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更新日:2019.08.22 / 掲載日:2018.09.06
メルセデス AMGに初の電気アシスト、「53」シリーズ登場!
メルセデス AMG CLS 53 4MATIC+ (ISG搭載モデル)
文●ユニット・コンパス 写真●川崎泰輝
9月6日、メルセデス・ベンツは、メルセデス AMGに新たなシリーズ「53」を誕生させ、Eクラスファミリー(セダン、ステーションワゴン、クーペ、カブリオレ)とCLSの5モデルに設定したと発表した。
「53」のポジショニングは、既にある「43」と「63」の間とされ、「ISG (インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)」と「48V電気システム」、「電動スーパーチャージャー」を備える新開発の直6エンジンを搭載する。AMGモデルとしては、電気モーターによる駆動アシストは史上初となる。
新たな時代の要求に対するメルセデスの回答
大排気量のV8エンジンに象徴される圧倒的な動力性能と鍛え抜かれた足さばき、レースで培われた技術やノウハウがフィードバックされた孤高のエンジニアリングで、数多くの伝説を築いてきたメルセデス AMG。しかし、環境保護やエネルギーの効率化が大きくクローズアップされる今日、世界中の自動車メーカーが、過給機や電気モーターによるダウンサイジングを進めるなか、ついにAMGモデルにも電気モーターによるアシストが登場した。今回搭載される直6エンジンは、電気アシストを念頭に設計されたとのことで、そこからは新しいコンセプトに対するメルセデスの確たる決意が感じられる。
エンジンとトランスミッションの間に配置された「ISG」は、最高出力21.8馬力 、最大トルク25.5kgmを発生する電気モーターで、オルタネーターとスターターの役割も担う。 この電気モーターと「48V電気システム」が、ハイブリッドカーのように回生ブレーキで発電を行いリチウムイオンバッテリーに充電する仕組みだ。
エンジンが低回転の時には、蓄えられた電力で動力補助を行い、力強い加速と高い効率性を実現する。また、従来より高出力な電気モーターとなることで、スターターの振動が低減され、エンジンスタートやアイドリングストップ、再始動時の快適性がアップした。また、アイドリング時には、電気モーターの充電電流をコントロールして、エンジン回転数を安定的に保つことができ、効率性や快適性の向上に役立つという。48Vまで高められた電気システムは、動力補助に十分な出力を確保できるものの、60Vを下回る電圧なので、専用の乗員保護機構も必要ないという利点もある。
新型直列6気筒エンジンと電動スーパーチャージャー
今回の「メルセデス AMG 53 シリーズ」に搭載される新型直6エンジン(M256)は、「電化」を前提にして設計された初めてのパワーユニットだが、直列としたことで、エンジン左右のスペースに補器類を配置することが可能になっている。また、これまでエンジンが回転することで動力を得ていたエアコンやウォーターポンプなども電動化され、ベルト駆動装置も不要となり、エンジン自体がよりコンパクトになっている。また、排気によるターボチャージャーが効果を出しづらい、低回転域で「電動スーパーチャージャー」が過給をアシストすることでターボラグが解消され、全域で鋭い加速が可能になっている。
進化した「4MATIC+」としなやかさを増した足まわり
メルセデス AMG 53シリーズにはそのほか、エンジンパワーを4輪に最適に配分する4輪駆動システム「AMG 4MATIC+」が搭載されている。これにより、前後トルク配分がフロント50:リヤ50から、フロント0:リヤ100の範囲でトルク配分を適切に行うようコントロールすることで、あらゆるシーンで高い安定性を得ることができる。
