試乗記[2018.04.20 UP]

【試乗レポート】見た目よし走りよし! 新型ボルボ XC40に驚きの連続!

文と写真●ユニット・コンパス

 テストドライブの出発地に指定されていたのは、神奈川県箱根町強羅にある某リゾートホテル。強羅周辺といえば、ひなびた雰囲気が魅力的な観光地だが、山あいを縫うように走る道は狭く、大きなクルマでは気を使うエリアでもある。
 コンパクト・シティSUVを謳うXC40ではあるが、全長4425mm、全幅1875mm、全高1660mmというボディサイズは、正面から見ると、XC60(全幅1900mm、全高1660mm)とほとんど変わらないことを予習ずみ。クルマに慣れる前に、ぎりぎりまで寄せてのすれ違いが発生するかもと、スタート前は正直若干気が重いところがあった。

関連情報

ボディタイプ:SUV・クロカン 輸入車 ラグジュアリー 4WD・2WD・駆動

モダンなデザイン。実際の印象は力強く頼もしい

 改めてXC40と対面して、写真から受けていた印象よりもずっと、力強さ、たくましさに好感を覚える。最近は各社からコンパクトSUVが登場しているが、そのなかでもXC40は正統派というか、いわゆるSUVと聞いてイメージするどおりのスタイルだ。全幅の広さと、全高の高さがルックス面ではプラスに働いている。
  XC40の日本デビューにあたって来日したエクステリアデザイン部門バイスプレジデント兼チーフデザイナーのマクシミリアン・ミッソーニ氏は、「XC90およびXC60では、フロントフェイスのモチーフとしてライオンを選びました。やり方によっては、XC40をそれらの縮小版としてデザインすることもできましたが、それではライオンではなく、猫のようになってしまう。それではダメだと私たちは考えました。そこで、我々はXC40のモチーフとして生意気なイングリッシュ・ブルドックを選んだのです。XC90、XC60、XC40の3つを並べてみると、各々に特徴があることがわかるでしょう。クリーンでストレートなデザインのXC90はエレガント、筋肉のような躍動感のあるXC60はスポーティ、そしてXC40にはSF的なガジェットや産業デザインのようなファンキーな趣があります」と語っている。

 なるほど、たしかにXC40はよりモダンで、いい意味でふてぶてしく、それが独自のキャラクター性を生み出している。ボディサイズの違いはあっても、ヒエラルキーはない、というボルボの主張には説得力があるし、XC40を検討しているユーザーにとってもプラスになる話だ。とにもかくにも、このXC40の登場をもってして、ボルボのSUVラインアップは完成となった。

美しさと実用性を兼ね備えたインテリアは素晴らしい

 インテリアにもXC40ならではの独自性が感じられた。インフォテインメイト系やエアコン吹き出し口などの基本的な造形は、XC90以来採用されているテイストの延長線状にあるが、ドアパネルの作りやカーペットなどの仕立ては、クルマというよりもミッドセンチュリー家具のよう。この感覚は新しいし、魅力的だ。通常、ドアパネルの下部にはスピーカーが収納されているが、これをダッシュボード内に収めることで、シンプルで美しいデザインと、広い収納スペースが両立できたという。
 さらに、物入れと使い勝手を向上させる便利グッズを多数用意。スマートフォンやタブレットとそれらの充電ケーブル置き場、ワイヤレス充電(Qi)、バッグをかけておくフック、ティッシュボックスやゴミ箱(!)まで用意されている。感心したのが、そういった生活を便利にする機能性を高めつつも、デザインが洗練されていて、生活臭がしないこと。

 乗り込んでみると、シートのしっかり感と作りのよさにニンマリ。助手席との距離がほどよく離れているのも、いいクルマに乗っている実感がある。これはボディサイズの幅広さがいい方向に作用しているのだろう。後席にも乗り込んで見たが、足元スペースも十分確保されていた。流石に横方向の見晴らしはXC60に敵わないものの、大人が乗っても4人乗車なら快適だろう。

