ハイブリッド車によるアイドリングは、燃費にどのような影響があるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
ハイブリッド車の場合、バッテリーや燃料の状態に合わせて、エンジンの停止と始動が自動的に切り替えられています。
この記事では、ハイブリッド車のアイドリングに関する基本的な仕組みや、アイドリングストップについて詳しく解説します。また、ハイブリッド車の燃費を伸ばす運転術も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
ハイブリッド車のアイドリングの基本的な仕組み
ハイブリッド車はガソリン車と異なり、アイドリングを行っている際にもエンジンの停止と始動が自動的に切り替えられています。これは、バッテリーの残量が不足すると充電を行う必要があるためです。
ハイブリッド車にもアイドリングストップは搭載されていますが、運転方法や走行環境に応じて使い分けることが燃費性能を向上させるための重要なポイントです。
ここからは、アイドリングによる影響やアイドリングストップ機能を利用するべきタイミングについて見ていきましょう。
ハイブリッド車のアイドリング事情
そもそもアイドリングとは、エンジンはかけているが走行はしていない状態です。信号待ちや駐車場で人を待っているときなどがこれに当てはまります。
ハイブリッド車の場合はガソリン車と異なり、自動的に停止と始動を繰り返していることが特徴です。
ハイブリッド車のアイドリング事情について、続けられる時間や影響を解説します。
ハイブリッド車で、アイドリング状態を続けていると自動的にエンジンの停止と始動が繰り返されます。これは、バッテリーの残量に合わせてエンジンの停止と作動が切り替えられており、バッテリーの残量が少なくなるとエンジンを始動させて充電を行い、充電が満たされると再びエンジンが停止する仕組みです。
エンジンの停止と始動が繰り返されるため、バッテリーの負担を懸念する方も多いかもしれませんが、それでもガソリン車に比べて燃費性能や環境性能に対するデメリットは少ないといえるでしょう。
エンジンが自動的に切り替わるのは、モーターとエンジンと搭載するハイブリッド車ならではの特徴です。
ハイブリッド車がアイドリングを続けられる時間は、燃料の量やバッテリーの残量、エアコンやオーディオなどの電装品の使用状況によっても異なります。
バッテリーの充電が満タンだった場合でも、1~2時間程度経過するとエンジンの始動頻度が高くなってくるでしょう。エンジンの作動頻度が増えてくると、燃費性能にも環境性能にも悪影響を与えてしまいます。
エアコンを強くつけていたり、オーディオや車内ランプなど複数の電装品を使用していたりする場合は、より短い時間でエンジンへの切り替えの頻度が増えてくるでしょう。
アイドリング時には車の状況に注意を払うことが重要です。
このようなことからも、何か特別な理由がない限りは長時間のアイドリングは避けることがおすすめです。
ハイブリッド車はエンジンをかけずにエアコンの使用が可能
ハイブリッド車はエンジンをかけずにバッテリーでエアコンの使用ができます。
ハイブリッド車の場合、アクセサリーモードやREADYモードに切り替えることで、エンジンを始動させずにエアコンを作動させられます。しかし、冷風ではなく送風になったり機能に制限がかかったりと、エンジンをかけている状態でのエアコンの使用時とは一部違いが出てくる車種が大半です。
また、バッテリーの残量が減少してくるとエンジンをかけない状態でのエアコンの使用はできません。バッテリー残量が不足すると自動的にエンジンが作動します。
バッテリーの減りを抑えながらエアコンを使用するには、サンシェードを使用したり、設定温度を調整したりすると良いでしょう。
ハイブリッド車は暖房使用時にも影響がある
ハイブリッド車の場合は暖房を使用する際にも燃料を消費する可能性があるため、使用時には燃費性能の低下に注意が必要です。
ガソリン車の場合は、稼働するエンジンの熱を吸収した冷却水を利用して車内に温風を送り、暖房機能を作動させているため燃費性能への影響はほとんどありません。
ハイブリッド車の場合も、暖房の仕組み自体はガソリン車とほとんど変わりませんが、ハイブリッド車はモーター走行をしていてエンジンが作動していない状態でも、暖房をつけることで強制的にモーターからエンジンに切り替えなくてはいけなくなります。
ハイブリッド車は、このような「暖機運転」を行う必要があることから、燃費性能に影響を与えてしまうのです。
ハイブリッド車の場合、ガソリン車ほどの負担はありませんが、それでもバッテリーに負担がかかってしまうことに変わりはありません。
アイドリングストップは賢く使うのが重要
