新車試乗レポート[2019.03.11 UP]

【試乗レポート・トヨタ ハイラックス】目立ち度抜群! これが世界で売れてる本格タフギアだ

ハイラックス Z ブラック ラリー エディション

文●石井昌道 写真●川崎泰輝

 トヨタは幅広い車種を世界中で販売する文字通りのフルラインアップメーカーだが、21世紀に入ってからは日欧米といった自動車成熟濃くではハイブリッドカーや先進安全装備などハイテクの搭載車、あるいは高級車やスポーツカーといった付加価値の高いモデルを積極的に展開する一方で、新興国向けには現地のニーズにあったモデルを適正な価格で提供するべく改革を行った。2002年に発足したIMVプロジェクトはその根幹をなすものであり、長い歴史をもつハイラックスもここへ組み込まれることになった。同プロジェクトから生み出されるIMVシリーズは頑丈なラダーフレーム構造のプラットフォームからSUVやピックアップトラック、ミニバンなどのモデルを造り、ASEANやインド、中南米、南アフリカなどで生産・販売される。

プロ向けに販売したはずが一般ユーザーにも人気に

 もともと自動車はガッチリと組まれたフレームにボディを載せた構造が一般的だったが、これを一体化したのが現代の乗用車の主流であるモノコックボディ構造。フレームレスとすることで低床かつ室内空間が広くなり、軽く仕上がる。剛性もボディ全体で受け持つので高く、万が一の衝突の際は綺麗に変形してエネルギーを吸収することで乗員やぶつかった相手車両、歩行者への攻撃性まで低く抑えられるが、大きなクラッシュからの修復は難しい。堅牢性としてはやはりラダーフレームのほうが有利だ。乗り心地や静粛性については、今でこそモノコックも優秀ではあるものの、エンジンやサスペンションが直接ボディに繋がるため以前は不利とされていた。ちなみに、クラウンは1991年発売の9代目が初のモノコックだが、発売直前はクラウンらしい快適性が損なわれるのではないかと、かなり懸念されたものだ。

 一方で、路面からの入力がボディに遅れて伝わるラダーフレームは、時折ブルルンとした特有の振動があるものの、フレームで受けた入力を上手に減衰してボディに伝えることが可能なので、とくにラフロードなどでは快適。路面状態があまり良くなく、未舗装路も少なくない地域で、しかも何十万キロも使い倒すといった用途にはものすごく向いているのだ。日本ではミニバンはすべてモノコックだが、IMVシリーズのキジャンイノーバというミニバンは快適性が高くて大人気だという。

 それまで日本で50年もの長きにわたって販売されてきたハイラックスが姿を消したのは2004年。7代目がIMVシリーズの一員になったからだが、日本市場を考慮しないことで大型化が可能になり、装備もさほど贅沢をする必要がなくなったことで、より地域のニーズに合うモデルになったと言える。そのまま正常進化した8代目は2015年に発売となったが、2017年には日本への復活が実現した。
 ハイラックスのようなヘビーデューティーなピックアップを本当に必要とする酪農家や林業への従事者で6代目までの既存ユーザーの要望に応えたカタチで、あまり多くの台数は望めないので年間販売台数目標は2000台とされたが、蓋をあけてみれば発売初月で2000台を超え、しかもハイラックスのタフなイメージに憧れた若者が飛びついたという。

本物だからこそのカッコよさ

 今まで何度かハイラックスに試乗しているが、高速道路のSAで若者が集まってきて「カッコいいですね」と何度も声をかけられた。みんなが興味を持つのは荷台で「靴を脱げば昇っていいよ」と言うと、荷台で仁王立ちになって微笑むのだった。あそこに立つと、これをどう使おうかという想像が膨らむのだ。ハイラックスの荷台には夢が詰まっているのである。もともと日本導入を考えていない逆輸入のIMVシリーズだからこその本物感やカッコ良さにも憧れる部分があるのだろう。

