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スバル インプレッサWRX STI VS 三菱 ランサーエボリューションX The Battle Begins!! 雌雄を決す!

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ベストカー

2大コンペティションスポーツ

【本記事は2007年12月にベストカーに掲載された記事となります。】 決戦の火ぶたが切って落とされた。この10月24日インプレッサWRX STIがデビューしたことで、それに先駆けて10月1日デビューのランエボXとの一大決戦が幕を開けたのだ。 「世界ラリー選手権という最高の舞台で勝つために作ったクルマです」。 インプレッサの開発リーダーである森宏志氏はそう語る。しかしここ日本では、もしかするとWRCのライバルたちより手強い相手がいることは、もちろん忘れたわけではないだろう。 ’92年に初代インプレッサWRXが誕生してから15年、ランエボとインプレッサは日本が世界に誇る「2大コンペティションスポーツ」として広く深く認知されるようになった。互いを削り合い磨き合い、大きく成長してきたのである。どちらも新世代に生まれ変わったこの2台、まどろっこしい試乗記など不要かも。読者の興味は「ズバリ、どっちがいいか!?」であろう。 決戦は新たな世代に渡された。戦いはますます過熱していく。互いに多くのファンを持つ者同士、ここに新世代のステージ第一幕をご覧いただきたい。

走りの印象編

5ドアHBとなったベースのインプレッサに、フェンダーおよびバンパー回りに強烈な演出が加えられているSTI。ベースのS-GTに対して全幅で50mm、トレッドで前35mm、後40mm拡幅している。先代STIと比べるとホイールベースが85mm延びているのに対し、オーバーハングはフロント-15mm、リア-120mmと、運動性能を高めるためにタイヤをボディの四隅に配置した工夫が見られる 5ドアHBとなったベースのインプレッサに、フェンダーおよびバンパー回りに強烈な演出が加えられているSTI。ベースのS-GTに対して全幅で50mm、トレッドで前35mm、後40mm拡幅している。先代STIと比べるとホイールベースが85mm延びているのに対し、オーバーハングはフロント-15mm、リア-120mmと、運動性能を高めるためにタイヤをボディの四隅に配置した工夫が見られる

走りの印象編 ■日下部保雄の評価 ランエボとSTI、お互い切磋琢磨しながらここまで成長してきた。いずれも4WDに2Lのターボエンジンというレイアウトは一緒だが、似て非なるものに仕上がっている。エボはエンジンも含めたすべてを一新して、STIもシャシーを変更して5ドアHBにするなどの大きな変革期に入った。いずれもハイテクを駆使し、より洗練されたロードゴーイングマシンとなっている点では共通している。とはいいつつエボはセダン、STIはHBなので、どちらかといえばSTIによりクィックな挙動を感じる。重心高の低いフラット4の特性を生かして応答性に優れてクイクイと曲がっていくSTIに対して、しなやかに旋回していくのがエボだ。ドライバーに対してマイルドで優しいのがエボだとすればSTIはもう少し戦闘的で要求してくるものも多い。しかしだからといってエボのポテンシャルが低いかといえば、そんなことはまったくなく、ドライバーの期待に応えてくれるのは両車ともまったく互角。好みにより100対98でランエボに軍配。 ■国沢光宏の評価 文字どおり「甲乙つけ難し!」という感じ。おそらく最後に乗ったほうのクルマがよい印象を残すと思う。すなわち原稿を書いている時点だとインプレッサであります。けれど明日ランエボに乗ったら、そちらに軍配を上げるだろう。どちらも世界中のクルマ通に誇れるすばらしいクルマである! ランエボの場合、先代モデルからATをラインアップするなど「誰にでも乗れるスポーツカー」が最終着陸地点にある。つまり強く振り抜く力さえあれば、練習しなくても遠くに真っ直ぐ飛ぶゴルフクラブのようなもの。こらもう道具作りのコンセプトとしちゃ理想でしょう。そのためにマニュアルミッションより早く変速するSSTや、姿勢制御装置という新兵器を開発したのだった。 かたやインプレッサは「どんなテクニックの持ち主でも楽しめるゴルフクラブ」だ。インプレッサに乗ると「マニュアルミッションって楽しいでしょ?」と訴えてくる。ハンドリングもアナログ。運転の仕方でいかようにも動かせます。「練習することを楽しませようとしている」と言い換えてもよかろう。こらもう好みの世界。どちらがよいという話ではないが、あえて点数つけるなら100対99でSTIです。 ■斎藤 聡の評価 基本性能で曲げるインプレッサと、電子制御で曲がるランエボの対決といったところか? いずれもすごくよくできていると思う。興味深く感じたのはどちらもフルモデルチェンジを行ない、ブランニューボディ、ブランニューサスペンションとなったにもかかわらず……つまりいろんな選択肢が選べたはず……にもかかわらず、互いに重ならず離れすぎずといった微妙な距離感を保ちながらそれぞれのクルマが登場したということ。 いずれも先代までのバリバリの競技ベース車といった立ち位置から、ちょっとツーリング志向に立ち位置を広げている。ランエボXはSSTを採用することでそれを明確に示し、全体としてはスポーティでシャープな乗り味としながら、そのなかにしなやかな乗り心地のよさを加味している。 どちらがいいかはスタイルや乗り心地を含め意見の分かれるところではないだろうが、ここは95.5対95と僅差でSTIの勝ちとしたい。

