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更新日:2019.11.11 / 掲載日:2019.11.11

ダイハツ ムーヴキャンバス【ONE MAKE MARKET RESEARCH】

ダイハツ ムーヴキャンバス 2016年~

文●工藤貴宏
(掲載されている内容はグー本誌 2019年11月掲載の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2019年10月調べ。


たくさんの車種が選べる軽自動車のなかでも、ムーヴキャンバスは独特の存在。キュートなスタイルだけではない、その人気の秘密に迫ろう。

全長×全幅×全高:3395×1475×1655mm ●ホイールベース:2455mm ●トレッド前/後:1305/1295mm ●車両重量:920kg ●排気量:658cc ●エンジン:直3DOHC ●最高出力:52ps/6800rpm ●最大トルク:6.1kgm/5200rpm ●サスペンション前/後:ストラット/トーションビーム ●ブレーキ前/後:Vディスク/ドラム ●タイヤ前後:155/65R14 ●中古車参考価格帯:90万円~160万円(16年~19年 ※全グレード)

独自のパッケージングゆえ、ライバルが不在

 軽自動車のなかでも、独自の立ち位置で存在感を高めているのが「ムーヴキャンバス」。じつは、新車販売でもかなりの人気モデルである。ダイハツの軽自動車のなかでは人気ナンバーワンのタントに続いて2番目に売れ続けているといえば、人気ぶりが想像できるだろう。
 その理由はどこにあるのか? ひとつはスタイリングだ。ヘッドライトをはじめ、どことなくユーモラスで愛くるしいデザインは、明るいボディカラーと相まって軽自動車のなかで異彩を放つ。見た目で選びたくなるクルマと言っていい。
 しかし、それだけではない。ムーヴキャンバスはパッケージングが絶妙なのである。背の高さでいえば「スーパーハイト」と呼ばれるタントやホンダ Nボックスよりも低い「ハイトワゴンクラス」に属する。ムーヴやスズキ ワゴンRの仲間だ。しかしそれらと違うのは、後席のドアが一般的なヒンジ式ではなく、スライドドアになっていること(ムーヴやワゴンRなどライバルはヒンジ式)。狭い場所でも大きく開くことのできるスライドドアとしていることで利便性を高めると同時に、ライバルに差をつけているのだ。2019年秋の時点で新車販売している軽自動車のなかで、スライドドアを組み合わせたハイトワゴンはムーヴキャンバスだけ。ほかに選択肢がないのである。だから、スライドドアが欲しいけれどタントやNボックスほどの背の高さが必要ないというひとにうってつけだ。
 オシャレなのに、じつは使って便利。人気の理由はそこにある。

[エクステリア]背の高さはムーヴとほぼ同じ

 軽自動車は天井の高さ(全高)でジャンル分けされることも多いが、ムーヴキャンバスは「ハイトワゴン」と呼ばれるクラスに属する。ダイハツでもっとも人気のあるタントに比べると100mm低く、ムーヴとほぼ同じ高さ。ウェイクはさらに高い。

ダイハツ各モデルとの違いは?<高さを比較>

  • ムーヴ(X)1630mm:ムーヴキャンバスとほぼ同じ背の高さの「ハイトワゴン」。一方ムーヴキャンバスとの大きな違いは、リヤドアがヒンジ式なことだ。

  • タント(X)1755mm:軽のなかでもっとも人気のある「スーパーハイトワゴン」と呼ばれるジャンルに属する。後席は広々で、リヤドアはスライド式。

  • ウェイク(L)1835mm:ダイハツの軽乗用車のなかでもっとも背が高い。その高さを活かし、広い室内に加え見晴らし感と収納力の高い荷室を誇る。

[モデルヒストリー]

2016年9月 ムーヴキャンバスを発売

キュートなデザインにスライドドアを組み合わせた新提案としてデビュー。デザイン性と機能性を両立するのがねらいで、ムーヴシリーズとして初めてスライドドアを採用したのもトピック。

2018年8月「リミテッド」を発売

グレード系統を見直し、先進安全運転支援システムの「スマートアシストIII」が全車に標準採用となった。黒基調の内装を採用した「X”ブラックインテリアリミテッド SA III”」なども登場。

2019年4月「ブラック/ホワイトアクセント リミテッド」を発売

特別仕様車「ホワイトアクセントリミテッド SA III」や「ブラックアクセントリミテッド SA III」が登場。フロントグリルやドアミラーなどをパールホワイトもしくはブラックでコーディネート。

[ユーティリティ]狭い場所でも便利に使えるスライドドアを採用

 使い勝手における注目ポイントは、スライドドア。多くのグレードは電動スライドドアを組み合わせているので気軽に開閉でき、ひとを乗せる際に便利。そして、運転席に乗り込む前に後席へ荷物を置くといった活用方法も視野に入れて作られたパッケージング。

