新車試乗レポート
更新日:2018.11.14 / 掲載日:2016.08.18
アウディQ7 試乗レポート

新型Q7は新世代プラットフォームを採用し、さらなる軽量化が推し進められた。エンジンもダウンサイジングされ、大型SUVの新たなスタンダードを構築する。
小排気量+軽量化で洗練された走りを実現
アウディSUVのフラッグシップモデルがこのQ7。数字でわかるようにQ3、Q5の上をいくビッグボディとなる。先にサイズを記しておくと、全長5070×全幅1970×全高1705mm(3.0TFSIクワトロ・エアサス装着車)となり、わずかではあるが先代より小さくなっている。が、このくらいは誤差の範囲。スタイリッシュながら堂々とした貫禄あるデザインは存在感が強い。
また、いろいろと工夫されているのがQ7。オプションのオールホイールステアリングがそれで、フロントだけでなく、リヤタイヤもフロントに連動して舵取りされるため、このサイズとしては異例のコンパクトな動きが可能となる。
デザインはキープコンセプトで大きな変更はない。グリルまわりのメッキ面積が広くなり、キラリと輝くようになったのと、オプションでA8のような先進のマトリクスLEDヘッドライトユニットを手に入れた。ただ中身は大きく変わっていて、フレームは再設計されている。素材をアルミとスチールの複合とすることで、大幅な軽量化を実現した。従来モデル比で最大300kgのダイエットは頼もしい。大人1名60kgと計算すると5人分。当然だが、この進化はそのまま走りに直結する。
広くなったインテリアはデフォルトを2列シートの5名乗車とし、オプションで3列シート7名乗車を選ぶことができる。独立した3名分の2列目シートは、スライドやリクライニングができるのでロングドライブでも快適だろう。リムジンスタイルだ。また3列目は手動でも畳めるしオプションで電動でもできるというから使い勝手はよさそうだ。

日本仕様のエンジンは2つ用意される。2L直4ターボの2.0TFSIと3LV6スーパーチャージャーの3.0TFSIだ。最高出力は前者が252馬力、後者が333馬力を発揮。駆動方式はクワトロで、SUVらしく4つのタイヤで駆動する。
では、実際に走った印象に話を移そう。ステアリングを握ったのは2.0TFSIである。このサイズで2Lターボというエンジンとどう折り合いをつけさせるのか興味は募る。もちろん、大型SUVでの小排気量エンジンはもはや珍しいことではない。ジャガーXJなどにも用意される。
それじゃQ7はどうかというと、出だしからスーッと気持ちよく走り出した。大きなエンジンでボンネットを盛り上げて進むのとは違い、滑らかに滑り出すといった印象。そして、その後トルクが前面に押し出され、力強さを感じさせながら高速域まで一気に加速させる。低回転からターボが働くのでアクセルに対するラグはなく、息切れしない。もちろん、ここで軽量化されたボディが大きく貢献しているのは間違いないだろう。それにアウディドライブセレクトを“スポーツ”にすると、各部のレスポンスがよくなるのでその名のとおりスポーツマインドがくすぐられる。これもよし!
また、ちょっとしたコーナーで運動性能の高さも垣間みられた。ハンドリングは予想以上に軽快で、サイズを感じさせない。このとき冒頭にも記したオールホイールステアリングが作動する。この手の技術は違和感を得るものだが、アウディのそれは自然であることを付け加えよう。
といった走りだが、これはドライバーのみ乗車した場合であることを断っておこう。2Lターボをもし7名フル乗車で走らせたらこれほどスポーティかどうかはわからない。まぁ、その辺の話はこの手のクルマにはありがち。7名乗車を基本とすれば3.0TFSIがオススメとなる。
文●九島辰也 写真●GooWORLD
問い合わせ アウディコミュニケーションセンター TEL:0120-598-106
Detail Check

全体的な印象は従来型と変わらないが、前後ライトユニットにLEDが多用される。ホイールは2.0TFSIが18インチ、3.0TFSIが19インチが標準。
コックピット
コックピット
室内幅があってラグジュアリーサルーンのようなインテリア。太いセンターコンソールはA8に通じる。ステアリングは全車右のみ。自慢のバーチャルコクピットはオプションで用意される。
インテリア
インテリア
3列シートの7名乗車が可能のQ7。写真のフロントシートは標準仕様だが、このほかにスポーツシートとコンフォートがある。
エンジン
エンジン
2L直4ターボと3L V6スーパーチャージャーというラインアップ。V8エンジンはラインアップされない。これも時代だ。
ラゲッジルーム
ラゲッジルーム
さすがにこのサイズなので2列目、3列目シートを倒すとこれだけのカーゴスペースが生まれる。フラットになるよう計算されている。
センサー
センサー
カメラや超音波センサーなどでレーンキープや自動ブレーキ、パークアシストを作動させる。センサーの装着はこの位置となる。
主要諸元:アウディ Q7 2.0TFSIクワトロ(8速AT)
全長×全幅×全高 | 5070×1970×1705mm |
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ホイールベース | 2995mm |
トレッド前/後 | 1685/1690mm |
車両重量 | 2000kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1984cc |
最高出力 | 252ps/5000-6000rpm |
最大トルク | 37.7kg m/1600-4500rpm |
サスペンション前後 | ダブルウィッシュボーン |
ブレーキ前後 | Vディスク |
タイヤサイズ前後 | 235/65R18 |
全国メーカー希望小売価格(発売 2016年1月)
Q7 2.0TFSIクワトロ(8速AT) | 804万円 |
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Q7 3.0TFSIクワトロ(8速AT) | 929万円 |
Body Color
□カラーラホワイト ■フロレットシルバーメタリック ■グラファイトグレー メタリック ■オルカブラック メタリック ■アーガスブラウン メタリック ■カラットベージュメタリック □グレイシアホワイト メタリック ■インクブルー メタリック ■デイトナグレー パールエフェクト |
駐車場での取りまわし性を高めるオールホイールステアリング
新型Q7の新機軸となるのがオプション設定されるオールホイールステアリング。これは、リヤアクスルにステアリング機構を搭載したもので、フロントアクスルの操舵方向と逆に舵を切ることで最小回転半径を縮小させる。全長5mクラスの大型SUVだからこそ重要になるアイテムと言えるだろう。