アクティ　ＨＨ５　オーバーヒートランプ点灯｜車検・点検・修理のグーネットピット

車輌の画像を撮り忘れましたが、アクティバンにお乗りのお客様から
「オーバーヒートの赤いランプが時々点灯する」
とお問い合わせがありました。
総走行距離は１５万キロ。
ガソリンスタンドやディーラーでも診てもらったのだがハッキリしないので・・・
とセカンドオピニオンならぬサードオピニオン？
早速問診や現状確認などいつも通りですが診断スタートです。

外部への水漏れ確認や冷却水の予備タンクの水量に問題はありませんでした。
ラジエーターの冷却ファンの作動はエアコン作動で回転するのでモーターの不具合ではなさそうです。
実はこのホンダのアクティなのですが、走行が多くなるとヘッドガスケットという部品が切れて冷却系統に燃焼ガス（燃えた後なら排気ガス）が混入しオーバーヒートに至る
と言うケースが過去に何台かあったので、まずその点検を行うことにしました。
幾つか診断方法はあるのですが、当社は画像のような試験液を使用します。
これは二酸化炭素に反応して色が変わる液体で、大気中の空気では青色です。
液に二酸化炭素が触れると黄色に変色します
では早速と行きたいのですがお客様は先ほど走行してきたばかりで、ラジエーターなどが高温で危険ですので少し時間をおいてからとします

ヘッドガスケット抜けがある場合、エンジンを分解する高額な修理となりますのでこちらもドキドキです。ところが画像のようにラジエーターのキャップ部分から中の空気を吸い出すのですが、キャップを開けた瞬間
「プシュ！！」
っと・・・　炭酸ジュースや缶ビールの開封を連想させるような音です。

通常は冷却水の通路に空気は入りません。
それがキャップを開けた瞬間に空気が吹き出る音がしました・・・

診断結果は！？
黄色変色しました。（泣）
簡単に説明を纏めると、排気ガスの二酸化炭素が冷却水路を通ってラジエーターまで来ているということになります。
では空気が冷却系に混入すると何故いけないかというと
①空気は熱伝導が悪く冷却力は水に劣ります
②配管の曲がった所などに空気が溜まると冷却水の流れの妨げになります
こんなことから、冷却系等に空気が混じってはいけないのです。
そもそも、エンジンからガソリンの爆発エネルギーが逃げているので、
出力低下や環境性能の低下もあるでしょう。

お客様に現状を報告し、修理費の案内をいた上で作業実施です。

ホンダのアクティシリーズはエンジンが車の後ろ側にあるのが特徴です。
ポルシェやフェラーリなどのスポーツカーもＦ１も後ろ側ですネ
じつは大型のバスなんかも後ろエンジンです。
重い物が車輌の中心にあるほうが安定度が増します
音の大きさも座席より離れた方が静かなのもあるでしょう

と、、また話しが脱線しそうなので戻しますが、
トランクゲートを開けて床のカーペットをめくるとエンジン用の蓋があります
作業できるギリギリの大きさですが、エンジンの分解に入ります。

今回はエンジンの内側の修理ですのでまず、外側に装着されているパーツを取り外していきます。
配線とか配管などが取り外しの対象部品となります

最近の新型車は少なくなりましたが、１０万㌔毎に交換するタイミングベルトも取り外します。今回の車輌は１５万㌔走行でしたが、１０万㌔の時に交換しているので特に異常もないので元のベルトで作業進めます。

エンジンの構造の簡単な説明です
エンジンって部品の集合体の名称で、
大きく分けて上側にあたるシリンダーヘッド（腰上と呼びます）
下側にあたるシリンダーブロック（腰下と呼びます）に分けられ
シリンダーヘッドの上にはヘッドカバー、シリンダーブロックの下にオイルを受けるオイルパンが付きます。
サンドイッチ状に積み重なって構成されております
因みにエンジンの上下を連結させているのがタイミングベルトとなります
よって切れてしまうとエンジン内部で部品が接触し、大きく破損することになります
タイミングベルトは他にエンジンの冷却水のポンプも一緒に駆動しているエンジンもあります。

エンジン周りの部品やタイミングベルトを取り外し、ヘッドカバーを取り外しますとエンジン内部の作業へと移ります。
今回はシリンダーのヘッドとブロックの間にあるヘッドガスケット（パッキン）の
交換ですが、ヘッドボルトを８本外すとヘッドとブロックが分割されます。

取り外されたシリンダーヘッド

車輌側に残ったシリンダーブロック
丸い３つの穴の周りを囲む黒い部品が今回交換のヘッドガスケットです

丸い筒の中に見えるのがピストン
この上のシリンダーヘッド側でガソリンを爆発させてピストンを押し下げ回転運動にします。
ピストンの上部が見えていますが爆発で焦げた色になっていますね
ピストンの筒の回りに水を流してエンジンを冷却している訳ですが、
今回のオーバーヒートの原因が理解いただけたでしょうか？
パッキン不良で爆発の爆風が冷却系統に流れ込んだ場所となるわけです

パッキンを見てみると怪しいのは・・・
真ん中の黒い部分が一部かけているところかなぁ？
ここに関してはあくまで予想です
左右からの熱の影響もあるし冷却される面積も真ん中は厳しそうだし・・・
残念ながら目で診るだけではココだろうな？が実際です

ガスケットを交換すれば作業手順は反対の戻しとなります。
写真はほぼ完成形ですが、中央のキラッと輝く板状の部品が新品ガスケットです

このあとはオイルや冷却水を入れ、冷却系の空気抜きをすると完了です。

テスト走行も終えてオーバーヒートのランプの点灯や
コンピューターデータで水温の数字も確認しましたが問題なく、修理完了となりました

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