廃車手続きでは様々な書類が求められます。そのうちの1つである「印鑑証明書」は実印が本物だと証明するための書類です。

印鑑証明書は特定の場面でしか使われないため、馴染みがない人も多いかもしれませんが、登録や発行のための手続きは難しくありません。

この記事では、廃車手続きに必要な印鑑証明書の発行方法や準備する際の注意点、発行できない場合の対処法などについて詳しく解説していきます。

印鑑証明書についてと廃車手続きで必要な場面を知ろう!

廃車手続きで印鑑証明書が必要な場面とは?
廃車手続きで必要な書類の中でも、聞き慣れない書類が「印鑑証明書」でしょう。これはどのような書類で、どのような場合に必要なのでしょうか?

ここからは、廃車手続きで印鑑証明書が必要な場面について紹介します。

そもそも印鑑証明書とは?

印鑑証明書とは、実印が本物であることを証明するための書類です。正式名称は「印鑑登録証明書」ですが、「印鑑証明」と呼ばれることもあります。

印鑑証明書を取得するには、あらかじめ住所のある自治体へ印鑑の登録が必要です。なお、登録された印鑑を「実印」といいます。

車や不動産の売買、ローンの借入、保険加入などの重要な契約の際、契約書へ実印を押すことと併せて印鑑証明書の提出を求められる場合があります。

印鑑証明書と照らし合わせることで、契約書に押された印鑑が本人の実印であることを確認するのが目的です。

普通自動車を廃車する時は1通必要

普通自動車を廃車する場合、基本的に3か月以内に発行された印鑑証明書が1通必要です。

永久抹消・一時抹消のいずれの手続きでも必要枚数は同じです。ただし、手続きの方法によっては2通必要になることもあります。

例えば、業者に廃車手続きを依頼する場合、還付金の受け取りも代行してもらうにあたって、還付委任状を作成するために印鑑証明書がもう1通必要です。

また、廃車を買い取ってもらう場合も同様の理由で2通必要になるでしょう。

事前に必要枚数を確認してから印鑑証明書を取得すると手間を省けます。

軽自動車を廃車する時は不要

軽自動車に関する様々な手続きを行う軽自動車検査協会では、2021年から抹消手続きへの押印が不要になりました。そのため、軽自動車を廃車する際には印鑑証明書は必要ありません。

ただし、廃車手続きの前に名義変更を行うケースでは、印鑑証明書が必要になります。

例えば、軽自動車のローンを完済していない場合や、完済後に名義変更を行っていない場合、車検証記載の所有者名義がローン会社やディーラーになっていることがあります。

この場合は、印鑑証明書を含む必要書類を揃えて「所有権解除」の手続きをしないと廃車にすることができません。

印鑑登録の方法

印鑑登録の方法
印鑑証明書を取得するには、まず印鑑登録を済ませている必要があります。まだ印鑑登録をしていない方は、ゴムやスタンプ式以外の印鑑を用意して、住所のある市町村の窓口で手続きしましょう。

また、結婚などで名前が変わった人も印鑑登録が必要になる場合があります。身分証を持った本人が手続きする場合、最短で即日登録が可能です。

ここからは、印鑑登録の方法について詳しく紹介します。

準備するもの

印鑑登録の手続きの前に準備するものを紹介します。

  • 印鑑
  • 印鑑登録申請書(窓口で入手可能)
  • 本人確認できる顔写真付き身分証(運転免許証、マイナンバーカードなど)

登録可能な印鑑は、印影の大きさが8〜25mm程度かつ、本人の名前や名字が刻まれているものになります。

「シャチハタ」と呼ばれるゴムやスタンプ式のもの、職業名や記号など名前以外のことが刻まれた印鑑は実印として登録できません。

また、家族が登録しているものと同じ印鑑も登録不可です。必ず自分だけの印鑑を用意しましょう。

管轄の役所窓口で印鑑登録を行う

15歳以上で顔写真付きの身分証を持っている人は、自治体の窓口で必要書類を提出することで印鑑登録ができます。手続きはその場で完了するため、印鑑登録証も同日中に発行可能です。

なお、印鑑登録に必要な手数料は自治体によって異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。

本人が窓口に行けない場合は代理人に登録してもらうことも可能です。その際は、委任状を持った代理人が窓口へ行った後、本人宛てに届く「照会書」を持って再び役所へ出向く必要があるため、登録には時間がかかります。

