近所への買い物や子どもの送迎など、短距離での車利用が中心の方にとって、ハイブリッド車は本当にお得な選択なのか、車の購入を検討する中で他の車と迷っている方もいるでしょう。

燃費の良さで注目されるハイブリッド車ですが、チョイ乗りではその性能を十分に発揮できない可能性があります。エンジンとモーターを併用するハイブリッドシステムは、走行距離や使用パターンによって効果に大きな差が生まれるためです。

この記事では、ハイブリッド車でのチョイ乗りがもたらすメリットとデメリット、適切な使い方のポイントを詳しく解説します。

短距離利用が多い方が後悔しない車選びのために、小型電気自動車やカーリース、シェアカーなどの代替選択肢についても紹介します。ぜひ最後までご覧ください。

チョイ乗りとは?

チョイ乗りとは?
チョイ乗りとは、8~10kmの短距離走行を指します。以下のような日常的な利用が典型例です。

  • 通勤で駅まで車で向かう
  • 近所のコンビニまで買い物に行く
  • スーパーへの買い物
  • 子どもの送迎

チョイ乗りは、車が完全に温まる前に走り終わるため、部品やエンジンオイルなどへ悪影響があります。

メーカーの整備基準でも「短距離走行の繰り返し」を含む、悪路走行や山道走行を良く行う状況は「シビアコンディション」といわれ、車にとって過酷な状況をいいます。

シビアコンディションが続くと、オイル交換時期や部品交換などを早める必要があると記載されており、定期的なメンテナンスが大切です。

ハイブリッド車はチョイ乗りに適している?

ハイブリッド車はチョイ乗りに適している?
ハイブリッド車でチョイ乗りを続けても問題ないのか、構造的な特徴と与える影響について詳しく見ていきましょう。

ハイブリッド車が、短距離走行でも効率的に走行できる理由や燃費への影響、ガソリン車やディーゼル車との比較も踏まえて解説します。

ハイブリット車はチョイ乗りに適した構造です

ハイブリッド車は、エンジンとモーターの2つの動力源を使い分ける構造により、チョイ乗りに適した特性を持っています。

発進時や低速走行時には主にモーターが駆動するため、エンジンが冷えた状態でもスムーズな走行が可能です。また、停車時にはエンジンが自動的に停止するアイドリングストップ機能により、無駄な燃料消費を抑制できます。

バッテリーに蓄えられた電力でモーターを動かすため、短距離走行でもガソリン車より効率的な運転は可能です。さらに、回生ブレーキにより減速時のエネルギーを回収し、バッテリーに充電する仕組みも備えています。

燃費への影響は避けられない

ハイブリッド車でも、チョイ乗りによる燃費への影響は避けられません。

ハイブリッドシステムが最も効果を発揮するのは、エンジンとモーターが適切に連携できる中〜高速走行時です。短距離走行では、エンジンが最適な温度に達する前に運転を終えることが多く、燃焼効率が低下します。

そのため、暖機運転の頻度が増え、公式サイトやカタログの値通りの燃費を実現するのは難しいでしょう。特に冬場は暖房のためにエンジンを動かす必要があり、さらなる燃費悪化につながります。

それでも、ガソリン車と比較すれば、チョイ乗りでも相対的に良好な燃費を維持できるのがハイブリッド車の強みです。

ガソリン車やディーゼル車は、チョイ乗りに適していますか?
ガソリン車やディーゼル車は、ハイブリッド車と比較してチョイ乗りには不利です。
ガソリン車は、発進時からエンジンを使用するため、完全に温まらないまま走行をすると、燃費悪化が現れます。特にアイドリングストップ機能がない車種では、信号待ちでもエンジンが動き続けるため、燃料を多く消費します。
ディーゼル車は、DPF(排気微粒子除去装置)の再生処理のため定期的な高温運転が必要です。短距離走行ではこの処理が完了せず、ススが溜まり、エンジントラブルの原因になる可能性があります。
ただし、ガソリン車やディーゼル車は、ハイブリッド車に比べて車両価格が安く、メンテナンス性が良いなどの利点もあります。使用頻度や予算に応じて、車を選択することが重要です。

ハイブリッド車でチョイ乗りするメリット・デメリット

ハイブリッド車でチョイ乗りするメリット・デメリット
ハイブリッド車をチョイ乗りで使用する際のメリットとデメリットを紹介します。

購入前にそれぞれのポイントを理解しておきましょう。

メリット

ハイブリッド車でチョイ乗りするメリットは、以下の3つです。

モーターが駆動して始動する

1つ目のメリットは、モーター駆動による効率的な走行ができることです。これは、ハイブリッド車でチョイ乗りをする最大のメリットともいえます。発進時はモーターが駆動するため、暖機運転する必要がなく、エンジンが冷えた状態でもスムーズに加速できます。

アイドリングストップをしてくれる

2つ目は、信号待ちや一時停止時には自動的にエンジンが停止するアイドリングストップ機能により、無駄な燃料消費を削減できることです。短い走行距離の間でも、無駄なエネルギーを使うこと少ないため、燃費良く走行できます。

