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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.06

プラス20万円の魅力発見 マツダ ロードスターパワーリトラクタブルハードトップ これは進化だ!

で、電動ハードトップで37kg重くなって走りはどうなった?

ルーフを閉めるといわゆるクーペと同等の、安心感のある室内空間が得られるのが電動ハードトップのメリットだ。ルーフを閉めた状態でもスタイリングは綺麗にまとめ上げられているのがうれしい。RHTは標準グレード、RS、VSの各グレードに用意され、プラス20万円という価格設定となっている

ルーフを閉めるといわゆるクーペと同等の、安心感のある室内空間が得られるのが電動ハードトップのメリットだ。ルーフを閉めた状態でもスタイリングは綺麗にまとめ上げられているのがうれしい。RHTは標準グレード、RS、VSの各グレードに用意され、プラス20万円という価格設定となっている

【本記事は2006年10月にベストカーに掲載された記事となります。】で、電動ハードトップで37kg重くなって走りはどうなった?ロードスターの新しい魅力として加わった「パワーリトラクタブルハードトップ」(以下RHTと表記)。従来からある、ロードスターのオリジナルスタイルともいえるソフトトップモデルに対し、RHTはロードスターの新たな魅力をアピールするモデルとして注目の存在といえるだろう。RHTはソフトトップ車とまったく同じ車種構成となっている。標準車、VS、RSといった3タイプのグレードが用意されており、標準車には5MTと6AT、VSには6MTと6AT、そしてRSには6MTが組み合わされているのもソフトトップ車と同じ。価格は同グレードのソフトトップ車に対して20万円プラスとなる。ちなみに、ソフトトップ車用に用意されるデタッチャブルハードトップは25万円。なんと!! 電動で開閉できて、閉めればクーペの快適性、開ければフルオープンならではの爽快感を一挙に味わえるRHTの割安感が際だつではありませんか!!

ルーフの開閉時間は約12秒

ルーフの開閉にかかる時間は約12秒。実測すると開けるのが11秒46で閉めるのが12秒12で、若干だが開けるほうが速かったが、ま、これは誤差の範囲内。公表値に偽りはなかった。ちなみに女子100mの日本記録が11秒36ということで、トップクラスの女子アスリートが100m走る間にルーフを開けたり閉めたりすることができる。そんなイメージを写真にしてみたわけだ。

37kgの重量増がどんな影響を与えたのか!?

・37kgの重量増がどんな影響を与えたのか!?コアなロードスター好きならまず真っ先にここが気になるポイントとなるだろう。そう、1g単位での軽量化を徹底したと言われている現行型ロードスターだ。電動ハードトップの採用により37kg車重が増加した(カタログや車検証では5kg単位の表記のため、40kg増加となっている)、といわれて「ハイそうですか」とは納得できないのでありました。もともとが1100kg程度と軽いロードスターなので、37kgといっても重量増加率でいえば3.4%。バカになりません!!というわけでとことん試してみた。ソフトトップ車とRHT車を同時に借り出し、両車を乗り換えたり屋根を開けたり閉めたり……。結論から言います。RHT車とソフトトップ車、さんざん乗り比べてみたけれども、ルーフを開けた状態ではまったく……、本当にまったく差を体感することはできませんでした。重量の差、そこから生じる(であろう)ハンドリングの違い、アクセルに対する反応の違いなどといった、いわゆる動的性能に関しては見事なまでに「同じ」に仕上がっておりました。「そのように感じていただければ成功です。貴島(チーフエンジニア)がいつも言っているんですが、ロードスターのハンドリング、ダイナミック性能は唯一なんです。最初に世に送り出したソフトトップ車でロードスターのハンドリングを苦心して完成させていますから、新しく追加したRHTで違うものになってはダメなんです。両車を同じにするのに大変な苦労を強いられましたけど(笑)」と言うのは、RHTの心臓部ともいえるルーフ部分を中心に、ボディ構造などの開発を担当した松延知昭氏。車重のみならず、重心もボディ剛性も変わってしまった(ルーフ収納部の形状により、ボディ構造に変化があるため)RHT車をソフトトップ車と同じハンドリングに仕上げるために、ルーフの構造、ボディ補強の入れ方に始まりバネの堅さ、ダンパーの減衰力、フロントスタビライザーの径(1mm太くなっている)などを徹底的にチューニングしたのだという。ちなみに重量増加37kgの内訳は、モーターを含めたルーフシステムで約20kg、ルーフを格納するデッキが約12kg、電気ハーネス類が1kg弱、ボディ補強に約3kg程度、そのほか細かいパーツが加わり合計37kgとなる。

閉めると感じる樹脂製ルーフの剛性

ロードスターに興味がある人だったら気になるのが「RHT車とソフトトップ車の走りの違い、だろう。重量差37kg、ボディ構造の若干の違いなどがどのような影響を与えるのか!? 写真は左がRHT車、右がソフトトップ車で、それぞれ上がルーフを閉めた状態、下がルーフを開けた状態である。結論から言うと、ルーフを開けた状態ではRHT車とソフトトップ車のハンドリングなどに目立った違いは感じられなかったが、閉めるとRHT車は剛性が上がった