ハンドリング編

ベースとなったギャランフォルティスとの最大の違いは、大幅に精悍さと迫力を増したフロントマスク。フォルティスのおとなしめな上下二分割型から「戦闘機をイメージした」という大型開口部となった。ボンネット、フェンダーなどの各所に配置された冷却用エアアウトレットも、機能美をそそらせる。デザイン的な美しさなら多くの識者がランエボに軍配を上げる ベースとなったギャランフォルティスとの最大の違いは、大幅に精悍さと迫力を増したフロントマスク。フォルティスのおとなしめな上下二分割型から「戦闘機をイメージした」という大型開口部となった。ボンネット、フェンダーなどの各所に配置された冷却用エアアウトレットも、機能美をそそらせる。デザイン的な美しさなら多くの識者がランエボに軍配を上げる

ハンドリング編 ■日下部保雄の評価 スバルの水平対向エンジンはクルマに搭載した場合、当然重心高が低くなり、またエンジン自体もコンパクトで軽量なのが特徴だ。これを生かしたSTIはステアリングの応答性に優れており、小舵角での反応がシャープでスッとインを向く。ただしその後、舵が効いてグイグイと引っ張っていくかといえば、やはり途中からフロントが滑り出す傾向があるので、この点を考慮してドライビングしなければならない。でも慣れちゃうんだな〜これが……。スバル特有の動きだが、スペックCのように剛性を大幅に上げれば、かなり解消できる部分でもある。 エボXは比較的剛性バランスが取れており、しかも直4エンジンなので重心高が高いのでステアリングの応答初期はSTIのようなシャープさはない。これを電子制御を駆使して旋回力を出して連続性のあるコーナリングフォームを作っている。シャープさではSTIの勝ち。ダルに感じるがしっかりしているエボも好きだな〜。 悩んだ末に98対97でエボ! ■国沢光宏の評価 いずれもすばらしい! 一度ハンドル握ったら降りたくなくなってしまうほど。エボはフロントが重くてアンダーステア傾向強いSST仕様ですら、乗り込んでいくと上手にコントロールできるようになっていく。味見したなかで素直な仕様を挙げるなら、コントロール性重視のタイヤを履くランエボの5速MT標準仕様。少し練習してやると、意のままに操れるようになる。インプレッサもランエボXも、リアサスの性能が高いので高速コーナーを攻めた時に楽しいです。 現時点で優劣をつけるなら95対94でランエボXとしておく。インプレッサの場合、コーナー少ない富士スピードウェイを9ラップしたのみ。まだ美味しい部分を引き出せていない。タイトコーナーの味見もできておらず。ランエボXはタイトでコーナーキツいミニサーキット(ヒーローしのい)で思う存分試乗できた。曲がり込んだ複合の高速1コーナーから左ヘアピンに真横のまま飛び込むと、楽しいのなんの! 今後、両車の順位が逆転することも大いにあり。 ■斎藤 聡の評価 基本性能で曲げるインプレッサと電子制御で曲がるランエボの対決といったところか? いずれもすごくよくできている。 特にランエボは、電子制御の違和感を極力消してビックリするくらいコントロール性がよい。これはすでにエボIXMRでほぼ達成しているが、それを新たな電子制御ディバイス(ASC=アクティブスタビリティコントロール)を加え統合制御したS-AWCによって、さらに曲がるようにしているところに感心させられる。 いっぽうSTIは、センターデフに電子制御を入れているものの、基本的にはアナログ4WDといえる。サスペンションの設計やセッティングによって高い安定性と旋回性能を作り出している点に感心させられる。若干アンダー気味のセッティングとリアサスの圧倒的なスタビリティのために手軽にクルマを振り回すことはできないがアナログならではの親和感がある点は見逃せない。 直接比較していないのでなんともいえないが、電子制御の完成度に引かれつつ、アナログでこれだけの性能を引き出したインプレッサを95対94で推す。 ■三好秀昌の評価 4WD車のハンドリングはサスのセッティングだけでなくエンジンの搭載方式やセンターデフの制御によってだいぶ味付けが変わるが、ランエボXの電子デバイスから生みだされる挙動はハンドルを切り込むとシャープに素直にノーズがインを向くものである。路面が荒れたところでのサスペンションの収まりのよさは先代エボIXと比べてもしっかりしている。これはシャシーの剛性向上とリアサのジオメリー変更による。 STIは相変わらず低重心ボクサーエンジンの恩恵でノーズの入りのよさを見せる。リアサスがダブルウィッシュボーンに変更された点は見逃せない。いままでリアタイヤが限界付近で大きくスライドしていたのが、踏ん張りながら限界を超えると滑らかにスライドする挙動。 電子デバイスによるシャープさか、ドライバーが素早くステアリングを切り込んで攻め込むのか、という両極端なハンドリング。この味付けは好みで選ぶものだと思うけれど、個人的には95対92でランエボだね。

エンジン編

インプレッサのEJ20 インプレッサのEJ20はついに2Lモデル初となる300ps超えを達成。308/43.0kgmを発生する インプレッサのEJ20 インプレッサのEJ20はついに2Lモデル初となる300ps超えを達成。308/43.0kgmを発生する