2種類のエンジン、グレードも豊富で選択肢は幅広い

 さて、いよいよ出発。走りの実力を確かめる。機材を積み換える際にホテルの地下駐車場(これがまた狭い)で切り返しを行なったが、そこでありがたかったのが「360°ビューカメラ」。複数のカメラ画像を合成して、上空から見ているように視界をサポートしてくれるアシスト機能だ。さらに、運転席からの視界がよく、見切りがわかりやすいこともすぐに理解できた。大丈夫、このクルマなら強羅の道でも問題ない。

 話が少々前後してしまうが、日本に導入されるXC40のグレード構成は、エンジンがT4(190馬力)とT5(252馬力)の2種類。T5は全車AWDで、T4にはFFモデルも存在。さらに、トリムレベルとして、T4のみに存在するベーシックモデルのほか、装備が充実した「Momentum」、スポーティテイストの「R-Design」、そして最上級の「Inscription」が用意されている。
 今回試乗したのは、デビューを記念して300台限定で予約注文を受け付けていたXC40 T5 AWD R-Design 1st Edition。取材時点ですでに完売してしまったという人気モデルだ。

胸のすくような加速が楽しめるT5エンジン

 出発してしばらくは、道幅も狭く交通量もそれなりにあるため、おとなしく走る。それでも、身のこなしの軽やかさ、スポーティな味付けは伝わってきた。
 パワートレーンがXC60 T5と同じスペックで、車重が140kgも軽いのだから当然といえば当然だが、ステアリングに対する反応の味付け、ニュアンスがXC90やXC60とは異なる。よりシャープで動きがキビキビしている。「1st Edition」に特別装備される20インチホイールの影響もあるだろうが、ルックスだけではなく、乗り味についてもXC90やXC60とはキャラクター分けされているのだ。

 試乗のステージがワインディングに移ると、気分はまさに爽快。新世代となった90シリーズから、走りの実力が一層高まっているのは感じていたが、重心の高いSUVでここまで一体感のある走りを披露してくれるとは想定外だった。しかも、もっともリーズナブルなモデルで。
 パワートレーンはゆっくり走っても、鞭を入れても顔色変えずスムーズだし、フットワークも健脚そのもの。つぎのコーナーが待ち遠しい! そんなボルボなのだ。
 かつてボルボに対するイメージが「上品でおだやかな紳士」だったとすれば、それが「さわやかでセンスよく、運動神経もいいイケメン」になった感じといえば伝わるだろうか。乗る前にあれだけ心配だった車幅も、クルマと一体感があるためか、試乗していて気になることはついぞなかった。

スポーティでおしゃれ。新型XC40はボルボの新境地だ

 これならエンジンはT4で十分かもしれない。T5のパワフルさも魅力だが、T4なら価格も500万円を切る。おそらく売れ筋はT4 AWD MomentumかT4 AWD R-Designあたりになるのだろう。「R-Design」の標準タイヤは19インチで、サスペンションもハードな味付けになっているので、ファミリーユースなど乗り心地を重視するなら18インチタイヤの「Momentum」もぜひ乗り比べてもらいたい。

 500万円もするクルマを前に、コストパフォーマンスという言葉は似つかわしくないのかもしれない。それでも、強力なライバルが並み居るコンパクトSUVセグメントにおいて、ボルボ XC40は間違いなく、価格に対する価値が高いクルマ筆頭格にいる。


ボルボ XC40 T5 AWD R-Design(8速AT)
全長×全幅×全高 4425×1875×1660mm
ホイールベース 2700mm
トレッド前/後 1600/1625mm
車両重量 1690kg
エンジン 直列4気筒DOHCターボ
総排気量 1968cc
最高出力 252ps/5500rpm
最大トルク 35.7kgm/1800-4800rpm
JC08モード燃費 12.4km/L
サスペンション前/後 ストラット/マルチリンク
ブレーキ前後 Vディスク
タイヤ前後 235/50R19

販売価格 389万円〜549万円(全グレード)

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