新車試乗レポート
更新日:2020.04.08 / 掲載日:2016.07.21
メルセデス・ベンツ C350e アバンギャルド 試乗レポート

上質なEV走行が魅力のPHV仕様
先代Sクラスから用意していたハイブリッドモデルはさほど人気を得なかった。ワンモーターという比較的シンプルなシステムではあまり魅力を感じられなかったのが要因かもしれない。そこでメルセデスは一足飛びにプラグインハイブリッドのラインアップを急速に拡大している。家庭で充電すればカタログ値で25.4kmのEV走行が可能で環境負荷と燃料コストの低減が図れるばかりか、バッテリーとモーターを高性能化するので走りでもメリットが生まれるからだ。
そのメリットとは強力なモーターのアシストによる加速力、走行中でも頻繁にエンジンを停止させて得られる静粛性。これが既存のパワートレーンより一歩先を行くプレミアム性を生むことになる。メルセデスの場合はむしろこちらのほうが主眼と見ていいだろう。さほど多くはないEV走行距離のため、燃料コスト低減メリットは些細なもので721万円もの車両価格を埋め合わせることはできないからだ。

2L直噴ターボエンジンの最大トルクは35.7kgmと十分以上だが、さらにモーターが加わることでシステム最大では61.2kgmに跳ね上がるため、パフォーマンスにはまったく不満はない。ハイブリッド走行中にEV状態からエンジンが再始動することを知らせるインテリジェントペダルなど、パワートレーンのインターフェースも上々だ。
Cクラスはもともと静粛性の高さに定評があったが、350eはエンジンの負担が少ないためさらに静かで、たしかにプレミアム感はシリーズ最高と言える。ただし、ブレーキのフィーリングはあまりほめられたものではなく、踏力やストロークが変化してしまうのが残念。こういった傾向は電気駆動モデルではよくあることだが、ハイブリッドに目の肥えた日本人からするとややもの足りないところではある。今後、メルセデスならではの熟成に期待したい。
文●石井昌道 写真●澤田和久、北川 泉
問い合わせ メルセデス・コール TEL:0120-190-610
Detail Check
コックピット
コックピット
高品質なインパネまわり。デザインはほかのCクラスと基本的に同じ造形。安全装備として「レーダーセーフティパッケージ」が装備されるのが大きな特徴。前方の車両だけでなく、歩行者も検知するので安心度は高い。
インテリア
インテリア
上級モデルだけありレザーシートを装備。サイズも大きくサポート性にも優れているので、ロングドライブでも快適だ。
エンジン
エンジン
2L4気筒直噴ターボに82馬力の高出力を誇るモーターをドッキング。システム全体では279馬力というパフォーマンスを発揮。
トランク
トランク
大容量リチウムイオン電池を搭載していながらトランク容量は335Lと十分な広さ。セダンとしての実用性も犠牲になっていない。
充電
充電
AC200V電源の使用で約4時間、チャージモードでは40分、がフル充電に要する時間。セダンの燃費は17.2km/L。
主要諸元:メルセデス・ベンツ C350e アバンギャルド(7速AT)
全長×全幅×全高 | 4690×1810×1430mm |
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ホイールベース | 2840mm |
トレッド前/後 | 1575/1535mm |
車両重量 | 1830kg |
エンジン | 直4DOHCターボ+モーター |
総排気量 | 1991cc |
エンジン最高出力 | 211ps/5500rpm |
エンジン最大トルク | 35.7kg m/1200-4000rpm |
モーター最高出力 | 82ps |
モーター最大トルク | 34.7kg m |
サスペンション前/後 | 4リンク/マルチリンク |
ブレーキ前後 | Vディスク |
タイヤサイズ前・後 | 225/45R18・245/40R18 |
全国メーカー希望小売価格(発売 2015年12月)
C350e アバンギャルド(7速AT) | 721万円 |
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Body Color
■ブリリアントブルー ■ヒヤシンスレッド □ポーラーホワイト ■シトリンブラウン ■オブシディアンブラック ■イリジウムシルバー |