新車試乗レポート
更新日:2018.11.11 / 掲載日:2017.03.16
ボルボ S90/V90 試乗レポート

ボルボの最上級サルーン/ワゴンであるS90/V90がいよいよ日本に導入された。新世代シャシーやPHVを設定するなど、技術面で大きく進化。その出来に期待が高まる!
最先端の技術を投入したボルボのフラッグシップ
2016年の日本における輸入車の販売台数シェアは新車販売(軽自動車を除く)の9.1%だった。そしてそのトップに君臨するのが7万台に届きそうな勢いのメルセデス・ベンツ。でもってBMWやVW、アウディなどが続く。相変わらずのドイツブランドオンパレードだ。
そんな上位陣に食い込もうと頑張っているのがスウェーデンのブランド、ボルボ。中国資本となりながらもブランド価値を保ち、独自路線で世界のマーケットで戦っている。
ここで紹介するのは彼らのもっとも新しいラインアップ、S90とV90となる。XC90からはじまった新しいプラットフォームを採用するラージサルーンとステーションワゴンだ。これまでS80をトップレンジに置いていたことを鑑みると、さらにその上をねらっていることがわかる。“90”としたネーミングもそうだし、サイズもアップ。しかも、見た目のゴージャスさはボルボ史上もっとも高い。そして走りもよくなった。
その走りを可能にしたのがSPAと呼ばれる新プラットフォーム。軽量化と前後重量バランスの最適化、それとプラグインハイブリッドをも可能にする。ボルボはこのプラットフォームの開発と電気系パワートレーンの開発、生産工場におよそ1兆3000億円投資したそうだ。
外観はロー&ワイドに構えながらエレガントな雰囲気を漂わす。意図したのはフロントアクスルとフロントピラー根元の距離。FFパッケージングでありながらその距離を広くとって流れるようなフォルムを完成させた。同クラスのFRパッケージング並みの長さ。インテリアはいま業界トップレベルのクオリティと評価されるだけの仕上がり。クラスを超えた高級感とデザイン性の高さはショールームで拝む価値はある。

パワートレーンと駆動方式はS90にT6のAWD、V90にはそれとT5のFWD、T8ツインエンジンがラインアップされる。T8ツインエンジンとは言わずもがなプラグインハイブリッドのことだ。そのなかで今回試乗したのはT6。2L直4ターボ+スーパーチャージャーは320馬力/40.8kgmを発揮する。
S90 T6 AWDの走り出しは、重厚感とは逆の軽快なものだ。アクセルやステアリングは思いのほか軽く、すべての操作系が軽やか。最近のBMWはステアリンググリップが太くパワステが重めだが、それとは違うものだ。エンジンの吹け上がりもそう。低回転でスーパーチャージャーが、それ以降はターボが4気筒ユニットをバランスよく過給していく。スーッという伸び感はスポーティで、ボディサイズや重さを感じさせない。もっとコンパクトなスポーツサルーンを操っているようだ。そしてそれがコーナーリングでポジティブな効果を見せる。アルミを多用した足と相まって、軽快にコーナーを駆け抜けるのだ。バネ下重量軽減がいいように働いている。ちなみにリヤのみエアサスを採用する。
V90も走りはS90と同等。リヤにバルクヘッドがないことでのデメリットはなく、ボディが明らかにユルくなるなんて感覚は起きない。それよりもカーゴスペースがあることを忘れてしまうほどだ。
ひとつネガティブなポイントを言うなら、グリルからフロントガラス上部に移されたカメラだろう。ワイパーを使えるなどメリットは多いが、少々大きい。これがより小さくなれば視界はさらに広がる。といった新型S90&V90は魅力的な大人のサルーン&ステーションワゴンと言える。じわじわとメディアに載れば注目が集まるのは時間の問題だ。
文●九島辰也 写真●GooWORLD
問い合わせ ボルボお客様相談室 TEL:0120-922-662
Detail Check

コンセプトカーで高い評価を得たデザインを具現化した。特徴は前輪車軸とフロントピラー根元の距離。ここを長くとって自然なフォルムとした。
コックピット
コックピット
中央はセンタースタックディスプレイ。縦型なので9インチでもかなり大きくみえる。ここに操作機能を集約することでスイッチ類を減らした。
インテリア
インテリア
フロントは電動調節式でランバーサポートもスイッチで動かせる。またグレードにもよるがマッサージ機構を用意。リヤシートを含め4ゾーンのエアコン管理ができるのもグッド。
エンジン
エンジン
ガソリンエンジンは2L直4ひとつ。T5はターボ、T6はさらにスーパーチャージャーを、T8はそれに加えてモーターを付ける。
ラゲッジスペース
ラゲッジスペース
V90(写真上)の積載性の高さは評判のとおり。床下収納を含め凝ったつくりをしている。テールゲート、ラゲッジカバーは電動式を採用。容量はV90が560~1526Lで、S90(写真下)は500Lとなる。
主要諸元:ボルボ V90 T6 AWD インスクリプション(8速AT)
全長×全幅×全高 | 4935×1890×1475mm |
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ホイールベース | 2940mm |
トレッド前/後 | 1615/1620mm |
車両重量 | 1840kg |
エンジン | 直4DDOHCターボ+スーパーチャージャー |
総排気量 | 1968cc |
最高出力 | 320ps/5700rpm |
最大トルク | 40.8kg m/2200-5400rpm |
サスペンション前/後 | ダブルウィッシュボーン/マルチリンク |
ブレーキ前後 | ディスク |
タイヤサイズ前後 | 255/35R20 |
全国メーカー希望小売価格(発売 2017年2月)
S90 T6 AWD Rデザイン(8速AT) | 749万円 |
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S90 T6 AWD インスクリプション(8速AT) | 842万円 |
V90 T5 モメンタム(8速AT) | 664万円 |
V90 T6 AWD Rデザイン(8速AT) | 769万円 |
V90 T6 AWD インスクリプション(8速AT) | 799万円 |
V90 T8ツインエンジン AWD インスクリプション(8速AT) | 899万円 |
Body Color
□アイスホワイト ■パッションレッド ■ブラックストーン ■トワイライトブロンズ ■ブライトシルバー ■ルミナスサンド ■マジックブルー ■メープルブラウン |
個性的なカタチのヘッドライトが暗闇でボルボであることを主張
グレードはモメンタム、インスクリプション、それとRデザインがラインアップされる。グリルの形状とホイールデザインがそれぞれ異なるのが特徴。ハンマーからインスパイアされたカタチのLEDヘッドライトはどれも同じ。暗闇に浮かぶその個性的なカタチはキセノンよりも15~20%明るく照射する。