新車試乗レポート
更新日:2019.05.23 / 掲載日:2019.03.06

MERCEDES-BENZ Aクラス 試乗インプレッション

最小のメルセデス、Aクラスがフルモデルチェンジ。スポーツコンパクト寄りのキャラクターに「ハイ、メルセデス」で会話するように指示が可能なMBUXを搭載。今回は装備充実仕様のA180スタイルに試乗した。

●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之

icon MERCEDES-BENZ Aクラス[フルモデルチェンジ]

●発売日:’18年10月18日(注文受付開始)
●価格:322万~362万円
●輸入元:メルセデス・ベンツ日本
●問い合わせ先:0120-190-610

icon

装備違いのA180とA180スタイルがラインナップ。試乗車はA180スタイル(写真)とAMGライン装着車で、ともにACC(追従クルーズコントロール)やLKA(車線維持アシスト)を含むレーダーセーフティパッケージ(24万5000円)やナビゲーションパッケージ(18万4000円)を装着。25万5000円のAMGラインを装着した試乗車には360度モニター他を含むアドバンスドパッケージ(20万4000円)やAMGレザーエクスクルーシブパッケージ(20万4000円)も装着。

icon

主要諸元(A180スタイル)
●全長×全幅×全高(mm):4420×1800×1420●ホイールベース(mm):2730●車両重量(kg):1360●駆動方式:FF●パワートレーン:1331cc直列4気筒DOHC直噴ターボ(136PS/20.4kg・m)●トランスミッション:7速DCT●WLTCモード燃費(km/L):15.0●燃料タンク(L):43(プレミアム)●最小回転半径(m):5.0●タイヤサイズ:205/60R16●価格:362万円 ※オプションを含まず

扱いやすさと小気味良さで好フィール

ベンツファミリーのエントリーに位置し、同時に最新モデルとなるのが新型Aクラスである。約4.4mの全長に1.3Lターボと7速DCTを搭載し、駆動方式はFFである。車名のとおりパワースペックは1.8L級相当であり、プレミアムコンパクトらしいバランスを備えた成り立ちだ。

ただし、スペシャリティに振ったキャラ付けではなく、実用性にも前向き。男性4名の長時間乗車にも不足ない後席居住性を備え、同サイズのセダンやワゴンと比しても遜色ない。後席からの見晴らしも悪くない。荷室は深さも奥行きも余裕があり、ショートワゴンと呼ぶべき実用性を備える。先代ではプレ&ポストファミリー向けの印象も強かったが、キャビンユーティリティの向上によりファーストカー用途のエントリーという性格も強まっている。

さらに安全&運転支援機能も最新仕様。高速30秒/一般道3秒の自動再発進機能を備えた全車速型ACC、不明瞭な白線でも車線認識性の高い、走行ライン維持型LKA、自動車線変更機能等々を採用。多くはSクラスとも共通した機能であり、同車格はもちろん、量販車全クラスでもトップレベル。もっとも、全グレードともOP設定なのが玉に瑕だが。

その走りはスポーティ&カジュアルあるいは若々しい味わいを特徴とする。最高出力は136PSでしかないが、20.4kg‐mの最大トルクを1460~4000回転で発生。5000回転以上は実用性が低いものの、Dレンジ走行で4000回転を超える状況はほとんどない。また、踏み込み直後からトルクの立ち上がりが素直で、ペダル操作と加減速反応の連携感がいい。DCTの歯切れのいい変速感も似合っている。

フットワークも実用域の扱いやすさと小気味よさのバランスが取れたパワートレーンに似合いだ。減衰性が良く引き締められたサスながら荒々しい突き上げや車軸周りの揺動感は少ない。必要以上の挙動がなく操舵追従に優れたハンドリングと相まって良質なFFスポーティカーの味わいだ。

外観も走りもスポーティ&カジュアルな印象が強いが、言い方を換えるならCクラス以上のFRベンツとは嗜好あるいは走行ハードの違いを感じさせる。例えば沈み込むような重質な乗り心地や滑らかな加減速感覚等々、「大人のプレミアム」で比較するとAクラスは分が悪い。ただ、それは新Aクラスの美点でもあり、伝統的高級感にこだわらず現代風カジュアル感でまとめられ、単なる入門車ではない魅力を生み出していた。

エクステリア

A180スタイル

刷新されたフォルムは伸びやかでスポーティ。高機能なLEDヘッドライトを含む外装や18インチホイール、専用内装等がセットになったAMGラインはOP価格25万5000円。

  • A180スタイル

  • A180スタイル

  • A180スタイル(AMGライン)

  • A180スタイル(AMGライン)

インテリア

A180スタイル

覆いのない一体的な造形のインパネが特徴的。内装はスマホ世代にもしっくり来るカジュアルな仕立てだ。ホイールベースの拡大もあって、より広い空間が確保されている。

  • エアコン吹き出し口はタービン型。コンパクトクラスながら後席にも備えている

  • 運転席&助手席の座面延長機能を標準装備。スタイルの前席は電動&シートヒーター付き。

着座姿勢&乗降性

メーターパネルやナビモニターとなる横長の薄型ディスプレイはインパネとは独立したデザイン。棚の上に立てかけられたような感じで前席は低い座面高設定でも寸法以上に開放感がある。前席ほどのホールド感はないもののコンパクトクラスとしては後席の座り心地も良好。低めの座面高設定だが、比較的前後長に余裕のあるリヤドア開口により、ドア全開時なら乗降性もセダン相応のレベルだ。

icon

A180スタイル(AMGライン)

AMGライン+20万4000円のツートーン本革内装。64色のアンビエントライトも含まれる。

メカニズム&装備

「ハイ、メルセデス」のMBUX(メルセデス・ベンツ ユーザー エクスペリエンス)を標準装備。自然言語で指示が可能だ。

ルノーグループと共同開発のオールアルミ製M282エンジン。小型軽量で高剛性、静粛性を高めながら先代の1.6Lから14PSアップ。

試乗車のタイヤは16インチ(写真)がピレリ製、18インチ(AMG)はハンコック製。

同価格帯ライバルチェック

OP込み400万円クラス、車種充実のSUVも視野に

高機能のACCやLKAを含むレーダーセーフティパッケージとナビパッケージを合わせたOP価格は約43万円。このふたつは必須装備でもあり、この場合の価格は約371万円から約412万円となり、人気OPのAMGラインを加えれば437万円強である。国産車なら頂点クラスを除いた主要モデルの大半がターゲットになる。適応用途から直接のライバルとはならないが、多用途性も気になるならデリカD:5やCR-VなどのミニバンやSUVと比較してもいいだろう。

プレミアムコンパクトの有力なライバルとしてはBMW1シリーズ等の輸入コンパクトが挙げられるが、国産車ではレクサスUXとの比較を勧める。トヨタ系最新の走行性能や運転支援機能が導入され、プレミアム性と実用性で悩ましい存在だ。

  • BMW 1シリーズ ●価格:320万~382万円(1.5L)、407万~466万円(2L)、655万円(3L)

  • LEXUS UX ●価格:390万~474万円(2L)、425万~535万円(2L・HV)

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

グーネットマガジン編集部

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