新型車比較・ライバル車対決[2019.05.10 UP]

新旧デリカD:5ディーゼルモデルで房総半島巡り

●文:川島 茂夫
●写真:月刊自家用車編集部

最新仕様に生まれ変わったデリカD:5。熱心な愛好家から絶大な支持を受ける個性派モデルだけに、先代から新型へ……、と買い替えを考えているユーザーも多いはず。当然、新型が良いのは分かっているが、どれほどの差があるのか? 新旧モデルを乗り比べることで、そんな疑問に応えてみたい。

この記事の目次

新旧 乗り比べ 最終結論

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ボディタイプ:セダン ボディタイプ:SUV・クロカン ボディタイプ:ミニバン 国産車 新車 ドライブ ディーゼル
【8:00 横浜駅周辺】スタート地点は横浜駅周辺。ここから圏央道の市原鶴舞ICまでは、60kmほど高速道路を走るルート。最初は先代に乗り、途中のPAで新型に乗り換えて、違いを確認した。

【9:30 圏央道市原鶴舞IC付近】高速道路中心で走ってきたが、すでに15%ほどの燃費差を確認することができた。またドライバビリティなども新旧でけっこう違う。明らかに新型の方が乗用車的だ。

【12:30 千倉海岸付近】市原鶴舞ICからは一般道路を走行。ところどころで新旧を乗り換えながら、その違いを検証する。ここまで100kmほど走ったが、先代の方がやはり燃費の落ち込みは大きくなるようだ。

【14:40 らくのうの里】食事休憩後、再び乗り比べ。ここからはアップダウンが激しい山岳路が中心。負荷のかかる状況だが、先代に比べると新型はアクセル踏み込み量も明らかに少ない。

【15:40 小湊鐵道 月崎駅】緩やかな山岳路を登りきり月崎駅に到着。タイミング良く、列車が到着する時間が近かったため小休止。燃費の新旧差の拡大傾向は、依然として続いているようだ。

【17:30 横浜駅周辺】月崎駅からの復路は再び高速道路が中心。ただ往路に比べると道が混んでおり、全体的にゆったりペースだったため、新型と旧型の燃費差は大きくなってしまった。

 12年ぶりのビッグマイナーチェンジで大幅な改良が加えられたデリカ:D5だが、現時点ではディーゼルモデルのみが新型に切り替わった。パワートレーン&ドライバビリティの改良も大きな見所だけに、走りの違いはどれほどあるのか? は、大きな注目点になるだろう。
 まず新型から先代のディーゼルモデルに乗り込んでみた時に感じたのは、車内に入り込む振動騒音の違いだ。新型はディーゼルターボが最新仕様にアップデートされたこともあり、少々の振動騒音は感じるもの静粛なキャビン空間を実現している。しかし、先代はアイドリング時でも振動騒音が気になるレベル。改めてその違いに愕然としてしまった。
 まずはスタート地点となった横浜駅近辺から首都高速とアクアラインを渡り、市原鶴舞ICまで高速路を走る。ほとんどが高速道路だが交通量はやや多く、緩やかながらも速度変化も頻繁であった。ここで感じたのは走行特性の違い。新型のレブリミットは4200回転と、先代に比べるとプラス200回転しか上がっていないのだが、レブリミット以上にドライバビリティの変化は大きい。先代は最大トルクも負けており、また低回転から大トルクが立ち上げる、いかにもディーゼルモデルという印象も強い。巡航時の余力感は負けていないのだが、ダウンシフトした時の回転数のギャップは明らかに違う。先代は6速、新型は8速とATミッションの違いなのだろうが、新型のほうが細かく繋ぎ、変速感も小気味いい。同じような道路状況において新型の方が、アクセル踏み込みは明らかに少ない。
 車軸まわりのしっかり感も新型のほうが優れているが、乗り心地や操安性能などはさほど差を感じなかった。もっとも、新型には全車速型ACCも採用されているし、車線逸脱警報もある。今回の乗り比べでは燃費もチェックしたので、ACCは使用しなかったが、それらを含めた高速道路での運転ストレスは、新型が圧倒的に有利だ。
 車載計によるこの区間の燃費は新型が17・7km/L、旧型が15・1km/L。15%ほど新型が優れていた。
 高速道路を降りた後は、郊外&山岳路中心の一般道で鴨川方面に向かう。所々込み入った部分もあるが、総じて郊外路らしい流れ。ミッションの違いもあって、使用回転域は先代のほうが多少広くなるが、これは回転を抑えてトルクを活かす、変速設定によるところが大きい。
 ただ、騒音の差は想像以上だ。音量だけでなく、ディーゼル感の強い音質が耳に付く。一世代前のディーゼルモデルに乗り慣れていれば気にならないかもしれないが、昨今の乗用車系のディーゼルモデルと比較すると明らかな違いがある。新型もそれらと比較して騒音振動面で優れているとは言い難いが、先代と比較すると圧倒的に乗用車的。世代の違いを感じてしまう。
 目的地として設定した千倉海岸で記念撮影。その際に段差のある地形を活かして最低地上高に影響したエンジンルームのアンダーパネルを見てみると、旧型は小分けした薄板で覆うが、新型はフラットな形状の一枚物。アンダーガードと言う感じで、エンジンルームの守りを重視してるのが見た目にも伝わってくる。
 千倉からは海岸を離れて山間エリアに入っていく。登降坂や連続するカーブによりエンジン負荷は大きく変化する。変速頻度もアクセル開度も高まる。使用回転域の差は郊外路走行よりさらに拡大傾向だ。こんな走行状況だとエンジンの素の違いがより分かりやすい。高回転の伸びやエンジンフィールの軽さは新型が優れている。要するに旧型のほうが全体的に「頑張ってる感」が強いのである。
 この特性の違いは燃費にも顕著に影響し、その差は20%を超えてしまう。加減速頻度や高負荷域ではコントロール性でも燃費でも新型が勝る。つまり一般的にパワートレーンに求められるすべての要件で新型は改善されているのだ。
 最終目的地とした小湊鐵道の月崎駅で雰囲気のある風景を堪能した後は横浜に戻る。この先の高速道路は、往路を逆に辿っていく。巡航速度が低めだったせいか、新型は往路以上の燃費を記録。旧型は往路とほぼ同じであり、燃費のスウィートスポットも新型のほうが広いようだ。

新旧 乗り比べ 最終結論

 先代で走り出した時には、1BOX型SUVとして十分じゃないか! とも思ったのだが、新型に乗り換えると振動や騒音、ドライバビリティ、安全&運転支援機能の差に唸ってしまう。
「新型を知ってしまうともう先代には戻れない」というのが今回のドライブの率直な感想だ。新型は安全&運転支援機能の向上もあって価格も高くなった。今、1BOX型SUVとしての機能に不満がないオーナーは、焦って新型に買い替える必要もない。また予算が厳しければ、まだ継続生産されているガソリン車を選んでもいい。だが、予算の都合が付くならば新型の購入を検討すべき。それだけの価値は十分にある。

新型デリカD:5

尿素SCRの採用だけでなく、動力性能や静粛性も改善され、運転しやすさも快適性も向上している。車外アイドリング騒音も減少しており、内装の質感や装備もグレードアップするなど、タフなイメージは減ったものの、プレミアムモデルらしさは高まっている。

先代デリカD:5

イメージほど機能優先ではないが、快適性や洗練感が乏しいことは否めない。安全&運転支援機能が劣ること、静粛性がいまいちという点を除けば短所は少なく、旧型であってもアウトドア趣味の定番車として、十分な機能と性能を持っている。

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