新車試乗レポート
更新日:2021.02.08 / 掲載日:2021.02.05
新型ノート【公道先取り試乗&インプレッション】
昨年末発売され、4WDも間もなく登場する、新型ノート。2021年の年明け早々にひと足早く、公道をドライブする機会を得た。クラスを超えた上質な走りに注目だ!
全面刷新のハードウエア。走りへのこだわりがすごい!

【NISSAN ノート X】 ●車両本体価格:218万6800円 ●ボディカラー:ビビッドブルーメタリック/スーパーブラック2トーン(5万5000円高)
先代からプレミアム路線に舵を切ったノートだが、新型になってその傾向はさらに強化されている。ケレンにはしらず落ち着いたデザインで質感を出している内外装が分かりやすいが、走行性能へのこだわりはそれ以上だ。
ひとつはガソリン車を廃してe-POWERのみの構成にしたこと。もうひとつはルノーとの協業で開発された新型プラットフォームの採用。シリーズ式に変わりはないがハイブリッドシステムにも改良が加えられ、走行ハードは全面刷新されたと考えていい。
先代では電動の特徴を殊更にした走行特性をセールスポイントにしていたが、新型では洗練へと進化の方向を変えている。その中でも分かりやすいのは快適性である。エンジンの稼働頻度が減少。稼働中の負荷は大きいはずなのだが、エンジン騒音は低く抑えられている。これとバランスよくロードノイズも小さい。路面状況により音質は変化するものの耳障りな高音が少なく、音量の変化も穏やか。騒音量だけでなく遮音感に優れ、「体感静粛性」の高さが特徴だ。
乗り心地は引き締まっていて雑味が少ない。ストローク量を抑えながら路面当たりは穏やか。段差乗り越え時の車軸周りの振動も同クラスでは少ない。揺れ返し少なく据わりも良好である。
新旧の乗り味を例えるなら、従来車が「中空」なら新型は「中実」。厚みを感じさせるような重みや減衰感があり、走りの質感は一気に向上している。
動力性能についてはエンブレ回生強化の「ワンペダル感覚」の制御を変更。従来車では停車までサポートしたが新型は極低速域でクリープ走行に移行する。要するに一般的なBレンジと大差なくなったわけだが、回生減速の強化と穏やかな応答特性等々の改良によりコントロール性を向上。瞬発力より加速の繋がりと安定を軸にした加速特性もあって、多くのドライバーに馴染みやすい運転感覚になっている。これは荒っぽさが抜けて洗練された、あるいは上級クラスのようなゆとりを感じさせる「良性能」と言い換えてもいい。
従来車もダウンサイザー向けだったが、新型の進化の要点もそこにあり、走りの質感や快適性ではクラスを超えていた。
●文:川島茂夫 ●写真:長谷川 徹