車を運転する際の大きなリスクの一つが事故にあうことです。車が大きなダメージを受けることもあり、損傷の程度によっては公道を走れない可能性もあります。

この記事では、事故車の定義や公道を走れるかどうかについての判断基準を紹介していきます。

また、整備不良の車で公道を走るリスクや事故車を処分する方法などについても解説するので、参考にしてください。

事故車が公道を走行するには点検・整備を受けておくとよい

事故車が公道を走行するには点検・整備を受けておくとよい
事故にあってしまったからといって、公道が走れないと諦める必要はありません。きちんと修復することで公道を走れるようになる可能性はあります。

一方、事故後に大きな損傷がなかったり、自走できる状態の場合は注意が必要です。問題ないだろうと自分で判断し、使用を続けることはとても危険です。

外見からは分からない整備不良が発覚する恐れがあるため、必ず整備や点検をしてもらいましょう。

事故車は公道を走行できる場合とできない場合がある

事故車は公道を走行できる場合とできない場合がある
「事故車=事故にあった車」と思われがちですが、実際には「事故車=修復歴がある車」です。つまり、事故などで車が損傷しても、きちんと修復されていれば公道の走行が可能な場合があります。

ここからは、事故車が公道を走行できる場合とできない場合の状況について説明していきます。

車検に通った場合は公道を走行してよい

自動車公正取引協議会などが定めた定義によれば、事故車とは「事故などにより車のフレーム部分を損傷し、修復した履歴のある車」のことです。

具体的には、損傷したフロントクロスメンバーやダッシュパネルなどを交換した車が事故車扱いとなります。

つまり、事故車とは車の修復歴を指す用語であり、走行を走れるかどうかは関係ありません。

車の整備状況をチェックする車検を通れば保安基準を満たしていることを意味するため、事故車であっても問題なく公道を走行できます。

車体に突起物がある場合は公道を走行できない

事故車が公道を走れない、もしくは公道を走ると違法になるケースとして突起物が車体から出ているケースが挙げられます。

突起物が出ていると歩行者などに危害を与える可能性があるため大変危険です。

例えば、事故でパーツが外れかかっていたり、樹木やガードレールが刺さっていたりする車を走らせることは道路交通法に違反します。

なお、事故車でなくてもレバー式ドアハンドルやバックミラーの取付金具などが突起物とみなされ、罰せられる恐れもあります。

整備不良と判断された事故車は行動を走行できない

事故車の中でも、整備不良とみなされた車は公道を走れません。車検を通らない場合は分かりやすいですが、注意したいのが外見だけでは事故車だと分からないケースです。

見た目に変化がなくても、事故後に修理してもらった車は専門業者の点検や整備を受けましょう。整備不良の車で公道を走行した場合、最大12,000円の罰金が課される恐れがあります。

また、重大な事故につながることも考えられるため、注意が必要です。

事故を起こした後、忙しくて点検に行けていません。走行はできるのでそのままでもよいでしょうか?
事故を起こしても自走可能だからといって「問題ない」と自分で判断するのは危険です。外見に大きな損傷がなく、自走できる状態であっても内部に重大なダメージを負っている可能性があります。整備不良かどうかは専門業者でないと判断できないため、必ず点検・整備をして安全性をチェックしてもらいましょう。

