車検・点検・メンテナンス
更新日:2018.02.01 / 掲載日:2018.02.01

【旧車趣味】TOYOTA セリカ

旧車を楽しむ上で部品の確保は重要。比較的探しやすいといわれるトヨタ車であっても、確かな知識とノウハウは必要だろう。今回はこの時代のトヨタ車を知り尽くしているエキスパートに、最新事情を聞いてみた

【取材協力】新和自動車
TEL0561-38-8931
所在地/愛知県愛知郡東郷町諸輪字福田27-1
営業時間/9:00~18:00(平日)、10:00~18:00(土日祝日)
定休日/月曜日
URL/http://www.n-classiccar-jp.com

ブーム前から多くの旧車を手掛ける老舗の専門店。販売車両はメーカー&車種を問わず幅広く揃えており、人気車の入庫も頻繁。顧客の希望に応じた仕上げで提供してくれる頼りになるお店だ。また部品販売にも力を入れており、店舗内の専用コーナーには車種別に整理された部品がズラリ。部品を探しに地方から遠征してくるユーザーも多いそうだ。

生産時期で部品は微妙に違うエンジンは特に要注意

同じ2T-Gでも前期、中期、後期では細かい仕様が違っている。特にヘッドは違いが大きく、バルブの径も異なっている。パーツはそれぞれ流用できない場合も。

「2T-Gエンジンは前期、中期、後期で仕様が異なるんです」と話すのは、毎年秋に豊田スタジアムで旧車イベント「NAGOYACLASSICCARMEETING」を主催することでもおなじみの、新和自動車・代表・樋口英義さん。
「2T-Gエンジンはチェーンテンショナーからのオイル漏れが定番のトラブルですね。テンショナーの根元から漏れてきます。漏れている場合はテンショナー自体もすでに調整できなくなっていますから交換が必要なのですが、パーツは手に入りにくいです。修理は難しいですね。リプロパーツもあるのですが、こちらも手に入りにくいですね」

他にエンジンまわりで出やすいトラブルはありますか?
「エンジン自体は丈夫なので、きちんとメンテナンスしていれば壊れやすいということはないです。2T-Gは大きく分けて前期、中期、後期があるのですが、それぞれ少しずつ仕様が違うんです。ヘッドはそれぞれに違っていて、タイミングチェーンカバーの形状で判別していますが、ポートの形状やバルブも違うようです。エンジンのオーバーホールでパーツを注文する時は、車台番号だけでなくエンジンを確認しないと、パーツが適合しない場合もあります。エンジンが積み替えられている車体も多いですからね」

キャブレターはどうですか?
「2T-Gにはソレックスの40φが装着されていますから、メンテナンスや補修パーツは心配ありません。ただ、リンケージロッドのジョイント部分が樹脂製なので外れやすく、ひどい場合には割れてしまうこともあります。走行中に外れたらアクセルが利かなくなるので大変です。純正パーツはもう出ませんから、ソレックス用のロッドを加工して取り付けることが多いですね」

補機類などでトラブルが出やすいポイントはありますか?
「特に壊れやすいパーツはないですね。ウォーターポンプやダイナモもリビルトパーツがありますので、修理に関しては心配ありません」

取材車両のエキマニは社外品に交換されている。当時物のフジツボ製? 同じ2T-GでもTE27用とは互換性はない。社外パーツが豊富に流通しているので安心。

点火系はフルトランジスターに交換済み。始動性が向上して安定する。純正デスビキャップやローターはパーツが欠品となっているので、フルトラ化する場合が多い。

キャブレターはソレックスPHHの40ΦS型となる。ガスケットやジェット類など、調整やオーバーホールに関するパーツは今でも手に入りやすい。

アクセルのリンケージロッドのボールジョイントが外れやすい。樹脂製なので劣化してグラグラになっていたり、ひどい場合は割れてしまっていることもある。

2T-Gのタイミングチェーンテンショナーは鬼門。チェーンにテンションが掛けられなくなり、根元からオイル漏れが発生する。純正パーツはすでに製造廃止で分解修理も不能。

トヨタのソレックスはリンケージの形状が独特で、同調の取り方が他のソレックスとは異なる。

慣れてしまえば問題なく調整することができる。

ステアリングラックのリンクロッドにガタが出てステアリングがダルになっている個体も多い。カラー部分が摩耗してガタが出ているので、カラーなどで加工して対処する。

基本的に丈夫なクルマだが電装&点火系に弱点がある

電装関係でのトラブルはありますか?
「ウインカーレバーのコラムスイッチが接触不良になっていることが多いですね。こちらもすでに純正パーツはありませんから、修理することになります。内部が破損していた場合は程度のよい中古パーツを探すしかありません。同じようにイグニッションキースイッチも接触不良になることがあります。接点のクリーニングや調整で直ることもありますが、内部のパーツが摩耗、破損していた場合には、こちらも中古パーツを探すしかありません。すり減ったキーから合鍵を作成することもできます」

