中古車購入
更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.05

変えない勇気 日産 NEW X-トレイル 超キープコンセプトで登場の狙いと理由

見た目とは裏腹に中身は大幅に進化

こちら旧型

こちら旧型

【本記事は2007年9月にベストカーに掲載された記事となります。】地球の道は2割が舗装で8割が未舗装なんだそうだ。これ、ニューX-トレイルの商品説明で開発担当者がおっしゃっていた話。つまり、X-トレイルはそんなデータを出すことがふさわしいクルマということ。先代モデルは5大陸、167カ国で80万台を売ったクルマなのだ。そして、この2代目も世界中どこでもガンガン使えるクルマとして登場した。「いいものは変える必要がない」というポリシーで登場したこの2代目X-トレイルは「そうは言っても7年前と同じスタイルじゃ……」と思わず腰が引けるほど、超キープコンセプトのモデルチェンジとなった。ハッキリ言って、普通の人には旧型と新型の見分けがつかないのではないだろうか。もうちょっとどうにかならなかったの? という気はするが、それが開発陣のポリシーならば受け入れるしかない。しかし、見た目とは裏腹に中身は大幅に進化している。

エンジンは2.5Lと2L。来秋にはディーゼルも追加

エンジンは直4、2.5Lと2L 2.5Lの新設定がエンジンの注目ポイント。4WDの10・15モードは2Lが13.6km/L、2.5Lが11.6km/Lとなっている

エンジンは直4、2.5Lと2L 2.5Lの新設定がエンジンの注目ポイント。4WDの10・15モードは2Lが13.6km/L、2.5Lが11.6km/Lとなっている

●エンジンは2.5Lと2L。来秋にはディーゼルも追加ニューX-トレイルに搭載されるエンジンはMR20DE型2LとQR25DE型2.5L。ともに直列4気筒で、2Lが137ps/20.4kgm、2.5Lが170ps/23.5kgmのスペック。先代にはあった2Lターボは廃止となったが、来年秋には新世代の2Lターボディーゼルが日本でも発売される(詳細は37ページに)。トランスミッションは全車CVTで、2.5Lは6速マニュアルモード付き。2L、4WDの一部グレードには6速MTも設定される。

大幅に進化した4WDには全車VDCが標準

4WDが大幅進化!!(4WD全車にVDCが標準) 4WD車全車にVDCが標準装備され、舵角、ヨーレイト、前後&横Gの各センサーが瞬時に適切な駆動力を計算、配分する

4WDが大幅進化!!(4WD全車にVDCが標準) 4WD車全車にVDCが標準装備され、舵角、ヨーレイト、前後&横Gの各センサーが瞬時に適切な駆動力を計算、配分する

●大幅に進化した4WDには全車VDCが標準ニューX-トレイルの最も大きな進化は4WDだろう。オールモード4×4-iと呼ばれる新しい4WDシステムは、VDC(ビークルダイナミクスコントロール)の各センサーを4輪に活用し、ドライバーの進みたい方向を予測。通常は前輪駆動だが、ステアリング操作した瞬間から後輪へトルクを配分し、安定したコーナリングをサポートする。つまり、従来のオールモード4×4よりもセンサーの数が増え、レスポンスが向上しているということ。何よりも4WD車全車に標準となるVDCが車両の安定性を向上させている。なお、2WD(FF)モード、オートモード、ロックモードがあるのは従来と同じ。

ショックアブソーバは名門ザックス製を採用

名門ザックス製ダンパー採用 基本的にはデュアリスと同じ足回りでショックアブソーバもザックス製を採用。ただし、オフロード性能は大幅にアップしている

名門ザックス製ダンパー採用 基本的にはデュアリスと同じ足回りでショックアブソーバもザックス製を採用。ただし、オフロード性能は大幅にアップしている

●ショックアブソーバは名門ザックス製を採用サスペンションはフロント=ストラット、リア=マルチリンク。高い評価を受けているデュアリスと基本的には同じ足回りで、ショックアブソーバもデュアリスと同じザックス製のハイスピードダンピングコントロールショックアブソーバを採用。デュアリスと基本的に同じ足回りと書いたが、サスペンションストロークはデュアリスよりも多く取り、よりオフロード走行に強い足としているのはいうまでもない。デュアリスはクロスオーバーSUV、X-トレイルは本格オフロードSUVという位置づけなのだ。