比較的燃費良くチョイ乗りできる

3つ目は、チョイ乗りでも燃費性の良さを維持しながら使用することが可能です。ガソリン車やディーゼル車と比較すると、年間を通じてガソリン代の節約効果を実感しやすいのがハイブリッド車です。

さらに、環境負荷の軽減にも貢献できる点は、ハイブリッド車の大きなメリットといえます。

デメリット

ハイブリッド車でチョイ乗りするデメリットは、最大の魅力である燃費の良さを十分に実感できない点です。長距離走行時に発揮される、ハイブリッド車の高い燃費性能は、短距離走行では限定的になってしまいます。

車両価格がガソリン車より高いため、燃料費の節約効果だけでは価格差を回収するのに時間が必要です。

また、バッテリーやモーターなどの複雑な機構により、メンテナンス費用が高くなる傾向があります。特にバッテリーの交換時期が来ると、まとまった費用が必要です。

さらに、チョイ乗りが続くとバッテリーの充電が不十分になり、システム全体のパフォーマンスが低下する可能性もあります。

チョイ乗りが多い運転者は、燃費性や車両価格などの支出も踏まえてハイブリッド車が合っているのかを十分に検討しましょう。

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ハイブリッド車を長く使うためのポイント

チョイ乗りでハイブリッド車を長く使うためのポイントは3つあります。以下の内容を参考に適切な管理をすることで、車の寿命を延ばすことが可能です。

安全に車を使用し続けるためにも、必要なメンテナンスを確認していきましょう。

エンジンオイルの管理をする

エンジンオイルの管理をする
チョイ乗りではエンジンが十分に温まらないため、エンジンオイルの劣化が早まります。

短距離走行では、燃焼により生じた水分や不純物がオイル内に蓄積しやすいため、オイルの性能低下を招いてしまいます。そのため、チョイ乗りが続くと、通常より短いサイクルでのオイル交換が必要です。

定期的にオイルレベルゲージでオイル量を確認したり、色や粘度の変化もチェックしたりしましょう。黒く汚れていたり、粘度が低下していたりする場合は、早めの交換が必要です。

また、高品質なオイルを使用すると、エンジンの保護効果を高めることもできるため、長く乗り続けたい方にはおすすめです。

10km以上の走行を定期的に行う

月に数回は10km以上の連続走行を行いましょう。エンジンとハイブリッドシステムを十分に温められ、それぞれのコンディションを維持できます。

10km以上の走行により、エンジン内部の水分を蒸発させ、オイルの循環を促進することが可能です。また、バッテリーの充放電サイクルを正常に機能させ、システム全体の性能維持にも効果があります。

中長距離運転をする際は、高速道路や幹線道路を利用して、一定の速度で走行することが理想的です。定期的な長距離走行は、車両の総合的なコンディション維持に不可欠なポイントです。

定期的な点検を行う

定期的な点検を行う
チョイ乗りが多い場合は、通常より頻繁に点検を行うことで、トラブルを未然に防ぎましょう。特にハイブリッドシステムの診断やバッテリーの状態確認は専門的な知識が必要なため、ハイブリッド車の専門ディーラーでの定期点検を欠かさず行うのがおすすめです。

チョイ乗りが多い方は使用頻度が少ないことから、「定期的な点検は不要」と考える方もいますが、エンジンやタイヤは経年劣化していきます。それほど使っていないからといって点検を疎かにしないようにしましょう。

以下の箇所を定期的にチェックし、メンテナンスを行うのがおすすめです。

  • 冷却水やブレーキフルードなどの各種液類の点検
  • タイヤの空気圧チェック
  • エアフィルターやバッテリー端子の清掃
  • 各種センサーの動作確認

定期的な点検を行うことで、小さな異常でも早期発見により大きなトラブルを回避でき、結果的に維持費の節約にもつながります。

メンテナンスを行った際には、その記録を残すと、いつから異常があったのかをさかのぼれるため便利です。

ハイブリッド車でチョイ乗りする場合、冬場は不向きですか?
冬場にチョイ乗りする際には、ハイブリッド車特有の注意点があります。
暖房システムはエンジンの排熱を利用するため、短距離走行ではエンジンが十分に温まらず、車内が暖まりにくいです。そのため、暖房効果を得るためにエンジンが長時間稼働する必要があり、結果的に燃費の悪化を招く可能性があります。
また、寒冷地ではバッテリー性能の低下により電動アシストの効果も減少する傾向があります。さらに、エンジン暖機のためのアイドリング時間が長くなるため、ハイブリッド車のメリットを受けづらいです。
冬場や寒冷地でのチョイ乗りが多い方は、購入する車種の暖房性能や寒冷地仕様の有無を事前に確認することが大切です。

