新車試乗レポート
更新日:2018.09.19 / 掲載日:2018.06.04

【試乗レポート】生まれ変わったカローラスポーツはデザインも走りも一新して登場

カローラスポーツ ハイブリッド仕様

文と写真●ユニット・コンパス

 カローラがまったく新しく生まれ変わる。2018年夏に日本での発売を予定しているトヨタ新型カローラスポーツのステアリングをいち早く握ることができたので、そのファーストインプレッションをお伝えする。
 トヨタ カローラは、1966年から50年以上にわたって作り続けられて来た日本を代表するベーシックカーだ。日本を代表するというのは文字通りの意味で、154以上の国と地域で販売されてきたカローラは、これまでなんと世界累計4500万台を販売してきたという。まさしく「日本車」の代表選手なのだ。
 では、そんなカローラがなぜ大変身を遂げることになったのか。その理由はユーザー平均年齢が年々上昇していて、これからの50年を考えたときに、若返りが必要と考えられたからだ。ちなみに日本でのユーザー平均年齢は70歳代だというから、たしかにトヨタが危機感を覚えるのも無理はない。
 そこで12代目となる新型では、今後社会の中心となっていく、20代から30代のユーザーにも、カローラを愛車にしてもらいたいという想いをもって、新型のハッチバックモデルが企画された。

 では、新しいユーザー層にアピールするべくカローラが身につけたものとは何か。ひとつは、「コネクテッド」。車両に搭載された通信装置を使って、ひととクルマ、クルマと社会とを繋げることで、新しい価値を生み出すという。残念ながら詳細については、今後の発表を待ってほしいとのことだが、ベーシックカーであるカローラに通信装置が備わるというのはインパクトが大きい。

 そしてもうひとつのポイントが「デザイン」。見てのとおり、新型のスタイリングは、従来モデルとはまったく異なるテーマ、テイストで作り込まれている。目指したところは、活動的でなおかつオーソドックス、シンプルであること。一見、相反するテーマのようだが、実車を見た印象は、確かに抑揚があって彫刻的でありながらも、クリーンな面構成で、なかなか魅力的だ。
 ユニークなところで言えば、ホイールアーチとタイヤとの隙間を小さくして、踏ん張り感のあるスタイルを実現するべく、ボディの設計や製造方法にも工夫が凝らされているという。こんな話は従来のカローラではなかったことだろう。

第2世代のセーフティセンスを全車で標準装備

 インテリアについても、シンプルですっきりとさせながらも、温かみを感じさせるようなデザインが与えられている。具体的にはダッシュボードの上下幅は狭くしながら、センターコンソールは幅広くし、広々とした印象と包まれ感を両立。あえてスペースを広く「間」を感じさせる部分と、凝縮した精密感のある「密」を使い分け、上質なイメージをねらっている。
 安全性能についても、第2世代のトヨタ・セーフティ・センスを全車標準装備。これには、夜間の歩行者や昼間の自転車にも反応する自動ブレーキ、全車速対応のレーダークルーズコントロール、車線維持支援機構、標識認識機能、先行車発進告知といった充実した内容が含まれている。

  • 新開発のスポーツシートはホールド性にも優れていた

  • MT仕様もラインアップ。シフト時に自動で回転合わせを行う機能も

今度のカローラは走りの実力も高い

 そして何より驚いたのが、走りの実力が段違いに上がっていること。

 試乗コースがショートサーキットだったのは、ナンバーのないプロトタイプだからだと理解していたが、開発を主導したチーフエンジニアの小西良樹氏は、新型の走りについて「ずーっと走っていたくなる気持ちのいい走りを目指して、世界5つの大陸で100万kmにわたる走行試験を重ねて来ました」と説明。トヨタにおける最新世代のメカニズムをさらに磨き上げ、スムーズで静かな走りとしっかりとした走行性能を両立させたと胸を張る。
 事実、走らせてみると、新型はコーナーでステアリングをグッと切ってもクルマの動きが穏やかで安定している。サーキットという特殊なシチュエーションでテストしただけなので、一般的な乗り心地を語ることはできないが、確かにボディはしっかりとしていて車内が静かだというのは間違いない。

 これはマニアックな話になってしまうのだが、新型ではサスペンションのダンパーという部品を新規に作り直していて、これが走りの実力アップと乗り心地を両立させることに、大きく貢献しているという。
 ダンパーを開発、製造しているカヤバの技術者によれば、従来とは違うアプローチによる内部構造を考案。普段はダンパーをスムーズに動かして乗り心地をよく、コーナーのような足まわりに横方向の力が加わる状況では、逆に動きを止めることで、しっかりと踏ん張る足まわりができあがったのだとか。
 こういったダンパー特性を実現させるためには、従来であれば電子制御によって緻密にコントロールするのが普通であり、当然コストは高かった。だが、この方式ならば、コストは抑えながらも、電子制御ダンパーのような特性が作り出せる。
 実際、電子制御「AVS」仕様も用意されていたが、この新ダンパーはそれに近いレベルの走りを披露していた。もちろんAVS仕様の方がコントロールの幅が広いなど、それなりのメリットがあることは言うまでもない。
 最後にパワーユニットの話をすると、新型カローラスポーツには、1.8Lハイブリッド仕様と1.2Lターボ仕様というふたつのパワーユニットが用意されている。また、1.2LターボにはFFのほか4WD、そしてマニュアルトランスミッション仕様もラインアップ。
 限られた時間とシチュエーションではあったが、新しいカローラは、アクセルを大きく踏み込むような状況でも車内が静かだったのが印象的。さらに燃費性能も34.2km/L(ハイブリッド仕様、JC08モード)と目を見張るものがある。

 まさに、中身も外見も生まれ変わった新型カローラスポーツ。まだ価格や詳細なスペックが公開されていないため、諸手を挙げて「バンザーイ!」とはいかないが、その実力が大きく飛躍したのは間違いがない。

  • カローラスポーツ ターボ仕様

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

グーネットマガジン編集部

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