輸入車
更新日:2021.12.23 / 掲載日:2021.12.04
アウディ Q5/気になる中古車【試乗判定】
文●竹岡圭、九島辰也、ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2022年1月号の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2021年11月調べ。
※ナンバープレートはすべて、はめ込み合成です。
一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション! 果たしてその結果やいかに!?
member Profile
自動車ジャーナリスト【竹岡 圭】
人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2021-2022 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
自動車ジャーナリスト【九島辰也】
長年にわたり男性ファッション誌や一般誌でも活躍し続ける自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも各国のクルマを乗り継ぐ。
アウディの中核を構成するプレミアムSUV
ヒット作となった初代を進化させた第2世代
編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回は、アウディのプレミアムSUVであるQ5が登場です。お借りした車両は2018年モデルの「2.0TFSI」で、走行距離は4万kmとなっております。
九島●3年で走行4万kmか、中古車としていい感じにリアルだ。
竹岡●SUVのニューモデルが出ると比較対象として大抵名前が挙がる定番の存在だよね。
編集部●はい、アウディにおけるSUVモデルは2006年のQ7からスタートして、2009年のQ5、Q3(2012年)、Q2(2017年)、Q8(2019年)と拡大し、本国では電気自動車であるQ4 eトロンも発表されています。
九島●欧州ブランドは、SUVをスペシャルティではなく乗用車の新しい形といち早く見抜いてラインアップを拡充してきた。それで下から上までひととおり揃えたと思ったら、今度はクーペモデルを追加してきた。
竹岡●それだけニーズがあるってことか。同じようなクルマが増えてきたらおもしろくないもんね。
編集部●今回試乗していただくQ5ですが、2017年にフルモデルチェンジした第2世代になります。Q5は、A4のメカニズムを基礎としていますが、現行型はベースモデルの進化にともなって、プラットフォームがMLBからMLB evoに変更されています。
竹岡●初代Q5が売れたからだろうけど、2代目はキープコンセプトの正常進化ってイメージ。
九島●スタイリングも初代モデルより抑揚はあるけど、全体的にはプレーンで大人しい。まあでもそれはアウディ全体にいえることだし、スポーツバックを追加するのを前提にしているからでしょう。
竹岡●ボディは初代よりちょっと大きくなってるんだけど、軽量化設計でむしろ軽くなったんだよね。そこはエライ。ただ全幅1900mmはちょっと大きいかな。
九島●全幅1900mmは気になるところだよね。でもそれって初代から変わってないって知ってた? フェンダーがブリスターになったから、余計大きく感じるのかもしれない。
編集部●ラインアップですが、日本仕様はすべて2L直4ターボのクワトロ(4WD)です。導入当初はガソリン仕様(252馬力)だけでしたが、2019年にディーゼル仕様(190馬力)が追加されました。
竹岡●現行型のクワトロはFFベースで必要なときだけ後輪に駆動力を伝える方式になったんだよね。ライバルのX3やGLCは後輪駆動ベースなんだけど、そこはSUVだからということもあって新車試乗時にはあんまり気にならなかった記憶。
九島●アウディユーザーは、そのあたりはあまり気にしないのかもしれないね。実際売れてるし。
編集部●2021年3月にはマイナーチェンジを受けて、パワートレインも新しくなっています。ディーゼルが204馬力に、ガソリンは249馬力になりました。
竹岡●デザインも最新のテイストになって印象はけっこう変わったね。
編集部●それではそろそろ、試乗のほうをよろしくお願いします。
竹岡「大きさがクリアできれば女性にもオススメです」
九島「初めての輸入車としてぴったりの1台」
DETAIL CHECK
幅広いユーザーにマッチするスタンダードなキャラクター
編集部●試乗から戻ってきたところで、まずは走りの感想を伺います。
九島●いい意味であまり印象に残らないというか、スムーズで快適なクルマ。ディーゼル仕様が190馬力に抑えられたエントリー仕様なのに対してガソリンは252馬力でしょ、パワーも十分だった。
竹岡●今日みたいなオンロードを走らせてるかぎりは、なんの不満もないよね。特別乗り心地がいいとかスポーティだみたいなわかりやすさはないけど、そこがアウディらしい。
九島●そうなんだよね。クルマ好きのマニアが熱くなって語るようなタイプじゃないってこと。
竹岡●それでいてVWとは明らかに質感は違うしね。内装とかもシンプルなんだけどちゃんと上質。だから、世間体的にもあんまり高級車に乗っていることを周囲にアピールしたくないタイプの人にはオススメ。
九島●僕はね、国産車から初めて乗る輸入車としてもいいんじゃないかなって思った。人気のSUVだし、期待を裏切らないでしょ。
竹岡●それはわかる。乗ってみると運転しやすいから実際よりもクルマが小さく感じられるし、小柄な私でもちゃんとドライビングポジションが取れたところもよかった。
九島●中古車相場はどうなの?
