新車試乗レポート
更新日:2018.11.11 / 掲載日:2017.12.21
ボルボ XC60 試乗レポート

ボルボの中核をなす「60」シリーズがいよいよフルモデルチェンジ。第一弾となるXC60は、ボルボ全体の販売で約3割を担う人気モデルだが、存在感、走りともに期待を上まわる出来栄えだ。
待望のコンパクトSUV 新型XC60登場!
昨年XC90を日本導入しクルマ好きを驚かせたボルボが、また魅力的なSUVを国内発表した。ご覧のXC60である。2世代目に突入した新型は一見してオーセンティックなフォルムからなる。従来型からの大幅なイメージチェンジとまではいっておらず、自動車業界的には「キープコンセプト」といえるが、実際はまったくの別物だ。
ヘッドライトユニットはXC90以降の新世代デザインとなり、グリルも大きく変わった。当然ボディパネルもオールニューでサイドにはエッジの効いたラインが入り、全体的にシャープな印象を与える。この辺はXC90に通じるデザインワークだ。
個人的に好きなのはテールまわり。ボルボの個性でもあるリヤガラスサイドまで伸びたテールライトを残しながら見事に進化を遂げている。高い視認性を保ちながらのデザインは見事としか言いようがない。
そして、そのデザインセンスをさらに感じるのがインテリアだ。見た目、使いやすさ、手に触れた素材のたしかさなど、ライバルを寄せつけないクオリティの高さを感じる。ベントレーのインテリアを手がけてきたデザイナー、ロビン・ペイジ氏の功績によるところが大きいだろうが、じつに完成度が高く、いまやクラストップのデザインクオリティである。
これだけデザインの自由度が高まったのには、フレームからすべてやりかえた背景がある。いわゆるSPA、「スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー」だ。XC90のときに大々的にボルボがアピールした新世代プラットフォームである。

ボルボはパワートレーンを含め新アーキテクチャーの開発に日本円でおよそ1兆円以上を投資した。彼らにとってここ数年でいちばんのチャレンジだ。もちろん、そのスケールメリットは大きく、SPAは今後リリースされるすべてのモデルに使える。エンジンを中心とするパワートレーンの搭載位置を変えずに、ホイールベースを伸ばしたり縮めたりすることでラインアップを構築するのだ。その意味からもSPAが重要なカギとなるのは言わずもがなである。
XC60のグレードはエンジン違いでディーゼルのD4、ガソリンのT5とT6、プラグインハイブリッドのT8がある。また、駆動方式はすべてAWDだ。
ただ、D4とT6は来年3月以降の発売になるので、まだ少し待たねばならない。すでに定評ある省燃費に長けるディーゼルユニットも、ガソリンエンジン+ターボ&スーパーチャージャーという贅沢な組み合わせのT6も気になる存在だ。
もちろん、ボルボが“ツインエンジン”と呼ぶモーターとガソリンエンジンを備えたT8もかなり興味がそそられる。XC90で実証されるように快適さと力強さは高レベルにあるからだ。ご承知のように近未来のボルボの姿がそこにある。
さて、そんなラインアップのなかで今回ステアリングを握ったのはT5。ガソリンエンジンのレスポンスが楽しめる快適なドライバーズカーである。実際、高速道路では高級サルーンのような乗り心地と遮音性の高さに驚いた。ロードノイズは消され、若干の風切り音を感じるくらいだ。また254馬力の出力にも不満はなく、中間加速がいいため躊躇せずに追い越しができる。それに重すぎないパワステも好みだ。高速コーナーでもワインディングでも軽快なハンドリングが楽しめる。
このほかではインターフェイスと安全装備に注目。最前線の技術が惜しみなく投入されている。XC60の魅力は簡単には語り尽くせない。
文●九島辰也 写真●グーワールド
問い合わせ ボルボ・フリーダイヤル TEL:0120-55-8500
Detail Check

従来型のイメージのまま見事に進化させたエクステリアデザイン。ロングノーズにすることでFR的な走りのイメージも掻き立てる。
コクピット
コクピット
これがいまどきのボルボのダッシュボード。iPadサイズのモニターがセンターに堂々と備わる。タッチパネル式で操作できるそれは、まさにスマホ感覚。センスのよさが際立っている。
インテリア
インテリア
オリジナル素材のT-Tec/テキスタイルのコンビと本革レザーはモメンタム、ナッパレザーはインスクリプションに装備される。アンバー、ブロンド、チャコールの色合いも絶妙。
装備
装備
カメラとレーダーで安全を確保するのがボルボ。衝突回避・軽減フルブレーキシステムをはじめとする彼ら自慢のシティセーフティは全モデル標準装備。安全性の高さは群を抜く。
エンジン
エンジン
T5はガソリンの直噴式ターボを搭載。254馬力を5500回転で発揮。同時に燃費も期待できる。JC08モード12.6km/LはSUVとすれば良好だ。
タイヤ・ホイール
タイヤ・ホイール
写真はT5インスクリプションに標準の19インチの10本スポークアルミホイール。モメンタムは18インチの5本スポークが標準となる。
ラゲッジスペース
ラゲッジスペース
大型テールゲートは電動式で開閉ができる。またカーゴ側からリヤシートを畳むことも可能。そのシートは40対20対40の分割可倒式で非常に便利だ。
ボルボ XC60 T5 AWD インスクリプション(8速AT)
全長×全幅×全高 | 4690×1900×1660mm |
---|---|
ホイールベース | 2865mm |
トレッド前/後 | 1655/1655mm |
車両重量 | 1830kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1968cc |
最高出力 | 254ps/5500rpm |
最大トルク | 35.7kg m/1500-4800rpm |
サスペンション前/後 | ダブルウィッシュボーン/マルチリンク |
ブレーキ前後 | ディスク |
タイヤサイズ前後 | 235/55R19 |
全国メーカー希望小売価格(発売 2017年10月)
XC60 D4 AWD モメンタム(8速AT) | 599万円 |
---|---|
XC60 T5 AWD モメンタム(8速AT) | 599万円 |
XC60 D4 AWD Rデザイン(8速AT) | 649万円 |
XC60 D4 AWD インスクリプション(8速AT) | 679万円 |
XC60 T5 AWD インスクリプション(8速AT) | 679万円 |
XC60 T6 AWD Rデザイン(8速AT) | 724万円 |
XC60 T8 Twin Engine AWD インスクリプション(8速AT) | 724万円 |
Body Color
□アイスホワイト ■パッションレッド ■オニキスブラックメタリック ■ブライトシルバーメタリック ■バースティングブルーメタリック ■オスミウムグレーメタリック |
※ほか3色。
ボルボの未来がこのクルマに目いっぱい詰め込まれている
近未来プラグインハイブリッドがデフォルトになるボルボを先んじて垣間見られるのが、この「T8」。スーパーチャージャーとターボという2つの過給器で318馬力にスープアップされた2L直4ガソリンエンジンと高出力電気モーターの組み合わせで、環境にもいい、力強い走りを見せてくれる。