一般道での乗り心地は想像以上に快適

 日本の一般道を走らせると想像以上に快適だ。ディーゼル・エンジンは、最新のプレミアムカーのようにガソリン・エンジンと見分け(聞き分け)がつかないというわけではなく、特有のビリビリっとした音質ではあるものの、音量は低めに抑えられ、不快な振動もない。新興国向けとはいえ静粛性をおろそかにしていないのだ。街中での走行はほとんどを2000rpm以下でこなす。郊外路や高速道路で速度を高めていくときも3000-4000rpmも回せば十分に速い。低回転・大トルクな特性は大きなハイラックスにぴったりだ。

ラダーフレーム特有の揺さぶられ感はたまにあるものの、路面からの入力が優しいので乗り心地は全般的に快適。大きめのクルーザーに乗っているかのようなユッタリとした動きが妙に心地いい。一般的な乗用車に比べればハンドリングは穏やかで、ステアリングをたくさん切る必要はあるものの、鈍すぎて疲れるなんてことはなく、それなりに思い通りの走りができるようになっている。8代目となってラダーフレームの剛性を高めたことでオンロード性能は高まっていて、日常のアシとするにも覚悟がいるほどではなくなったといったところだ。むしろ、普通の乗用車ではないことをほどよく感じられる。

世界の道で鍛えた実力を本格オフロードコースでチェック

 せっかくハイラックスを手に入れたなら、それらしいステージを走ってみたいと思うだろうが、今回は愛知県のさなげアドベンチャーフィールドのオフロードコースでの試乗がかなった。
 本当にクルマで走ることができるのか? と思うほどにタフなコースではあるが、ハイラックスは大地を力強く蹴って歩を進めていく。本格オフローダーの伝統でもある車軸式のリヤサスペンションは、凸凹の大きな路面で左が縮むと右が伸びるという原始的な効果で接地性を高める。独立懸架で同じような性能を持たせようとすればエアサスでアクティブに動かさなければならない。4WDシステムも基本的にはオーソドックスで、普段のオンロードはH2(2輪駆動モード)で走り、雪や滑りやすい路面ではH4(4輪駆動ハイモード)、泥濘地や急な坂道ではL4(4輪駆動ローモード)を切り替えていくパートタイム式。上級グレードのZにはアクティブトラクションコントロールとダウンヒルアシストコントロール(DAC)、そしてリヤデフロックが装備される。

 どこかのタイヤが完全に浮いてしまう場面にも頻繁に出くわすコースで、右後輪と左前輪など対角線上のタイヤがともにスリップしてしまうこともあった。そんなときは、アクセルを踏み続けているとアクティブトラクションコントロールが働き始めて空転しているタイヤにブレーキをかけ、接地しているタイヤに駆動力を配分していくことで前へ進んでいける。これがあればオフロード初心者でも今回のコースを難なく走破することが可能だったが、急な登り坂でリヤデフロックを試してみるとトラクションが強力で最高に気持ち良かった。滑りやすい路面で多少滑りながらもガガガッと後ろ足で大地を蹴って力強く登っていくのだ。
 その存在感やタフなイメージに憧れるとともに、一度でもオフロードコースを走ったらハイラックスの虜になること間違いないだろう。しかも500kgの最大積載量の荷台があって大人5人が乗れるクルマなんて他にない。ワークユースだけではなく、多彩な使い方に想像を膨らませたくなるのだ。


トヨタ ハイラックス Z ブラック ラリー エディション(6AT)

全長×全幅×全高 5335×1855×1800mm
ホイールベース 3085mm
トレッド前/後 1535/1550mm
車両重量 2080kg
エンジン 直列4気筒ディーゼルターボ
総排気量 2393cc
最高出力 150ps/3400rpm
最大トルク 40.8kgm/1600-2000rpm
サスペンション前/後 ダブルウィッシュボーン/車軸式半楕円リーフ
ブレーキ前/後 Vディスク/ドラム
タイヤ前後 265/65R17

販売価格 326万7000円-394万7400円(全グレード)



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