ロードスターに興味がある人だったら気になるのが「RHT車とソフトトップ車の走りの違い、だろう。重量差37kg、ボディ構造の若干の違いなどがどのような影響を与えるのか!? 写真は左がRHT車、右がソフトトップ車で、それぞれ上がルーフを閉めた状態、下がルーフを開けた状態である。結論から言うと、ルーフを開けた状態ではRHT車とソフトトップ車のハンドリングなどに目立った違いは感じられなかったが、閉めるとRHT車は剛性が上がった

・閉めると感じる樹脂製ルーフの剛性先ほど「ルーフを開けているとRHT車とソフトトップ車で違いは感じられない」と書いたが、逆に言えば、ルーフを閉めると違いがハッキリと出てくるのであった。RHT車はルーフを閉めると剛性感が格段に高まるのであった。ソフトトップ車もルーフを閉めると多少ボディの剛性感が高まるのだが、RHT車はものすごくわかりやすく剛性感が高まるのだ。具体的には、段差の乗り越え時のボディのよじれ感が一気に減少、さらにオープン時に感じた荒れた路面でのステアリング回りのブルブルした動きが見事に抑え込まれている。ソフトトップを閉めた程度ではここまでの差は感じられなかったから、やっぱり固いルーフの効果は絶大だな、と実感させられた次第。あの可動ルーフ、外板と内張りは樹脂製だが、強度を出すためのレインフォースが内側に張り巡らされており、強度は思いのほか高いのだ。おそらく誰もが気にするであろう、ルーフを閉めた時に「重量物が高いところにある」、といった違和感はまったくない。わざと急激な切り返しをするような動きをしてみたけど、剛性感が高まったメリットが前面に出ていることもあり、デメリットはまったく感じなかった。なかなか絶妙なチューニングだ。

ロードスターの乗り味は『これ』しかない! そのために苦労しました!

RHT車はルーフを収納するためのデッキ部分が高くなっており、これに合わせてトランクリッドも厚くなっている。また、これらに合わせてリアフェンダーの形状も若干異なっているのだ

RHT車はルーフを収納するためのデッキ部分が高くなっており、これに合わせてトランクリッドも厚くなっている。また、これらに合わせてリアフェンダーの形状も若干異なっているのだ

ロードスターの乗り味は『これ』しかない! そのために苦労しました!RHT車とソフトトップ車はルーフが違うだけではない。実は、よく見ればわかるのだが、可動ルーフを収納するために、デッキ部の形状がまったく違うものとなっている。これに合わせてトランクリッドも若干ではあるが盛り上がっており、リアフェンダーの形状も異なっている。2台並べると、両車の違いがよくわかる。フェンダーのふくらみ方に違いがあるけれど、全幅は1720mmで違いない。が、全高はRHT車が10mm高い1255mmとなっている(この高さはソフトトップ車にデタッチャブルハードトップを装着した時と同じである)。リア回りがスッキリした印象のソフトトップ車のデザインを好む人もいるだろうが、ワタクシ、編集部ウメキはボリューム感のあるRHTのボディラインも悪くはないな、と思っております。ルーフの開発は苦労の連続だったようで、貴島チーフエンジニアからは「全高を高くしてはダメ。10mmがリミット」ときつく言われていて、いかに薄くルーフを作るかが最大のポイントだったのだという。ルーフ自体の材質はFRPで内側には特に内張りと呼べるものはつけずにプラスチックむき出しで対応(シボがつけられていて、質感は高い)。ルーフの厚さをなんとか20mmに抑え、全高10mmプラスに収めたのだという。本当はソフト素材の内張りをつけたかったのだが、ヘッドクリアランスが確保できなくて断念したのだという。このルーフ開発中にちょっと意外な、でもおもしろい話があったのだという。最終仕様決定直前の試作車ではまさに手作りで作ったルーフを装着して走っていたのだが、外板と内張りを接合する接着剤を人の手で盛ると、どうしても気持ち多めに接着剤を盛ってしまったのだ。だが、仕様も決定し、ルーフも工場の生産ラインを想定したロボットでの生産が始まると、テストドライバーからハンドリングの違和感を指摘される。開発側では原因がわからず、再度何通りものルーフを作ってテストすると、最終決定仕様でなんの問題もない……。つまりこういうこと。ロボットだとシビアに接着剤の量がコントロールされ、手作業で作った、「接着剤を気持ち多めに盛ってしまった」ルーフと微妙にルーフ自体の持つ剛性が違っていたのだ。しかも、ここに使った接着剤はガチガチに硬化するタイプではなく、ウィンドシールドなどにも使われる、柔軟性をもつ接着剤なのだという。わずか数グラムの接着剤の量で、ハンドリングに影響が出てしまうとは、なんともシビアな話ではないか。それほどシビアにチューニングを追い込んでいるのだから、「重くなって大丈夫か!?」はまったくの杞憂であったことがよくわかる。価格もプラス20万円と、驚異的バーゲンプライスで魅力いっぱいのRHT。発売されてまだ半月しかたっていないが、情報によると早くも年内納車が難しい状況だという。なんせ、月に100台しか生産キャパがないというわけで、こりゃいたしかたなし。もし来春、爽やかな風を浴びてRHTの魅力を満喫したいなら、ただちに注文したいところ。早く注文しないと春にも間に合わないかも!?

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グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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