新車試乗レポート
更新日:2020.04.21 / 掲載日:2017.08.24

コンパクトセダンのホンダ グレイスが、マイナーチェンジで先進の運転支援システムを搭載!

文●ユニット・コンパス 写真●川崎泰輝

  2014年、コンパクトカーの低燃費とセダンらしいゆとりを融合したモデルとして登場した「ホンダ グレイス」。依然として、SUVミニバンが全盛を誇るなかに現れたコンパクトセダンは、ボディサイズのダウンサイジングが進むなかで、やや地味ながらセダン好きな層などから高い評価を受けていた。そして、このほどそのグレイスに、初めてのマイナーチェンジが実施された。

より存在感のある強いルックスに

ホンダ グレイス ハイブリッド EX FF

 外観では、フロントグリルや前後バンパーのデザインが変更され、またインラインタイプのLEDヘッドライトも上位グレードに標準装備されたことで、これまでよりもスポーティなイメージとなっている。そして、同時にハイブリッドモデルの燃費が若干(最高0.4km/L)改善され、最高で「34.8km/L」を記録している。ちなみにガソリンモデルは最高で22.0km/Lだ。

 3ボックススタイルの落ち着いたルックスに「乗りやすさ」を感じるユーザーも少なくないという。だが、フロントからリヤにかけて上昇気味に流れるボディラインは、スポーティな走りを思わせる。

 全長、全幅ともにコンパクトサイズに収めながら、広々とした室内空間を持つグレイス。ダイナミックなサイドラインが高めのキャビンを意識させないデザインだ。

 スポーティで押し出し感もあるワイドスタンスのフロントフェイス。

 一見スポーティセダンのように見えるリヤエンド。

Honda SENSING搭載で生まれ変わった

 しかし、今回のマイナーチェンジでいちばんのビッグニュースは、運転支援システム「Honda SENSING(ホンダセンシング)」が上位グレードに標準装備されたことだろう。最近は「安全装備が充実しているクルマから選ぶ」というユーザーも多く、セーフティ性能は、燃費性能に劣らないほどの大きな関心を集めている。そのなかで代表的な機能であるアダプティブ・クルーズ・コントロールは、前方を走行する車両を検知し、スピードや車間距離を自動的に制御するもので、ドライバーはアクセルペダルを踏むことなく運転することが可能となる。さらに、渋滞で停車しているときなど、前の車両が発進したことを音声とディスプレイ表示で知らせる機能や、走行中に制限速度などの道路標識を認識する機能も搭載されている。これらはとくに高速道路において有効で、ロングドライブを楽しむドライバーにとっては嬉しい装備となるだろう。先進の安全装備をセットにしたホンダセンシングだが、新たに夜間走行時に専用カメラが対向車や前走車を検知して、ハイビーム/ロービームを自動で切り替える「オートハイビーム」機能も加えられている。

 中央に配置されるアナログ式スピードメーターは、脇にあるマルチインフォメーション・ディスプレイとの対比がハッキリしていて見やすい。フロントウインドウの角度は寝ているが、前方に潜り込んでいくボンネットの低さから、意外と視界は広い。

 今回のマイナーチェンジではシートも一新され、質感が高められている。試乗車はオプションの「本革シート」を装着。質感が高く快適だが、標準の「ファブリックシート」の座り心地も良好だ。そのほかにファブリックをメインにサイド部分に合皮を用いた「コンビシート」の3タイプが用意される。カラーはいずれもブラックで、ファブリックシートのみ、アイボリーも選べる。

 後席は、少々立ち気味の背もたれではあるが、硬さも適度なリヤシートは、ロングドライブでも問題なく座っていられそうだ。後席専用のエアコンアウトレットも備わり快適だ。

 1.5L VTECエンジンに薄型高出力モーターが組み合わせたスポーツハイブリッド i-DCD搭載モデルは、137馬力のシステム最高出力を発生する。エンジンとモーターをクラッチによって切り離せる構造で、発進時からEVのみの走行も可能となっている。7速デュアルクラッチトランスミッション(DCT)の瞬時の変速で、停止状態から、途切れることのない力強い加速感が体感できた。

 ラゲッジルームは430Lの大容量を確保している。ホンダは「トランクの容量が、ライフスタイルにゆとりを生む」とし、開口部の形状やバッテリーの搭載位置を工夫することで、大きなスペースを作り出している。このボディサイズで、ゴルフバッグ4個(9インチスタンドキャディバッグ2個、9インチキャディバッグ2個)を積めるというのには驚かされる。

セダンのさらなる可能性を感じさせる走りの質感

 ところで、コンパクトセダンのグレイスは、ハッチバックのフィットがベースとなっているが、同じパワーの1.5Lエンジンを共有し、重量はフィットよりも100kgほど重い。そのため「走行性がフィットに劣るのでは?」と思うかもしれないが、ホイールベースがフィットよりも7cm長いグレイスは、室内スペースでゆとりを感じつつ、落ち着いた走りが特徴となっている。ハッチバックボディよりも剛性感の高いセダンボディが、ハンドリングに好影響を及ぼしている。フィーリングは、フィットよりも若干スタビリティ感が上がり、静粛性においても勝る。カジュアルで若々しいイメージのハッチバックとはまた違った風情がグレイスにはあり、セダンの魅力を改めて発見できた。

 ところで、試乗したグレードはハイブリッド EXなのだが、ステアリング裏にはパドルシフトが設けられ、7速デュアルクラッチトランスミッション(DCT)のロスのない変速を堪能できるので、ドライビングが好きなひとにはお薦めしたい。


 コンパクトなサイズながら、装備が充実し快適なセダン。試乗してみて、グレイスのキャラクター性が、これまでよりもずっと明確になったと感じられた。




ホンダ グレイス ハイブリッド EX FF(7速AT・DCT)
全長×全幅×全高4450×1695×1475mm
ホイールベース2600mm
トレッド前/後1475/1465mm
車両重量1190kg
エンジン直列4気筒DOHC
総排気量1496cc
エンジン最高出力110ps/6000rpm
エンジン最大トルク13.7kgm/5000rpm
モーター最高出力29.5ps
モーター最大トルク16.3kgm
JC08モード燃費32.4km/L
サスペンション前/後ストラット/トーション・バ ー
ブレーキ前/後Vディスク/ドラム
タイヤ前後185/55R16

販売価格 176万9040円~256万9320円(全グレード)


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