BMW のZシリーズ初代に位置づけられている「Z1」は1986年にその全貌が初めて公開され、翌年の1987年に開催されたフランクフルトモーターショーで公式に発表されました。「Z1」が生産されていたのはわずか2年間だけで、その台数もおよそ8万台と非常に希少性の高いモデルとして君臨しています。ボディサイズは、全長3921mm×全幅1690mm×全高1227mmという非常にコンパクトな作りでした。これは、マツダのオープンカーであるロードスターの初代とほぼ同じサイズでもあります。ソフトトップの開閉は手動式が採用されていたこともあり、車両重量は1250kgと軽量でした。そんな「Z1」のパワートレインには、2.5L直列6気筒SOHC「M20B25型」エンジンを搭載し、トランスミッションにはゲトラグ製5速MTが組み込まれています。ゲトラグ製とは、ゲトラグ社というマニュアルトランスミッション製造会社が作るデュアルクラッチを使ったもので、今でも高性能スポーツカーには欠かせない存在です。「Z1」専用設計のサスペンションには、「Zアクセル」と呼ばれる後輪サスペンションが採用され、BMW初のマルチリンク式サスペンションが搭載されています。このマルチリンク式サスペンションとは、自動車用サスペンンションのひとつで、現在でも多くの高級車に採用されるサスペンションです。シャシーに関しても専用設計となっており、着脱式ボディパネルや連続亜鉛、シーム溶接、複合材製アンダートレー型床構造といった当時では革新的求術が盛り込まれているのが特徴です。そのため、優れた剛性や軽量化を実現しています。ボディ本体に関しては、シャシーから取り外すことができ、全てのボディパネルを取り外した状態でも走行することが可能でした。また、発売当初「Z1」は、「予備パネルを購入すれば好みに応じてボディカラーを変更できる」と宣伝されていたほど。実際に約40分で交換することが可能で、部品の損傷や傷、凹みでもフレームやシャシーに問題が無ければ、ボディパネルのみの交換で修理ができるというのも特徴のひとつです。マフラーと後部の遮風板に関しては、後部の浮き上がりを防ぐために、空力特性を考慮して設計されました。BMWの公式チューナーとして知られるアルピナから、「Z1」をベースとしたチューニングカー「アルピナ・ロードスター リミテッドエディション」が発売されたことでも話題になっています。このモデルは、世界でたった66台という台数限定で販売されました。その先進的なフォルムなどから、登場時から注目されていた「Z1」でしたが、1991年には製造終了に。四輪駆動モデルの製造も検討されていたそうですが、実現されることはありませんでした。※記載の文章は、2021年8月時点の情報です。