車の歴史
更新日:2021.07.29 / 掲載日:2021.07.27

昭和・平成を彩ったオープンカーの誘惑【VOL.4】オープンスポーツの復権

 リーズナブルな価格、操る愉しさと爽快なオープンエアモータリング。ユーノス・ロードスターの登場でオープンスポーツに再び注目が集まった。

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ゆっくり走っても楽しめるスポーツ!

 自動車が大衆商品となり、カブリオレやコンバーチブルが定着した一方で、もとは貴族のぜいたくな乗り物が原型だった2シーターのオープンスポーツカーは、相対的に退潮していった。

 1980年代になると、メルセデス・ベンツのSLクラスやフェラーリのような富裕層向け以外のロードスターは商品として成り立たなくなった。小規模な工場で半ば手作りされていた、いわゆるバックヤードビルダーをルーツとするロータスやMGのライトウェイトスポーツカーの市場も、ほとんど壊滅したのだ。

 当時のマーケティング専門家が、もはや終わったと考えていたその市場に挑み、見事に成功したのが我らがマツダだった。よき時代のライトウェイトスポーツカーの乗り味を最新技術で再現した初代ロードスター(NA型)は世界的なヒットとなり、欧州の本家筋を含む世界のメーカーに後を追わせたのである。

 このクルマは高性能過ぎない、操る楽しさを味わえるスポーツカーであることがミソ。そこにオープンエアという大きな付加価値が加わっていた。おかげでごく普通の腕前のドライバーがリラックスして走らせても、十分に楽しめた。

 サーキットで速く走るだけがスポーツではない。路面と対話しながら大自然に心を遊ばせるオープンエアドライブは、それだけで魅力的なスポーツだったのだ。

icon MAZDAユーノス・ロードスターNA(1989年)

もはや商売にならないといわれていた軽量オープンカーの魅力を世界に発信、異例の大ヒットとなった初代。改良や限定モデルのリリースも数多く、結果として実に多様なバリエーションが存在した。オープン専用に開発されたボディの剛性も高く、人馬一体を目指した走りの評価も高かった。

スペシャルパッケージ装着車(1989年式)主要諸元○全長×全幅×全高:3970mm×1675mm×1305mm ○ホイールベース:2265mm ○車両重量:950kg ○エンジン(B6型):水冷直列4気筒DOHC1597cc ○最高出力:120PS/6000rpm ○最大トルク:14.0kg・m/4000rpm ○10モード燃費:13.2km/L ○最小回転半径:4.6m ○燃料タンク容量:45L ○サスペンション(前/後):ダブルウィッシュボーン式 ○ブレーキ(前/後):ベンチレーテッドディスク/ディスク ○トランスミッション:5速MT ○タイヤサイズ:185/60R14 82H ○乗車定員:2名 ○価格(東京地区):185万円

icon MAZDA ロードスターNB(1998年)

初代のコンセプトを継承し、当初はパワーより操る愉しさを優先した展開だったが、モアパワーを望む主に海外からの声に応えるべく、ロードスター史上唯一のターボモデル(172PS)が追加された。またクローズドボディのクーペもあった。

icon MAZDA ロードスターNC(2005年)

プラットフォームを一新、3ナンバー車となる。2006年に追加されたRHT(リトラクタブルハードトップ)は、3分割されて折り畳まれ、キャビン後方スペースにわずか12秒(当時世界最速)で格納される電動メタルトップ。世界市場車らしく先進安全装備も積極採用された。

icon MAZDA ロードスターND(2014年)

車体のコンパクト化とともに、軽量素材の積極採用で先代に比べ100kg超えの重量減に成功。エンジンは小型&省エネにして高出力の1.5L直噴DOHCエンジンが積まれ原点回帰を目指す。2016年に2.0Lエンジンを積む、RHTの後継となる電動メタルトップの「RF」を追加。

icon HONDA S2000(1999年)

ホンダ創立50周年を記念して発売されたS800以来29年ぶりとなるFRオープンスポーツ。オープンカーでありながら、クローズドボディボディ同等の剛性を目指し、新開発のXボーンフレームを採用。2.0LのNAエンジンは8300回転で250PSを誇った。NSXと同じ栃木工場で造られたことからもこのクルマの特別な立ち位置がわかる。

S2000(1999年式)主要諸元 ○全長×全幅×全高:4135mm×1750mm×1285mm ○ホイールベース:2400mm ○車両重量:1240k ○エンジン(F20C型):水冷直列4気筒DOHC1997cc ○最高出力:250PS/8300rpm ○最大トルク:22.2kg・m/7500rpm ○10・15モード燃費:12.0km/L ○最小回転半径:5.4m ○燃料タンク容量:50L ○サスペンション(前/後):ダブルウィッシュボーン式 ○ブレーキ(前/後):ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク ○トランスミッション:6速MT ○タイヤサイズ(前・後):205/55R16・225/50R16 ○乗車定員:2名 ○価格(東京地区):338万円

icon FIAT バルケッタ(1995年)

ユーノス・ロードスターの大ヒットに触発されて登場したイタリア製FFオープンスポーツ。大衆車プントのプラットフォームを使い、1.8L直4DOHCエンジンが積まれた。275万円からという価格は輸入車として破格だった。

icon TOYOTA MR-S(1999年)

MR2の後継として1999年に発売されたミッドシップオープンスポーツ。米国ではオープンカーをアピールするべく「MR2スパイダー」の名で売られている。MR2のような過給器によるパワーアップはなく、1.8LのDOHCエンジンを搭載。

icon MG MG-F(1995年)

MGB以来となるMGを冠したオープンスポーツ。FF用の横置きエンジンを逆に向けて後輪前方に搭載するミッドシップカー。幌開閉は手動式のみだが、手頃な価格や走りの愉しさなどでロードスターの強力なライバルとなった。

icon DAIHATSU コペン(2002年)

※写真は現行型のコペンGRスポーツ

2002年に初代が誕生、一時ブランクはあったものの、根強いファンを持つ軽オープンスポーツのロングランモデル。高性能というより、開放感重視の古き良きオープンスポーツの魅力を持つ。

icon HONDA S660(2015年)

先日惜しまれつつ販売を終了した軽オープンミッドシップスポーツ。最終となった限定モデルはわずか3週間で完売した。幌は外してくるくる畳んで前方のボンネット内に格納。大きなロールバーが残るタルガトップ風。

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