実はメリットも多い！高齢者の運転免許自主返納の方法と特典を解説

高齢になると加齢に伴って身体能力に変化があります。具体的には、動体視力の衰えや反応時間の遅れ、認知機能の低下などが挙げられます。その影響は車を運転する時の事故に繋がることがあります。事故全体のうち、65歳以上の高齢運転者の事故割合は17％を占めています。

高齢者の運転による死亡事故の原因のうちもっとも多いものがブレーキやアクセルの踏み間違いやハンドルの誤操作によるものです。歩行者に気が付くのが遅れ、いざブレーキを踏もうと思っても即座に身体が動かず、誤操作を起こしやすくなります。特に、毎日運転している慣れた道ではかえって気を抜いてしまうことで、高齢者の事故は自宅から500m以内で起こることが多いです。
また、認知症の症状に気づかず運転したり、すでに認知症の診断が出ていて家族が車のカギを取り上げたにもかかわらず事故が起こってしまう場合もあります。

過信せず、余裕を持った運転を心がけ、また、もみじマークをつけることで高齢者が運転していることを周囲に伝えることも大切です。

もみじマークは正式には高齢者運転標識といいます。高齢者が運転する場合に、見えやすい位置にとり付けることになっています。「もみじマーク」のイメージが高齢者のマイナスイメージに繋がるとして、2011年に四つ葉のクローバーをモチーフとした現在のデザインに変更されました。旧来のデザインも使用可能です。
もみじマークは、道路交通法で75歳以上が運転する際に表示することを義務付けられていました。現在その法律は当分の間適用されないこととなっており、70歳以上の努力義務となっています。努力義務のため、もみじマークを貼っていないからという理由で罰せられることはありません。
しかし、他の車がもみじマークを貼っている車に対して、割り込みや幅寄せをすると初心運転者等保護義務違反となります。
もみじマーク自体は義務ではありませんが、高齢運転者にとってデメリットはありませんので、自身のためにも貼るようにしましょう。

加齢や病気による身体機能の低下による運転免許の取り消しを申請することで、運転免許を返納することができます。
運転免許の返納は管轄の警察署または運転免許センターで行うことができます。都道府県ごとに異なるため、お住まいの都道府県警で確認しましょう。

運転免許の返納後、5年以内に申請することで運転経歴証明書の交付を受けることができます。
運転経歴証明書も運転免許返納と同様、警察署または運転免許センターで行えますが、即日交付を希望する場合は運転免許センターでの申請が確実です。運転経歴証明書は代理人申請ができず、本人のみ可能です。

高齢者の免許返納を促進するため、運転経歴証明書を提示することで受けられる優待制度が用意されています。

優待制度を受けられる対象は、運転免許を返納した高齢者に限定されているものが多いですが、中には年齢を問わずに受けられる特典もあります。
公共交通機関の利用に関する割引制度が多く、割引制度の内容は地域ごとに異なります。一部例を紹介します。

・指定されたタクシーが10％割引
・コミュニティバスの利用が無料
・入浴施設の利用料が半額
・クリーニング店など協賛店での割引サービス
・買い物配送サービスが無料

お住いの地域によって多種多様なサービスがありますので、詳しくはお住いの都道府県に確認してみましょう。

生活する上で欠かせない車ですが、高齢になると事故を起こす可能性も高くなってきます。日頃から十分な意識を持って運転することが大切ですが、運転免許返納によって受けられる制度も充実してきています。運転から卒業することも検討してみましょう。