日産ジュークNISMO RSの称号は伊達じゃない！

【本記事は2015年1月にベストカーに掲載された記事となります。】日産ジュークのスポーツバージョンというと真っ先に思い出すモデルがある。それはGT-Rのエンジンと駆動システムをそのままジュークに移動したジュークRだ。ボクはアメリカでこのジュークRに試乗したことがある。強烈な加速、すばらしい効き味のブレーキ。何もかもがベースとなっているジュークとは異次元のモデル、というよりはマシンだった。ただひとつ共通していたことがある、それはコーナリングでしっかりとロールして曲がるその姿勢だった。ノーマルモデルに乗ればわかるけれども、ジュークの足はよく動く。ベースモデルのジュークでもかなりのストローク感があるのだ。そしてここで紹介するジュークNISMO RSは、すでに発売されているジュークNISMOからさらにエンジン出力を向上。214ps／25.5kgmの高出力。さらにCVTのチューニングも行われ、マニュアルモードが従来の7速から8速に変更されているのだ。ま、なんだかんだ御託を並べる前に走ってみよう。

コックピットに乗り込む。レカロのスポーツシートに身体を包み込まれる。なんだかこのシート、本気モードにさせてくれる。座面、背もたれの両端が盛り上がっていて体をしっかりとサポートするこのレカロのスポーツシートのおかげでドライビングポジションはいい。走り出すと直進性は抜群。ま、4WDなんだから当たり前か。しかし、ピシっとステアリングのセンターが座ってる感覚は安心感を与えてくれる。肝心のエンジンはカタログ数値以上にノーマルとの差が歴然。ピックアップもターボの盛り上がりも2枚も3枚も上だ。とにかく力がある。サスペンションは、そりゃあ締まっているぜ。まったくヤワな感じはしないけれども、ステアリングを切り込むと意外に鈍くロールも感じ取れる。だけど、その鈍さは4輪がしっかりと路面にグリップしているからそう感じるもの。徐々にスピードを上げて本気モードに入っていくと、それまでちょっと鈍いなと感じていたステアリングフィールがしっかりとしたグリップ感をフィードバックし、すべてのコーナーに安心して飛び込んでいけることに気付く。とにかく4輪すべてが路面に吸いつくようにグリップしているのだ。車速感応式電動パワーステアリングのチューニングも行われている。タイヤは18インチだが、軽量化を実現したアルミホイールによりバネ下重量を軽減しているのも効果絶大。

コーナリングの安定性もさることながら、ジュークNISMO RSで驚くのはマニュアルモード8速に変更されたCVT。8速にすることでクロスレシオ化されているのだからワインディングでパドルを駆使しながら、さぞかし楽しいだろう、と走り始めたら、なんと1速ギヤモードで80km／hを記録してしまったのだ。ちなみに2速では100km／hちょっと。どこがクロスレシオなんだよ！ （誰にもクロスレシオですから、とは言われていなかった）と叫びながらブレーキング、そして左手パドルを引いてダウンシフト。その時だ、ボクの目が点になったのは。時速80km／hで1速にシフトダウンしたのだ。普通この速度で1速ギヤなんて入るはずもない。つまり1速ギヤの守備範囲が広く、2速にシフトアップした時には800rpmぐらいしかエンジン回転は落ち込まず、次々とシフトアップしてゆくのだ。つまり1速以外が超クロスレシオとなっているのだ。1速で80km／hまでをカバーするのと、4000rpmまではCVTとしての可変ギヤレシオを行うので、低速になってもエンジン回転が高くトルク感が失われない。だから、ワインディングを走るのが楽しくなりこれなら存分にワインディングも堪能できる。実用的なギヤレシオ設定なのだ。

写真をご覧のように、エクステリアもインテリアもやる気マンマンの仕上がり。最近のNISMOシリーズ車はフェアレディZをはじめ完成度が高く、ハンドリングも安心してとても楽しめるものだ。

そんなジュークNISMORSのお値段は343万4400円。世界にたった4台、1台6500万円のジュークRより身の丈サイズで楽しめます。ただし、RSの称号は伊達じゃなくその実力は侮れない。

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