エンジン編 ■日下部保雄の評価 エボのエンジンは名機4G63からオールアルミの4B11に変わった。今後熟成されていくと思われるが、エボ用第1弾として充分にポテンシャルは高く、フラットなトルク特性なのが特徴だ。従来の4G63はトルクの盛り上がりが特徴で、メリハリ感があったが新型はこの点ではちょっともの足りなさを感じるかもしれない。しかし4WDにとって中速トルクは特に重要で、このエンジン特性はエボXの武器にもなっている。 いっぽうのSTIは使い慣れたEJ20の進化型。レスポンスに優れてシャープな吹け上がりに磨きをかけ、ピークパワーはエボを凌いでいる。こちらも低中速域のトルクアップを図っており、使いやすいエンジンだ。またSI-ドライブはSTIの美点で、モードによって出力特性を変えられるので、燃費にも優しい。例えばインテリジェントモードではアクセルの反応を鈍くしているので、街中ではさらに使いやすいのだ。S♯ではアクセルに敏感に反応し、爆発的なパワーを堪能できる。99対98でSTIの勝ち! ■国沢光宏の評価 先代モデル同士の対決だと、低い回転域でパワフルなのがランエボ。高回転域で持ち味を発揮するインプレッサというイメージだった。しかし新しいインプレッサに乗ってびっくり! 2000〜6000回転くらいまでのトルクが太く、レッドゾーン近くになると重くなってしまう。グループNのようなトルク特性なのだ。 いっぽう新開発となるランエボXのエンジンは高回転域で元気。低回転域のトルク感は薄く、その代わりレッドゾーン直前まで気持ちよく伸びていくようになっている。 エンジンフィールとしちゃランエボXのほうがスポーティに感じることだろう。けれど速く走らせるという点から評価するなら、インプレッサのエンジン特性だと思う。キッチリと左足ブレーキを使えれば、コーナーの立ち上がりで気持ちよいくらいのトルクを味わえます。考えてみればランエボXのエンジン、いろんな意味で熟成が必要。現時点で評価するなら、絶対的な出力も高いインプレッサを95対90で優勢と評価しておく。発進加速も速いかと。 ■斎藤 聡の評価 エボXはエンジンをアルミ化、新型エンジンとなった。エボIXまでの改良に改良を重ねた4G63型は、古いエンジンではあるけれど、その歴史のぶんだけ完成度が高かった。トルクの充実感、パワーの伸び上がる感触、実際の速さ、さらにはチューニングの余力まで含め、後世に残る名機といえるのではないかと思う。 新型アルミエンジン4B11型MIVECはもちろんそれを凌駕すべく作ったのだろうが、その性能は未知数。試乗車に乗るかぎり、パワーやトルクで先代を超えたとは感じなかった。 WRXのEJ20型は基本的に従来のままで、排ガス★3つを取得しながら300馬力オーバーを実現。しかも低中回転域のトルクが太くなっていて、とても扱いやすくなっている。シリーズ中最も扱いやすく、かつパワフルであるという点は評価すべきだと思う。SIドライブによって穏やかにパワーを引き出せるようになっている点もユニーク。 将来の性能の伸びしろはエボXの4B11型だろうが、現状は90対87でSTIのEJ20型に軍配を上げる。 ■三好秀昌の評価 かつてのランエボのエンジンは中低速トルクに優れ、モリモリと力が湧いてくる半面、高回転のシャープさに欠けていた。そしてSTIはその逆、中低速トルクは弱いが高回転でのシャープさは天下一品であった。 それほどまでに両極端な味付けであったにも関わらず、ラリーやレースなどのフィールドで走らすとほとんど同じタイムで走るのが面白いことだった。 ところが近年のバージョンアップやモデルチェンジでお互いが相手の長所を取り込んできている。そしてランエボは高回転の軽快さを、STIは中低速の充実が目覚しい。 ランエボの新エンジンは上質感ある滑らかな回転フィールで以前のような急激なトルク変動は見せない(実際のトルク充実度は上がっているが)。STIは旧型とほぼ同じエンジンながら高回転を少し抑えて中低速をかなり充実させてきた。それもラリーで勝つために、という理由で。 しっかりウィークポイントを埋めてきたインプSTIが90対88で勝ちかな。