一部の仕様を除いて助手席側だけでなく運転席側にもパワースライドドアを設定している。ドアノブには指を触れると開閉できるスイッチが組み込まれているのも便利だ。

メーター左右の中央に配置するデザイン(センターメーター)とすることでドライバーの正面をスッキリさせ、広い視界を確保。カーナビの装着場所は、メーターの下に用意している。

ハイトワゴンに比べると室内空間は劣るが、とはいえ後席にも広大なスペースがあり快適。後席シートはワンタッチで背もたれが前に倒れて荷室を拡大する仕掛け。

インパネのリッド付きボックスや助手席下のトレーなど大きめの収納スペースを用意し、それらがとても便利。気の利いた収納スペースが多いのもキャンバスの自慢である。

[セーフティ]18年からスマアシは全車標準化

 デビュー当初は単眼カメラと赤外線センサーを“目”とする「スマートアシストII」だった先進安全運転支援システムは、2017年9月にステレオカメラ式の「スマートアシストIII」に進化して高機能化。従来は一部グレードが非装着だったが、2018年8月以降のモデルは全車に標準搭載されている。

スマートアシスト:「スマートアシストII」では最大約20km/hだった先行車両との作動速度差が、「スマートアシストIII」になって30km/hまで拡大。後者は歩行者も検知する。

SRSエアバッグ:ベーシックグレードを除き、運転席と助手席の前面エアバッグに加えてサイドエアバッグまで標準採用。サイドエアバッグは側面からの衝突の際に衝撃を緩和する。

大きめなハンドバッグもポン「置きラクレイアウト」を採用

 これまでになかった新発想が、後席座面下の引き出し式収納。バッグなどの荷物を置けば、床に荷物を置かずに済み、走行中に置いた荷物が動いたり倒れたりしにくいというアイディアだ。運転席からも手が届くが、荷物の出し入れを楽にするのがスライドドアというわけ。

[ライバル/スズキ スペーシア]より広いスペースを持つスーパーハイトワゴン

 ムーヴと同じくらいの背の高さの「ハイトワゴン」もライバルだし、さらに背が高い「スーパーハイトワゴン」も気になる存在。後者のスズキ スペーシアは高い天井を活かした室内の広さが自慢で、とくに後席はゆったりとしている。また、ホンダNボックスなどもライバルだ。
中古車参考価格帯:100万円~190万円(17年~19年 ※全グレード)

インテリアはムーヴキャンバスと同じく明るいコーディネートが基本(黒基調も選べる)。頭上にはゆったりとした空間があり、インパネ周辺は収納スペースも多く用意される。

[市場データ]物件豊富だが、中古車相場は高値安定が続く

登場から3年が経過し、物件数はかなり豊富で中古車そのものは探しやすい。しかし、相場は高値安定で、お買い得感はそれほど高くないのが実情だ。物件は5000km未満の低走行物件が大半なのは嬉しいポイント。なお、グレードは豪華な「G」系が中心となっている。

  • 走行距離
    5000km未満が全体の8割以上を占めている。その多くは2018年式以降の高年式。走行距離による価格差も小さく、低走行をねらっていこう。

  • グレード
    グレードは、装備が充実したG系、とくに「Gメイクアップ」が豊富に流通している。スマートアシストが標準装備となることも注目。

  • 年式
    物件は、2018年式がもっとも多く、全体の半数以上を占めている。その多くは未使用車で、コンディションのよい車両が揃っている。

自動車ジャーナリスト工藤貴宏の「ダイハツ ムーヴキャンバスのGOODとBAD」

【GOOD】ハイトワゴン最上級の実用性の高さが見事

 まずは、周囲をにこやかにしてくれるデザイン。こういったクルマが街にあふれると楽しくなってくる。このクラスとしては唯一のスライドドア車なので、「極端な背の高さはいらないけれど、スライドドアはやっぱりほしい」というユーザーにはオンリーワンの選択肢。スライドドアは狭い場所で大きく開けられるなど毎日の生活で使ってみるとやっぱり便利。

【BAD】残念なのはターボエンジンがないこと

 気になるポイントは動力性能。街中では問題がないが、多くの軽自動車と違いターボエンジンの設定がないので、高速道路はもちろん平均速度の速いバイパスなどを走るシーン(とくに合流や上り坂)では加速や速度を保持する性能に物足りなさを感じる。キュートすぎる見た目は似合う人を選ぶかもしれない(オジサンは厳しい!?)が、それは好み次第で。

編集部イチオシ!

G メイクアップ SA III

 光が明るいLEDヘッドライトなどを採用する「G」系グレードがオススメ。なかでも内外装の仕立てを上質にした「メイクアップ」系なら見栄えがいいので満足感も高まる。物件数が多いことも、オススメの理由だ。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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