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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.04

三菱ギャランフォルティス エボの魂入ってますか?

乗り心地がずいぶんよくなったエボX

NAのフォルティスよりもエンジン重量が60~70kgほど重くなるため、フロントクロスメンバーをエボXと同じものを使って剛性アップさせている。サスペンションもダンパー、スプリングともにラリーアート専用のセッティングとなる

NAのフォルティスよりもエンジン重量が60~70kgほど重くなるため、フロントクロスメンバーをエボXと同じものを使って剛性アップさせている。サスペンションもダンパー、スプリングともにラリーアート専用のセッティングとなる

【本記事は2008年8月にベストカーに掲載された記事となります。】2Lターボ、240psでフルタイム4WDと聞けば、ランエボXの弟分のようなイメージを持ちそうだが、ホントのところはどうなのか?それを確かめるべくギャランフォルティスラリーアートに乗ってきたわけだが、結論からいうと、両車はまったく別のクルマであった。その違いはシートに座った瞬間にわかる。話は単純、シートのホールド性がぜんぜん違うから。ランエボXは運転席に座るとヘルメットをかぶりたくなるが、フォルティスラリーアートはカーナビに目的地を設定したくなる。そう、タイムアタックではなく、快適にドライブするためのクルマなのだ。考えてみればインプレッサを思い浮かべればわかること。インプレッサS-GTとWRX STIは同じ2Lターボでも乗ればまったく別のクルマだが、エボXとフォルティスラリーアートもその関係と同じなのである。走り出してもボディに伝わる路面の感覚がぜんぜん違う。以前より乗り心地がずいぶんよくなったエボXだが、それでも音、振動がダイレクトにドライバーに伝わってくる。しかし、フォルティスラリーアートにその感覚はなく、それゆえ身構えることもない。エボX独特の「何かとんでもないクルマに乗っている」という感じはしないのだ。

自慢は高速スタビリティ

ランエボXと同じSSTは5~6速を燃費重視のギア比に変更しているが、モードは同じ。スポーツモードでは高回転をキープする

ランエボXと同じSSTは5~6速を燃費重視のギア比に変更しているが、モードは同じ。スポーツモードでは高回転をキープする

そう書くと、フォルティスラリーアートは普通のクルマだと思われそうだが、そうではない。まず、ツインクラッチSSTの楽しさ、気持ちよさはエボXとまったく変わらないし、本格的なスポーツセダンの雰囲気、走りを充分に備えているといえる。今回の試乗では撮影も兼ねてワインディングを中心に走らせたが、SSTの素早いシフトと引き締まった足で、スポーツドライブを大いに楽しめた。また、開発スタッフによると、このクルマの最もいいところは高速スタビリティであるとのことで、欧州車のように速度を上げるほどに路面に吸いつくような安定性を示すとか。残念ながら、今回は高速道路での走りは試せなかったが、ロングツアラーとしての素質が高いということ。ターボのおかげで欲しい時に欲しいだけパワーを得られるため、追い越しや合流も安全にこなせそうだ。

エボより低い限界もまたよし

左からフォルティス(154ps)、ランエボX(280ps)、フォルティスラリーアート(240ps)。4B11エンジンはこれで3種類が揃った!

左からフォルティス(154ps)、ランエボX(280ps)、フォルティスラリーアート(240ps)。4B11エンジンはこれで3種類が揃った!

4WDシステムはランエボ譲りのACD(アクティブセンターデフ)付きフルタイム4WD。ただし、後輪左右のトルク配分を行なうAYC(アクティブヨーコントロール)は省略されており、ランエボ独特のアクセルオンでノーズがグイッと入るコーナリングの挙動はみられない。また、そもそもタイヤのグリップ力が明らかに違うので、エボと同じように走らせるのは危険、というか無理だ。しかし、公道でタイムアタックするわけでもあるまいし、エボよりも限界が低いぶん(といっても充分に高い)、逆にドライビングは楽しいともいえる。エボはプロドライバーでなければ公道で限界まで引き出すことはできないだろう。私ら一般ドライバーにとって、ある意味「猫に小判」だ。その点、フォルティスラリーアートは(わりと低い速度域からタイヤが鳴り出すこともあって)安全にスポーツさせてくれる感覚がある。それでもやりすぎた時にはASC(スタビリティコントロール)が入り、安全を確保してくれる。

上質なロングツアラー

240ps/35.0kgmの2LMIVECターボエンジンはフラットなトルク感が持ち味で、ターボであることをあまり感じさせないタイプ。回転フィールは特別に官能的というものではないが、実力は確かなもので、ワインディングのきつい上り坂でも充分な加速力を持っているし、逆に、市街地をのんびり走る時にはその状況にふさわしくリラックスして走らせることができる。つまり、フォルティスラリーアートのキャラクターによく合っているエンジンということだ。そもそもこのクルマはギャランフォルティスの最上級グレードという位置づけで、ことさらスポーツ性をアピールしているわけではない。最上級グレードにふさわしい乗り味を求め、遮音性能を強化していることからもそれはわかる。今回の試乗ではワインディングを中心に走らせたため、ついスポーツ性を中心にした話をしてしまったが、本来は長距離を快適に走る上質なロングツアラーという性格のクルマなのである。ワングレードで価格は298万2000円(カーナビ、オーディオはオプション、ASC、クルーズコントロールなどは標準装備)。ハイオク仕様だが、レギュラーガソリン用のマップも備えており、レギュラーでは20%ほどパワーダウンするが、ドライバビリティは変わらず、走り方が同じなら燃費もハイオク使用時と変わらないという。ガソリン高騰時代に、この配慮もうれしいところだ。月販目標台数はギャランフォルティス全体で1000台、うち、ラリーアートが100台。かっこもいいし、お薦めです!

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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