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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.05

デリカD:5大地に立つ 生活感まるだしの今のミニバン界に新風!! デリカD:5は男の主張満載!! お父さん、見直されるかも!!

このクルマの本質に迫る

【本記事は2007年3月にベストカーに掲載された記事となります。】初代デリカが登場してからおよそ40年、先代にあたる「スペースギアが登場してから13年、そして東京モーターショーで「D:5コンセプト」という名前で会場の話題をさらってから1年半、ついにデリカD:5が発売された。質実剛健、堅牢、武骨、機能美、頑健。このクルマから連想される単語はいくつも出てくる。しかしいま実際にデビューしたこのデリカD:5を目の当たりにすると、そのどれもに当てはまりながらも、それだけでは説明しきれていないような気もしている。デリカD:5は世界のミニバン界で唯一の、オフロードでの走りを軸に開発されたクルマだ。多くの根強いファンを抱えており、経営再建中の三菱自動車が放つ’07年の基幹車種のひとつでもある。そう、このクルマが背負う期待は2、3の単語で言い表わせるほど単純ではない。その男らしく力強いデザインは、強いこだわりとデリカファンへの愛を持って作られた。その走りは期待どおりカテゴリー最強の悪路走破性を持つとともに、舗装路の快適な乗り心地さえも両立した。その居住性とシートは多彩なアレンジとタフな使い勝手を可能にした。そのメカニズムは熟達の信頼性と革新的技術に支えられる。そしてその価格はライバルたちを一歩も二歩も抜きんでている。本誌はデリカD:5デビューにあたり、以下8ページにわたって詳細にこのクルマの本質に迫ってみたい。

逞しく、美しく!

高剛性ボディのおかげで高速安定性もバッチリ。いっぽう広大な室内も魅力たっぷり。フルフラットシートは車内泊に最適で、悠々着替えもできちゃうくらい。強さと優しさを兼ね備えているのだ!

高剛性ボディのおかげで高速安定性もバッチリ。いっぽう広大な室内も魅力たっぷり。フルフラットシートは車内泊に最適で、悠々着替えもできちゃうくらい。強さと優しさを兼ね備えているのだ!

デザイン&サイズヒットモデルとなった先代デリカスペースギアよりも逞しく、それでいて都市的で美しく。それがこのデリカD:5のデザインコンセプトだった。デリカのアイデンティティを支える頑強な悪路走破性を強化しつつ、さらに都会的なテイストを加えるのは三菱自動車デザイナー陣につきつけられた難問ではあったが、実物を見た感想としては「見事」のひと言だ。三菱自動車デザイン本部でデリカD:5のデザインを担当した矢野和雄氏は「なによりもまず、デリカを愛し続けてくれた人たちへ、と考えた」と語る。機能的で角張った明快なフォルムは、確かにひと目で「デリカだ」とわかる。デリカらしさ。三菱がこだわったのはまずそこだった。のちのページで詳しく紹介するが、デリカD:5は最低地上高210mm、アプローチアングル24度(アウトランダーで22度)といった、悪路走破性に欠かせない対地障害性能を持っている。デザイナー陣にとってはこの「機動力をフォルムで表現すること」に力を注いだとのこと。「端正な四角いかたまりが、力強い下半身に支えられて宙を飛んで走るようなたたずまいに、圧倒的な存在感を感じていただけるはずです」とは前出の矢野氏。四角い。そう、デリカD:5は昨今のミニバンデザインの潮流である流線型を持たず、またボンネットまで切れ上がったライトも持たず、まるで角を切り落としたようにットモデルとなった先代デリカスペースギアよりも逞しく、それで四角いのだ。サイズは全長4730×全幅1795×全高1870mm。先代デリカスペースギアよりも全長で45mm伸び、全幅で100mm広がっているが、このクラスのトップセール車であるエスティマと比べると全長で65mm短く、全幅で5mm狭い。なんといっても注目は全高で、最低地上高は先代スペースギアより20mmアップしていつつ、全高は100mmダウン。しかしパッケージングの最適化により、室内高は100mm増加している。これによって室内での快適性を増しつつ、より悪路走破性と(低重心化による)操縦安定性を大幅に向上させることに成功している。「もちろんリアビューにもこだわりがあります。あくまでもスクエアな印象にこだわりつつ、空力性能も妥協しませんでした。テールゲートの落とし込み角度や角の丸みを適正化することによって、先代デリカスペースギアの空気抵抗値(CD値)を15%低減しています」とは再び矢野氏。ボディサイドまで回り込んだリアガラスや横一線のリアコンビランプとガーニッシュで「かたまり感」を強調し、すっきりとした印象を保っている。さらに言えば、そうした機能性の高さといっけん相反するような都会的な印象も受けるところも驚きだった。海や山、雪道や泥道などに似合うのはもちろんだが、街中やホテルの玄関などでもキリッとした存在感を主張するのだ。