チョイ乗りにおすすめな車

チョイ乗りにおすすめな車
ハイブリッド車以外にも、チョイ乗りに適した車はあります。それは、小型電気自動車やカーリース、シェアカーなどです。

それぞれの特徴を理解して、自分の使用パターンに最適な車を選択しましょう。

チョイ乗りに特化している「小型電気自動車」

小型電気自動車は、チョイ乗りに適した車の一つです。

モーターのみで駆動するため、エンジンの暖機が不要で、発進直後から最大トルクを発揮できます。バッテリー容量は限定的ですが、日常の買い物や送迎には十分な航続距離を走行することが可能です。1人で乗車できるものから、普通乗用車のように4人で乗れるものもあり、家族形態や使用用途に応じて大きさが選べます。

車両価格も比較的手頃で、さらに電気代はガソリン代より大幅に安く済みます。メンテナンスやエンジンオイル交換が不要など、ランニングコストも抑えられるのも大きな特徴です。

ただし、長距離走行には不向きで、充電設備の確保が必要な点は注意しましょう。近距離移動しかしない、またはセカンドカー的な使い方を想定している方には最適な車といえます。

メンテナンスや管理が不要「カーリース」

メンテナンスや管理が不要「カーリース」
カーリースは、契約期間内であれば月額料金を支払うことで、自分で選んだ車を利用できるサービスです。頭金や車両の購入のためのまとまった出費、維持管理の手間を減らすことが可能です。

月額料金には車両代、保険料、税金、メンテナンス費用が含まれているため、車の故障や車検による突発的な出費を避けられます。契約期間中は最新の安全装備を備えた車両を利用でき、故障時の対応もリース会社が行います。

契約終了時には車両を返却するだけなため、カーリースでチョイ乗りを続けても、エンジンやバッテリーの劣化を心配する必要がありません。

また契約プランによっても異なりますが、カーリースには「月間走行距離の制限」があります。毎月の走行距離制限があり、それを超えると追加料金が発生します。そのため、カーリースは長距離利用が少ない方に適している車です。

ただし、総費用が購入より高くなる場合があったり、車をカスタマイズすることに制限があったりすることを事前に理解しておきましょう。

必要なときだけ利用可能「シェアカー」

シェアカーは、車を所有せずに必要なときだけ利用できるサービスです。ステーションにある車を、会員登録したメンバー同士で使用可能です。レンタカーよりも気軽に車を利用できることから利用者数が増えています。

維持費や保険料、駐車場代などの固定費が一切かからず、ガソリンも使用した分だけの料金を支払います。

需要の高まりにより、ステーション数が増加しているため利便性が向上し、スマートフォンアプリで簡単に予約・利用でき、車種も軽自動車からミニバンまで用途に応じて選択できるのもシェアカーの魅力です。

チョイ乗りの頻度が週に数回程度なら、車を購入するより大幅にコスト削減できます。ただし、利用したいときに空きがない可能性や、ステーションまで行かないと車を利用できない、私物を置きっぱなしにできないなどの制約があります。

手頃な価格で購入できる「中古車」

手頃な価格で購入できる「中古車」
中古車は初期費用を抑えながら、チョイ乗りできる車を手に入れる方法です。新車価格の半分以下で購入できることも多く、購入費用の早期回収が可能です。

また軽自動車やコンパクトカーの中古車なら維持費も安く抑えられ、さらに経済的に乗り続けられます。

ただし、中古車は経年劣化による故障リスクや予期せぬ修理費用が発生する可能性があるため、信頼できる販売店での購入や、購入前に詳細に確認することが大切です。

また、燃費性能は新車より劣る場合が多いため、年間の走行距離と燃料費のバランスを考慮して車両を選びましょう。

ハイブリッド車は乗らないと、バッテリーはどうなってしまう?
ハイブリッド車は駐車中もシステムの待機電力により常に放電が続いています。そのため、駐車しているだけの状態が2週間から1ヶ月程度続くと、バッテリーが上がってしまう可能性があるのです。
特に、補機バッテリーが完全に放電してしまうと、ハイブリッドシステム全体が起動できなくなってしまいます。メインバッテリーも長期間の放置により劣化が進み、交換するタイミングが早まる場合があります。
週末だけの利用や、長期出張が多く車を使うタイミングが限られる方は、定期的にエンジン始動や充電を行うことが必要です。このような使用パターンの方には、小型電気自動車やカーリース、シェアカーなど、バッテリー管理を気にしなくて良い車を検討することがおすすめです。

まとめ

①チョイ乗りとは8km未満の短距離走行で、エンジンが十分に温まらないため車に負担をかける
②ハイブリッド車はモーター駆動とアイドリングストップ機能により、チョイ乗りに適した構造を持つ
③短距離走行では燃費の良さが活かしづらく、ハイブリッド車本来の性能を実感しにくい
④チョイ乗り時はエンジンオイル管理、定期的な長距離走行、点検の実施が重要な維持ポイント
⑤走行距離が短く、乗る頻度も低い方は、ハイブリッド車以外の車もおすすめ

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