事故車が公道を走行できるかの判断基準

事故車が公道を走行できるかの判断基準
事故車が公道を走行できるかどうかを一般の人が判断するのは難しいため、専門業者に見てもらうのが基本です。

ただし、自分でもある程度知識をつけておくといざというときにもスムーズに対応できるでしょう。

ここからは、事故車が公道を走行できるかどうかの判断基準について紹介します。

【走行不可】事故により整備不良車となった場合

事故後に点検や整備を行い、整備不良と判断された場合は公道を走れません。もし走らせると道路交通法違反となり、罰金や懲役刑が課される恐れがあります。

また、整備不良の車を走らせて事故を起こした場合、責任割合が重くなって保険が使えないことがあります。修理や賠償にかかる経済的な負担が大きくなるかもしれません。

なお、運転者と所有者が異なる場合は、所有者も罰せられる可能性があります。家族などが整備不良の車を誤って走らせることのないよう注意しましょう。

【走行可能】事故による損傷が軽い場合

ボンネットやリアバンパーなどのような車のフレーム部分以外を損傷した場合、修復しても事故車としては扱われません。

このように車のフレームにダメージがなく、問題なく自走できているのであれば公道を走行できる可能性は高いでしょう。

ただし、外見からは分からなくても、内部に大きな損傷があるかもしれません。再び事故を起こすことも考えられるため、損傷の大きさに関わらず事故を起こしたら一度専門業者に見てもらいましょう。

事故の大小に関わらず専門業者に点検してもらう

一口に事故といっても、状況やダメージの大きさは様々です。衝突や横転といったものの他、大雨による冠水なども事故車として扱われます。

一般的に損傷の程度が軽微で、自走できる状態であれば公道を走れる可能性は高いと言えるでしょう。ただし、事故によって具体的に車のどのパーツがどのような被害を受けたのか、外から見ただけでは分かりません。

事故の大小に関わらず、公道を走る前に専門業者に点検してもらうことをおすすめします。

愛車の買取相場を知ることで高く売ることができます 愛車のかんたん査定はこちら

車が事故にあった後の移動方法

車が事故にあった後の移動方法
事故による被害の程度によっては、車を動かせないことがあります。また、自走できる場合でも事故車を走らせると思わぬ事故につながったり、車の状態によっては道路交通法違反となったりするかもしれません。

ここからは、車が事故にあった後の移動方法について紹介していきます。

レッカー車を手配する

事故にあった車を移動させる必要がある場合は、レッカー車を手配するのが基本です。

特に大きく損傷していたり、タイヤがパンクしていたりする場合は自走できないためレッカー車で修理工場などへ運びましょう。

ただし、レッカー車が到着するまでの間、交通渋滞などを避けるために車を安全な場所に移動させる必要があるかもしれません。その場合は、自走可能な場合は自走させたり、周囲の人に協力してもらって車を押したりするとよいでしょう。

部品が脱落する危険がある

事故による損傷が小さく、車が自走できる状態であれば自分で運転して修理工場などへ運ぶことも可能です。

ただし、一見して分からないところにダメージを受けている可能性があります。損傷した箇所によっては走行中に事故を起こしたり、部品が脱落したりするかもしれません。

自走可能な状態であっても、安全のためできる限りレッカー車で移動するほうがよいでしょう。

また、外れかかっている部品があれば外して保管しておく、落ちないように補強するなどの対処法も検討してみてください。

レッカー車を利用する際の注意点

レッカー車を利用する際の注意点
事故などで車が損傷したら、JAFや任意保険を通じてレッカー車を手配しましょう。緊急の場合は警察が呼ぶこともあります。

車が事故にあい、初めてレッカー車を利用するという人は多いでしょう。そこでここからは、レッカー車を利用する際の注意点を2つ紹介します。

①事故を起こした相手の車はレッカー移動できない

JAFや任意保険などのロードサービスを使ってレッカー移動する場合、保険の対象となのは自分の車のみです。自分の保険などのロードサービスは事故の相手方の車を動かすために使えません。

相手の車を動かすためには、相手自身のロードサービスなどを使ってレッカー車を手配する必要があります。

なお、自分の保険を使ってレッカー移動した場合でも、相手に事故の責任があれば費用は請求できることがあります。

②廃車の引き取りではロードサービスを利用できない

ロードサービスは走行中に走れなくなった車を移動させるためのサービスです。事故が原因で走行できなくなった場合でも、廃車や解体が目的であればロードサービスを利用できないケースが多いので注意しましょう。