外観とは違う優しい乗り味

走行&運動性能「ダカールラリーでもワークスパジェロについていけちゃうんですよね」1月7~20日の日程で開催された’07パリ・ダカで、サポートカーとしてデリカD:5を駆った田口勝彦選手は、度肝を抜くようなことをさらりと言っていた。今年、7年連続優勝を決めた最新にして最強のMP13、ワークスパジェロに、ほぼノーマルのデリカD:5はついていけた、そうワークスドライバーが証言するのである。「足回りとタイヤはラリー専用パーツを装着していましたが、それ以外はほぼノーマル。それでいて、悪路でも気持ちよく走れました」とのこと。日本での詳しい試乗記は本誌次号以降に譲るとして、ここでは現時点で判明しているデリカD:5の走りについて迫っていきたい。まずなんといってもポイントは、先代より全高を100mm落としたことによる操縦安定性の向上にある。最低地上高を国内最高レベルである210mm(ランクル100と比べても10mmしか違わない!)まで確保しているため、いっけんすると腰高なイメージがあるが、低重心でキビキビと走ることができる。アプローチアングルは24度、デパーチャーアングルは21.5度を誇り、悪路走破性はむろんクラストップレベル。ボディ剛性も折り紙つきだ。「リボーンフレーム」と名づけられた新開発の骨格フレームについては次ページで詳しく触れたいが、この新フレームの採用で先代に比べ捻り剛性で50%、曲げ剛性で25%の向上を果たしている。この高剛性ボディが生み出す剛性感が、オフロードではもちろん、オンロードでも体感できるほどの安定性を生み出している。D:5のデザインは武骨さを前面に押し出しているが、オンロードでの乗り心地や操安性も徹底的に追求されている。リアサスにマルチリンクを採用し、ショックアブソーバーのサイズを大幅拡大したことで、安定感と乗り心地が大幅に向上した。デリカD:5のエンジンはアウトランダーと同じ出力/トルク(170ps/23.0kgm)だが、車重は約200kg増となる。この点が心配されたが、「まったくストレスは感じられなかった」(田口勝彦氏)とのこと。トールタイプミニバンというと、ある程度(オン/オフを問わず)走行性能を諦めざるをえないのが実情だが、デリカD:5はそこをまったく妥協せず作り込んでいることが伺える。デリカD:5の走りは「本物」だ。ぜひとも日本の街で、実際に試してみたい。