印鑑証明書の取得方法は2つ

印鑑証明書の取得方法は2つ
印鑑登録が完了している場合、印鑑証明書を取得する方法は2つあります。

印鑑証明書の取得には自治体が発行する印鑑登録証(印鑑登録カード)またはマイナンバーカードが必要です。

ここからは、印鑑証明書の取得方法について紹介していきます。

①役所・証明サービスコーナーで取得する

自治体の役所や証明サービスコーナーでは印鑑証明書の取得に際し、以下のものが必要です。

  • 印鑑登録証(印鑑登録カード)またはマイナンバーカード
  • 本人確認ができる書類(運転免許証や健康保険証など)
  • 印鑑登録証明書交付申請書(窓口で入手可能)
  • 手数料

印鑑登録証(印鑑登録カード)は、印鑑登録時に受け取れるので、なくさないようにしましょう。また、自動交付機を使用する場合は申請書を省略できることもあります。

マイナンバーカードを持っていない場合や、代理人が申請する場合は役所や証明サービスコーナーでの手続きが必要です。

②コンビニのマルチコピー機で取得する

マイナンバーカードを持っている人は、コンビニのマルチコピー機でも印鑑証明を取得できます。

必要なものは、マイナンバーカードと手数料のみで、申請書の記入は不要です。

年末年始と指定の点検日を除き、土日を含む毎日6時半~23時の間でいつでも取得できるため、忙しい人におすすめの方法です。

具体的な手続き方法はマルチコピー機によって異なるため、あらかじめコンビニ各社のWebページで確認するか、画面の指示に従いましょう。

なお、手続きの途中でマイナンバーカードの暗証番号の入力を求められます。念のため確認しておいたほうがスムーズに手続きできるでしょう。

本人以外が印鑑証明書を発行することは可能ですか?
印鑑登録が完了している場合、印鑑登録証(印鑑登録カード)があれば、代理人が印鑑証明書を取得することは可能です。
必要事項を記入した印鑑登録証明書交付申請書とともに印鑑登録証を印鑑登録した自治体の窓口などに提出すれば発行してもらえます。本人からの委任状は必要ありません。
なお、印鑑登録証が必要なため、手続きできるのは自治体の窓口やサービスコーナーなどに限ります。コンビニのマルチコピー機では取得できないので注意しましょう。
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廃車手続きにおける印鑑証明書を準備する際の注意点

廃車手続きにおける印鑑証明書を準備する際の注意点
印鑑証明書は自動車や不動産などに関する重要な契約を結ぶ際でしか使われないため、慣れていない人が多いでしょう。

印鑑証明書を用意する際には、いくつかの押さえておきたいポイントがあります。

ここからは、廃車手続きにおいて印鑑証明書を準備する際の注意点について紹介します。

印鑑証明書の発行日に注意する

印鑑証明書には実印の印影に加えて、氏名や生年月日、住所のほか、発行日が記載されます。

廃車手続きの場合、発行から3か月を超えた印鑑証明書は使用できません。そのため、廃車手続きする日が近づいてから印鑑証明書を取得するのがおすすめです。

また、廃車手続きには印鑑証明書以外にも様々な書類が必要になるため、予想よりも準備に時間がかかって手続きが遅くなることも考えられます。

廃車手続きする日が決まったら、提出前にもう一度印鑑証明書の発行日を確認しましょう。3か月より前の日付の場合、証明書を取り直してください。

廃車買取業者に依頼する場合は2通用意する

通常、廃車手続きに必要とされる印鑑証明書は1通ですが、廃車買取業者に廃車手続きを代行してもらう場合は2通用意しましょう。

廃車による税金の還付手続きを代行してもらう場合、還付委任状と印鑑証明書が必要になるためです。

印鑑証明書の取得には手数料がかかります。必要枚数より多く取得すれば手数料が無駄になる一方、足りなければ再度取得しに行く手間がかかります。

業者に依頼する際は、還付手続きもしてもらえることを確認したうえで、印鑑証明書の必要枚数も聞いておきましょう。

印鑑証明書や印鑑登録証の紛失に気をつける

印鑑証明書は、実印が本人のものだと証明する大切な書類です。もし実印と一緒に使われれば、他人が勝手に自分の名前で契約を結んでしまうかもしれません。

印鑑証明書は必要枚数だけ発行し、使用するまでは紛失しないよう注意して保管しましょう。

また、印鑑登録した際に発行される印鑑登録証の紛失や盗難にも注意が必要です。代理人でも印鑑証明書を取得できる便利なカードですが、悪用されれば第三者が勝手に印鑑証明書を取得してしまう可能性があります。