トランスミッション編

ランエボは5MT仕様とSST仕様を用意。2連メーターとなる ランエボは5MT仕様とSST仕様を用意。2連メーターとなる

トランスミッション編 ■日下部保雄の評価 STIのトランスミッションはHパターンの6速マニュアルのみの設定になっている。ダイレクト感が高いシフトフィールはスバルの伝統だが、個人的にはもう少し軽くシフトできるとさらに楽しめるし、横方向のストロークももう少し欲しいところだ。ギヤレシオは幅広くカバーしており好ましい。 いっぽうエボXのマニュアルは5速だが、これは頑丈である点とワイドなトルクバンドで5速のほうが使いやすいと考えられているからだ。確かにシフト回数は少なくてモータースポーツに適しているかもしれない。 さらに注目のツインクラッチSSTは変速時間も短く、自動シフトもすばらしくこなれている。テストコースで走った印象では、プログラミングはうならせるものがあった。MT対決、MT対SST対決ともにエボXの勝ち! ■国沢光宏の評価 MT同士の比較から行なう。いずれも実績のあるミッションであり、フィール、確実性ともに文句なし。強いていえばインプレッサがカッチリしたタッチ。ランエボは長めのシフトストロークでシフト操作の完了を(確実性と言い換えてもいい)ドライバーに伝える。ただ(ランエボの)5速より(STIの)6速のほうが多くの点で有利といえる。 インプレッサの6速MTとランエボのSSTの比較は難しい。「ATに乗りたい」という人にとっちゃ選択の余地なし。ATにこだわらないというケースなら、ドライビングスタイルで意見が分かれるだろう。 マニュアルとSSTの決定的な違いは「シフトダウンのタイミングを正確にコントロールできるかどうか」にある。テール流すドライビングを好む人だとシフトダウンの確実性が重要。SSTもマニュアルでシフトダウンできるものの、正確さという点でマニュアルに敵わない。テール流さないタイプのドライビングを好むなら、SSTに軍配を上げると思う。総合的には95対94でランエボの勝ちだ。 ■斎藤 聡の評価 エンジンのフラットなトルク特性と5速MTのマッチングのよさ、ミッションの軽さなどから三菱はエボXに5速MTを与えたのだろう。そのよさを充分わかったうえで、MT対決はあえてギヤの多いWRXを90対85で勝ちとしたい。 WRXの6速MT対ランエボのSST(6速セミAT)対決は、比較の対象自体に無理がある。エボXのSSTの出来はよく、これはVWのDSGと同等か、それ以上の出来だと思う。 スバルはトルコンATを設定しなかったのは賢明だったと思うが、STIのキャラクターを考えるとSSTのようなツインクラッチタイプの2ペダルMTはぜひ出してほしいと思う。あえて比べるなら95対90でSSTを開発し採用したランエボXの勝ち。

