試乗記[2018.01.05 UP]

【試乗レポート】これがLSの実力だ! レクサスの新時代を告げる大変身

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レクサス LS500h エグゼクティブ

文●九島辰也 写真● ユニット・コンパス

 日本の4ドアサルーンが変える。
 新型レクサスLSはそんな使命を持って生まれたのではないだろうか。このクルマの登場で保守王道的な日本製フルサイズサルーンは変化を強いられるかもしれない。
 そう思わせるのはエクステリアデザイン。リヤピラーの立った後席優先のセダン的概念はなく、流れるようなフォルムが描かれる。言ってしまえば、4ドアクーペ。もちろん、それは最近のトレンドで、ジャガーやアウディなどは数年前から取り入れていたし、メルセデスもBMWもその傾向は強い。
 だが、新型LSに関していえば、それを上まわるクーペライクなラインを持つ。事実、従来車比で、ルーフ、ボンネット、トランクルームの高さはすべて下げられた。しかも、新型はロングホイールベースモデルのみなので、よりフォルムが綺麗。リヤフェンダーの膨らみと相まって、グラマラスで美しいボディが形成された。

 それが実現できたのは、ベースとなるプラットフォームがこれまでとは違うからだ。GA-Lと呼ばれるもので、先にLCに採用された新世代プラットフォームとなる。
 特徴はFRパッケージングを最大に生かしたレイアウト。そして目的は運動性能の向上となる。なので、フロントアクスルからフロントピラーまでの距離が長くなり、ドライバーを含む乗員は従来型よりも後方へスライドされた。ロングノーズに見えるのは目の錯覚ではなくそのせいである。
 パワートレーンは、3.5Lマルチステージハイブリッドと同排気量のターボエンジンが搭載される。前者がLS500h、後者がLS500。不思議なのは今回V8エンジンが用意されなかったことだ。LC用の5L V8自然吸気という必殺技があるのにそれを採用しなかった。理由は、先進性というイメージだろう。ヨーロッパメーカーの視点からすると、いまどき5L V8自然吸気エンジンは時代遅れと考えられる。だが、現実には官能的で優れたユニットであることはLCで実証済み。クルマ好きから支持されるのも想像がつく。V8もターボ化される傾向にあるいま、自然吸気の気持ちよさからしてLS600として登場させてほしかった。そうすればきっとV8自然吸気を持たないドイツメーカーは嫉妬したことだろう。
 トランスミッションも見るべきポイントは多い。ターボエンジンに組み合わされる10速ATも、ハイブリッドに組み合わされる10段変速制御を備えるマルチステージハイブリッドトランスミッション(電気式無段変速機)も走りを楽しくしてくれる。ではどこが楽しいかというと、オートマモードでの変速タイミング。“走り”を強調するとMTモードでのドライビングに話が終始してしまいそうだが、じつはオートマモードがキモ。車速と回転数、ドライバーのクセを学習し、気持ちのいいタイミングでの変速を提供してくれるのだ。場面によってはMTモードを上まわる楽しさだろう。
 次に足まわりだが、新型のサスペンションはすべてエアサスとなる。これはLC用に開発したものをLS向けにチューニングしたもの。要するに、高速走行時のオートレベリング制御やワインディングでのロール制御から乗降モードまで広い範囲でドライバーのニーズに応えている。“走り”と“快適さ”を高い次元でバランスよく行なっているのだ。

走らせると想像を上まわるスポーティさを披露

 そんなパワートレーン&シャシーを持ったLSを実際に走らせるとどうなのかだが、それは想像以上にスポーティであった。とくに、ターボエンジンのFスポーツは全長5mオーバーの4ドアサルーンであることを忘れるほど高い運動神経の持ち主である。それを強く感じるのはやはりワインディングで、この大きなボディをクルクルと回転させる。ドライバーはただただコーナーの出口に向かってハンドルを切るだけだ。
 コーナーで活躍するのはトルクベクタリング機構と4WS。Fスポーツではそれが前面に出て運動性能の高さを強調する。ただ、その分微妙にステアリングはセンスティブになる。実際慣れるまでオーバーステアの傾向は強く感じ、ステアリングを戻す作業を幾度となく行った。
 それでは、どのクルマがバランスよく感じられたかというと、ハイブリッドのバージョンL AWD。スタリングセンターが落ち着いていて大人っぽい走りができる。がっついた走りをしなくても速さは十分で、しっとりした乗り味も与えてくれるといった感じだ。コーナーでも4WSがないのでオーバーステアではなくニュートラルステアで走れる。AWDということもあり、きっとウェット路面での恩恵もあることだろう。

オリジナリティが高く、世界レベルとなったインテリア。先進安全装備も充実

 走りがスポーティであることに驚かされ、そんな話で盛り上がった新型LSだが、インテリアデザインも注目に値する。落ち着いたなかにも先進性のあるデザインなのは言わずもがなだが、嬉しいのはオリジナリティがあること。ジャーマン3(メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ)とは異なる路線でしっかり高級感を醸し出している。日本のカーデザインもついにここまできたか!と思ったのは自分だけではないだろう。
 この他、安全装備を含め世界初となる電子デバイスが搭載されるのはご想像のとおり。駐車時のミスをサポートし、人間を感知した際には自動でブレーキをかけてくれるパーキングサポートアラートおよびブレーキ、操舵支援までも行う自動ブレーキのプリクラッシュセーフティシステムなど、歩行者との関係における安全性もしっかり高められている。
 このように盛りだくさんの新型LS。まずは先代からの代替え需要があるだろうが、興味あるのは輸入車からの乗り換え。いったいこの層のカスタマーはスポーティになったLSをどう解釈するのか。しばらくはLSから目が離せない。

レクサス LS 500h エグゼクティブ(CVT)
全長×全幅×全高 5235×1900×1450mm
ホイールベース 3125mm
トレッド前/後 1630/1635mm
車両重量 2320kg
エンジン V型6気筒DOHC+モーター
総排気量 3456cc
エンジン最高出力 299ps/6600rpm
エンジン最大トルク 36.3kgm/5100rpm
モーター最高出力 180ps
モーター最大トルク 36.3kgm
サスペンション前後 マルチリンク
ブレーキ前後 Vディスク
タイヤ前後 245/50RF19

販売価格 980万円〜1680万円(全グレード)

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