アイドリングストップは、走行環境に合わせて使用することが重要です。本来アイドリングによる燃費の悪化を防ぐために開発された機能ですが、信号など短時間の停止が多い環境では、かえってバッテリーの負担になってしまうおそれがあります。
ここからは、アイドリングストップ機能を使う際のポイントについて解説します。
アイドリングストップ機能を活用することで、停車時の無駄なエネルギーの消耗を抑えられます。アイドリング時にも燃料は少量ながらに消費されており、少しずつの積み重ねによって燃費性能の向上を実現しています。
また、エンジン音の騒音が抑えられることもポイントです。閑静な住宅街などでは、エンジン音はよく響きます。アイドリング時間が長くなってしまう状況では、周囲への配慮ができるでしょう。
燃料の消費を抑えることで排出されるガスも軽減し、環境面でも良い影響をもたらすことがアイドリングストップのメリットです。
渋滞時や信号待ちの多い場所などの走行シーンでは、短時間の停止と始動を繰り返す動きになります。停止時間が短いと、浮かせたエネルギーよりも、エンジンを再始動させるときに消耗するエネルギーの方が大きくなってしまうおそれがあります。
また、短時間のエンジンの停止と始動を繰り返す動きは、バッテリーにも負担がかかってしまうため、注意が必要です。燃費性能を少しでも高めようとしていても、走行環境によってはかえって燃費が悪くなってしまいます。
機能をキャンセルする機能も備わっているため、走行環境に合わせて使い分けることが重要です。
ハイブリッド車でエンジンをかけっぱなしにする方法
ハイブリッド車の場合、自動的にエンジンのオンオフが切り替わってしまうため、エアコンやオーディオなどの電装品を使用している場合はバッテリーに負担がかかってしまいます。
このような事態を回避するには、ハイブリッド車でもエンジンをかけっぱなしにする方法を知っておくことが重要です。
ここからは、ハイブリッド車でエンジンをかけ続ける方法について解説します。
トヨタのハイブリッド車は、バッテリーの充電状況に合わせてエンジンの停止と始動が自動的に行われています。
エンジンをかけっぱなしにするには、エアコンを強めにかけてバッテリーを多く消耗させたり、シフトレバーを「D」に入れておいたりする方法が有効です。
メンテナンスモードを利用する際には、ブレーキペダルを踏まない状態でパワーボタンを2度押し、アクセサリーモードに切り替えます。その後、ブレーキペダルを踏み込んだ状態でシフトレバーを「N」にして、パワーボタンを長押しすることで切り替えが完了します。
トヨタのハイブリッド車で、エンジンをかけ続ける際には、エンジンをかけ続けることによるデメリットもよく理解したうえで行いましょう。
ホンダのハイブリッド車をエンジンをかけた状態で保つには、トヨタ車同様にシフトレバーを「D」に入れたり、エアコンを強めにかけたりする方法があります。
また、ホンダ車に搭載されている「スポーツモード(S)」に切り替えることで、走行時のパワーをより多く発揮させるため、エンジンを通常時よりも多く稼働させることが可能です。
エンジンをかけっぱなしにするということは、ハイブリッド車の特徴を帳消しにしているようなものであり、燃費性能や環境性能の観点からもあまりおすすめはできません。エンジンをかけ続けることによるデメリットをよく理解したうえで行うことが重要です。
先述したトヨタ車にもホンダ車にも、メンテナンスモードは搭載されていますが、メンテナンスモードは本来、整備を行うときに向けて搭載されている機能です。そのため、日常的に使用する目的では極力メンテナンスモードは触らないのが無難です。
もし、メンテナンスモードの状態から戻すことを忘れて走行してしまうと、エンジン部品の故障を引きおこしてしまう危険性があります。
何かしらの理由があって、エンジンをかけっぱなしにしたいときには、なるべくシフトレバーの操作やエアコンを強めにかけることで対応することをおすすめします。
しかし、極端にバッテリー残量が少ない場合は、モーター走行ができずエンジンが駆動します。結果的に燃費性能が落ちてしまう可能性はあります。
ハイブリッド車の燃費を伸ばす運転術
ハイブリッド車はガソリン車に比べて燃費性能の高い車ですが、運転方法や使用環境が適切でないと、本来ハイブリッド車が持つ性能を発揮できません。
エコドライブの徹底や定期的なメンテナンスを行うことで、ハイブリッド車の燃費性能を活かせるでしょう。
ここからは、ハイブリッド車の燃費を伸ばす運転術について解説します。
いくら燃費性能の高い車に乗っていても、運転方法が荒いと本来持っている性能を十分に引き出せません。燃費性能を伸ばすうえで、エコな運転は最も重要です。
まず、発進時や停止時には急アクセルや急ブレーキを避け、優しく操作することがポイントです。
