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更新日:2019.07.10 / 掲載日:2019.07.10

スズキ ワゴンR【ONE MAKE MARKET RESEARCH】

ワゴンRの横向きイメージ

スズキ ワゴンR 2017年~

文●工藤貴宏
(掲載されている内容はグー本誌 2019年7月掲載の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2019年6月調べ。


かつて大ブレイクしたワゴンRは、いまでも軽自動車のスタンダードモデルとして人気が高い。今回は2017年にデビューした現行モデルの魅力を探ってみよう。

全長×全幅×全高:3395×1475×1650mm ●ホイールベース:2460mm ●トレッド前/後:1295/1300mm ●車両重量:770kg ●総排気量:658cc ●エンジン:直3DOHC+モーター ●エンジン最高出力:52ps/6500rpm ●エンジン最大トルク:6.1kgm/4000rpm ●モーター最高出力:3.1ps ●モーター最大トルク:5.1kgm ●サスペンション前/後:ストラット/車軸式 ●ブレーキ前/後:Vディスク/トーションビーム ●タイヤ前後:155/65R14 ●中古車参考価格帯:60万円~150万円(17年~19年 ※全グレード)

先進安全機能の充実が見逃せない進化ポイント

 1993年に初代がデビューし、現行モデルで6代目となる軽自動車。そんな「ワゴンR」の初代モデルは、軽自動車にとって革命的だった。それまでの軽乗用車はスズキでいえばアルトのように背が低いのが一般的だったが、ワゴンRは天井を高くすることで室内を広げるパッケージを提供。瞬く間に市場を席巻するとともに、ダイハツ ムーヴなどライバルを生み出して「ハイトワゴン」というジャンルを築いて軽自動車の勢力分布図を塗り替えた。
 現在は、その後登場したダイハツタントやスズキ スペーシアそしてホンダNボックスなど、ますます背を高くして室内を広くした「スーパーハイト」に軽乗用車の主流を譲ったが、ワゴンRの魅力は不変。そんなワゴンRの最大のアピールポイントは「ちょうどいい」ことにある。
 たとえば室内スペースは、スーパーハイト系の軽自動車に比べると天井が低くて空間自体は狭い。しかし後席に座ってみるとゆったりと足を組めるほど空間が広く、頭上だってたっぷりのゆとりがある。これで十分なのだ。
 そのうえスーパーハイトに比べると車体が軽いから動力性能に優れるし、軽いうえに空気抵抗が少ないから燃費だっていい。さらには、車両価格がリーズナブルなのも大きな魅力だ。とにかくクルマとしてのバランスがいいのである。
 そのうえで、今回取り上げた6代目ワゴンRの注目すべきポイントは、先進安全装備の充実である。先代モデルまでの衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)は速度上限を時速30km/hまでとした簡易的なものであったが、6代目では赤外線センサーに加えて単眼カメラを備えることで、作動範囲は約100km/hまでアップ。よりダメージを軽減できるようになっている。
 さらには車体構造をはじめメカニズムを刷新したことで、乗り心地、後席の広さ、操縦安定性など広範囲にわたってレベルアップを実現した。

[エクステリア]ヘッドライトのデザインも違う、3つの個性

ハイブリッド FX/FAのイメージカット

ハイブリッド FX/FA

 シンプルさが魅力の「標準スタイル」を採用するFAやハイブリッドFXに対し、ハイブリッドFZは「エアロスタイル」がポイント。上下に分かれたヘッドライトを採用するほか、車体下部とリヤウインドウ上部にスポイラーを追加したデザインとしている。スティングレーは縦長のヘッドライトと大きなフロントグリルが特徴的。個性的あるデザインだ。

  • ハイブリッド FZのイメージカット

    ハイブリッド FZ

  • スティングレーのイメージカット

    スティングレー

低燃費なハイブリッドも設定!

