールは一世代前のタントという印象が強い。中でも最も大きな差であり、今後を考えると見逃せないのが、運転支援機能の差だろう。トールは対歩行者機能など衝突回避機能に関してはトップレベルだが、ACCの設定はなく、車線維持支援は逸脱警報のみである。車格としては格下ながら、タントは全車速型ACCと作動下限は60km/hだが走行ライン制御型のLKAも用意される。共にターボ車のOP設定での対応になるが、この有無は高速ツーリングの運転疲労軽減に大きく影響する。乗り比べ試乗の当日は猛暑に加えてお盆休み前で交通量も多く、高速道路の車速変化も大きい状況だった。ACCとLKAを装着するタントは、トールよりも安心感を感じる。タントのACCは時として車間距離をとり気味にはなるが、急加減速を抑えたマイルドな制御が運転気分を穏やかにしてくれる。LKAはもう少し下の速度でも対応して欲しいが、ACC同様に介入は穏やか。しばらくタントを堪能した後にトールに乗り換えると、トールは緊張と集中の時間が長く感じる。ただ、トールが劣っているのではない。タントが車格を超えているだけだ。意外だったのは動力性能である。両車ともターボとはいえ、トールの最大トルクはタントの約1.4倍。トルクウェイト比で比較しても約19%ほど低い。ところが運転した印象はスペックほどではない。排気量の余裕のなさを感じるのは巡航時のエンジン回転数。トールは1500回転弱が基本だが、タントは2000~2500回転。1000回転分低いギヤ比で走らなければならない。だからといって非力感に繋がらない。タントのターボ車は、トルクに余裕のある低中速でもNA仕様と大差ない回転域を使用する。つまり、タントの2000~2500回転という巡航時の回転数は、燃費面でもドライバビリティでも、最も高効率の回転域なのだ。静粛性や振動も穏やかであり、回転数が高いにもかかわらず、トールよりも寛いだ気分で運転できた。こういったタントの特徴は燃費にも表れている。勾配変化が大きく加減速が頻繁なタイトなコーナーが連続した山岳路の1区間でこそトールが勝ったが、他はすべてタントが勝っていた。

設計年次の差は想像以上 長く乗るほど際立つ

 シャシー性能は2台とも同じ志向で開発されていることよく分かる。ともに動き出しは緩く穏やかでストロークが深くなるほど踏ん張るような腰の強さを示す。同じ特性だが、全体的にタントのほうが収まりがいい。トールのほうが細かな振動や挙動が目立つとも言える。この違いが新プラットフォームの効果なのだろう。トールを基準に考えるなら、タントはサイズのわりに小気味よさに欠ける。鈍重というほどではないが、軽快さや微妙なコントロールへの追従性は低めだ。もっとも、軽快さは悪く言えば落ち着きのなさであり、タントの落ち着きと据わりは軽自動車としては長所である。操舵に対して神経質に反応しないから、高速や山岳路でも安心感があるわけだ。室内幅の余裕はコーナー時の安心感になる。直線では同等に感じるが、ハンドル操作と加減速が伴うシーンではトールが格上。加速の伸びやかさも然り。パワートレーンやプラットフォームの世代の違いが解消されれば、トールに分があるだろうが現状は違っている。NA車はともかく、ターボ車に限定するならば、タントはリッタークラスと互角以上の実力を有する。維持費も含めて考えるなら、タントのターボ車のコスパは相当なものといえよう。

スタート

  • 8:35 東名高速・港北PA

    スタート地点は東名高速の港北PA。ただ朝ラッシュも重なったこともあり、出口からダラダラ渋滞に遭遇することに……。果たして無事に帰ってこれるのか?

  • 9:00 東名高速・綾瀬バス停付近

    約8kmほど走ったところで渋滞解消。両車の燃費を比べると思ったよりも差が出てしまった。排気量とアイドルストップの制御の差が原因か?

  • 9:45 国道1号線大磯町付近

    厚木ICからは海に向かって一般道を南下。その後、海沿いの国道1号線を西に向かう。通勤ラッシュも終わっていたため、良い流れで距離を稼げた。

  • 10:15 小田原付近

    小田原市街に入るとやや通行量が増えてきた。同じターボ車同士だが、一般道に入っても燃費の伸びは明らかにタントが有利だ。

  • 10:45 小田原駅付近

    厚木ICから小田原駅までは比較的平坦な一般道路を走行してきたが、ここから先は箱根を超えていく山岳路ステージ。トールは挽回なるか?

  • 11:20 大観山駐車場

    箱根新道を通って観光名所の大観山まで一気に駆け上がる山岳路ステージ。その標高差は約1000mほど。共に燃費は大きく悪化したが、やはりタントが優位だ。

  • 12:00 国道1号線・箱根神社付近

    大観山から先はアップダウンがダラダラと続くルートだが、加減速頻度と平均車速が早かったこともあり、高回転域まで上手に使えるトールが巻き返してきた。

  • 13:10 御殿場箱根戦・長尾峠付近

    箱根の西側、長尾峠で休憩をとったのち、御殿場方面に下っていく。下り坂のタイトコーナーが続くここでは、トールのフットワークが頼もしい。

ゴール

  • 15:00 東名高速・海老名SA

    御殿場ICから東名高速に乗り、東京方面に戻る。80km/h前後の平均車速ではトールの燃費の伸びが顕著だが、わずかにタントが優位を守った。

  • 15:30 東名高速・港北PA

    首都高速が大渋滞だったため、出発地点の港北PAで燃費計測は終了することに。総走行距離は181.1km、高速路は89.9km、一般路は91.2kmとなった。

新型タントvsトール 乗り比べ 最終結論

最新設計の恩恵の大きさは 実走行で如実に現れてくる

新型は初代の考え方を継承しながら着実に進化してきた。改めてタントのコンセプトにブレはないことを確認できた。そしてその考え方をリッターカーにクラスアップさせたのがトールだ。タントほどファミリー色にせず、多用途性をもたせているが、この僅かなキャラの違いをどう捉えるかはユーザーの価値感次第だろう。ただ、車格による偏見は禁物である。

新型タントは新世代ダイハツ車の幕開けとなるモデル。それに比べるとトールは旧世代の代表だ。ユーティリティ性や利便装備ならそれほど重く考える必要もないが、タントはクルマの性能の根幹に関わるパワートレーンやプラットフォーム、安全&運転支援で次世代規格なのだから、車格差をしても埋めきれない部分が出るのは当然だろう。

1サイズ上のキャビンが生み出す使い勝手の良さや車格感を活かした走り味などトールにも良さはあるが、タント同様の新世代ハードに更新されるまでは、やや分が悪いのは仕方がない。トールにはやや厳しい結果となってしまった。

icon 新型タント

一区間を除けば、燃費は常にリード。巡航時の回転域はトールより高めだが力感も申し分ない。高速道路では回転数も高くなったが、燃費の落ち込みも穏やか。エンジンの素性の良さに加えて、ギア機構を持つ新CVTの制御も利いている印象を受けた。

icon トール

トルク重視の1リッターターボを搭載。設計年次もそれほど古いユニットではないが、燃費の差は想像よりも開いてしまった。車両重量の差(180kg)は燃費面で不利なのは間違いないが、やはりこれほどの差が出たのはパワートレーンの違いだろう。

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

グーネットマガジン編集部

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