故障・修理
更新日:2019.02.27 / 掲載日:2019.02.27
目指せ30万km! オンボロジムニー快適化計画 その3
めちゃくちゃな整備で最悪の状態だったジムニー。エンジン、ホイールベアリングをオーバーホールして、次に気になる傷んだアームのブッシュを交換。快適に走れるようになるにはまだまだ道は険しい。クロカン車だけに。
【ジムニーJA22W】1981年に登場したSJ30型から引き継いだ四角いボディを持つが、足回りは基本設計をそのままにリーフスプリングからコイルに変更したため、動きが悪くパーツが少ないなど、ジムニーマニアからはそっぽを向かれた不人気モデル。
横から見ただけで分かるブッシュのボロボロさ
あらゆる部分が賞味期限切れのような状態のジムニー。エンジンが快調になって動力性能が復活すると、当然他の部分の不具合が相対的に目立ってきてしまう。今回はサスペンションである。ハブベアリングの交換で、車軸周りの剛性が復活したかと思いきや、フワフワで掴みどころがないフィールは助手席に乗っていても、かなり不安になるほど。この原因としては、ショックアブソーバーのヘタリやサスペンションブッシュの劣化が挙げられる。サスペンションはジムニーならではの独特の構造で、前後とも車軸式(つまり独立懸架ではない)で、デフのハウジング(ホーシングとも呼ばれる)に対して、アームが直角に取り付けられ、それがフレームに繋がっている。アームには片側あたり3つのブッシュが使われているのだが、リヤブッシュは芯の筒とブッシュの剥離は外から見ても明らかで、相当なガタの出ていることが想像できる。
車載ジャッキやウマをかけるのもこのアームなのだが、あまりにガタがあるのでウマをかけるとアームが傾いてしまい、なんとなく不安になってくる。これじゃあ走行時にタイヤの位置決めがマトモになるはずがない。ホイールがゴクゴク動くほどのハブのガタがなくなったのに、全く体感できないのも納得だ。アライメントもマトモに出ないはずだが、もともとシンプルな形式なせいか、ダルなハンドリングながらも何とか走れてしまい、タイヤの偏摩耗も見られない。これは車軸式の強みなのだろうか?
そんなわけで、今回はブッシュ交換にチャレンジすることに決定。まずは現在のアームを外すのだが、ジャッキアップで使うウマは、アームに対して行うので、アームがなくなったらかけるところがない。そこで、フレームを利用することにし、フロントはスタビライザーを外してフレーム前端にウマを入れる。しかし、車重がかかったままでもアームを一本ずつなら外すことができるのだ。
ブッシュの圧入には当てモノがマスト!
アームごと交換のハズが結局12個全部を入れ替え
ブッシュの抜き取りには36mmのインパクトソケットがピッタリと思っていたが、ソケットが入り込むと、これを押し出すのに数百キロの力が必要なことが判明。新品ブッシュよりソケットの外径は小さいはずだが、どうやらアームに押し込まれると、それより小さく押し縮められているようなのだ。まあ、これこそが圧入された状態なのだから当然ともいえる。ソケットを押し出すと、摩擦熱で温度が上がるくらいなのでさすがに大きすぎるようだ。そこで、抜き取ったブッシュに長めのボルトを貫通させ、突き出した部分をこれから抜き取るブッシュに入れて、中心を一致させながら押し出すことにした。しかし、これも古いブッシュ自体のブッシュの中心が長年の使用でクセが付いてずれているので、センターを合わせたつもりが合ってない。そこで、ブッシュの外筒に切れ目を入れて、当てもの側が縮みながら、古いブッシュを押し出していくことを期待して、押してみた。しかし、4トン以上の荷重がかかるため、簡単に変形して役立たない。結局、36mmソケットの外径をグラインダーで少しずつ削り、アーム内をギリギリ通るくらいに加工。専用工具を買うと思えば、安いものである。
また、当初はリヤを程度のよいアームと丸ごと交換するつもりだったのが、いざ替えようとしたら長さが10cmほども違う。今回用意したアームは、このモデルの次のJA23型のアームだったが、リヤは互換性がなかったのである。フロントであれば、JA23用のアームを取り付けることができた。双方は形状が非常に似ているが、フロント側はリーディングアーム、リヤ側はトレーリングアームという名称になる。このJA22ではブッシュ単体の供給はされておらず、リーディングアームは、2万2700円+税、トレーリングアームは2万2900円+税となっている。
ここはJA23用に供給されている単品ブッシュを買いすべてを一つずつ入れ替える方針に変更。これで何とか交換終了!
オイル漏れの原因が判明!!
駐車場にできるオイル染み犯人はデスビだった!!
オーバーホールしたエンジンを搭載後、クルマを動かしたらオイル溜まりができていたのだが、その後のチェックでは漏れ場所が分からないという摩訶不思議な現象が起こっていた。その後、特にオイルの減りも目立たなくなっていたが、最近になってミッションの上側がオイルでべたついてきているのを発見。すわヘッドガスケットの不具合?と冷や汗をかきながら点検すると、ディストリビュータのキャップがベタベタになっていた。どうやらキャップの内部からオイルが垂れ落ちていたようなのだ。
このディストリビュータはシリンダーヘッドに水平に差し込まれているので、シャフトのオイルシールが不良になり、キャップ内へオイルが出てきていたようだ。恐らくシャフト部にある小さなオイルシールが劣化しているのだろう。あれだけスラッジまみれの状態だったから、ゴムも酸化劣化しやすくなるので、シール性が落ちてもおかしくない(年式と距離を考えても、なって当然だが)。
とはいえ、この部分のオイルシールは単品供給されていないので、程度のよい中古品か新品を買うしかない。と思っていたら、リビルド品のあることが分かった。これだとリーズナブルに新品と同様の安心感を得ることができる。
ディストリビュータの交換は難しくない。シャフトはカムシャフトに対して組み合わさる方向が1か所しかないからだ。ただ、その向きを逆にしたことを知らずにボルトを締め込んでしまうと、破損させることになるのでリビルド品の組み付け時は、まず手で押し込んで、この時点でエンジン側に密着しているかをきちんと確認する必要がある。さらに、点火時期の設定は、短絡端子を繋ぐコードを用意(これはオーバーホール前に自己診断を行ったのですでに製作済み)し、タイミングライトを使って、合いマークを確認しながら合わせる必要がある。
ディスビ交換をする際に、インタークーラーを外したのだが、点火時期調整が終わってから元通りにして再始動しても、エンジンがかからなくなってしまった。全く原因が分からなかったが、いじったところに圧力センサーもあることが判明し、コネクターをなんとなく触ってみると始動できた。圧力センサーのコネクター内部が接触不良を起こしていた。
修理と同時進行でトラブルも発生。なにやらラジエーターキャップの付近にクーラントがにじんでいる。ラジエーター交換?? 熱心な読者の方からお便りをいただきました。「ハブのオーバーホール時に使用したキングピンベアリングやハブベアリングの型番を記載してくれると有り難いなぁと思います」 確かに。使ったのは、キングピンベアリングは「4T-30302」、フロントハブベアリングは「DAC4168WHR4CS23」、リヤハブベアリングは「DG357222DWC4」でした。参考にしてください。