試乗記[2017.12.01 UP]

【試乗レポート】その走りメジャー級! これが新時代のシビックだ

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シビック ハッチバック

文●ユニット・コンパス 写真●川崎泰輝

 シビックほど語る世代によってイメージが異なるクルマもないだろう。ひとによっては、シビックとは80年代に街を彩った「ワンダー」や「シビック シャトル」かもしれないし、「可変バルブタイミング機構VTECを採用したグランドのSiRこそシビック!」、「いやいや、6代目のタイプRこそシビックだ!」と喧々諤々。若者世代にとってはゲームや漫画を通じてその存在を知っている「数々の伝説を残したセンパイ」的なポジションかもしれない。ホンダのグローバル戦略車として、時代や価値観の変化に合わせて、成長と進化を重ねてきたのがシビックというクルマなのだ。

合言葉は「男前」。世界最高の走りを目標に開発

 2011年からの第9世代が日本未発売だったこともあり、久しぶりの新型登場となったシビック。ホンダはこの新型を開発するにあたり、小型乗用車の花形であるCセグメントトップクラスの「操る喜び」を提供することを目指した。実用的なだけでなく、運転して楽しいクルマをつくることがホンダらしさであり、ユーザーに求められているという判断だ。そこで、新グローバルプラットフォームを軸に、ラインアップを構成する3つのモデルを同時に開発することでシリーズ全体でのポテンシャルアップを図っている。そのラインアップとは、「セダン」、「5ドアハッチバック」、そして「タイプR」。そう、クラス最速の達成をタスクとして背負わされるタイプRを標準モデルと同時開発、同時発売とした。これは歴代タイプRで初の試みとなるが、そのねらいはタイプRとしてより高みを望むために、標準車の基礎から鍛え上げることにある。結果として、タイプRだけでなくセダンとハッチバックの走りも高レベルになったとホンダは胸を張る。
 なお、開発を担当したのはホンダの栃木研究所で、チームは各々の考え方を統一するために、「男前(おとこまえ)」というキーワードを共有。これは歌舞伎に由来し、動きのいい役者が高く評価されたことから生まれた言葉だ。判断に迷った際には、それが「男前」なクルマにつながるかどうかに立ち返って考えたのだとか。

スポーティテイストでまとめられたハッチバック

 では、そんなシビックがどんな走りを見せたのか。今回試乗することができたのは、ハッチバックとセダン。エンジンは1.5L VTECターボで、ともに前輪を駆動するFF車だが、ハッチバックにはパドルシフト付きCVTに加えて6速MTも用意される。販売面ではニッチなMTではあるが、開発陣を中心に「走りのよさを売りにするシビックだからこそMTを!」という声が高まり実現した。まさに男前なエピソードである。

 最初に試乗したのはハッチバック。ブリリアントスポーティブルー・メタリックのボディカラーとブラックアウトされた各パーツの組み合わせはまるでカスタムカーのよう。全長4.52m、全幅1.8mと立派な体躯だが、若いアスリートのような引き締まったデザインにより俊敏なイメージがある。写真よりも実際の印象は流麗でスタイリッシュ。各部のディテールからも先進性と機能の両立を感じられた。
 ブラック基調にまとめられたインテリアも同様のテイストで、若々しくスポーティ。ゴージャスではないが、チープでもない。各スイッチはしっかりと機能別にまとめられており、迷うことなく操作できるタイプだ。先進安全装備である「ホンダセンシング」も採用、渋滞追従機能付きACCや車線維持支援システム、オートハイビームなどの機能がすべてのモデルで標準装備される。

タイプRの血筋を感じさせる強靭なボディ

 性能を重視してハイオク仕様としたハッチバックだけに、走り出しから元気がいい。試乗車はCVTモデルだったが、アクセルに対するクルマのレスポンスのよさ、ダイレクト感はMTに迫るものがある。最大トルクは22.4kgmと発表されているが、ほぼ全域にわたってそれを発揮するセッティングであるため、どんな車速からでもアクセルに力を入れるとクルマがグンと前に出るのだ。MTではさらに最大トルクは24.5kgmになるとのことで、さらなるダイレクト感のある走りが楽しめるだろう。これは絶対にワインディングが楽しいはず、そう考えて街中の試乗も早々にワインディングへとクルマを走らせた。
 つづら折りを駆け上がり、スカイラインを何度も往復する。ドイツのアウトバーンで鍛え上げたというボディ、足まわりは確かに強靭そのもの。とくに強い入力がある状況でもステアリングの正確性が保たれているのに感心した。また、リヤタイヤの追従性が高く、下りコーナーにハイスピードで侵入しても綺麗な姿勢でクリアできてしまう。つまり、楽しさに加えて、懐が深く安全でもあるということだ。とにかくボディが強い! そして足まわりも、18インチの235というビッグサイズのタイヤを完璧に履きこなしている。これはまさにタイプRと同時開発した成果だろう。走っていて、タイプRとつながっていることがその端々に感じられた。

さわやかなスポーティさが魅力のセダン

シビック セダン

 クールダウンして今度はセダンを試乗。乗り換えてすぐに、走りのキャラクターの違いに気がつく。全体の方向性としてはスポーティではあるが、セダンの動きにはハッチバックと比較してスムーズさとなめらかさが感じられる。先ほどはさっさと通り抜けてしまった街中を、今度はストップ&ゴーを含めてじっくりと試乗。エンジンもいい意味で穏やかであり、CVTとのマッチングも見事。乗り心地についても明確に上質だ。これは16インチというタイヤセレクトも成功している。身のこなしが軽やかで、すっきりとした乗り味がセダンの魅力だ。

コストパフォーマンスも高く魅力的な選択肢になる

 FF世界最速クラスであるタイプRばかりに注目が集まるシビックだが、今回の試乗ではハッチバックとセダンにも、それぞれ固有の性格と価値がしっかりと用意されていることが確認できた。ハッチバックはCVTとMTともに280万440円。いまや軽自動車が200万円に近いプライスタグをつけていることからすると、価格性能比のパフォーマンスは抜群だ。現在、国産の他ブランドを見渡しても、シビックと直接バッティングするモデルは存在しない。300万円以下で購入できる身近なモデルとして、実用性と趣味性を高次元で両立させるシビックにはキラリと光る価値がある。帰ってきた国際派は、日本で乗っても魅力的なクルマだった。


  ホンダ シビック ハッチバック(CVT)

全長×全幅×全高 4520×1800×1435mm
ホイールベース 2700mm
トレッド前/後 1535/1555mm
車両重量 1350kg
エンジン 直4DOHCターボ
総排気量 1496cc
最高出力 182ps/5500rpm
最大トルク 24.5kgm/1900-5000rpm
サスペンション前/後 ストラット/マルチリンク
ブレーキ前/後 Vディスク/ディスク
タイヤサイズ前後 235/40R18

販売価格 265万320円〜280万440円(タイプRを除く)

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