グレードはシンプルにSとXの2種類のみ

●グレードはシンプルにSとXの2種類のみニューX-トレイルは2.5Lと2Lの4WDと2LのFFが用意され、それぞれにベーシックグレードのS、上級グレードのXが設定される。その差は装備だけで、Xにはオートライトシステム、プライバシーガラス、ポップアップステアリングと17インチアルミホイールが標準となる(Sは16インチホイールカバー)。価格は4WDの2Lが215万2500~237万3000円、4WDの2.5Lが231万~253万500円、2LのFFが199万5000~221万5500円(価格表は次ページ)。SとXの価格差は22万500円、FFと4WDの価格差は15万7500円。4WDではヨーモーメントコントロールやVDCが標準となることを考えれば、圧倒的に4WDのコストパフォーマンスが高いといえる。また、装備を充実させながらも先代よりも値下げしているのだから驚き。ニューX-トレイルの買い得感はライバルを圧倒! さらにいうなら、6月末から販売している欧州では3万ユーロ、約500万円というのだから私たちはラッキーだ!

ガンガン使えるインテリアがさらに使いやすくなった

ガンガン使えるラゲッジは健在。26インチのマウンテンバイクを車輪を外さずに積むことができるようにもなった。こんなシーンがX-トレイルにはよく似合う

ガンガン使えるラゲッジは健在。26インチのマウンテンバイクを車輪を外さずに積むことができるようにもなった。こんなシーンがX-トレイルにはよく似合う

ガンガン使えるインテリアがさらに使いやすくなったX-トレイルといえば「ガンガン使えるインテリア」が最大のセールスポイントだったが、この2代目は初代が持っていた機能はすべて受け継ぎ、さらに磨き上げられている。防水インテリアはX-トレイルの代名詞だったが、もちろん継続。シートは水を弾くが水蒸気を通す、つまり、ムレにくいものに進化し、ラゲッジもしっかり防水しながら滑りにくくなっている。このラゲッジは、リアサスの張り出しを少なくすることで容量が現行の410Lから479Lに拡大しており、また、ラゲッジボードの下に脱着式の引き出しを追加。最初に出したいモノを最初に取り出せるようになった。さらにリアシートをダブルフォールディングさせると広大なスペースが出現するが、その広さはほぼ畳1畳分になるというから大人ふたりの車内泊も余裕。この状態では26インチのマウンテンバイクを車輪を外さずに載せられるのも開発陣がこだわったところ。とにかく使い勝手のいいクルマとなっているのだ。ステアリングを大きく跳ね上げ、運転席足もとに広いスペースを生み出すポップアップステリアングは20X、25XのCVT車に標準。これも初代で人気の装備だったが、2代目ではワンタッチで操作できるように利便化されている。

びっくり 来年秋には超クリーンディーゼルも発売予定!!

ATと組み合わせられるディーゼルは希少だ

ATと組み合わせられるディーゼルは希少だ

びっくり 来年秋には超クリーンディーゼルも発売予定!!ニューX-トレイルのディーゼルが来年秋に日本でも発売される。世界一厳しい米国の排ガス規制(Tier2Bin5)をクリアする超クリーンな直4、2Lターボディーゼルで、MT用の173ps/36.7kgmとAT用の150ps/32.6kgmの2つの仕様がある。どちらもディーゼルならではの大トルクが大いに魅力的。日本では新世代ディーセルの導入は早くて’09年以降と目されていたが、日産がいち早く導入を表明。実は’03年にはこの技術が完成していたというから2度びっくり。価格はガソリン車の20万~30万円高にしたいということだから、240万~260万円程度と予想。これは大いに注目したい!