また、前方車両との車間距離は適度にとることで、先の信号や一時停止などのポイントも早めに確認できます。早めのアクセルオフは回生ブレーキの充電ができるチャンスでもあり、より効率的な走行が実現できるでしょう。
エコドライブは安全運転にもつながるため、積極的に取り入れて習慣づけることをおすすめします。
冷房や暖房の使用は、燃費に直結するため、無駄遣いはしないように気をつけることがポイントです。
ガソリン車の場合は、冷房の使用は燃費に関係していましたが、暖房はエンジンによって温められた冷却水の熱をそのまま利用していたため、燃費に影響はありませんでした。
しかし、ハイブリッド車の場合は、モーター走行をしていても、暖房をつけることでエンジンを稼働させてガソリン車と同じ仕組みで温風を車内に送り込んでいます。
そのため、ハイブリッド車の場合は冷房・暖房どちらも燃料を消費することになります。極度の我慢はいけませんが、無駄使いは避けましょう。
タイヤの空気圧が低下すると、タイヤと路面との接地面が増えてしまい、抵抗力が増すことが燃費悪化の原因です。
しかし、反対に適正量よりも多く入れてしまうのも、燃費に影響はないものの乗り心地が悪くなったり、タイヤの破裂のリスクがあったりします。
このようなことからも、タイヤの空気圧は多過ぎても少な過ぎても良くないことが分かります。長距離のお出かけ前や月に1度など自分で決めたペースで、定期的に調べて適正量を保つようにしましょう。
エアゲージは、ガソリンスタンドやカー用品店で無料で貸し出してくれます。
ハイブリッド車は冬場に燃費が低下しやすい
ハイブリッド車は暖房の使用時に燃料を消耗してしまうため、冬場は燃費が悪くなってしまいがちです。少しでも燃費の悪化を防ぐために、エアコンの使用方法を見直すことが重要です。
暖房の仕組みはガソリン車もハイブリッド車も変わりありませんが、エンジンを常に稼働させているガソリン車に対して、ハイブリッド車はモーター走行をしている状態でも暖房をつけることでわざわざエンジンを作動させる必要があります。
なお、エンジンの熱を利用して暖房の温風を送っているため、都度エンジンを停止させるアイドリングストップ機能を利用しているとエンジンの熱が十分に得られず、効率が悪くなります。
暖房を使用しながらも、なるべく燃費性能の悪化を抑えるには、ある程度車を走らせてエンジンが温まってから暖房をつけたり、エアコンの設定温度を見直したりすることがポイントです。
ハイブリッド車のアイドリングに関するよくある質問
普段、何気なく利用しているアイドリング機能ですが、良い情報も悪い情報もあり、何が正しい情報なのか分からなくなっている方も多いのではないでしょうか。
アイドリングストップも、ガソリン車とハイブリッド車では仕組みが異なるため、自分の車に適した情報を得ることが大切です。
ここからは、ハイブリッド車のアイドリングに関するよくある質問に答えていきます。
長時間アイドリングを続けることは、燃費性能や環境性能に悪影響を与えてしまいます。
コンビニなど立ち寄った際に車内で食事をする際や、オートキャンプに行った際などは、ついついアイドリング状態で過ごしてしまいがちです。
しかし、走行していないためバッテリーの充電はできない状態で、エンジンや電装品などによってエネルギーは消耗し続けている状態であるため、燃費に直接影響を与えてしまいます。
また、排出ガスによる環境問題や、エンジン音による騒音問題にも注意が必要です。
アイドリングは、車にとっても環境面でも良くないことは事実です。
アイドリングストップ機能を使うことによって、エンジンの停止と始動を繰り返すため、バッテリーにはアイドリングストップ機能非搭載車よりも多くの負担がかかります。
しかし、負担がかかることは事実ではあるものの、そこまで神経質になる必要はありません。
アイドリングストップ機能を搭載している以上、エンジンの停止と始動の繰り返しに対応できるよう、あらかじめ容量の大きいバッテリーが搭載されています。
走行環境によってアイドリングストップの使用の有無を切り替えることは燃費向上のためにも重要なことですが、バッテリーの負担はそこまで気にしなくて良いでしょう。
一昔前までは、燃費向上対策としてアイドリングストップが貢献してきましたが、技術の発展により近年ではハイブリッドシステムを筆頭に様々な燃費向上対策が導入されています。
そのような中で、走行環境によってはかえって燃費が悪くなってしまうアイドリングストップは、「使い勝手が悪い」と感じるユーザーも多く、将来的にはアイドリングストップは排除されている可能性もあるでしょう。
しかし、現時点ではまだアイドリングストップは多くの車に搭載されており、うまく取り入れることが少しでも燃費性能を向上させるポイントです。