廃車や解体のためのレッカー車は自分で手配するのが基本です。

ただし、廃車のためのロードサービス利用が可能な保険会社もあります。また、レッカー車のサービスがある業者を利用するのもおすすめの方法です。

事故に遭った際、レッカー車は無料で利用できますか?
レッカー車を利用する場合、JAFまたは任意保険のロードサービスを利用することが多いでしょう。
JAFの場合、会員かつ短距離あればレッカー料金は無料ですが、非会員や移動距離が長い場合は有料です。
任意保険の場合は無料で利用できる条件がJAFよりもゆるい傾向にあるため、料金がかからないことが多いでしょう。

整備不良車の罰則や事故を起こした時の処遇

事故車で公道を走る際は整備不良に注意しましょう。

整備不良の車で公道を走ることは道路交通法違反となり罰せられます。また、整備不良が原因となって大きな事故を引き起こす恐れがあるため自身や周りの人にとって大変危険です。

ここからは、整備不良車で公道を走った場合の罰則や、事故を起こした時の処遇について紹介します。

違反点と罰則金が課せられる

整備不良の車で公道を走ると、違反点と罰則金が課せられます。整備不良の内容によって罰則が異なり、ヘッドライトやテールランプの不具合で課せられる違反点数は1点です。

また、車の大きさによって最大9,000円の罰則金も課せられます。玉切れによる無灯火なども整備不良とみなされるため注意が必要です。

ブレーキ関係の不具合が認められた場合は、制御装置の整備不良として罰則がより重くなります。違反点数は2点、罰則金は最大12,000円です。

ブレーキの効きが悪いと感じたら点検や整備を受けることをおすすめします。

整備不良車で事故を起こすと負担が大きい

整備不良の車を走らせることは、重大な事故につながる恐れがあるため危険です。そのため、整備不良車であることを知った上で走行させて事故を起こした場合、保険が使えなかったり保険金が減額されたりすることがあります。

事故の内容によっては車の修理代の他、巨額の賠償金を請求されることもあるでしょう。保険が適用されなければとても払えないような大きな経済的負担が必要になることも考えられます。

車検が通らなかったり、事故にあったりして整備不良の状態にある車を走らせることは避けましょう。

公道を走行できない事故車の廃車手続き方法

公道を走行できない事故車の廃車手続き方法
車の損傷が大きく修理不能な場合や、車検が通らない場合など、公道を走行できない事故車は廃車にするケースが多いでしょう。

廃車にする際、車を解体するかどうかによって「永久抹消登録」または「一時抹消登録」の2通りの手続き方法があります。

ここからは、公道を走れない事故車の廃車手続き方法について紹介します。

車を解体して永久抹消登録手続きを行う

車を解体し、使えなくする場合には永久抹消登録の手続きを行います。

まず、車を解体業者へ引き渡し、解体処理してもらいましょう。その後、普通車の場合は管轄の運輸局へ以下の書類を提出します。

  • 車検証の原本
  • 印鑑登録証明書
  • ナンバープレート
  • 所有者の実印
  • 永久抹消登録申請書
  • 手数料納付書

上記のうち、永久抹消登録申請書と手数料納付書は手続き当日に運輸局で入手可能です。

また、申請書には移動報告番号、解体報告記録日を記入する欄があります。解体業者から教えてもらえるため、忘れずにメモしておきましょう。

永久抹消登録した車は再登録ができません。今後車を使う可能性がない場合にのみ手続きをしましょう。

車を手元に残したい場合は一時抹消登録を行う

一時抹消登録とは、車の解体を行わずに登録を消し、公道を走れなくする手続きのことです。走れない状態であっても車を手元に残したい場合は一時抹消登録の手続きを行うとよいでしょう。