ワゴンRハイブリッドのエンブレム

モーターのアシストでエンジンをサポートし燃費をアップするハイブリッドにも注目。

[インテリア]センターメーターを採用

2017年式ワゴンRハイブリッドFXのコックピットと室内イメージ

※写真は2017年式 ワゴンR ハイブリッドFX

 歴代モデルとしてはじめて、インパネの中央にメーターを置いた“センターメーター”を採用。運転席の正面がスッキリして、開放感が高まっている。フロントシートは軽自動車において定番になっているベンチタイプで、左右の座面がつながっているから運転席と助手席間での移動がしやすいのが実用的だ。

ワゴンRヘッドアップディスプレイのイメージカット

仕様により、運転席の正面には軽自動車初採用の「ヘッドアップディスプレイ」を装備。速度やナビの道案内などを表示する。

[モデルヒストリー]デビュー後の変更は多くない

2017年2月にフルモデルチェンジしたワゴンR

2017年2月:フルモデルチェンジ
約4年半生産された5代目から切り替わった6代目は、標準タイプと「スティングレー」の2バリエーションで展開。エンジンは自然吸気が中心で、スティングレーではターボも選べる。

2017年8月に5速MTを追加したワゴンR

2017年8月:5速MTを追加
ベーシックグレード「FA」にMTを設定(他のグレードはすべてCVT)。床からシフトレバーが生えたフロアシフトで、パーキングブレーキは足踏みではなくハンドレバー式。フロントシートも専用だ。

2018年8月に追加されたワゴンR25周年記念車

2018年8月:25周年記念車を追加
「ハイブリッドFXリミテッド」「ハイブリッドFZリミテッド」「スティングレー ハイブリッドXリミテッド」の3タイプがあり、助手席シートヒーターや専用カラーのインパネなどを採用している。

トールワゴンの元祖 初代ワゴンRはどんなクルマ?

初代ワゴンR

 それまでの軽乗用車とは異なる背の高いスタイルが、広くて快適な居住空間を得るために考えた独自発想。その魅力は多くの人に伝わり、大ヒットモデルとなった伝説の軽自動車だ。現在の軽自動車人気の原点ともいえる。

[ユーティリティ]独自発想が毎日の使いやすさを提供

荷室にベビーカーを積んだ様子

荷室の狭い軽自動車にとってベビーカーを積むのは悩ましいが、ラゲッジアンダーボックスを活用すれば畳んだA型ベビーカーを立てて積める。

 助手席前にボックスティッシュを置けるトレーをはじめ、室内には大きめの収納スペースが多く用意されている。またドアに長傘を固定できるアンブレラホルダーや、取っ手のついたバケツ状で車外に持ち出せる助手席シート下のボックスなど、ライバルにはない独自発想のアイテムを用意している。荷室床下の大容量収納も便利。
※写真は2016年式 フリード

後席のアンブレラホルダーに傘をさした様子

後席ドアの内側に用意したアンブレラホルダーが、濡れた傘の置き場として大活躍。雨水は車外に排出される構造だ。

ライバルは「ダイハツ ムーヴ」ユーティリティに差はある?

ライバルのダイハツ ムーヴ

 パッケージングはどちらも近いが、前後席間距離はワゴンRのほうがわずかに広く後席にゆとりがある。後席は両車とも左右独立リクライニング&スライドが可能。収納の実用性は大型の助手席アンダーボックスやアンブレラホルダーのあるワゴンRが優勢だ。
中古車参考価格帯:40万円~150万円(12年~17年 ※全グレード)

ダイハツ ムーヴのコックピットと室内イメージ

[メカニズム]パワートレインは3タイプ。ターボも設定

ハイブリッドシステムのイメージ

 パワートレインは自然吸気エンジン、モーターアシスト付きの自然吸気エンジン(ハイブリッド)、そしてモーターアシスト付きのターボエンジン(ハイブリッド)と3タイプ。ターボエンジンは「スティングレー」だけの設定だが、駆動方式は全グレードともFFと4WDを選択可能だ。プラットフォームは新設計され、新しいサスペンションとともに乗り心地や操縦安定性向上に貢献。軽量設計で燃費向上にも役立っている。前後席の間隔も広がって居住性が高いのもポイント。