万が一、紛失に気づいた際は警察へ届けるとともに、自治体の窓口にも連絡して印鑑登録を廃止してもらいましょう。

廃車手続きには、何か月以内に発行した印鑑証明書が必要ですか?
廃車手続きでは基本的に発行から3か月以内の印鑑証明書のみ有効です。
廃車手続きでは様々な書類が必要となるため、早めから準備しておく人も多いでしょう。ただし、印鑑証明書については有効期限があるので、できる限り直前に取得することをおすすめします。
また、何らかのトラブルで廃車手続きが予定より遅くなることも考えられます。発行から3か月を超えてしまった場合は再取得が必要です。

廃車手続きに印鑑証明書を用意できない場合の対策

廃車手続きに印鑑証明書を用意できない場合の対策
通常、印鑑登録証やマイナンバーカードなどがあれば印鑑証明書はすぐに取得できます。

ただし、中には廃車手続きで印鑑証明書が必要にも関わらず、紛失や氏名の変更といった様々な理由で用意が難しい場合もあるでしょう。

ここからは、廃車手続きに印鑑証明書を用意できない場合の対処方法について紹介します。

実印をなくしてしまった場合

印鑑登録した実印を紛失してしまった場合、別の印鑑を実印として登録し直す必要があります。

まずは悪用を防ぐため、自治体の窓口へ登録印鑑亡失の届出を提出し、実印をなくしたことを伝えましょう。紛失した実印の印鑑証明書が取得できないようにしてくれます。

その後、改めて新しい印鑑を登録する手続きを行います。印鑑登録の手続きは新規登録の際と同じです。委任状があれば代理人による登録もできます。

また、登録印鑑亡失の届け出の際は印鑑登録証と身分証明書を持参しましょう。この手続きも委任状を作成すれば代理人に依頼することが可能です。

実印をすぐに準備できない場合

実印が手元にない場合でも、紛失していなければ印鑑証明書は準備できます。実印そのものがなくても、印鑑登録証やマイナンバーカードがあれば印鑑証明書を取得できるからです。

例えば、実印を実家に預けていて、すぐに取りに行くのが難しいケースがあるとします。この場合、廃車手続きで使用する実印が必要な書類を郵送し、家族に押印してもらいましょう。そのうえで、自宅まで書類を送り返してもらえれば問題ありません。

郵便物が届くのに数日程度かかるため、時間に余裕を持って依頼するのがポイントです。また、漏れがないように、どの書類に押印が必要か慎重に確認することをおすすめします。

氏名が変わった場合

結婚により姓が変わった場合、結婚前に登録した実印ならびに印鑑証明書を利用できないことがあります。

実印は住民票の氏名と一致している場合のみ有効です。そのため、名前のみが掘られている実印は結婚後も利用できます。

一方、旧姓が掘られた印鑑を登録していた場合は、氏名の変更と同時に印鑑登録が失効します。新しい氏名と一致した印鑑を用意し、登録し直しましょう。再登録の方法は新規登録の際と同様です。

なお、改姓により車検証と印鑑証明書の氏名が一致しない場合は戸籍抄本も用意しましょう。旧姓と新姓が両方記載されており、本人確認ができるため、そのまま廃車手続きができます。

この方法は、名義変更よりも簡単でおすすめです。

車検証に記載されている住所や氏名が異なる場合はどうしたらいい?
車検証と印鑑証明書に記載されている住所が違う場合、別途住所を証明する書類が必要です。前回の車検から1度しか引越していない場合は、現住所の住民票を用意しましょう。2度以上住所が変わっている場合は戸籍の附票が必要です。ただし、附票の記載内容によっては住民票も必要になる場合があります。
また、結婚で氏名が変わった場合は戸籍抄本が必要です。ケースごとに必要書類が異なるため、詳しくは運輸支局や業者に確認しましょう。

印鑑証明書なしで廃車手続きを行う方法

印鑑証明書なしで廃車手続きを行う方法
自動車の廃車手続きには、原則として印鑑証明書が必要です。ただし、特定の方法で廃車にする場合は印鑑証明書がなくても手続き可能です。

