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更新日:2019.01.27 / 掲載日:2017.12.03

ECO&環境&大不況時代の宿命対決絶対やっておかなくてはいけない インサイトvsプリウス

ユーザーにとってはいいものを安く買えるというのは歓迎すべきこと

FRONT:でもプリウスって比べてみるとでっかいなァ

FRONT:でもプリウスって比べてみるとでっかいなァ

【本記事は2009年7月にベストカーに掲載された記事となります。】4月に1万481台を販売し、ハイブリッドカーとして初の登録車の月販ナンバーワンに輝いたインサイト。しかし上には上がいて、5月18日にデビューした新型プリウスは、デビュー前からオーダーが殺到し、デビュー時に8万台超、デビュー後2週間で約5万台を上乗せし、13万台超を受注。人気はBCの予想をはるかに超越。この異常なまでの人気の最大要因は205万円から購入できる価格設定にある。ほとんど独占市場だったハイブリッドマーケットにホンダがインサイトの低価格路線で殴り込みをかけ、そのホンダ潰しともいえる旧型よりも大幅に安いビックリバーゲンプライスをアピール。「正直なところちょっとやりすぎ感がある」(プリウスの担当エンジニア)と恐縮するも、ユーザーにとってはいいものを安く買えるというのは歓迎すべきこと。インサイトという存在がなければ、新型プリウスのビックリ価格もなかったと考えると、プリウスを購入した人も、これから購入しようとしている人も、インサイトがトヨタの危機感を煽るだけのクルマだったこと、低価格路線で突き進んできたことに感謝すべきでしょう。

価格はどちらも205万円! 奇しくもグレード名も同じL

価格はどちらも205万円! 奇しくもグレード名も同じL

ハイブリッドの種を蒔いたのはトヨタであり、プリウスなのだが、その対抗馬がインサイト。つまり、新型プリウス対インサイトのハイブリッドカー対決は、ECO&環境&大不況時代には避けられない宿命対決。BCとしても、この対決をやらないわけにはいかぬ。今回対決させたのは、新型プリウス、インサイトとも205万円のL(←価格だけでなく、グレード名まで同じにするとはトヨタも露骨やねぇ)。違うのは、プリウスLは最廉価グレードなのに対し、インサイトLは中間グレードという点。

新型プリウス対インサイトのハイブリッドカー対決(1)

1年以上使用した13年以上落ちの廃車にするクルマがあれば、25万円、そのクルマがない場合でも10万円の新車購入補助金が出る。これは’10年3月31日までに納車された場合に適用

1年以上使用した13年以上落ちの廃車にするクルマがあれば、25万円、そのクルマがない場合でも10万円の新車購入補助金が出る。これは’10年3月31日までに納車された場合に適用

●ボディサイズ&エクステリアプリウスが全長4460×全幅1745×全高1490mmなのに対し、インサイトは全長4390×全幅1695×全高1425mmと、写真を見てもわかるとおり、プリウスがひと回り大きい感じ。空力を追求したワンモーションフォルムは共通ながら、インサイトはフロントマスクを低くすることでローフォルムを強調し、ルーフラインの傾斜がなだらかなクーペルックとしているためプリウスよりもスポーティで若々しい印象。●インテリアシンプルなプリウスに対し、シュボードのシボを葉脈風に仕上げるなど、質感はプリウスが上。いっぽうのインサイトは、適度なタイト感のあるコックピット感覚で、エクステリア同様にスポーティ感を強調。リアの居住空間は、ボディサイズの差がモロに出て、ニースペースはそれほどの差がないが、インサイトはサイドの圧迫感がある。後席の居住性を重視するならプリウスに軍配。●視界(編)はインサイトに初めて乗った時に後方視界の悪さに驚いていたが、プリウスも大差ないレベル。ミラー越しに見る時、リアエンドの横バーが気になる。雨の日の後方視界確保にはリアワイパーが重宝するが、プリウスLに設定がないのは残念。●トランク旧型プリウスとの比較ではインサイトの使い勝手のよさが光ったが、新型相手となると開口部の横幅、奥行きともプリウスに敵わず苦戦。ラゲッジの使い勝手は旧型から大幅に進化。で、気になる燃費、走りは次ページから!