4WD編

三菱自慢のS-AWCはステアリングのスイッチでターマック、グラベル、スノーと3種類のモードを切り替えることが可能 三菱自慢のS-AWCはステアリングのスイッチでターマック、グラベル、スノーと3種類のモードを切り替えることが可能

4WD編 ■日下部保雄の評価 三菱のシステムはS-AWC。センターデフの作動制限をするACD、リアの左右トルク移動をすることで、車体のヨーコントロールをするAYC、それにスポーツABSの従来のシステムに加えて、各輪のブレーキ力やエンジン出力をコントロールするASCを組み合わせたシステムだ。これがすばらしい出来で、ダイナミックなドライビングの邪魔をしない。 STIはもう少しシンプルだが、これは劣っていることを意味しない。姿勢制御装置のVDCを3つのモードで選択できるがいずれもAWDをその時の条件に合わせて最適な状態をドライバーが選択するものだ。こちらは100対99でランエボXが好き! ■国沢光宏の評価 両車4WDの理想と言えるアクティブトルクスプリットタイプを採用。路面状況によって前後のトルク配分を変化させることまで行なっており、言うことなし! 完全オンにしておけば初心者でも怖くない程度で姿勢制御機能が稼働し、狙ったラインをキープ可能。嬉しいことに両車とも「ABS以外すべていらないもんね!」機能も備わっていて、電子的なデバイスに邪魔されず自在に振り回せる。また、ランエボXには後輪左右方向の駆動力をコントロールできるAYCまで加わるから凄い。究極の駆動システムだ。97対96で技術的にランエボXが一歩リード。 ■斎藤 聡の評価 駆動性能という意味では、コレは文句なくランエボXだろう。ブレーキに装備されたABSが人間のコントロールの領域を超えた制御が出来るのと同じように、4つのタイヤをより効率よく駆動するには最終的には電子制御に向かわざるを得ない。AYC、ACDとともにブレーキ制御であるASC(アクティブスタビリティコントロール)まで駆動コントロールに使うというコロンブスの卵的発想により曲る性能はもちろん、トラクション性能までもエボIXMRより1ランク高いレベルに引き上げている。 いっぽう、インプレッサはDCCD(ドライバー・センター・コントロール・デフ)をファインチューニングすることによって、路面の状況に合わせて微妙にセンターデフの締結力をコントロールし、前後駆動配分や操縦性を高めている。またフロント・ヘリカル、リア・トルセンLSDを装備することによって、マルチプレートタイプの機械式LSD(リア)よりも過渡領域でのトラクション性能を高めている。 こちらは97対96と僅差でランエボXの勝ちとしたい。

