新車試乗レポート[2019.08.17 UP]

満を持して登場!エクリプスクロス ディーゼルターボ試乗インプレッション

【エクリプス クロス(ディーゼルターボ)】●発売日:2019年6月13日●価格帯:306万1800〜342万4680円●販売店:ミツビシ店●問い合わせ:0120-324-860

昨年春のデビュー時に導入されたのは1.5Lターボ車のみ。オールラウンダーというキャラを考えれば、欧州で評価が高いディーゼルターボ車が選べないことに違和感を覚えたユーザーも多かったのではなかろうか? それから約1年、ついにディーゼルターボ車が導入される。その実力は如何に?
●文/川島茂夫 ●写真/奥隅圭之、三菱自動車工業

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車格を感じる悠々とした走りガソリン車とは完全に別物だ

よく動くアシに加えて、S-AWCがもたらす巧みな駆動配分制御もあって地面にタイヤがついてさえいれば、凹凸の激しい路面をまったく問題にしない。三菱車らしい高いオン/ラフロード適性を持つことを確認できる。

搭載される最新仕様の2.3Lディーゼルターボは、坂道などの大負荷がかかる状況でも、軽くアクセルを踏み込むレベルから、力強い豊かなトルクを実感させてくれる。

状況に応じた四輪統合制御を行うことで、幅広い走行状況において安定した走りを実現するS-AWCの存在。

もはや三菱車を選ぶ大きな理由の一つ。

デリカD:5で投入された最新ディーゼルターボを採用

ディーゼルターボがエコとされるのは、燃費と動力性能のバランスが良いことが大きな理由。中でもロングドライブにおいてその恩恵は大きく、車両重量が嵩むことで高速燃費が悪化しやすい1BOX型ミニバンやSUVにとっては、相性の良いパワートレーンと言えるだろう。

三菱はすでにデリカD:5でディーゼルターボ車を展開しているが、そのパワーユニットがエクリプス クロスにも搭載された。デリカD:5ほど車両重量や空気抵抗のハンデはないが、ディーゼルターボ車の投入は、タフに使い倒したいヘビーユーザーにとっては見逃せないだろう。

搭載されるパワートレーンは、デリカD:5と共通スペックであり、最終減速比のみ4%ハイギヤード化がされている。ちなみにエクリプス クロスのディーゼルターボ車の車両重量はデリカD:5の14%減になるため、重量比ではエクリプス クロスが圧倒的に有利だ。

このメリットは巡航ギヤ維持能力に直結する。1500回転をターゲットに変速制御が行われ、緩加速時でも2000回転に近づけばアップシフトを行う。省燃費性能も求められる現代のクルマでは標準的な巡航回転数制御だが、平地巡航時のみ巡航ギヤを維持できても実効性は低い。とはいえ、頻繁にダウンシフトを行っては非力な印象が深まる。例えば、デリカD:5では巡航ギヤの維持が難しい状況でも、エクリプス クロスのディーゼルターボ車は緩やかな踏み込みでも力強く反応する。緩やかな登坂路や加速なら、巡航ギヤのままで難なくこなしてくれるのだ。

低回転重視の味付けフットワーク面も良好

通常走行時に行われる変速は、速度変化によるものが大半を占める。速度変化が頻繁になる低中速時では変速頻度も高まるが、そこはトルコン/遊星ギヤの8速ATが頼もしい。常にその制御は滑らかであり、忙しさもない。エンジンもミッションも低く狭い回転域を得意としており、抜群の相性を実感させてくれる。必然的にアクセル開度も浅くなりエンジン回転数も低回転を維持する。静粛性にも秀出ており、静かさも1ランクアップ。騒音量だけでなく耳当たりが穏やかな音質で体感静粛性もいい。もちろん、急加速すればダウンシフトを行い高回転域を使用するが、それでも威圧的な騒音ではない。

ただ、最近のディーゼルターボとしてはあまり高回転を得意とするタイプではなく、加速の伸びやかさは物足りない。2500回転を超えると回転上昇と共にトルクが落ちていき加速も鈍化してしまう。エンジンを回しても上乗せされる加速は少なく、回して楽しいエンジンとは言い難い。