新型プリウス対インサイトのハイブリッドカー対決(2)

燃費に悪いウェット。これぞまさに雨中(宇宙)決戦

燃費に悪いウェット。これぞまさに雨中(宇宙)決戦

いつもの編集部~東名高速~篭坂峠中央道~編集部という燃費コースではなく、プリウスの試乗会が開催された、開港150周年に沸く横浜を舞台に敢行。コンディションはあいにくの雨で、エコタイヤでも通常よりも走行抵抗が増えるため燃費に厳しい条件下で敢行。●一般道区間(平均12km/h)雨ということもあり、横浜市街は大混雑。得意の渋滞だから、さぞかし高燃費をマークするだろうという期待に反し、新型プリウス20.0km/L、インサイト15.3km/Lと、10・15モード燃費達成率はそれぞれ52.6%と51.0%と低い!新型プリウスは旧型に比べモーターが頻繁にエンジンをアシストし、バッテリーの電気を出し入れしている感じ。EVモードは1kmから2kmに倍増したが、問題はバッテリー残量が少なくなった時に燃費が悪化してしまうこと。バッテリー残量をうまく計算しながら走るかが高燃費をマークするポイント(←今回はうまくいかず)。いっぽうのインサイトは、渋滞時間が長くなれば、アイドリングストップしていてもエンジンが再始動してしまうのが燃費の悪化の最大要因。●高速区間(平均70km/h)料金所でのスロー走行を除けば渋滞フリー。両車ともに一般道よりも10・15モード燃費の達成率はアップ。新型プリウスは1.8Lへの排気量アップにより坂道などでも不必要にアクセルを踏み込む必要がない。いっぽうインサイトは、評判どおり高速燃費がいい。アクセル開度が一定のパーシャル状態では80km/hで走行していてもモーター走行が可能。●トータル燃費をよくしようという意図的な走りをまったくしなかったこと、雨による燃費の悪化が5~10%ということを考えると、順当な燃費ともいえそう。トータル100.7kmを走行してのガソリン代は、新型プリウスが461円、インサイトは573円。やっぱり、懐にも優しい!

インサイト:1.3L+モーター 88ps/12.3kgm モーター/14ps 新型プリウス:1.8L+モーター99ps/14.5kgm モーター/82ps

インサイト:1.3L+モーター 88ps/12.3kgm モーター/14ps 新型プリウス:1.8L+モーター99ps/14.5kgm モーター/82ps

驚異的なバカ売れ状態が続く新型プリウスだが、安さだけではなく、中身が大幅進化した点もその理由として無視できない。旧型はおろか、ライバルのインサイトと比べてもアドバンテージが大きいのだ。1.5Lから1.8Lに排気量アップしたことによる新型プリウスのメリットは、体感上では動力性能の向上が一番。さらにモーターもパワーアップしているから、速さは旧型より格段レベルアップ。その差は2Lから2.5Lに乗り換えた感じだ。そのいっぽうで、シリンダー当たりの排気量を上げることによる熱効率向上や高速走行時のエンジン回転数を下げることが可能になるので、主に高速時の燃費向上に貢献。つまりプリウスのハイブリッドシステムのメリットで排気量アップはパワーと燃費を両立できるわけだ。インサイトのモーターがエンジンをアシストするタイプのIMAではここまでの性能アップは難しい。燃費はいいがハンドリングはイマイチ、といわれたプリウスも新型は確実にレベルアップしている。オーリスベースのプラットフォームを採用し、並レベルに近づいた。しかし、今回インサイトと比較した205万円のLの場合、17インチタイヤを履くツーリングセレクションに比べるとちょっと心許ない。というのも、車重に対し185/65R15サイズのエコタイヤは明らかにグリップ不足で、接地フィールもあまりよくない。電動パワステはスローで手応えも少々曖昧。その点インサイトは楽しい。プリウスに比べるとはるかに低重心で車重も軽く、タイヤもエコに特化していない。ステアリングはダイレクト感が強く、軽快なフットワークを見せてくれる。スポーティなインサイトのハンドリングは、プリウスに対する最大のアドバンテージ。

