新車試乗レポート
更新日:2026.07.18 / 掲載日:2026.07.18

《ホンダ・Super-ONE》公道試乗! 最新EVスポーツ実力判定

令和に生まれた新時代ホットハッチ!
最新「電動スポーツ」の実力は如何に?

ホンダが電動化時代に放つ第3弾「Super-ONE(スーパーワン)」は、これまでのEVで無風区だった“走り”に全振りしたコンパクトBEVモデル。手応え十分な走りに加えて、買い得感の高さでも注目度は増すばかり。令和に蘇った“ブルドッグ”の魅力をお伝えしよう。

●文:まるも亜希子 ●写真:澤田和久

※本記事の内容は月刊自家用車2026年8月号制作時点(2026年6月中旬)のものです。

HONDA Super-ONE

価格:339万200円

HONDA Super-ONE 公道試乗

「走りの楽しさ」最優先、ホンダらしいEVが誕生
 電動化時代に入っても、ホンダにしかできない「走りの楽しさ」を追求したコンパクトEVをつくる。そのためにはなんだってやるんだと、強い気持ちから開発がスタートしたというスーパーワン。コンパクトEV第三弾となるモデルで、ベースとなっているのはN-ONE:eだ。
 現在、スポーティに振り切ったキャラクターのコンパクトEVは空席に近い状態で、まさにそこを突くあたりにホンダらしさを感じることができる。
 N-ONE:eからどのようにしてスポーティなEVへと変貌を遂げたのか。
 まずデザインは、和光デザインセンターを中心に多彩なメンバーでワイガヤを重ね、日常が刺激的で楽しくなるようなエクステリアデザインを生み出した。「ブルドッグ」の愛称で親しまれた往年の名車、シティターボⅡを彷彿とさせる、大胆に張り出したブリスターフェンダーに太めのタイヤ、どっしりと踏ん張るワイドなスタンスに加えて、ホイールなどに電動化時代らしいデジタルなエッセンスを加えているのも個性的だ。
 また、他社のコンパクトEVと比べて300㎏以上軽い車両重量にもこだわった。バッテリーはあえて増量せず、センタータンクレイアウト同様に車体フロア中央に置くことで、走った時の回頭性の良さを重視する。トレッドは50mm拡大したほか、専用のロアアームを起こしたり、ドライブシャフトも伸ばしたことで、左右の剛性をしっかりと確保したという。
 このモデルならではの面白さになっているのが、通常は47‌㎾の出力を一気に70‌㎾まで解放できる「BOOSTモード」を搭載したことが挙げられる。オンにするとまるでエンジンが吹け上がるかのような、自然で迫力あるサウンドの演出と、仮想有段シフト制御でスカッとする加速が楽しめるようになり、減速も思いのまま。
 こうした楽しい仕掛けを採用しながら、細やかな空力性能向上の工夫で航続距離は274㎞(WLTCモード)を達成したことも見逃せない。普通充電と急速充電に対応するほか、家庭に給電できるV2Hと屋外で電気製品が使えるV2Lにも対応している。
 後席スペースはボディ相応だが、シートを倒すとフラットなスペースが広がり、大きな荷物の積載も無難以上にこなしてくれる。
 スーパーワンは日常からレジャーまでマルチに使える実力を備えながら、思いっきり走る楽しさが味わえるEVとなっている。

スーパーワンは、軽乗用EVのN-ONE e:をベースとしながらも、全幅を拡大した専用シャシーの採用や、車内体験を向上させる各種機能を備えることで、日常の移動を刺激的に楽しめる電動スポーツモデルに仕立てられている。
ホンダアクセスと無限からもスタイリングプログラムは発表済み。尖ったクルマがさらに刺激的になるカスタマイズモデルへの引き合いも多いとのこと。
1980年代を代表するホットハッチ「シティターボⅡ」。スーパーワンはこのモデルをイメージして開発が進められている。

軽量&低重心がもたらす唯一無二の走り
 スーパーワンはN-ONE:eをベースに開発されているが、その大モトとなったガソリン車のN-ONEからして、軽自動車ながらワンメイクレースが開催されるほどのポテンシャルを持ったモデル。その軽量かつ強固なプラットフォームがあったからこそ、「これをもっと走りに振ったら面白くなるんじゃないか?」と開発がスタートした逸話を持つ。
 今回、ようやく一般道での試乗が叶ったが、駐車場に停まっている姿がすでに”走る気マンマン“といった雰囲気で、早く乗ってみたくなる。
 骨格などは軽自動車規格と同じながら、運転席と助手席は内部に硬質パッドを入れることで、高いサポート性を実現したシートで、身体をしっかり支えてくれるタイプ。ボタン式のシフトでDを押し、走り出した直後から15インチタイヤがしっかりと路面に接地している感が伝わってくる。
 ドライブモードは「ノーマル」「イーコン」「シティ」「スポーツ」「ブースト」の5つが用意される。まずは基本となるノーマルモードは、つま先に込めた力にピタリと合う自然な加速から始まり、なめらかに速度を上げていく印象が強め。路面の凹凸が激しい区間でも、ドスンと入力があると一発でおさめて不快な振動が残らないため、むしろ走りの味わいとして感じられるのが嬉しい。カーブを曲がっても左右がフラットさを保ち、ステアリングはまるで手のひらに吸い付くような感覚がある。これまでのスポーティな電動車というと、クルマの制御が先行して自分で操る感覚が薄めに感じるモデルも多かったが、スーパーワンは「間違いなく自分の手足で操っている」という感覚が楽しめる。
 勾配が急な山道に入っても、余裕の加速フィール。カーブの手前でくるりとノーズが進行方向へ向いてくれる感覚が強く、連続するカーブでもヒラリヒラリと駆け抜けてくれる。1090㎏という、EVとしては異例の軽さと重心高の低さ、重量物が車体中央にあることの強みの賜物だろう。
 ちなみにシティモードでは、完全停止まで可能なシングルペダルとなり、タイヤの接地感まで軽やかに感じるようなコースティング感が強まる。これなら長距離移動やノロノロ渋滞などでもラクに運転できそうだ。
 そしてお楽しみのブーストモードは、想像以上の爽快感がある。仮想7段ステップシフトとG変化の演出に加え、スポーツアダプティブ制御によるギヤ段選択と、音場設定を追求したアクティブサウンドコントロールによるエンジンサウンドが見事な高揚感を生み出す。スポーツモードでもシフト制御やサウンドは作動するが、ブーストモードがもたらす最大70‌㎾の出力解放の威力はものすごい。まさに、愉快痛快なホットハッチを名乗るにふさわしい仕上がりだ。

標準の走行モードではBEVらしい静粛性もあり、加速もスムーズ。加減速からの巡航への移行なども洗練された雰囲気が強め。
ワイドトレッド化に加え、ブレーキ協調制御やサスストロークを巧みに使うことで、挙動を安定させてくれる。クラス上のモデルにも負けない洗練さを持つことも魅力のひとつ。
駆動モーターやバッテリーはN-ONE e:と変わっていないが、唯一無二のブーストモードを備えるなど、制御機能は専用仕立て。サスなども専用設計となる。
キャビンは軽モデル相応の広さに留まるが、内装色はブルーを差し色にすることで差別化。前席は専用のバケットタイプシートを採用している。
音声での車内操作やアプリ利用が可能になる、Googleを搭載した9インチHonda CONNECTディスプレーは標準装備。
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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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