新車試乗レポート[2019.07.04 UP]

注目モデル先取り情報新型マツダ3最速試乗

マツダの次の世代を体現するモデルとして世に送り出されたマツダ3。先代モデルのアクセラは良質な走りに定評があったこともあり、その後継となるマツダ3はどう変わったのか?は、否が応にも気になるはずだ。
●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之

この記事の目次

MAZDA3 FASTBACK XD L Package
新型マツダ3のライバルはこいつだ! VSライバル比較
MAZDA3 SEDAN 20S L Package

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MAZDA3 FASTBACK XD L Package

●主要諸元
全長×全幅×全高(mm):4460×1795×1440 ●ホイールベース(mm):2725 ●車両重量(kg):1410 ●パワーユニット:1756cc直4DOHCディーゼルターボ(116PS/27.5kg・m) ●トランスミッション:6速AT ●WLTCモード総合燃費:19.6km/L ●サスペンション:マクファーソンストラット式(F)トーションビーム式(R) ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) ●タイヤ:215/45R18 ●価格:291万9000円

XDに搭載されるのは1.8Lの直4ディーゼルターボ。116PS/27.5kg・mと最高出力こそ物足りなく感じるかもしれないが、実走行では低速域から力強い加速を楽しませてくれる。

多少ザラついた路面でもスッと衝撃を和らげてくれる印象が強い。出来の良いフットワークの恩恵はコーナー時のみならず、ストレートでも体感することができた。

注目のスカイアクティブXは2019年10月に発売予定

 目玉のスカイアクティブXモデルは2019年10月に発売されることがアナウンスされているが、そのスペックは未だに非公開。だが欧州ではいち早く欧州仕様車のスペックが公開された。スカイアクティブXエンジンの排気量は1998cc。最高出力は180PS/6000rpm、最大トルクは224Nm/3000rpm。それに加え24Vモーターを装着するマイルドハイブリッドモデルとして発売される。ガソリンエンジンでありながらディーゼルエンジンの長所も持つという開発陣の言葉どおり、スペックからも低速域からの立ち上がりに優れたエンジンであることが推測できる。また欧州複合燃費モードで4.3L/100km(約23.3km/L)を記録するなど省燃費性能も優秀。日本でも大いに人気が出そうだ。

意のままに操れるに加えて穏やかな乗り味もプラス

「大人味」が試乗後の第一印象だ。骨盤を立てたドラポジが採りやすいシート設計に代表されるマツダのこだわりは、要約すれば「基本に忠実であれ」となる。この考えをもとに、徹底的な解析や新たな考え方を注ぐことで、マツダ3は世に送り出されたわけだ。

その走りを語る上で具体的な要点はいくつかあるが、第一に挙げられるのはフットワークだ。USOS(アンダー/オーバーステア)論で言えば、徹底的な弱US志向。後輪ががっちりと自転軸を押さえて、前輪がどっしりと方向性を確保する。後輪を支点に前輪を路面に押し付けるような操縦感覚を、高速コーナリングや急制動からのコーナー進入においても維持していく。

実際、コース内のコーナーを攻めても、拍子抜けするほど簡単にこなす。速度と操舵量が適切にコントロールされていれば、姿勢制御のために加減速や補正操舵を行う必要はなく、思い描いた走行ラインに容易に乗せることができる。

試乗コースにはざらついた路面もあったが、そんな場面もさほど気にならない、けっこう肌触りのいい乗り心地。従来のマツダ車と比較すると、サスの制御をストロークの量から速度に変えた印象を受ける。ストローク速度を抑えて深く使うため、しっとりとしていて据わりがいい。しかも、車軸周りの動きも同じ。スポーツ系モデルにありがちなガツガツした硬さは一切感じられなかった。

また静粛性の向上も見所の一つ。遮音材や吸音材を骨格周りや開放部に用いて静粛性を高めるやり方は一般的だが、改善点を騒音の量そのものより「質」に重きを置いてきたのがマツダ流だ。エンジン周辺から届く音も、路面からのロードノイズも、高周波成分が少なくなるため耳当たりがいい。音を完全に遮音するのではなく、巡航と全開加速、路面状況の変化による音質や音量の変化を程よく鈍して伝えてくれるので、ドライバーだけではなく同乗者も違和感なく、常に穏やかな気分でいられる。

この穏やかな気分を維持できる工夫が、マツダ3の走りを語る上で最大の改善点とも言えるだろう。穏やかな気分は信頼や安心の証明でもある。そしてこの配慮はペダルワークにも活かされている。

ブレーキでは踏み込みと緩める時の制動特性がこだわった部分。ただし、これはスポーツドライビング向けの改良ではない。緩減速や頻繁な踏み離しを行う市街地走行や、発進停止もしくはそれに近い渋滞走行でのペダルコントロールを行う際に、ドライバーの脚の負担の減少が狙いという。実際、踏力とストロークの按配なのだろうが、止まる直前でゆるりと制動を抜いたり、かっくんと停車させないようにするコントロールがとても楽に感じる。