居住性&シートの使い勝手

自在のシートアレンジ 圧巻は一番下。3列目を跳ね上げ、2列目を畳めばマウンテンバイクも立てたまま搭載が可能なのだ

自在のシートアレンジ 圧巻は一番下。3列目を跳ね上げ、2列目を畳めばマウンテンバイクも立てたまま搭載が可能なのだ

デリカD:5の室内は、まずなによりも8名が快適に座れるよう設計されている。このクラスのミニバンにありがちな「サードシートは荷物置き場か非常用」といった考えではなく、ひとクラス上のアルファードやエルグランドと比べても遜色のない室内長2910×室内幅1505×室内高1310mmを誇っている。特にポイントは3列目のシートにある。340mmスライド機構(左右独立式)を採用することで、シートを最後端に合わせると足下に広大なスペースが出現する。1列目、2列目に身長176cmの人間が乗り、それぞれ自然な着座位置に合わせた場合でも、3列目の足下スペース(シート中央部から足先まで)は975mmと、同クラスミニバンに比べ、ぶっちぎりの広さを持つ。「3列すべてのシートに乗車する場合、2列目に座っている人の膝前に“こぶし2つ半”、3列目に座っている人の膝前には“こぶし2つ”のスペースを確保することにこだわりました。このクルマは家族で乗ってほしい、家族を乗せるなら2列目も3列目も同等に快適でなければならない、ということにこだわったんです」と語ってくれたのは三菱の商品開発本部、スタジオパッケージング技術部の江口利之氏。さらに注目したいのは、これだけのロングスライドを可能にしつつも、3列目を左右跳ね上げ式シートにしたこと。2列目シートをチップアップしてラゲッジスペースを最大限広げれば、荷室長は1610mmまで伸ばすことができる。そしてさらに、すべてのシートが独立して前後にスライドするので、シートアレンジはこれ以上ないほど多彩だ。1列目と2列目、あるいは2列目と3列目と、2種類のフラットシートが可能で、車中泊もらくちんである。シート自体にもひと工夫がある。3列目まで含めてすべてのシートに撥水・撥油・防汚機能を持つ「汚れプロテクト加工」が施されている。野山を駆け回る使い方が想定されるデリカD:5には心強い味方だ。泥だらけになったシューズや雪まみれのスキー板などを、汚れを気にせず積める心強さを持つ。デリカD:5はそのハードなコンセプトどおり、猛々しい使い勝手と快適性を高い次元で両立させているのだ。

堅牢にして安全

春夏秋冬、どんなシーンでも活躍できるデリカD:5はエクステリアもインテリアも質実剛健! 手元で走行中でも換えられる電子制御4WDセレクトボタンを採用、Gナビパッケージ、Gパワーパッケージ、Gプレミアムにはパドルシフト付きの6速CVTを装備

春夏秋冬、どんなシーンでも活躍できるデリカD:5はエクステリアもインテリアも質実剛健! 手元で走行中でも換えられる電子制御4WDセレクトボタンを採用、Gナビパッケージ、Gパワーパッケージ、Gプレミアムにはパドルシフト付きの6速CVTを装備

メカニズム頑健かつスマートなデザインや高い運動性能、高い使い勝手を支えるのは、高い信頼性を得ているメカニズムだ。その筆頭はアウトランダーで好評を得ている2.4L、MIVECエンジン。アルミダイキャスト製シリンダーブロックや樹脂製シリンダーヘッドカバーを採用し、小型・軽量化に成功。排ガス規制はもちろん★4つプラス平成22年度燃費基準+10%達成で、グリーン税制に対応。アウトランダーからの変更点としては、アクセルレスポンスを若干マイルドにしつつも俊敏さを残す設定にしたところにある。またこれもアウトランダーで好評を博している電子制御4WDを、さらに進化させた専用チューンで全車装備。手元で切り替えられるダイヤル式で、2WD/4WDオート/4WDロックを走行中でも簡単に切り替えられる凄い4WDだ。さらに、ワンボックスタイプは剛性が弱いとされているが、デリカD:5は「堅牢ボディコンセプト」と社内で称される「リボーンフレーム」を採用。環状構造の骨格フレームを持ち、アンダーボディには大型クロスメンバーを配して、高い剛性感とJNCAP総合評価最高ランクの★6つを達成している(三菱社内試験結果)。ボディ全体に採用されている高張力鋼板と相まって、安全性能もバッチリだ。価格&装備いっけんするとミニバン界の異端児風であり、独特の価値観を持つゆえに「好き者が少し割高だけど買うクルマ」と認識されがちだが、さにあらず。搭載される装備を考えると、ライバルに比べてデリカD:5は非常に割安感があるのだ。デリカのグレード構成は基本的には5つ。装備を簡略化したM(261万4500円)と、充実装備のG(277万2000円)。このGにパッケージオプションを装着した3タイプのグレードが用意される(下記装備表参照)。全車2.4Lで、電子制御4WDを持つ。売れ筋グレードはGとなるだろう。ではデリカD:5はライバルと比べて割安なのか? 割高なのか?デリカD:5はエスティマアエラスの2WDの値段で4WDが買え、なおかつお釣りがくる。さらにデリカD:5はステップワゴンのヘナチョコ4WDより性能が全然上で、なおかつ安い。以下、それを見ていこう。まずD:5(G)と同等の装備を持つエスティマのグレードは2.4アエラス(2WD/285万6000円)。この時点でD:5の8万4000円安だ。エスティマで4WDを選ぶとさらにそのお釣りは29万4000円まで拡大する。DVDナビ代一式ぶんお得だ。いっぽう車格がひとつ下のステップワゴン(24Z 4WD)と比べると、こちらの価格は281万4000円。これまたD:5が4万2000円安だ。車格が上で4WD性能は圧勝で、そのうえお小遣い4万2000円が手に入る。いかにD:5がバーゲンプライスなのかがわかるだろう。デリカD:5の月販目標台数は2300台。ステップワゴンが6500台、エスティマが7000台だということを考えれば若干弱気に感じるが、目標台数を何倍も上回る初期受注を叩き出す予感も充分ある。ひと味違ったミニバンを求めるお父さんはぜひチェックだ!

