新車試乗レポート
更新日:2018.11.29 / 掲載日:2018.01.18
ルノー メガーヌ 試乗レポート

ルノーといえば多くの日本人にとってはピンと来にくいブランドであるが、熱烈なファンも多くいる。言い換えれば趣味性の高いブランドであるわけだが、その最新モデルの出来栄えはいかに?
まるで本格スポーツ仕様 「GT」でも運転が楽しい
試乗車を受け取って峠道に差し掛かったとき、猛烈な不安に襲われた。新型メガーヌの「GT」を運転しているはずなのだが、「この車両は本当はGTではないのではないか?」という気分になってきたからだ。
なぜか?右に左へと旋回が続く峠道でのハンドリングがあまりに気持ちよすぎて、「GT」ではなく本格スポーツモデルの「R.S.」のようだったからだ。「GT」がこんなにハイレベルで楽しいのだから「R.S.」は一体どんなに凄いことになるのだろうか?メガーヌGTの試乗は、そんないらぬ心配まで背負い込んで、ワインディングロードを楽しむことになった。いつまでも走り続けたい。曲がり続けていたい・・・・・・。右に左にとステアリングをまわしながらコーナーを駆け抜けていると、そんな気持ちにさえなってくる。あまりの楽しさに、峠道が終わるのが残念でしかたなかった。
メガーヌはルノーを代表するモデルで、Cセグメントハッチバックと車体を伸ばしたステーションワゴンがある。いわゆる「ゴルフクラス」で、最大の宿敵はもちろんゴルフだ。
しかしルノージャポンでは、Cセグメントの輸入車といえばゴルフが圧倒的に強い日本において、ゴルフとの直接対決は避ける戦略をとった。その結果、エントリーとして「GTライン」も設定するが、メインとしてスポーティグレード「GT」だけを訴求する展開にしたのだ。「GTライン」はエアロパーツを搭載した中間グレードに132馬力の1.2Lターボエンジンを搭載、いっぽう主力の「GT」は205馬力の1.6Lターボエンジンを積むスポーティグレードである。
あまりの動的性能の気持ちよさに走りの印象が先走ってしまったが、もちろん魅力はそれだけではない。まずスタイル。なんと美しい佇まいなのだろうか。
ダイナミックながら流麗。絶妙なカーブを描く前後フェンダーの張り出しは艶やかで、ひときわシャープなボンネットのエッジは、それを実現するために工場の生産ラインにまで改良を加えたという。

ルノーのデザイン責任者として、マツダにも籍を置いたことがありスーツ姿でもスニーカーを履くことでもおなじみのローレンス・ヴァン・デン・アッカー氏が着任して以降、ルノーのデザインは「セクシー」になった。彼はルノーのデザインを「多少の実用性を犠牲にしても美しさを優先する」という方向にシフト。滑らかで官能的なメガーヌのデザインは、多くの目に美しく映るはずだ。
荷室の広さを重視するアクティブ派にとってはワゴンボディが魅力的だが、日本への導入は「GT」のみ。「スポーツワゴン」を強調するマーケティング上の戦略である。こちらは胸のすく走りにハイレベルな実用性も備えているのだから、ある意味ハッチバックよりも魅力的だ。
ハッチバックにもワゴンにも共通する美点としては、走りだけではなく乗り心地がいいこともあげられる。スポーティグレードであってもさすがはルノーだ。
ところで、「GT」でもここまでよく走るのだから2018年夏に発売予定の本格スポーツ仕様「R.S.」はどこまで凄くなるのか?よりエンジンがハイパワーになり、ハンドリングの方向性は同様ながら限界性能が引き上げられるようだ。そちらも楽しみではあるが、軽快かつ気軽に走りを楽しめるという意味では「GT」のほうが魅力的のような気もしている。なにせハンドリング自体は「R.S.」かと思うほど爽快でエキサイティングなのだから。
文●工藤貴宏 写真●グーワールド
問い合わせ ルノーコール TEL:0120-676-365
Detail Check

日本仕様は全車にエアロパーツを標準装備し、「GT」と「GT-ライン」の違いはホイールやグリル程度。前だけでなくリヤもデイライトが点灯する。
コックピット
コックピット
岸さんという日本人デザイナーがまとめたインテリアは、逆L字型にドライバーを囲むインパネ形状を採用。画面はスマホ連動でナビとしても使え、ステアリングホイールの奥に備わる金属製の大型パドルシフトがスポーティだ。
インテリア
インテリア
スポーツシートとしてサイド部の張り出しが大きなフロントシートを装着する「GT」だが、横幅がゆったりしているので見た目ほどタイトではない。アルカンタラ張りで質感も高い。
エンジン
エンジン
ダウンサイジングターボユニットはゲトラグ製7速デュアルクラッチと組み合わさり、鋭い動力性能を実現。高回転まで気持ちいい。
ラゲッジスペース
ラゲッジスペース
日常生活においては十分な広さのラゲッジスペース。背もたれを倒すだけで後席が折り畳まれ、手軽に荷室空間を拡大できる。
ルノー メガーヌ GT(7速AT・7EDC)
全長×全幅×全高 | 4395×1815×1435mm |
---|---|
ホイールベース | 2670mm |
トレッド前後 | 1575mm |
車両重量 | 1430kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1618cc |
最高出力 | 205ps/6000rpm |
最大トルク | 28.6kg m/2400rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/トーションビーム |
ブレーキ前/後 | Vディスク/ディスク |
タイヤサイズ前後 | 225/40R18 |
全国メーカー希望小売価格(発売 2017年11月)
メガーヌ GTライン(7速AT・7EDC) | 263万円 |
---|---|
メガーヌ GT(7速AT・7EDC) | 334万円 |
メガーヌ スポーツ・ツアラー GT(7速AT・7EDC) | 354万円 |
Body Color
■ブルー アイロン ■ブルー ベルリン □ブラン ナクレ ■グリ チタニウム |
自然なフィーリング しかし効果のある4コントロール
「4コントロール」と名付けられたリヤステア(後輪操舵)を採用する「GT」。60km/h(スポーツモード時は80km/h)未満では前輪と逆の方向を向いて最小回転半径を小さくし、それ以上の速度域は前輪と同じ方向に傾いて安定性を高める仕掛けだ。峠道では非装着車に比べ4割ほど操舵角が少なく済む。