ハイブリッド/モーターアシストで燃費を向上する

モーターと電池

 モーターがエンジンをアシストすることで燃料消費を抑制。小型でシンプルな仕掛けだから価格アップも最小限だ。

安全装備/強固なボディと先進の予防安全

強固なボディフレームのイメージ

運転支援システムの装置

追突被害軽減ブレーキなど先進安全&運転支援システムは「スティングレーハイブリッドX」と同「T」に標準。FAを除く他グレードにオプション装着。

グレード別 JC08モード燃費

各グレードの燃費表

 もっとも優れる仕様の燃費は33.4km/Lに到達。軽ハイトワゴンでナンバーワンの実力だ。

[先代モデル]価格が安い先代モデルという選択も

先代ワゴンR

ワゴンR

 現行型に比べると居住性は劣るが、先代でも十分な広さの室内スペースを備えている。リーズナブルに購入できるので魅力は高いが、ひとつだけ気をつけたいのは自動ブレーキの設定。2013年7月以前のモデルは設定がなく、装着車でも上限速度が30km/hに留まる。
中古車参考価格帯:40万円~150万円(12年~17年 ※全グレード)

先代ワゴンR スティングレー

ワゴンR スティングレー

先代ワゴンRのコックピットと室内イメージ

メーターパネルは運転席の正面に組み込まれている。新型に比べると前後席間距離は35mm短いが、とはいえ後席にも十分な足元スペースが用意されているので快適性は高い。

[市場データ]全体的に相場が高めで買い時はまだ先

 もっとも安価な「FA」は100万円を下まわる物件が多いが、ハイブリッドモデルはどれも高値。多くの人気軽自動車にも言えることだが、中古車のお買い得感は薄い。しかし、充実した登録済未使用車は、グレードや仕様が自分の好みとマッチすれば検討する価値あり。

  • 年式
    2017年に登場した現行型ワゴンRだが、もっとも多いのは翌年の2018年式。また、2019年式の物件も、それなりに流通しているようだ。

  • グレード
    スティングレーの割合は全体の14%と、少し寂しい状況。もっとも多いのはワゴンRの中堅グレード「ハイブリッドFX」である。

  • 走行距離
    高年式が中心となっているから、必然的に低走行な物件が大半。5000km未満が7割以上を占め、登録済未使用車も少なくない。

自動車ジャーナリスト工藤貴宏の「スズキ ワゴンRのGOODとBAD」

【GOOD】ハイブリッドは発進もスムーズ

 過剰さはないけれど、バランスがよく便利で実用的。それがワゴンRの魅力だ。ライバル同士が日々切磋琢磨しているので独自の美点を出すのは正直なところ難しいが、実用燃費のよさや気の利いた収納などはライバルに長けているポイント。新型は静粛性も大幅に高められているし、ハイブリッドはアイドリングストップからの回復や発進もスムーズで快適だ。

【BAD】超ハイト系に主流のスライドドアがない

 ライバルと比べての比較というよりはボディタイプの違いによるウィークポイントとなるが、スーパーハイトで主流のスライド式ドアがないこと。これは軽さや車両価格を抑える面ではメリットだが、赤ちゃんのいるファミリーなどは乗せ降ろしやすさに劣るし、狭い場所ではドアを全開にできない、隣のクルマなどに開けたドアを当てやすいなどの弱点がある。

編集部イチオシ!

編集部オススメのハイブリッド FX

買いのグレードは「ハイブリッド FX」

装備の充実度を考えると、ベーシックな「FA」ではなく非接触式キーなどを備える「ハイブリッドFX」が魅力。「FA」には設定のない自動ブレーキを装着する車両も多い。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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