新車試乗レポート
更新日:2026.04.08 / 掲載日:2026.04.08

スバル最新EV『トレイルシーカー』先行試乗!

BEV×本格SUVの最新解とは——

ソルテラに続いてスバルがリリースする最新BEV、トレイルシーカー。ソルテラを上回るレジャー適性を備えたモデルだ。正式発表に先駆け、プロトタイプモデルに雪上試乗! BEV×本格SUVという命題へのスバルの回答を体感した。

●文:川島茂夫 ●写真:SUBARU

※本記事の内容は月刊自家用車2026年5月号制作時点(2026年3月中旬)のものです。

SUBARU トレイルシーカー先行試乗

実用的SUVとしての資質十分なBEV

SUBARU トレイルシーカー ET-SS [プロトタイプ]
●ボディカラー:デイブレイクブルー・パール
※オプション(20インチホイールほか)装着車

走行性能と使い勝手がともに高く、好バランス
車格的にスバル車全体の頂点モデルとして開発されているが、目の当たりにするとプレミアムあるいはスペシャリティな内外装で車格が誇張された印象はない。パネルで覆われたグリルやヘッドランプグラフィック等にBEVらしさを感じるが、全体的には未来のイメージよりも実用性を重視したファミリー&レジャー向けの真面目なSUVというキャラだ。
車体寸法やプロポーションをソルテラやフォレスターと比較すると、そのキャラは一層鮮明となる。基本プラットフォームを共用していることもあり、トレイルシーカーとソルテラはホイールベースが共通し、全長以外は寸法設定が近い。全長は155㎜ほどトレイルシーカーが長いが、これはキャビン後半部の寸法設定とデザインの違いによる。同様にフォレスターとの全長差は190㎜だが、ホイールベース差は180㎜であり、ボンネット長が短いBEVの特徴からしても、フォレスターに対してもキャビン容量がアドバンテージになっている。ちなみにキャビン容量は以前の頂点モデルだったアウトバックをも上回っている。
比較的傾斜を押さえたリヤゲート周り、後半の絞り込みを押さえてリヤエンドまで直線的に伸びたルーフラインなど、キャビン周りのデザインは後席乗員の見晴らしや開放感、効率的な荷物の積載性に配慮したもの。スポーツハッチ的なソルテラに対してトレイルシーカーはレジャーワゴンらしいスタイルとなっている。
最低地上高はソルテラと同じ210㎜。この数値は乗用車プラットフォームSUVでは最大級であり、トレイルシーカーがそれだけ悪路性能も重視されたモデルであることを示している。
ハードウェアは昨年10月発表の改良型ソルテラと基本部分が共通で、搭載電池容量やFWD車のパワースペックは同じ。ただし4WD車の後輪駆動用モーターはソルテラの88‌kWから167‌kWへと最高出力が倍増。システム最高出力もソルテラを28‌kW上回る280‌kW。ひと回り大きいにもかかわらず0-100㎞/h加速は0・4秒速い4・5秒という俊足だ。
初乗りとなる今回の試乗コースの路面は圧雪、アイスバーン、シャーベットなど、冬期に遭遇するだろう状況が揃っていた。中でも固まったシャーベットがゴロゴロした路面が、ハードなクロカン路とまではいかないが難物だった。シャーベットの塊を乗り越え圧し潰して踏破していく様は悪路におけるSUVの安心感そのもの。
氷雪路や悪路でのBEVの弱点としては重い車重が挙げられるが、重さで苦労することはなく、電動の高い制御精度を積極的に活かすことで、むしろ意のままのコントロールが可能だった。ペダルコントロールに対するトルクの追従感の良さによるゆっくり押し出すような駆動や、X-MODEでのホイールスピン量の制御まで、グリップが安定しない雪路での操縦性も良好。スタビリティコントロール等の効果により、神経質あるいは唐突な挙動が少なく、方向性の乱れの修正も少なくて済んだ。雪路や悪路で扱いやすく安心なスバル車の特徴は引き継がれ、ツインモーター4WDでさらにアップグレードされた印象である。
WLTCモードの満充電航続距離は18インチホイールで690〜734㎞、20インチホイールは627㎞。実際は8掛けとしても、一般的な用途に対応できる実用的な行動範囲を獲得している。
タブレット型のメーターやセンターディスプレイに扁平フォルムのステアリングなど、冒頭で述べたとおりインパネ周りのデザインはBEVあるいはサイバー時代を思わせる。一方、キャビン設計の特徴は大人4名が長時間過ごすに十分なスペースや風景を楽しむための見晴らし、レジャーギアを積み込みやすい荷室設計であり、近未来テイストとは対象的な堅実さが印象的だ。
今回は特殊な条件下での試乗だったが、実践的あるいは実利的な顔を見せてくれた。危険な状況だからこその信頼感や優しさと易しさを実感。BEVゆえに条件なしで万人に勧められるほど一般的とも言い難いが、実用性を軸に選んでもおかしくないバランスと質感を備えたモデルだった。

■主要諸元 トレイルシーカー ET-HSプロトタイプ・AWD (オプションを含まず)
●全長×全幅×全高(㎜): 4845×1860×1675 ●ホイールベース(㎜):2850 ●最低地上高(㎜):210 ●車両重量(㎏):2020 ●パワートレーン:前モーター(167kW/268N・m)+後モーター(同)、システム最大出力280kW(380PS) ●駆動用バッテリー:リチウムイオン電池 ●充電ポート仕様:普通充電AC200V、急速充電DC(CHAdeMO規格対応) ●駆動方式:4WD ●WLTCモード一充電走行距離(㎞):690 ●タイヤサイズ:235/60R18

SUBARUトレイルシーカー [プロトタイプ]《4月9日正式発表予定》

アーバンテイストなソルテラと対を成すレジャー適性向上モデル
 スバルとトヨタが2022年のソルテラ/bZ4Xで開発したEV専用プラットフォームやeAxleなどを活用して開発。現行のソルテラ(D型)と同世代のアーキテクチャーを用い、ボディ後部を延長。積載性を高めるとともに、走行性能も向上させた上位モデルという位置付けだ。既に国内ティザーサイトもオープン。昨年7月にアメリカで発表されたアンチャーテッドとともに協業BEV4台の一角を占める。スバルの内燃機関車に当てはめると、ソルテラがフォレスター、トレイルシーカーはアウトバック相当になる。

ソルテラとはフェイスデザインなどが異なるが、最大の特徴はリヤオーバーハングの延長と傾斜を抑えたルーフライン。後席居住性や積載能力に大きく関わる部分だ。
室内各部の造型や機能はソルテラに準じたもので、後席にもシートヒーターやベンチレーション、USB電源が用意される。ファミリー&レジャー適性の高いトレイルシーカーだけに、一層ありがたみを感じる部分だ。
荷室容量はスバル車最大の633ℓ。2段デッキボード、トノカバーを格納できる床下トランク、ソルテラにはない後席リモコン可倒レバーなど、うれしい装備が揃っている。
パワートレーンも基本的にソルテラを踏襲するが、車格に応じて後輪を中心に出力が向上し、海外でよく見られるけん引にもしっかり対応。X-MODEによる駆動制御も心強い。
スバルはトヨタとの協業によるSUVタイプのBEV4車種を2026年中にラインナップすることを発表済み。既存のソルテラに加え、2025年7月、北米でロングワゴンタイプのトレイルシーカーとコンパクトなアンチャーテッドが発表されている。
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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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