車検でスパークプラグ持ち込み時の注意点3つ｜トヨタiQ事例｜車検・点検・修理のグーネットピット

車検整備時のスパークプラグ交換作業
今回、トヨタiQの車検整備にてスパークプラグ交換を実施いたしました。当初、お客様より「持ち込みのスパークプラグに交換してほしい」とのご要望をいただきましたが、部品適合性の確認を行ったところ、重要な問題が判明いたしました。

持ち込み部品の適合性について
お客様がお持ち込みいただいたスパークプラグは「NGK LKAR8AP7JDS」でしたが、トヨタiQ指定の純正プラグ「ILKAR7B11」とは以下の点で仕様が異なります：


熱価が異なる：指定7番 → 持込品8番
火花ギャップが異なる：指定1.1mm → 持込品0.7mm
ネジ径や長さは適合するため物理的には装着可能ですが、エンジン特性に合わず、失火・燃費悪化・プラグ寿命短縮などの不具合が発生する恐れがあります。

お客様へのご説明と対応
当社では安全性と信頼性を最優先に考え、お客様に以下の内容を丁寧にご説明させていただきました：

スパークプラグの適合性に関するご説明内容

「お持ち込みいただいた NGK LKAR8AP7JDS は、ネジ径や長さは合いますが、トヨタiQ指定の ILKAR7B11 とは熱価（7→8）や火花ギャップ（1.1mm→0.7mm）が異なります。そのため、装着はできますがエンジンに合わず、失火・燃費悪化・寿命短縮など不具合の恐れがあります。当社としては安全性・信頼性の観点から取り付けはお勧めできません。純正指定の ILKAR7B11 または長寿命タイプの LKAR7ARX-11P をご使用ください。」

お客様にご理解いただき、最終的には高性能イリジウムプラグ「NGK LKAR7ARX-11P」を取り寄せて交換作業を実施いたしました。この製品は純正仕様に適合し、かつ長寿命タイプのため、安心してお使いいただけます。

作業工程
1. スパークプラグの取り外し
イグニッションコイルを4本すべて取り外し、専用工具を使用してスパークプラグを慎重に取り外します。取り外し時には、プラグホール内に異物が入らないよう細心の注意を払います。

2. 新品プラグの取り付け
NGK製イリジウムプラグ「LKAR7ARX-11P」を4本、規定トルクで締め付けます。イグニッションコイルも新品（NGK製 U5281）に交換し、確実に接続いたします。

3. 持ち込み部品の確認
お客様がお持ち込みされたスパークプラグは、形状こそ似ていますが、熱価と火花ギャップが異なる仕様であることを実物で確認いたしました。

技術解説：スパークプラグの熱価とは

熱価とは、スパークプラグが燃焼熱をどれだけ放熱できるかを示す数値です。数字が小さいほど「低熱価（熱い）」、大きいほど「高熱価（冷たい）」となります。



低熱価（7番など）：放熱しにくく高温を保つ。低回転・街乗り中心の車両に適合
高熱価（8番など）：放熱しやすく温度を下げる。高回転・高負荷走行の車両に適合
適合しない熱価を使用すると、失火やカーボン堆積、最悪の場合はエンジン損傷につながります。

その他の車検整備内容
今回の車検では、スパークプラグ交換以外にも以下の整備を実施いたしました：

24ヶ月法定点検（ブレーキ・下回り・灯火装置など各部点検）
エンジンオイル交換（Wako’s EX-CRUISE スペシャル 5W-30）
エンジン冷却液（クーラント）交換
前後ブレーキ分解清掃、ブレーキフルード交換
クラッチオイル交換
エアコンフィルター交換
エバポレーター洗浄作業
スロットルボディ脱着・ガスケット交換
インテークマニホールド脱着・各種ホース交換
イグニッションコイル4本交換（NGK製 U5281）

OBD点検結果について
OBD診断にて、エンジン系統の故障コード「P1604：始動不能」が検出されました（現在故障・過去故障）。点検時には症状が発生しなかったため履歴を消去し、経過観察とさせていただきます。今後、エンジン始動不良などの症状が出た場合は、速やかにご相談ください。
バッテリー状態について
バッテリーテストの結果、充電状態は100％と良好ですが、寿命テストでは53％（基準値680CCA、測定値570CCA）となっており、バッテリーは6年経過しています。現状では始動能力86％と問題ありませんが、今後の交換をご検討ください。

• スパークプラグ
• 交換
• 修理
• 整備
• 車検
• 点検
• 持ち込み部品