トヨタの十八番である静粛性は大進化。モーターの使用領域が広く、エンジンも高回転域を使わないプリウスは旧型も静粛性が売りだったが、新型はさらにいい。これはボディの遮音対策による効果も大きい。また、エンジンの使用回転域が旧型に増して低くなった効果も見逃せない。さらにエンジン始動時の振動も少なくなっているから、走行中にエンジンが再始動しても気づかないほど。これは旧型オーナーなら乗れば一番の違いと認識できるはず。この抜群の静粛性を誇るプリウスだから、インサイトはさすがに及ばない。全気筒休止というホンダならではの技術によるモーター走行はあるが、アイドリングストップしても停止中にエンジンが再始動するケースが多いので、プリウスのように無音に近い走りはほんのわずか。現実的にインサイトの場合、ほとんどのケースでエンジンが回っており、そのサウンドもやや高め。ただし耳障りではなく、エンジンを回すほどにスポーティな気分にさせてくれるが、こと静粛性というレベルでは敵わない。また、エンジン再始動時の振動も大きめだ。

プリウス、インサイトを走り比べての質感は?

インサイトよりも乗り心地はいい。荒れた路面ではその差は顕著。同時に新型は旧型よりも明らかに速い!

インサイトよりも乗り心地はいい。荒れた路面ではその差は顕著。同時に新型は旧型よりも明らかに速い!

プリウス、インサイトを走り比べての質感はやはりプリウスが勝る。特に静粛性や振動においては車格が2ランク違うと感じるほど。パワフルでスムーズな加速もプリウスの走りの質感の高さを感じさせる。乗り心地はソフトめで、それなりに重厚感のあるプリウスとハンドリングも重視したためにかなりのハードサスとしたインサイトではまったくキャラが異なるが、乗り心地も質感という点ではプリウスが上。インサイトのリアの突き上げ感の大きさはさすがに気になるレベル(←すぐに慣れるが……)。とはいえ、プリウスの最廉価モデルのLの場合、上質といえる乗り心地はG、Sグレードであり、ステアリングフィールも容量アップしたブラシレスEPSを採用するツーリングセレクションより劣るのも確か。最後に加速性能比べ。これはもうプリウスが格段に速い。インサイトデビュー時に旧型プリウスと速さ比べしたが、速かったのは旧型プリウスだったのでこれも至極当然の結果といえるだろう。 新型のシステムパワーは旧型の113psから136psへとアップ。車重も増えたといえ、このパワーアップぶりは大きい。インサイトとの差を例えるなら旧型が1.5Lと2Lの差だったのに対し、新型は2.5Lクラスに匹敵。インサイトに比べ、プリウスはモーター出力が格段に大きいから、日常での加速性能は大きなアドバンテージとなる。加速フィールの善し悪しは別として、新型プリウスはとにかく速いのだ。

新型プリウスVSインサイト走りを総合評価する

これまで走りに関して新型プリウスとインサイトを比較してきたが、旧型の最廉価モデルををEXとして189万円で併売する(インサイトGと同じ価格)こともあり、旧型プリウスの評価も加えて採点してみた。新型プリウスの走りは、採点結果からも旧型プリウスに比べてあらゆる点で大幅に進化してりいただけよう。排気量が1.5Lから1.8Lに変更され、力強さを増したと同時にスムーズさも手に入れたかたちだ。旧型も既存のガソリン車に比べて違和感がなくドライブできたが、新型ではさらに普通になっている。これは凄いことで、最大の誉め言葉と思ってもらっていい。走りのなかで特筆すべきはNVH(静粛性や乗り心地)に対し、徹底的に対策してきたことで、動力性能が2.5Lクラスに格上げされた以上の進化ぶりをみせているといえるだろう。旧型オーナーが新型に乗り換えた時の満足度も大きいハズ。いっぽう対抗馬のインサイトに関していえば、プリウスがオーリスとプラットフォームを共用するのに対し、フィットと共用ということで、車格の違いがそのまま走りの質感の違いとなっているのは否定できない。しかし、走りの楽しさという点では新型プリウスも進化させてきているが、それを凌駕するポテンシャルを持っている。これこそインサイトのキャラクターであり、最大の魅力なのだ。トータル性能に優れる新型プリウスに対し、インサイトはライト感覚の新世代スポーティカーという感じだから、同じハイブリッドカーではあるが、そのキャラは似て非なる2台なのだ。うまい具合に棲み分けして共存してもらいたいもの。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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