デリカD:5検証コラム ライバルたちとの差は?

エンジンはアウトランダーで評価の高い2.4L、MIVECエンジンを採用

エンジンはアウトランダーで評価の高い2.4L、MIVECエンジンを採用

ここではデリカのライバルとなるであろう、同クラスのミニバンたちと比較してみた。車格でいえばデリカD:5はエスティマの2.4Lモデルと同等であり、セレナとステップワゴンはひとつ下となる。まずデリカD:5の優位性はトルクの太さに見て取れる。馬力もトップレベルであり、その動力性能の高さがうかがえる(セレナは2Lしか設定がない)。また室内長と室内高のバランスのよさにも注目。車内の快適性、積載性もリードだ。

デリカD:5検証コラム ラリースト・田口勝彦氏が語る!

続いてはダカールラリー’07でサポートカーのデリカD:5をドライブした田口勝彦氏。「ミニバンっていうとどうしても“走りの性能”とか“個性”とかを諦めた感じがするじゃないですか。家族のために妥協して乗っているんだっていう感じがする。お父さん、ちょっと可哀想ですよね。でもデリカは違います。ちっとも妥協してませんでした。オンロードでもオフロードでも、運転してて楽しいんですよ。やっぱり驚いたのはオフの走りだから、ぜひともそれは試してほしいんですけどもね。そうかといって舗装路の走りがイマイチかというとそんなことは全然なくて、延々と続く高速道路のような場所でも疲れない。これなら家族の事情でミニバンを選ばざるをえないっていうお父さん方も、満足してくれること間違いなしです。ぜひとも運転の楽しさってやつを諦めてほしくないですね」

デリカD:5検証コラム FFモデルは5月に登場

フロントバンパープロテクターはメーカーオプションで6万9300円也(工賃含む)

フロントバンパープロテクターはメーカーオプションで6万9300円也(工賃含む)

この1月31日にデビューしたデリカD:5は前述のように全車電子制御4WDとなっているが、今年5月にもFFモデルが設定される。先々代にあたるスターワゴンや先代のスペースギアにも2WDモデル(この両車はFRであったが)が設定されていたものの、どちらも「デリカといえば4WD」というイメージが強すぎ、販売の9割以上が4WDだった。それを受けてD:5も4WD専用モデルとして開発が進められていたが、昨今のミニバンブームのなか、売れ筋モデルの大半が2WDモデルであり、「D:5のスタイルは気に入ったが、4WDはいらない」という人のために急遽開発が進められ、FFモデルを設定するとのこと。登場は(最強の競合車となるであろう)次期ノア/ヴォクシーがデビューする直前の5月、価格は戦略的な意味合いも込めて4WDモデルの20万円安という情報が入っている。グリルは普通タイプとなり、4WD仕様とは趣の違う上品なタイプとなる。

デリカD:5検証コラム テリー伊藤のために作られたグリル!!

主要諸元

主要諸元

「東京モーターショーに出品したD:5コンセプトのように、思いきり武骨で硬派なマスクに絶対にしてください!」本誌連載陣であるテリー伊藤氏が三菱自動車社長、益子修氏にそう直訴したのは昨年夏のことだった。それを受けて開発されたのがフロントバンパープロテクター。進言を聞き入れた益子社長が直々に開発スタッフに「より精悍で武骨に見えるようなグリルを作るべし」と伝え、実現したそうだ!

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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