点火系のトラブルは?
「特にこれといったトラブルはありませんが、デスビキャップやローター類は純正パーツが手に入りません。ポイントやコンデンサーは今でも手に入りますが。トラブルを未然に防ぐためにも、フルトラ化をオススメします。フルトラにすれば始動性も向上しますし、アイドリングも安定します」

他に電装部品で気になる部分はありますか?
「これは旧車全般にもいえるのですが、ワイパーの動きが悪くなっているクルマが多いですね。モーター自体が劣化していることもありますが、ロッドやリンケージのガタで動きが悪くなっていることも多いです。ガタを修正してやれば動きがよくなることがほとんどです。それと、センターコンソールに取り付けられているアナログ時計は、ほぼ100%壊れます。修理するにはかなり手間がかかるので、パネルはそのままにして内部の時計を最近のクォーツに入れ替えて修理することもあります」

ブレーキまわりはどうですか?
「ブレーキで特別よくあるトラブルはありません。オーバーホールに関してもキャリパーのシール類やドラムブレーキのカップ類もまだ手に入ります。ブレーキパッドやブレーキシューも社外品がありますので問題ありません。オーバーホールしても効きがよくないという方もいらっしゃいますが、ブレーキローターが段減りしていることが多いですね。研磨してやればノーマルのブレーキでも効きは悪くないですよ」

足回りで注意するポイントは?
「古いクルマですから、ゴムパーツの劣化には注意したいですね。特にフロントサスペンションのアッパーマウントが劣化しているクルマも多いです。アッパーマウントが盛り上がっているクルマは要注意です。そのまま放っておくと突き抜けてくる場合もあります。この部分も純正パーツはありませんので、リプロパーツを探すことになります。サスペンションも交換してピロアッパーにしている車両も多いですよ。ショックもスプリングも社外品が流通しています」

他に気になる部分はありますか?
「ステアリングにガタが出ているクルマが多いですね。ステアリングラックのリンクロッドにガタが出て、ステアリングにもガタが出ます。リンクの取り付け部分が摩耗してガタが出ているので、カラーを加工するなどして修理します。ここも純正パーツは出ませんので。ちなみにTE27も同じ症状が出ますよ」

ボディについてはどうですか?
「フェンダー、ドア下、サイドシルなど錆びるポイントは他の旧車と同じです。ボンネットの先端を見ればそのクルマの状態が分かりますね。裏側からも確認すれば、放置してあったクルマかどうかは一発で分かります。あと、このクルマのガラスは接着で固定されているのですが、その上にモールが貼り付けられているので、この隙間に泥や汚れが溜まって錆が進行することもあります。屋外保管のクルマは要注意です」

雨漏りもここからですか?
「雨漏りはバルクヘッドの内側、カウルトップ部分から入った水や汚れが中で錆を発生してそこから漏れるようです。足元が濡れていたらほぼここからで間違いないですね。大変ですが修理は可能です。セリカは旧車の中でもパーツは豊富で壊れにくく、維持しやすいクルマですよ」

セリカのボンネットは前ヒンジですが、このヒンジが弱く曲がりやすいです。開閉する時にはなるべくボンネットの真ん中を持って、まっすぐ開閉するようにしてください。

フロントサスペンションのアッパーマウントが劣化しているクルマも。中央が盛り上がっているようなら要注意。突き抜ける危険もあるので早めに対処を。

燃料ポンプは機械式。古くなるとトラブルが出やすく、補修パーツも手に入らないため、電気式に交換しているクルマも多い。電動ポンプは手に入れやすい。

ボディサイドのストライプは社外品が流通しているので困ることはない。万が一ぶつけてボディを補修した時も、塗装が劣化してオールペンする時も安心。

エッジがシャープなデザインのドアバイザーは当時物の純正オプション品。クォーターウインドウまで一体型のステンレス製だ。

屋外に保管していたクルマは内装の傷みも激しい。特にダッシュボードは破れやすく、直射日光が当たる場所にはなるべく置かないこと。

初期型のクーペのみに採用されている赤一色のワンテール。すでに純正部品の生産は終了し、生産期間も短かったので現存数は少ない。中古パーツも高価。

ダックテールタイプのリヤスポイラーは当時の純正オプション品。ほぼ同じ形状の社外品なら今でも手に入るが、純正のスポイラーは貴重。

初期型のタンクはトランク下に。燃料タンクが錆びているとエンジンにも悪影響を及ぼすので、錆が出ていたらクリーニングとコーティングを。

シートの破れは補修可能。GT系とその他のグレードでは生地が異なるが、どちらも似たような生地を使用して修理することは可能だ。

シートバックには大型のポケットがついているが、ゴムが伸びてダルダルになってしまう。このたるみ部分のゴムを張り替えて修理することもできる。




提供元:オートメカニック



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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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