また、所有者が亡くなっているといった印鑑証明書を取得できないケースでも廃車にする方法はあります。

ここからは、印鑑証明書なしで廃車手続きを行う方法について紹介します。

車の解体を行う

印鑑証明書が用意できない場合、時間をかければ廃車にする方法はあります。

まず車を解体し、自動車税事務所で自動車税の差し止めをしてもらいましょう。差し止めされた状態が5年継続すると、自動的に名義が抹消されて廃車が可能です。

自動車税の差し止めには以下の書類が必要です。

  • 解体業者から受け取った使用済自動車引取証明書
  • 解体報告記録日が分かる書類
  • 車検証
  • 認印

車を解体して自動車税を停止する方法では、廃車までに約5年かかります。どうしても印鑑証明書を取得できない事情がある場合にのみ検討しましょう。

名義変更を行う

亡くなった人の印鑑証明書は取得できません。そのため、所有者が亡くなった車を廃車する際には、いったん名義変更を行ったうえで手続きする必要があります。

普通自動車の場合、亡くなった人の遺産として扱われるので特別な書類が必要です。必要書類が複雑になるため、必ず陸運局や業者に確認を取りましょう。

以下は必要書類の一例です。

  • 遺産分割協議成立申込書
  • 所有者の戸籍謄本または除籍謄本
  • 所有者と全ての相続人との関係がわかる公的書類
  • 実印(代表相続人のもの)
  • 代表相続人の印鑑証明書(3か月以内に発行されたもの)
  • 委任状
  • 譲渡証明書
  • 車検証
  • 自賠責保険証(1か月と20日以上有効期間が残っている場合)
  • リサイクル券
  • ナンバープレート

なお、軽自動車の場合に必要な書類は通常の名義変更の手続きと同じです。

廃車手続きに必要な書類

廃車手続きに必要な書類
廃車手続きには、車を解体し完全に記録を消す「永久抹消登録」と、一時的に使用を中止するものの車自体は保有し続けられる「一時抹消登録」の2種類があります。

どちらの場合でも印鑑証明書は必要です。

ここからは、廃車手続きに必要な書類を「永久抹消登録」と「一時抹消登録」に分けて紹介していきます。

永久抹消登録に必要な書類と流れ

永久抹消登録の手続きは現住所を管轄する運輸支局の窓口で行います。

必要な書類の一例として、以下のものが挙げられます。

  • 印鑑証明書(発行日から3か月以内のもの)
  • 車検証
  • 前後2枚のナンバープレート
  • 移動報告番号ならびに解体報告記録日がわかる書類やメモ
  • 永久抹消登録申請書または解体届出書
  • 手数料納付書
  • 自動車税/自動車取得税申告書(一部地域では不要)

上記の書類のうち「永久抹消登録申請書」「手数料納付書」「自動車税/自動車取得税申告書」は、運輸支局にて入手可能です。

印鑑証明書を含むその他の書類はあらかじめ準備しておきましょう。また、代理人が手続きする場合は委任状も必要です。

申請当日はまずナンバープレートを返納してから、窓口へ必要書類を提出します。書類が受理されたら、廃車手続きは完了です。

「自動車税/自動車取得税申告書」が必要な自治体では、手続き後に運輸支局内の自動車税事務所などの窓口に書類を提出することで自動車税の還付も行われます。

一時抹消登録に必要な書類と流れ

一時抹消の手続きは現住所を管轄する運輸支局の窓口で行います。

必要書類の一例は以下のとおりです。車の所有者本人または代理人が必要書類を持参してください。

  • 印鑑証明書(発行日から3か月以内のもの)
  • 車検証
  • 前後2枚のナンバープレート
  • 一時抹消登録申請書
  • 手数料納付書

代理人が申請する場合は、上記に加えて委任状も必要です。

地域によっては、自動車税(環境性能割・種別割)申告書が必要になることもあります。

なお、一時抹消登録申請書ならびに手数料納付書は当日運輸支局の窓口で入手できます。

当日は以下の流れに沿って手続きを進めましょう。

  1. 申請書の入手、記入
  2. 印紙の購入と手数料納付書への貼付け
  3. ナンバープレートを返納
  4. 窓口へ必要書類を提出
  5. 登録識別情報等通知書の交付

一部の地域では、運輸支局内の都道府県税事務所の窓口へ一時抹消登録完了の申告が必要です。

なお、登録識別情報等通知書は車の再登録に使用するため、大切に保管しましょう。

まとめ

①印鑑証明書とは、実印が本人のものだと証明するための書類
②廃車手続きでは通常1通、廃車買取業者に手続きを代行してもらう場合は2通の印鑑証明書が必要。軽自動車の廃車手続きでは不要
③印鑑証明書は自治体の窓口や証明サービスコーナーで取得できる。マイナンバーカードがあればコンビニのマルチコピー機からでも取得可能
④廃車手続きで有効な印鑑証明書は、発行日から3か月以内のものに限定される
⑤車の解体や名義変更を行えば、印鑑証明書がなくても廃車できる

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