こまごまチェック編

ランエボXはレカロ製バケットシートを標準装備。シート地にアルカンタラを施した、高級感とホールド性を併せ持ったシート ランエボXはレカロ製バケットシートを標準装備。シート地にアルカンタラを施した、高級感とホールド性を併せ持ったシート

こまごまチェック編 ■トランク積載編 荷室については5ドアHBのSTIがやはり有利。先代まではダンパーストラットの張り出しが気になっていたが、新開発のダブルウィッシュボーンでそれを解消。後席のシングルフォールディングで長尺物も楽々積める。いっぽうランエボXは重量配分の最適化を狙ってバッテリーとウォッシャータンクをトランク右奥に移設。2Lクラスセダンの平均的な広さを持つもののSTIには及ばない。90点対82点でSTIの勝ち。 ■シートの座り心地編 ランエボXがレカロ製シート標準装備(RS除く)なのに対して、STIはオプション設定(15万7500円)となっている。STIの標準装備もバケットシートではあり、座り心地はかなりいいものの、やはりレカロには一歩及ばない……というのが正直な感想。後席シートの座り心地もランエボXがリード。やはりSTIの可倒式シートは便利ではあるが肉厚が足りず、長時間座っているのはキツい感じ。したがって座り心地対決は85点対80点でランエボXの勝ち。 ■下取り編 こちらはガリバー自動車研究所所長、鈴木詳一氏に、両車の3年後の買い取り価格を分析していただいた。 もともとこの2台を比べた場合、ランエボのほうがわずかに買い取り価格の維持率は高かったんですね。エボは限定車でしたから。それが今回からカタログモデルとなったことで両車の差は非常に縮まったわけですが、それでもランエボXがわずかに買い取り価格は有利です。数字にして1%ほどですから、3万円強しか変わりませんが。 まずSTIは5ドアHB化したことでコアなファン層が支持するかどうか若干の不安があること、ランエボのほうが先進の電子デバイスを駆使しており、価値がユーザーにわかりやすいことなどが要因ですね。 ■乗り心地編 これは国沢光宏氏に伺った。 まだ一般道での味見をしていないから最終的な評価でないことを最初に断っておく。先代同士を比べると、1秒も迷う余地なくランエボだった。やっぱりビルシュタインのダンパーは乗り心地とハンドリングの両立ができる。しかもインプレッサはリアサスの問題でストロークさせられなかったのだ。 しかし新型STIに乗ると、乗り心地が格段によくなったことに驚く。これなら毎日の足としても、チャイルドシートを付けて幼児を乗せることもできそう。先代から乗り換えたら天国みたいじゃなかろうか。興味深いことに標準仕様のランエボXはSTIと同じKYB製。乗り味も似ている。 ということで基本的に両車余裕の合格点なのだけれど、やっぱり(ランエボにオプションで用意される)ビルシュタインはひと味違う。まったりしているのだ。路面のデコボコの大きさが半分くらいになった感じ。 スバルはレガシィでビルシュタインを使っているのだから、インプレッサも良質のダンパーを採用すればいいのに、と思うのは私だけじゃないだろう。98点対95点でランエボの勝ちだ。