ガソリン車は、ファストバックでは1.5L車の設定があるが、セダンで選べるのは2Lのみ。パワースペックは156PS/20.3kg・m、WLTC燃費モードは15.8km/Lとバランスの良さが光る。

やや引っ張り気味の制御 多段ATが欲しくなる

アクセル操作に関しては、加速から巡航に移行する時のシフトアップのタイミングが最近のクルマとしては少し遅く、加速時の回転域も高め。要するに引っ張り気味の変速特性であり、この傾向はディーゼルターボ車よりもガソリン車のほうが強い。ドライブフィールでもトルクに余裕がない感じだ。もう少し早めのアップシフトでも実用面の悪影響はないと思うのだが、加速の伸びやかさを演出したかったのかもしれない。ここはちょっと先祖返りした印象だ。

ちなみに100km/hでの巡航回転数はガソリン/ディーゼル車ともに2000回転前後。緩加速でも早めにダウンシフトするが、その際は500回転ほどアップしてしまう。この制御だと6速ATではなく、8速ATクラスの多段変速が欲しくなる。

ともあれ、減速特性にも展開された加速度(ジャーク)制御や、GVCに代表される穏やかかつ的確な追従性。走行状況をそれとなく伝える以上にはせず、乗員に脅しをかけない乗り心地や静粛性は、いずれもこれまでのマツダ車が追ってきたものであり、マツダ3にはマツダにとっての進化のあり方が体現されていると感じた。

実際のところ、マツダ3の本領発揮は長距離ツーリングだと思う。初見の山道や長時間の高速走行を不安感なく走り抜ける操り心地や乗り味。今回の試乗ではそれを再確認することはできなかったが、穏やかな気分を向上させる様々なコダワリを考えれば達成していることは容易に想像できる。いずれにせよマツダ3は、先代アクセラが積み上げた長所をしっかり正常進化させたモデルと言えよう。

新型マツダ3のライバルはこいつだ! VSライバル比較

【ファストバック】3台とも得手不得手あり総合力ではマツダ3が一歩リード

 マツダ3のプロアクティブの価格はガソリン車が247万円、ディーゼル車が274万円。対してインプレッサ スポーツは最上級の2.0i-Sアイサイトの4WD車で約261万円、カローラ スポーツはハイブリッドの最上級でも269万円となる。マツダ3はグレード展開でも価格設定でも、インプレッサとカローラよりも、半車格くらい上の設定だ。それだけの価値は内外装や走りの質感ならば納得できる。スポーティと快適性の両立ではインプレッサと、良質と言う点ではカローラと競る部分もあるが、上級クラスを思わせる乗り味でマツダ3がリードしている。ただ、車格に対してやや高めの値付けであり、コスパと運転支援では分が悪く感じてしまう。

インプレッサ スポーツ

4WDを中心に全天候ツーリング性能と一般用途での快適性を両立している。走りの質感はちょっと実用車的だが、プレミアム感ある内外装や先進安全&運転支援装備を標準装着して手頃な価格設定は魅力十分。

カローラ スポーツ

しっとりとした乗り心地と深いストロークで安定した挙動。回転数の変化を抑えて余力感と伸びを両立したターボとプリウスにも匹敵する燃費のハイブリッドを選べる。最新の運転支援も装備しており、バランスが売り。

【セダン】スポーティセダンとしてならばマツダ3は一枚上手の存在

 一昔前に比べると重要度は減ったとはいえ、正統派セダンのモノサシのひとつが後席の居住性。インサイトとインプレッサG4と比較すると、マツダ3の後席は1クラス下の印象というか、「乗せてもらってる」感が強い。走行性能面では、力感と重質な味わいではインサイトが多少勝るが、乗り心地の洗練感やパワーフィールの軽やかさはマツダ3に分がある。インプレッサはハッチバックでの比較と同じ。車格を感じる重質な味わいには乏しいが、軽快感とコスパの良さはアピールポイントになる。総合的なコスパはインプレッサが優位だが、プレミアム面とスポーティさのコスパならマツダ3。インサイトはプレミアム性は高いが、価格設定を考えればスカイアクティブX車が真っ向ライバルになるだろう。

インサイト

電動駆動ならでは力強い加速、高速巡航の余力感。どっしりと重質な味わいの乗り心地とゆったり開放的なキャビン。今風セダンの雰囲気を纏いながらもセダンらしい魅力を上手くまとめているのが見所だ。

インプレッサG4

水平対向エンジンなど個性的な設計を採用しているが、走りの志向も実用性も至って良識的である。乗り味にもう少し車格感が欲しいが、軽快な運転感覚もあり、ちょっとスポーティな実用セダンとしてバランスがいい。

MAZDA3 SEDAN 20S L Package

主要諸元(20S Lパッケージ)
●全長×全幅×全高(mm):4660×1795×1445 ●ホイールベース(mm):2725 ●車両重量(kg):1350 ●パワーユニット:1997cc直4DOHC(156PS/20.3kg・m) ●トランスミッション:6速AT ●WLTCモード総合燃費:15.8km/L ●サスペンション:マクファーソンストラット式(F)トーションビーム式(R) ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) ●タイヤ:215/45R18 ●価格:264万9000円

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