「AMG ライド コントロール+」は、優れたレスポンスや自然なコーナリング特性、強力なトラクションを可能にするシステムで、連続可変ダンパーの「ADS+(アダプティブダンピング システム)」を採用したマルチチャンバー型エアサスペンションにより、卓越したドライビングダイナミクスと同時に優れた快適性も実現している。たとえば、コーナリング時やブレーキング時などには、スプリングレートを高めてロールを抑制するなど、各輪の減衰力を走行状況および路面状態に合わせて自動的に調整する。加えて、ダンピング特性を「コンフォート」、「スポーツ」、「スポーツプラス」の3つから選択することもでき、マルチなポテンシャルの高さも見せる。
メルセデス・ベンツ日本の上野金太郎社長
メルセデス・ベンツ日本のマーケティング・コミュニケーション部 AMG課のレナート・ニグマン氏
メルセデス AMG史上はじめてとなる、ハイパフォーマンスモデルの電気アシストについて、登壇した上野社長、ニグマン氏共に大いなる自信を見せた。
今回の「53」シリーズは、加速時にはモーターによる駆動アシストや電動スーパーチャージャーによる過給を行ったり、変速を素早く行うためにモーターを制御するなど、電力をパフォーマンスの向上に積極的に利用している。直6エンジンにこれらのシステムが組み合わされることにより、大排気量の自然吸気エンジンのような、スムーズでリニアな加速感や伸びやかな回転フィールが体感できる。そして、可変トルク配分の4輪駆動システム「AMG 4MATIC+」などによって、スポーティな走りを追求する一方で同時に快適性も重視している。「53」シリーズは、新世代AMGのひとつのあり様を示す新たなシリーズとして、大きな注目を集めるに違いない。
AMGらしさを感じられるスポーティ&ラグジュアリー
ルックスでも、メルセデス AMGとしてのアイデンティティが存分に発揮されている。フロントデザインはモデルにより異なり、 E クラスセダンおよび ステーションワゴンはダイヤモンドグリル、EクラスクーペおよびカブリオレとCLSにはシルバークロームのツインブレードフロントグリルが採用される。EクラスクーペおよびカブリオレとCLSは、フロントスポイラーにシルバークロームのフロントスプリッターを備え、また左右エアインテーク部にはシルバークロームの水平フィンが 2 本ずつ入り、その外側にブラックのフリックが採用される。CLS では、さらにサイドエアカーテンが装備され、Cd値の低減が図られている。20 インチのハイグロスブラックとシルバーのツートーン5ツインスポークアルミホイールは、力強くスタイリッシュに映える。リアは、ボディ同色のトランクリッドスポイラーリップが装着され、専用デザインの大型リアディフューザーとクローム仕上げのデュアルエグゾーストエンドが存在感を発揮する。
インテリアでは、EクラスとSクラスの「63」シリーズと同様に「AMG パフォーマンスステアリングホイール」が採用される。インストゥルメントクラスターに表示できる AMGメニューでは、エンジンオイルの温度やトランスミッションオイルの温度、前後及び横方向の加速度、エンジン出力およびトルク、さらには過給圧やタイヤの温度および空気圧、 車両設定状況などのデータを表示することができる。
メルセデス AMG E 53 4MATIC+ステーションワゴン(ISG搭載モデル)
メルセデス AMG E 53 4MATIC+ クーペ (ISG搭載モデル)
メルセデス AMG E 53 4MATIC+ カブリオレ (ISG搭載モデル)
メルセデス AMGが新たなステージに入った、そんな印象の「53」モデル。納車は、Eクラスセダン及びステーションワゴンが順次行われ、CLSは10月、Eクラスクーペ及びカブリオレは11月になる予定だ。
販売価格
E 53 4MATIC+ (ISG搭載モデル) 左/右 ハンドル 1202万円
E 53 4MATIC+ステーションワゴン(ISG搭載モデル) 右 ハンドル 1239万円
E 53 4MATIC+ クーペ (ISG搭載モデル) 左/右 ハンドル 1213万円
E 53 4MATIC+ カブリオレ (ISG搭載モデル) 右 ハンドル 1268万円
CLS 53 4MATIC+ (ISG搭載モデル) 左/右 ハンドル 1274万円