お買得度編

お買得度編 ■渡辺陽一郎の評価 ランエボX、SST仕様の価格は375万円少々で、インプレッサSTIは365.4万円。ランエボXが約10万円高いが、SSTのコスト(約25万円と算出)を差し引くと、逆に15万円ほど安くなる。ただし、インプレッサにはサイド&カーテンエアバッグが装着され、これを含めるとインプの割安感が10万円少々強まり、差し引きすれば両車は同等の価格設定だ。ブレンボ製のブレーキも両車に装着される。 エンジンはどうか。最高出力はインプが308馬力でランエボXが280馬力だが、最大トルクは43kgmで両車とも同じ。そして最大トルクの発生回転数は、インプの4400回転に対してランエボXは3500回転と低い。高回転&高出力のインプ、実用トルクも高めたバランス型のランエボXとなり、これも割安感では均衡する。 そうなると、話の焦点は4WDを中核にした駆動制御の技術に移る。クルマの性格を考えてもここが一番重要だ。 インプの4WDは、センターデフに差動制限装置を組み合わせたDCCDを採用。差動制限力の度合いに応じて3種類のオートモードを設け、マニュアル操作も可能とする。横滑り防止装置のVDCも新たに装着。 いっぽう、ランエボXは、従来型と同様に4WDの差動制限力をターマック/グラベル/スノーで切り換えられるACDを採用し、後輪には左右輪の駆動力を最適制御するAYCも付く。さらに現行型では横滑り防止装置のASCも加わった。 注目される点は、この3つの機能に4輪ABSを加え、統合制御のS-AWCに発展させたこと。アクセルを踏み込んだコーナリングでもASCによる4輪独立制御のブレーキが作動し、横滑りを防ぐだけでなくクルマを積極的に曲げる役割も持たせた。S-AWCの制御が好みに合うユーザーなら、「100万円上乗せしても欲しい」と言うだろう。 エスティマハイブリッドなどに採用される100V/1500Wの電力供給能力もそうだが、技術が高度化すると、それを上手に組み合わせれば多種多様の効果が得られる。特にランエボXのS-AWCでは、ハイブリッドの電力供給のような「副産物」ではなく、メカニズムの目的である走行性能をさらに高めることに役立てている。 さらにいえばS-AWCは今のところランエボXの専用技術だが、これを活用すれば、乗り心地を重視したミニバンや上級セダンのコーナリング性能を、硬めのサスペンションを備えたスポーティセダン並みに高めることも可能だ。将来の三菱車の走りを変えるメカでもある。 では結論としてインプレッサとの買い得感の勝敗は? もちろんランエボXの圧勝だ。

ペター・ソルベルグ&新井敏弘が語る STIの期待と不安

ペター・ソルベルグ&新井敏弘が語る STIの期待と不安 ■ペター・ソルベルグの評価 新しいインプレッサはすばらしい出来だね。このクルマは開発当初からボクたちドライバーの意見を大幅に取り入れてくれて、そのとおりに作ってくれたんだ。だから不安はほとんどない。そもそもボクたちラリードライバーは、フロントもリアもオーバーハングなんて短ければ短いほどいいと思っているんだよ。極端な話、パンバーだっていらなくて、クルマの四隅にタイヤが付いていてほしいくらいだ。その点、5ドア化したことで大幅に(オーバーハングを)縮められている。戦闘力は凄くアップしていて驚いたよ。 ■新井敏弘の評価 素性がよくなっていて驚きました。競技車はまだまだこれから作り込んでいかなくてはいけないから、まだ評価できないけれど、期待は大きいですし、やってくれると信じています。 乗る前は5ドア化したことでリアのボディ剛性が落ちるんじゃないかと思っていましたが、今回走らせてみるとほとんど剛性不足は感じられませんでしたね。フロントの剛性が下がるとターンインなどに露骨に影響するんでしょうが、リアセクションの場合はあまり関係がないんでしょう。ドライブトレーンも熟成度が上がってます。

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