編集部●中心となっているのは前期型のガソリン車で、中心価格は400万円といったところです。
竹岡●このクルマはあんまり乱暴に扱われないだろうし、新車価格と年式からすれば悪くないかもね。
九島●認定中古車がほとんどだろうし、中古車ビギナーでも買いやすいんじゃないかな。
運転支援システムや通信機能を備えたナビを標準装備
第2世代Q5は装備類も進化しており、液晶メーター、テレマティクス機能を備えるナビや渋滞追従機能を備えるアダプティブクルーズコントロールや自動ブレーキを採用。インテリアの品質感も高い。
大人でも十分にくつろげる広さを備えたインテリア
十分な横幅を生かして室内は前後だけでなく左右にもゆとりのある空間を提供。プレミアムSUVを名乗るだけあってシートはサイズ、質感ともにハイレベル。リアシートはリクライニングに加えて前後スライド機能も備えている。
テールゲートは全車電動式 アウトドアにも大活躍
ラゲッジスペースについても十分以上のスペースを確保。標準状態で550Lで、3分割タイプのリアシートをすべて倒せば最大で1550Lの空間が出現する。テールゲートは全グレードで電動で使い勝手に優れる。
ドライバーが意識せずとも車両が最適な制御を行う
パワートレインはガソリンまたはディーゼルの2L直4エンジンと7速Sトロニックの組み合わせ。クワトロは電子制御によって前後のトルク配分を調整するタイプで、燃費走行のため前輪のみでの走行も行う。
試乗判定レビュー
竹岡 圭
ポジショニング[10点]
ミドルサイズのプレミアムSUVの、ど真ん中直球基準モデルっていう位置づけだと思うんですよ。ファミリーユースで考えたらいちばん使いやすいボディサイズ。豪華絢爛すぎないけれど、上質に設えられたインテリア、クセがなく誰もがパッと乗りやすい運動性能と、全方位的優等生なんですよね。その分あっさりテイストではありますが、飽きない1台。
装備[9点]
アウディらしい精悍かつスッキリしたインテリアだと思います。シンプルなデザインこそ、質感を出すのは難しいのですが、そこはアウディクオリティですね。方向音痴の私は、デジタルコックピットにナビ画面を映し出すのが好きなのですが、利便性とオシャレさを上手にバランスさせていると納得できます。安全装備も基本的なものは満足ですよ。
走り[9点]
やっぱりアウディはクワトロですよね。そのクワトロシステムも、車種によって搭載されている内容が違ったりしますが、ベーシックなものでもオンロードでの走りは、しっかり味わいを感じさせるものになっています。いい意味でクセがない味付けだし、メカニズム的にも安心感が高いので、初めて輸入車に乗るという方にも安心してオススメできますね。
九島辰也
ポジショニング[10点]
アウディはVWグループにおいて、テクノロジーを牽引する地位にある。Q5が採用するMLB evoプラットフォームは、A4やA5といった主力モデルに使われるもので、軽量かつ強靭な作りになっている。もちろん先進安全装備なども意欲的に取り入れることを想定している。つまり、Q5こそ今のアウディのスタンダードであるということだ。
装備[9点]
プレミアムSUVを名乗るだけあって、快適装備や先進安全装備について必要なものはすべて備わっている。またデジタルデバイスが充実しているのもこの世代の特徴で、バーチャルコックピットと呼ばれる液晶ディスプレイを使ったメーターパネルは先進的。これにナビを表示すれば運転中の視線移動も少なくなるという寸法だ。
走り[9点]
アウディらしいクールな乗り味。それはあまりわかりやすい味付けをしていないという意味で、レベルは当然高い。SUVにしては乗り心地は若干硬めではあるが、姿勢はフラットに抑えられているので不快ではない。SUVにはディーゼルのマッチングがいいため、まだ割高かもしれないが、高年式のディーゼル仕様をねらうのもアリだと思う。
グーワールド 編集部
ポジショニング[10点]
いま最も羨望の眼差しを集めるプレミアムSUV。Q5はその定番といっていい人気モデルです。立派なボディサイズと上品なデザインは、クルマに詳しくない人が見ても高級感たっぷり。それでいながら嫌味になりにくいのもアウディならではの魅力。まだ登場からそれほど年数の経っていない現行車ですが、中古車の台数も十分あります。
装備[9点]
質実剛健だけれども毎日使っていてしみじみとよさを感じられる。Q5のインテリアはそんな印象です。タッチパネルやタッチスイッチを多様する最新モデルと比べればスイッチ類は多く感じますが、整理整頓されているのでじつは使いやすい。リアシートにリクライニングやスライド機構が備わるなど、アレンジメントが豊富なのもうれしいところ。
走り[9点]
全幅1900mmというスペックを見たときにはちょっと躊躇しましたが、実際に運転してみると手足のように操れるため、実際よりもコンパクトに感じたのが印象的でした。乗り味はSUVというよりはA4シリーズに近いもので、コーナーや加速で車体が大きく傾くようなこともありません。後席を含めた快適性の高さは、さすがプレミアムSUVです。