新車試乗レポート
更新日:2020.11.30 / 掲載日:2020.11.28

エクリプス クロス PHEV 先取りサーキットTEST[プロトタイプ]

かねてから噂があった三菱の新しいプラグインモデル。その注目すべきモデルはエクリプス クロスの大幅改良という形で登場する。すでに予約注文の受付が始まっており、12月に正式発売となるが、そのプロトタイプをドライブする機会に恵まれた。気になる走りの実力はいかほどだろうか。自動車研究家、山本シンヤがレポート!

かねてから噂があった三菱の新しいプラグインモデル。その注目すべきモデルはエクリプス クロスの大幅改良という形で登場する。すでに予約注文の受付が始まっており、12月に正式発売となるが、そのプロトタイプをドライブする機会に恵まれた。気になる走りの実力はいかほどだろうか。自動車研究家、山本シンヤがレポート!

制御の巧みさが光る、電動ならではのリニア感!

キャラクターに合った鋭い走りが魅力的だ!

7月に発表された三菱自動車の新中期経営計画「Small but Beautiful」の中に、このような記載がある。

「三菱自動車らしい自社開発のPHEVやHEVといった環境技術と4WD技術の強化」。その一つが、大幅改良されたエクリプス クロスPHEVだ。10月15日から予約注文の受付が開始、12月に発売を予定しているが、ほぼ量産仕様のプロトタイプをドライブすることができた。試乗はあいにくの豪雨となってしまった富士スピードウェイ・ショートコースだ。

パワートレーンは2.4Lマイベックエンジン、大容量の駆動バッテリー、そして前後1基ずつの高出力モーターで構成される、ツインモーター4WD方式のPHEVシステムを搭載するという。ハードウェア自体はアウトランダーPHEVと同じだが、ソフトウェアはエクリプス クロス専用だ。電動化ならではの応答性の高さや力強さは共通だが、穏やかな味付けのアウトランダーPHEVに対して、エクリプス クロスPHEVはより俊敏さが際立つ味付け。実は車両重量はほとんど変わらないのだが、エクリプス クロスが軽く感じるくらいの違いだった。

フットワークも同様だ。S-AWCの巧みな制御で、一体感の高さや4輪を上手に使いながらの自在性を備えたハンドリングなどは共通だが、アウトランダーPHEVは「ゆったり」「安心」な特性なのに対し、エクリプス クロスPHEVは「軽快」「旋回性重視」と言った印象。この辺りは味付けの違いに加えて、アウトランダーよりも効果的な補剛+構造用接着剤採用により体幹を鍛えたボディと専用の足回りも効いているはず。

ドライブモードはノーマル/スノー/グラベル/ターマックの4種類でモード毎のキャラも解りやすい。ただ、一つ気になったのはタイヤだ。S-AWCはタイヤの摩擦円を効率よく使うことができるのが特徴だが、今回のヘビーウエット路面ではグリップ不足を感じた。もちろん電費/燃費を重視したことは分かるが、エクリプス クロスの強みである運動性能の高さをよりアピールするためには、せめて上級モデルにはワンランク上のタイヤを奢るべきだろう。せっかくのS-AWCなのだから、その性能を引き出すためにも、元となるタイヤの摩擦円は大きくしたい。

そろそろ結論に行こう。従来のエクリプス クロスは良くも悪くも玄人受けする一台だったが、今回電動化技術を注入することで、一般ユーザーにも解りやすい一台に仕上がっている。三菱再生の切り札になってほしい一台だ。

  • アウトランダーPHEVと同様のシステムを搭載。WLTCモードでEV走行換算距離:57.3km、ハイブリッド燃料消費率:16.4km/L。

  • ガソリンモデルとはフロントマスクなどの意匠やホイールのほかエンブレム類が異なる。

  • 車両右側にはプラグインモデルならではの給電口を備える。急速充電にも対応している。

S-AWCの真骨頂! 路面状況を選ばない緩急自在な走り

S-AWCは走行状況、路面μの変化に対し瞬時に前後のトルク配分のみならず、左右の駆動力配分も制御する三菱独自の技術。このエクリプス クロスPHEVは走行条件や路面環境に合わせて専用開発されたモードを搭載する。オールラウンダーな「ノーマル」、旋回性重視でランエボのような大胆な姿勢変化も許容する「ターマック」、安定性重視の「グラベル」、トラクション重視の「スノー」と、少し違う……程度ではなく誰でも解る特性だ。電動化のメリットを活かした緻密な制御の賜物と言える。

エクリプス クロスPHEVのドライブモード

伸びやかに、よりスタイリッシュになったエクステリア

外観の変貌はもはやフルチェンレベル! インテリアも進化

フロントマスクのダイナミックシールドが進化してより力強くなった。リヤはクーペフォルムをより引き上げるためにオーバーハングを延長。かつてのギャランフォルティス・スポーツバックにイメージが被るかもしれない。代わりに特徴的だったリヤのダブルウインドウは廃止。インテリアは小変更だが、センターSDAの大型化やエアコンパネルのデザイン変更、更にはライトグレーを組み合わせた新コーディネートの内装など、先進感が引き上げられている。ディーゼル車はなくなったが、ガソリン車は継続設定。エクステリア/インテリアはほぼPHEVモデルに準じる内容だ。

デザイン的にはダイナミックシールドを受け継いでいるが、ヘッドライト位置が変更になるなど大きく変わっている。リヤ回りも特徴的だったダブルウインドウを廃止するなど印象がガラリと異なる。

前後オーバーハングを140mm延長。彫りの深い伸びやかなフォルムになった。

現行型と比較すると……

現行型

  • 現行型

  • 現行型

現行型もダイナミックシールドを基本にしたデザインのため、全体的な印象は似ているものの、新型と比べるとやや寸詰まり感がある。塊感や筋肉質という点では勝るが、よりスリークになった新型の方が最新トレンドだ。

インパネ中央のSDAが8インチ化されたほかエアコンの操作パネルも変更された。

シートはスエード調素材×合成皮革のコンビタイプのほか本革タイプも用意されている。

  • PHEVは左側にパワー計、右側に速度計を備えたコンビメーターを採用。視認性に優れる。

  • プラグインモデルを主張するシフトまわり。ドライブモードの切り替えスイッチもここに。

スクエアな荷室は張り出しも少なめで積載性がいい。分割可倒式の後席を倒せばフラットな床面に。

最大出力1500WのAC100V電源をラゲッジに設置。アウトドアや非常時に役立つ装備だ。

●文/山本シンヤ ●写真/奥隅圭之、三菱自動車工業(株)

提供元:月刊自家用車

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