故障・修理
更新日:2022.07.21 / 掲載日:2022.07.21
DATSUN「フェアレディ」再起動!!【VOL.17】
これまでオートメカニック誌で数々のレストアを手掛けてきたハリー山崎ですが、そんな彼が知人から「アメリカから輸入するフェアレディの車検を通すのを助けて……」というヘルプコールを受けた。5年近くコツコツと直してきたベンツちゃんの代わりを探していたこともあって、この依頼を即座に快諾。こうして1969年式のフェアレディが今回のメンテの相棒に決定したわけです。
これまで数々のミラクルを起こしてきたハリー山崎。このフェアレディのレストアも波瀾万丈&ドラマチックすぎて、端から見ていてハラハラしますが、本人的には上手くいってます~と……。今回も渾身のレストアをご笑覧あれ!
●文&写真:ハリー山崎
もうやるしかない!エンジンOHに挑戦中です!
本格的な整備が必要!と、ハリーガレージに一時帰宅したフェアレディのエンジンちゃん。開けてびっくりの極悪コンディションを前に、ココロが折れそうになってきました……。
ヘッドは問題なさそう……このまま載せてしまおう!
このヘッドは比較的程度が良いので過去にOHされた可能性が高そう。念のため、ガソリンをポートに注いで簡易密着点検を行うと、若干滲む程度。このまま載せることにする。
アメリカの友人から嬉しいプレゼントが届いた
アメリカの友人からこれがいいよ、とアメリカ製ARP社のヘッドボルトが送られてきた。8740クロムモリブデン鋼で作られ引張強度190000~200000PSIを誇る。U20の純正ボルトで発生しやすいボルト破断や締め付け不良のトラブルを防ぐことができる強化ヘッドボルトとのこと。事前にブロックのボルト穴の錆やゴミなどを完全に取り除いてから、スタッドボルトを装着してヘッドを載せる。
チェーンの遊びを調整してトラブル防止も抜かりなく
油圧がかからないエンジン始動時にテンショナーが押し込まれ過ぎてチェーンが暴れたと思うので、下の写真のようにワッシャー(亀有エンジンワークスより購入)を追加してチェーンの遊びを少なく調整してみる。
最後の最後でトラブル発覚!リカバリーできるか?!
ロッカーアームとカム、ピボットの接触面に異常摩耗がないかを確認。その後、バルブクリアランス調整を行う。しかしここでデスビのローターがフラフラなことが発覚……。イタタ……!
コレは手作りスプリングか?流用できるか、チャレンジ
なんと、内部には針金!?をクルクルと巻いた手作りスプリングみたいな物の残骸が落ちていた。ココのスプリングは入手不可能。やむなく、日産4気筒エンジンのガバナースプリングを流用することに……。
最終チェック間もなく終了。火入れまで、あと少し!
スプリングを交換すると、ローターのフラフラは解消した。進角特性はオリジナルとは異なるが最大進角角度はプレートのスロットの範囲で規制されるのでこちらは大丈夫だろう。プレートに17.5の刻印が見えるが点火時期のローターの最大進角角度。ディストリビューターは北米の排ガス規制仕様だと思われる。まずは火入れの儀式を急ぎたい!
【次回は……】
どうにかこうにかエンジンOHが終了?舞台は再び整備学校へ!こうご期待!