このディーゼルターボの特性は、スポーツ&スペシャリティを武器とする従来のエクリプス クロスのキャラとは少々違った印象が強く、キビキビとした走りが魅力のガソリンターボ車と比べると、ディーエルターボ車は穏やかさと力強さを重視した印象。とはいえ、これが不満かと言えばそうでもない。

エンジンはフィールも回転数変動も穏やか。巡航ギヤ維持で力強い。騒音も含めて圧迫感の少ない運転感覚。これらは長距離ドライブでは大きなアドバンテージ。走りに対する嗜好はそれぞれだが、好感が持てる。今回は短時間の試乗だったため確認できなかったが、こういった特性はACcとの相性もいい。つまり、長距離ツアラーとして優れた資質を備えている。

フットワークの変化も長距離ツーリング向け。重量補正を行ったサスチューンゆえに9割方はガソリンターボ車と同等なのだが、鼻先の落ち着きや接地感が高まっている。一方、軽快感や切れ味は多少鈍っているが、もともとライントレースに優れていたところに据わりの良さが加わって、フットワークの車格感は1クラス向上した印象が強くなる。ガソリンターボ車に比べて相当ノーズヘビーな重量配分になったことを考えると、S-AWCとサス設計の良さが相当利いているのだろう。

オフロードの実力も一級品限界性能はかなり高い

今回の試乗では本格オフロードコースにもトライしたが、悪路に特化した4WD制御のロックモードを採用していないにもかかわらず、まったく問題なくクリアしていける。対角輪が浮くほどのモーグルも、岩混じりの急登坂も悠々と踏破。降坂制御機能が採用されていないのは残念だが、泥濘路の降坂でもABSが効果的に介入し、減速と車体安定が確保される。

ABSもオンロードだけではなくスノー&オフロードも前提にした制御がなされていた。モノコック構造ゆえにハードクロカン向けとも言い難い面はあるが、これだけの走破性があれば、林道ツーリングレベルならば全く問題ない。

見晴らしも含めて実用的なキャビン、アレンジ面に秀出たラゲッジなど、実用性も良好。アウトランダー4WD(2.4)を超える価格設定は少々気になるが、ディーゼルターボがもたらす長距離や山岳路を悠々とこなす力強さと省燃費性能は、レジャーシーンでの使い勝手を求めるユーザーにとっても見逃せない魅力を兼ね揃えている。ガソリンターボ車以上にバランスの良さを武器としている1台と感じた。

適度に重みのあるフットワークは、オンロードでも心地よい乗り味をもたらす。ガソリンターボ車ほどキビキビという印象はないが、据わりの良い乗り味はいかにも上級クラスらしい。高速長距離などのロングドライブ適性は、明らかにディーゼルターボ車が上だ。

●主要諸元(2.2ディーゼルターボ G Plus Package)●全長×全幅×全高(mm):4405×1805×1685 ●ホイールベース(mm):2670 ●車両重量(kg):1680 ●パワーユニット:2267cc直4DOHCターボ(145PS/38.7kg・m) ●トランスミッション:8速スポーツモードAT ●WLTCモード総合燃費:14.2km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) ●タイヤ:225/55R18 ●価格:340万3080円

145PS/38.7kg・mを発揮する2.3Lディーゼルターボは、先に投入されたデリカD:5と同ユニット。専用チューンの8速ATとの組み合わせもあって、低中速域での扱いやすさが重視されている印象だ。

路面抵抗が不安定な荒れたラフロードは、エクリプス クロスにとって最も得意とする路面状況の一つ。最も美味しい2000回転前後をキープしながら、意のままの走りを楽しめる。

基本意匠はガソリンターボ車と共通。

リヤが切り下がるクーペライクのスタイリングからは想像できないほどの走行性能が宿っている。

すっきりと都会的にまとめられるインパネデザイン。グラスエリアも広く、前方視界も良好。カーAV機能の操作など、インターフェイス面には若干の癖はあるが、クラス相応以上のキャビン空間を持つ。

スタイリングにこだわるモデルだが、荷室などには手狭感は感じない設計。ユーティリティ面は平均レベルだが、なかなかの実用性を兼ね揃えている。

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