新車試乗レポート
更新日:2022.06.03 / 掲載日:2022.06.03
【レンジローバースポーツ】新型登場でも衰えない魅力【九島辰也】

文●九島辰也 写真●ランドローバー
昨年秋に公開された007シリーズの「ノー・タイム・トゥ・ダイ」。ダイエル・クレイグ好きにはたまらないアクション映画でしょう。劇場ではもちろん、今もたまに有料コンテンツで拝聴しています。登場するクルマ、お酒、時計、それにファッションと、学ぶべきモノは多いですね。
クルマで言うと、アストンマーティンもそうですが、レンジローバースポーツSVRが目を引きます。ボディカラーはアイガーグレー、それにカーボンパックとナルヴィックブラックの22インチアロイホイールを装着していました。本国のウェブサイトにあるコンフィギュレーターでは同じ仕様に再現することもできるとか。なかなか憎い配慮です。
なぜいま、レンジローバースポーツの話をするかというと、先月10日に新型車がグローバルデビューしたからです。しかも、007シリーズばりのスペシャルムービーとともに発表されました。映画でも起用されたスタントマンがステアリングを握るなど、かなり手が込んでいます。

それを見る限り、新型は正常進化のままモダナイズされました。エクステリアデザインはさらに洗練された感じです。ただ、大きく印象を変えることはありません。人気のモデルですから、そこはキープコンセプトとなります。大きく変化したのは中身で、最新のアーキテクチャーとパワーソース、それと最新の電子系プラットフォームの上に成り立つインターフェイスが異なります。まだ実車を見ていませんが、期待大です。

と言うことなので、先日現行モデルのSVRをお借りしてテストドライブしました。以前撮影で長距離を試乗したとき、とてもいい印象だったので、「モデルチェンジしたらこれで乗り納め?」と思ったのが動機です。
走りはやはり最高でした。575psを発揮する5リッターV8スーパーチャージャーは迫力満点で、どこの領域からでも力強く加速します。レーシングカーのようなエキゾーストサウンドで景色がみるみる流れていくのですから圧巻です。トンネルの中ではスポーツモードにしてギアを2速まで落とし、そこから加速したくなるほどの音です。ちょっと過激すぎですかね、コレ。
それでいて乗り心地もいいのが美点。22インチのロープロファイルタイヤですが、細かいピッチングや段差での強い入力がキャビンに進入することはありません。そこはレンジローバーファミリーとしてのプライドでしょう。スポーツモードでも快適さは失われません。
その辺のトータルバランスの良さがSVRのウリとなります。スペシャル・ビークル・オペレーションズ(SVO)が手がけるモデルの特徴です。もはやAMGやM、みたいに実力が証明されています。いやはやお見事。
使い勝手もいいです。ドアが大きく乗り降りがしやすく、カーゴスペースは十分確保されています。テールゲートを開けると右側にエアサスによる車高調整機能が付いていて、荷物の出し入れの時に低くできるのはありがたいですね。それにタイヤハウスの出っ張りがないので、段ボールなど四角い物がきちんと並べられる。これなんか気持ちいい気がします。
なんて感じで新型へスイッチする前のレンジローバースポーツSVRを走らせました。名前の通りスポーティなキャラクターのモデルですが、長距離が楽なのがメリットです。太いトルクでの高速道路移動は疲れ知らず。こんなクルマを相棒にできたら幸せだろう、と思わせる一台でした。