普通車の一時抹消登録に必要な書類は以下の通りです。

  • 車検証の原本
  • 印鑑登録証明書
  • 所有者の実印
  • ナンバープレート
  • 一時抹消登録申請書
  • 手数料納付書

一時抹消登録申請書と手数料納付書は管轄の運輸支局で入手できます。

車の解体を必要としない一時抹消登録では、永久抹消登録と異なり、再登録することで再び公道を走れるようになります。海外転勤や入院などで、しばらく車を使う予定がない人にもおすすめの方法です。

永久抹消登録後に車の修理を行い、再び乗ることはできますか?
永久抹消登録は車の解体を伴う手続きなので、再登録してもう一度乗ることはできません。修理すれば公道を走れる車など、再び使う可能性がある場合は永久抹消登録ではなく、一時抹消登録の手続きをしましょう。
自分で廃車手続きを行う場合は費用がかかる

自分で廃車手続きを行う場合、費用がかかります。

陸運支局で支払う手数料は数百円程度ですが、特に永久抹消登録を行うのであれば車の解体費用や移動費用なども必要です。合計25,000円〜40,000円程度が費用の目安です。

廃車手続きを業者に代行してもらう方法もあります。車の買取ができる業者であれば、廃車手続きが無料になる可能性もあります。費用を抑えたい人や忙しい人はぜひ検討してみましょう。

公道を走行できなくなった事故車を売却する際に知っておきたいこと

公道を走行できなくなった事故車を売却する際に知っておきたいこと
公道を走れなくなった事故車は「廃車にするしかない」と思われがちですが、車種や状態によっては買取してもらえる可能性があります。そのため、解体して廃車手続きをする前に、査定してもらうとよいでしょう。

ここからは、公道を走行できなくなった事故車を売却する際に知っておきたいことを紹介します。

事故車は査定額が下がる

事故車とは事故などの要因でフレームが損傷し、修復された車のことです。修復されていても車の大切なパーツであるフレームがダメージを受けていることから、査定が下がりやすい傾向にあります。

ただし、修復内容や車種によっては査定額に大きく影響しないこともあります。まずは一度査定してもらうとよいでしょう。

なお、業者によって査定額が異なることもあります。中古車買取業者と廃車買取業者など、複数の業者に査定してもらうのがおすすめです。

事故車であることは必ず申告する

事故車の場合、査定額は下がりやすい傾向にあります。ただし、事故車であることを隠して査定してもらうことはトラブルの原因となります。そのため、査定の際に必ず正直に伝えましょう。

隠していてもベテランの査定士であれば修復歴に気づく可能性があり、悪い印象を持たれるかもしれません。心象が悪くなれば査定額にも影響することが考えられます。

一方、軽微な修復であれば査定額にほとんど影響しないこともあります。修復歴は事前に伝えておくほうがよいでしょう。

事故車は修復前に一度査定に出してみる

事故にあった車を手放す予定がある場合は、修復する前に査定してもらうのがおすすめです。状態や車種、業者によっては修復しなくても買取してくれる可能性があります。

一方、車の状態によっては修復しても買取してもらえないことも考えられます。また、査定額が修復費用を下回り、損をしてしまうかもしれません。

事故後に車を売ることを検討しているのであれば、まず査定してもらってから買取または修復のどちらがよいかを選ぶとよいでしょう。

まとめ

①事故車でも公道を走れる場合はあるが、自己判断せず専門業者の点検や整備を受けることが大切
②突起物のある車、整備不良の車は公道を走行すると道路交通法違反となる
③自走できる・できないに関わらず、事故車は任意保険などを通じてレッカー車を手配するのがよい
④公道を走れない事故車の処分方法には廃車手続き、または買取がある
⑤事故車は査定額が下がる傾向にあるため、修復前に一度査定してもらうのがおすすめ

※本記事は公開時点の情報になります。
記事内容について現在の情報と異なる可能性がございます。
車の査定は何社に依頼するべき?
愛車の買取相場を知ることで高く売ることができます 愛車のかんたん査定はこちら