ニューXトレイルの2大新兵器

オフロードのこんな急な下り坂でも自動的に低速を維持してくれるヒルディセントコントロールがCVT車に全車標準

オフロードのこんな急な下り坂でも自動的に低速を維持してくれるヒルディセントコントロールがCVT車に全車標準

ニューXトレイルの2大新兵器ニューX-トレイルには注目の新システムが2つ用意される。まずヒルディセントコントロール(6MT車を除く)。これはエンジンブレーキだけでは減速が難しい10%以上の急な下り坂を下る時に、自動的に車速を7km/h以下にコントロールするシステムで、雪道など滑りやすい路面で威力を発揮。ドライバーはブレーキ操作に気を取られることなくステアリング操作に専念できる。もうひとつはヒルスタートアシスト。坂道発進の時にブレーキからアクセルに踏み替えた際、ブレーキ圧力を約2秒保持することでクルマの後退を防ぐもので、こちらも10%以上の急な上り坂で作動する。MT車でのエンスト防止はもちろん、CVT車でも慌ててアクセルを踏み込みすぎることなく安全に発進できる。どちらも安全かつイージーなドライビングに大きく貢献。ニューX-トレイルは実はハイテク満載のクルマなのである!

オーテックバージョンはラグジュアリー路線

インテリアはベージュの内装色を採用し、専用の本革シートを設定。X-トレイルを高級車として乗りたい向きには最適の仕様となっている

インテリアはベージュの内装色を採用し、専用の本革シートを設定。X-トレイルを高級車として乗りたい向きには最適の仕様となっている

オーテックバージョンはラグジュアリー路線ワイルドにガンガン使えるのがX-トレイルの魅力だが、「いやいや、俺はそんなにガンガン使わないし……」というユーザーのためにオーテックバージョンのアクシスも用意されている。専用エクステリアや専用のベージュ色&本革シートの内装で高級感を演出。落ち着いたX-トレイルを実現している。ベースはSグレードで、価格は2LのFFが243万6000円、2Lの4WDが259万3500円、2.5Lの4WDが275万1000円。プレミアムSUVとしては買い得な価格となっている。年配ユーザーにはこっちかな?

NEWX-トレイルはいい? 乗った人たちの感想 ライバル車比較付き

NEWX-トレイルはいい? 乗った人たちの感想 ライバル車比較付き欧州では6月末から販売されているニューX-トレイルは、すでに日本のジャーナリスト向けにギリシャで試乗会が行なわれている。気になる走りの進化度はどれほどのものだったのか。ライバル車との比較も含め、国沢光宏と片岡英明のインプレッションを紹介。■国沢光宏の印象あまりに従来モデルと似てることもあり、写真で見た時は「こら厳しいでしょう!」だったけれど、乗ってびっくり! 圧倒的に進化してるのだ! 現行モデル、質感も乗り心地も若い人向き。悪いクルマでこそないけれど、私のような「スレたクルマ好き」からすれば納得できる内容でありませんでした。4WD性能だってスキージジイの要求レベルにゃ届いていないし。「奥ゆきがない」と言い換えてもよかろう。少なくとも買う気にはならんです。しかし! Dレンジに入れて走り出すや、感心させられてしまいましたね。デュアリスでも高く評価をした滑らかなエンジンや、ザックス製のダンパーがもたらす絶妙な乗り心地、そして全グレードにVDCを組み合わせた4WD性能など、どれを取っても「苦しゅうない!」。なのに価格設定は先代より実質的に安いという。CR-VやRAV4、フォレスターにとっちゃ手強すぎるライバル登場であります。ダマされたと思って一度試乗してみてください。■片岡英明の印象ニューX-トレイルのパッケージングと走りの実力は大きく進化している。インテリアは質感向上に積極的に取り組み、インパネの表面にソフトな素材を採用した。ドアトリムやシート表皮などの手触りもいい。キャビンはCR-Vのほうが広さを実感できるし、乗降性はアウトランダーに一歩及ばないが、ラゲッジルームは圧倒的に広く、使い勝手の点においても細かい工夫が行き届いている。走りの実力も非凡だ。2.5Lエンジンは厚みのあるトルクを発生し、軽快な加速を見せつけた。CVTとの相性もいい。静粛性も合格点だ。ライバルと比べて余裕が感じられる。フットワークもいい。荒れた路面でも優れた路面追従性を披露。悪路ではストロークたっぷりの安定した走りを見せ、オンロードもそつなくこなす。ライバルと比べて乗り心地も上質だ。RAV4とCR-Vは使用状況によっては幅の広いボディを持て余す。X-トレイルは狭い道も苦にしない。トータルでライバルを一歩リードしている。

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

グーネットマガジン編集部

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